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競馬詐欺とは?7つの手口と払ったお金を取り戻す方法を弁護士が解説

佐久間 大地

弁護士法人大地総合法律事務所 代表弁護士

佐久間 大地

紛争は人と人との間で起こります。それは法人間の紛争であっても同じです。そして、人には感情があり、立場があります。
紛争解決、説得の1つのツールとして、法律という理屈を駆使することはもちろんですが、常に、人の感情、立場に配慮した業務を行うよう精進しております。
詐欺被害救済といえば「大地総合法律事務所」と認知していただけるよう、所員一同、プロフェッショナル集団として、常に研鑽を積んで参ります。

監修者

「絶対に当たるレースがある」「あなたは特別会員に選ばれた」——そう言われて情報料を振り込んだあと、予想は外れ続け、やがて連絡も取れなくなる。これが競馬詐欺の典型的な流れです。

競馬というギャンブルが絡むため、「自分が悪かった」「家族に知られたくない」と感じて、誰にも言えないまま抱え込んでしまう方が少なくありません。

しかし、うそを言われて契約させられたのであれば、支払ったお金を取り戻せる可能性があります。実際、消費者契約法や民法には、だまされて結んだ契約を取り消すための規定が用意されています。

本記事では、JRA(日本中央競馬会)が公表している被害ケースをもとに競馬詐欺の手口を整理したうえで、払ってしまったお金を取り戻すための法的手段・支払い方法別の具体的な進め方・時効まで、弁護士の視点で解説します。

\もしかしたら詐欺に遭ったかもしれない.../

佐久間先生
コメントも募集していますので、ご相談があればどんどん書き込んでくださいね!
目次

競馬詐欺とは?「絶対に当たる」と称して情報料をだまし取る手口の総称

事務局さん
競馬詐欺って、そもそもどこからが「詐欺」なんでしょうか?予想を売っているサイトは山ほどありますよね。
佐久間先生
いい質問です。境界線は「予想を売っていること」ではなく、うそや誇張で信じ込ませてお金を出させたかどうかにあります。まずはそこから整理しましょう。

競馬詐欺とは、「絶対に当たる」「高配当を保証する」「関係者だけが知る極秘情報がある」などと持ちかけ、根拠のない情報の対価として情報料・会員費・手数料を支払わせる行為の総称です。

法律に「競馬詐欺罪」という条文があるわけではありません。実際には、刑法の詐欺罪や消費者契約法・特定商取引法・景品表示法といった複数の法律にまたがる問題として扱われます。

競馬予想を販売すること自体は違法ではない

前提として、競馬の予想や分析情報を有料で販売する行為そのものは、違法ではありません。予想が外れたというだけで詐欺になることもありません。

問題になるのは、実際には持っていない情報を「持っている」と偽ったり、あり得ない的中率を掲げたりして、相手を誤信させた場合です。

たとえば「JRAの職員から八百長情報を得ている」という説明は、そうした事実がないのであれば、うその説明にあたります。この点は後ほど法律ごとに詳しく整理します。

佐久間先生
「外れたから詐欺」ではなく、「そもそもの説明がうそだったから問題」という整理です。ここを押さえると、ご自身のケースが該当するか判断しやすくなります。

被害は「情報商材」トラブルとして相談が寄せられている

競馬詐欺の被害は、統計上「情報商材」に関する消費生活相談として集計されることが多くあります。

国民生活センターは情報商材を「インターネットの通信販売等で、副業、投資やギャンブル等で高額収入を得るためのノウハウ等と称して販売されている情報」と説明しており、競馬の予想情報もこの枠組みに含まれます。

全国の消費生活センター等に寄せられた情報商材に関する相談件数(PIO-NET登録分)は、次のとおりです。

年度 相談件数
2023年度 6,256件
2024年度 4,163件
2025年度 2,623件
2026年度 182件(前年同期285件)

参考:国民生活センター「情報商材(各種相談の件数や傾向)」(2026年7月31日更新/件数は2026年5月31日現在)

同ページの「最近の事例」には、「『在宅ワーク』などと検索して見つけた事業者から、競馬情報サイトで稼げると勧誘されて電子マニュアルの購入と高額なサポート契約をした。

借金をして支払ったがやめたい」という相談が挙げられています。

競馬詐欺が「競馬ファンだけの問題」ではなく、副業を探している人にも入り口が広がっていることがうかがえる内容です。

副業をきっかけとした被害については副業詐欺のよくある手口9選もあわせてご覧ください。

【結論】支払ったお金を取り戻せる可能性は十分にあります

結論からお伝えすると、競馬詐欺で支払ったお金は、契約を取り消したり、損害賠償を請求したりすることで取り戻せる場合があります。

「ギャンブルにつぎ込んだお金だから戻らない」と思われがちですが、法的に問題になっているのは馬券の購入代金ではなく、業者に支払った情報料・会員費・サポート契約料です。

これらは通常の消費者取引と同じように争えます。

ただし、回収できるかどうかは業者の実在性・資産の有無・証拠の残り方・支払い方法・経過期間によって大きく変わります。

結果を保証できるものではありませんが、動くのが早いほど選択肢が多く残るのは確かです。

事務局さん
「もう手遅れかも」と思って放置してしまう方が多そうですね…。
佐久間先生
そこが一番もったいないところです。特に銀行振込は、口座にお金が残っているうちに動けば凍結できることがあります。時間との勝負になる手段があるとだけ、覚えておいてください。

\もしかしたら詐欺に遭ったかもしれない.../

JRAが公表する競馬詐欺の手口7パターン

JRAが公表する競馬詐欺の手口7パターン

事務局さん
JRAが手口を公表しているんですか?
佐久間先生
はい。JRA自身が7つの被害ケースを整理して公開しています。ご自身が受けた勧誘がどれに当てはまるかを確認すると、状況が整理しやすくなります。

JRA(日本中央競馬会)は「悪質な予想・情報提供業者の被害ケース」として、想定される被害を7つの事例に分類して公表しています。以下は、その分類に沿って整理したものです。

参考:JRA「悪質な予想・情報提供業者の被害ケース」

手口1|「JRA公認」をかたる

予想サイトにJRAのロゴマークやJRA公式サイトへのリンクを掲載し、「JRA公認の予想会社」であるかのように見せかけて情報料を請求する手口です。

JRAはこの点について、公式サイトはリンクフリーであり、リンクが掲載されているからといって公認されていることにはならないと明言しています。

また、JRAのロゴマークは商標登録されており、無断使用は禁じられています。

佐久間先生
JRA自身が「JRAが関与しているかのような広告・宣伝・勧誘を行う予想・情報提供業者に注意するように」と呼びかけています。「JRA公認」という表示があったこと自体が、うその説明を受けた証拠になり得ます。

手口2|JRAの関係団体・関係者を装う

「○○騎手会」「○△馬主会」といった実在しない団体名を名乗り、関係者しか知り得ない情報を提供していると装う手口です。

JRAが公表している想定内容には、「今度八百長が行われるレースがあり、JRAの職員も関与して利益を得ている」というメールを信じて情報提供料15万円を支払ったが的中しなかったという事例が挙げられています。

手口3|「絶対に当たる」と次々に高額な情報料を請求する

低額な会員登録から入らせ、「あなたは特別な会員なので10万円で特別に情報を提供する」などと段階的に金額を吊り上げていく手口です。

無料予想を数回配信して信用させてから有料プランへ切り替える流れも定番です(情報商材はなぜ悪いのか)。

JRAの公表事例には、外れるたびに丁寧な謝罪文書が届き、「今度こそ絶対に当たるので30万円を振り込んでほしい」と勧誘され、同様のやり取りが続いた結果、合計で100万円以上を支払うことになったというケースが記載されています。

また、支払いを渋ると「外れた場合は全額を返金する」と持ちかけられ、実際に外れた後は返還に応じなかったという事例も挙げられています。

事務局さん
謝罪してくるから、かえって信じてしまうんですね……。
佐久間先生
「取り返してあげたい」という姿勢を見せて追加の支払いへ誘導する、典型的な流れです。ここで止まれるかどうかが分かれ目になります。

手口4|「前もって結果が決まっているレースがある」と持ちかける

「八百長がある」「談合が行われる」といった話で、結果が決まっているレースの情報を売りつける手口です。

JRAは、不正なレースを行うことは競馬法で固く禁じられており、レースは厳しい監視のもとで行われていると説明しています。

「結果が決まっているレース」を前提とした勧誘は、その前提自体が事実に反していることになります。

手口5〜7|第三者の裏づけがあるように見せかける

残る3つは、いずれも「自分以外の誰かが保証している」ように見せる手口です。

  • 5|第三者を装って誘導する/個人ブログや口コミ・ランキングサイトを装って特定の業者へ登録させます。「競馬予想○○審査会」といった架空の審査機関を名乗る例も。JRAも、業者を紹介するサイトが悪質な業者と結託して運営されていることがあると注意を促しています。
  • 6|的中実績を見せる/的中馬券や万馬券的中証明書の画像を提示します。加工も他人の馬券の流用も可能なので、信用の根拠にはなりません。
  • 7|当選通知で手数料を請求する/応募していない当選通知を送りつけ、受取手数料を求めます。JRAは、賞品受取の費用を請求することも、現金や馬券を賞品とするキャンペーンを行うこともないと明言しています。

近年増えているのはSNS・マッチングアプリ経由の「競馬AI投資」型

近年は、SNSやマッチングアプリで親しくなった相手から「AIが予想するツールがある」「自動で利益が出る」と持ちかけられるパターンの相談も増えています。

同じ公営競技では、競艇を題材にした同種の被害も報告されています(競艇で稼げるのは嘘?本当?競艇投資の実態と被害に遭ったときの対処法)。

恋愛感情や信頼関係を利用して近づく点で、ロマンス詐欺と重なる構造を持ちます。

「競馬」という入り口が違うだけで、資金を預けさせて出金できなくするという結末は投資詐欺と共通しています。

競馬詐欺を見抜く3つのサイン

事務局さん
すでに払ってしまった人も、確認する意味はありますか?
佐久間先生
大いにあります。ここで挙げるサインは、そのまま「業者がうそをついた証拠」になり得る材料です。返金交渉の材料としてチェックしてください。

サイン1|現実にはあり得ない的中率・回収率を掲げている

「的中率98.9%」「年間100戦100勝」といった数字は、競馬という競技の性質上あり得ません。

天候・馬場状態・馬のコンディション・レース展開など不確定要素が多く、結果は大きく変動します。

JRAも「絶対に当たる」情報は存在しません」と明言しています。

サイン2|「公正取引協議会の認定」など存在しない権威を名乗る

見過ごされがちですが、実在しない認定機関を名乗るケースが確認されています。

2024年5月13日、消費者庁および公正取引委員会は「一般社団法人競馬情報公正取引協議会」と称する団体について注意喚起を行いました。

同注意喚起では、当該団体は景品表示法第31条に基づいて認定された公正競争規約を運用する団体ではなく、消費者庁および公正取引委員会とは一切関係がないとされています。

さらに重要なのは、競馬情報に関する業種において、公正競争規約が設定された事実はないと明示されている点です。

つまり、この分野で「公正競争規約の認定を受けている」と称する業者があれば、その説明は事実に反することになります。

参考:消費者庁「『一般社団法人競馬情報公正取引協議会』と称する団体について(注意喚起)」(2024年5月13日)/農林水産省による周知

佐久間先生
国の機関が名指しで「関係がない」と公表している例です。もし勧誘時にこうした団体名を出されていたなら、それは記録に残しておく価値があります。

サイン3|特定商取引法に基づく表記がない・連絡先があいまい

通信販売を行う事業者は、特定商取引法により、事業者名・住所・電話番号・責任者名などを表示する義務を負っています。

表記が見当たらない、連絡先が携帯電話番号やフリーメールのみ、所在地がバーチャルオフィスや私書箱、といった場合は注意が必要です。

法人名が記載されている場合は、国税庁法人番号公表サイトで実在するかどうかを確認できます。登記されて間もない法人である場合も、判断材料の1つになります。

競馬詐欺で問題になりうる法律

事務局さん
「詐欺罪」以外にも関係する法律があるんですか?
佐久間先生
はい。刑事の話と民事の話は別ですし、行政規制も関わります。返金を目指すうえで実際に効いてくるのは民事のルートなので、そこを中心に見ていきましょう。

刑法246条|詐欺罪

人を欺いて財物を交付させた場合、詐欺罪が成立し、10年以下の拘禁刑に処せられます(刑法246条1項)。

ただし、詐欺罪の成立には「はじめからだますつもりだった」という故意の立証が必要です。

業者側は「予想は真面目に立てていたが外れただけ」と反論することが多く、捜査機関が立件に慎重になることもあります。

刑事事件として立件されなくても、民事上の返金請求は別に進められます。

この点は詐欺被害の相談をしても警察は動かない?で詳しく解説しています。

景品表示法|優良誤認表示

実際よりも著しく優良であると誤認させる表示は、景品表示法が禁じる優良誤認表示にあたる可能性があります。

根拠のない的中率や回収率の掲示が典型例です。

特定商取引法|誇大広告等の禁止

通信販売を行う事業者は、役務の内容などについて、著しく事実に相違する表示や、実際よりも著しく優良・有利であると誤認させる表示をしてはならないとされています(特定商取引法12条)。

「絶対に当たる」「必ず回収できる」といった表示は、この規定に抵触するおそれがあります。

競馬法|ノミ行為の禁止と、予想情報を買った人の扱い

ここは誤解が多く、また相談をためらう原因にもなっている部分なので、条文に沿って整理します。

条文 対象となる行為 罰則
競馬法30条3号 勝馬投票類似の行為をさせて財産上の利益を図った者(=ノミ屋側) 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
競馬法34条 上記の場合において勝馬投票類似の行為をした者(=ノミ屋に賭けた側) 100万円以下の罰金
競馬法31条1号 業として、または不特定多数から勝馬投票券の購入の委託を受けた者(=購入代行業者) 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

重要なのは、予想情報を購入し、馬券は自分でJRAや地方競馬から購入していた場合、これらのいずれにも当たらないという点です。

競馬法が禁じているのは、正規の発売元を通さずに賭けを成立させる行為(ノミ行為)や、その購入代行です。予想という情報を買う行為自体は、規制の対象になっていません。

佐久間先生
一方で、業者に資金を預けて「代わりに馬券を買う」と言われていた場合は、事情が変わることがあります。実際には馬券が買われていないケースもあるので、この点は個別にご相談ください。

競馬詐欺で払ったお金を取り戻す4つの法的手段

競馬詐欺で払ったお金を取り戻す4つの法的手段

ここからが本題です。支払ってしまったお金を取り戻すために使える主な法的手段は、次の4つです。

詐欺被害全般における返金の考え方は詐欺に遭ったらお金は返ってくる?で解説しています。

手段1|消費者契約法4条による取消し

消費者契約法4条は、事業者が勧誘の際に次のような行為をして消費者が誤認した場合、契約の申込み・承諾の意思表示を取り消せると定めています。

  • 不実告知(4条1項1号):重要事項について事実と異なることを告げること。「JRA公認である」「関係者から極秘情報を得ている」など
  • 断定的判断の提供(4条1項2号):将来における変動が不確実な事項について断定的判断を提供すること。「絶対に当たる」「必ず回収できる」など
  • 不利益事実の不告知(4条2項):利益となることだけを告げ、不利益となる事実を故意または重大な過失で告げないこと

競馬の的中や配当は典型的な「将来における変動が不確実な事項」です。

「絶対に当たる」という勧誘があったのであれば、断定的判断の提供にあたる可能性は十分にあります。

取消しが認められれば契約は最初からなかったことになり、支払ったお金の返還を求められます。

手段2|民法96条による詐欺取消し

民法96条1項は「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」と定めています。

消費者契約法の取消しと比べると、業者にだます意図があったことまで示す必要があるぶんハードルは上がります。

一方で、次に述べる時効の点では有利になる場合があります。

手段3|民法709条による損害賠償請求

うその説明で契約させて金銭を支払わせた行為は、不法行為(民法709条)にあたる可能性があります。

この構成のメリットは、契約の相手方である法人だけでなく、勧誘を実際に行った担当者個人や運営者個人にも請求できる場合がある点です。

法人に資産がない場合の回収手段として検討します。

手段4|特定商取引法のクーリング・オフ(電話勧誘販売の場合)

ここは誤解が多いところなので、正確にお伝えします。

契約の形態 クーリング・オフ
通信販売(サイトやLINEから自分で申し込んだ) 制度なし
電話勧誘販売(業者から電話が来て契約した) 法定書面の受領日から起算して8日間(特商法24条)
訪問販売(自宅や喫茶店などで契約した) 法定書面の受領日から起算して8日間

つまり、サイトやLINEから自分で申し込んだ場合、特定商取引法上のクーリング・オフは使えません。

なお、通信販売には8日間の返品ルール(特商法15条の3)がありますが、これは商品または特定権利が対象であり、予想情報の提供のような役務(サービス)には適用されません。

一方で、業者から電話がかかってきて契約に至った場合は電話勧誘販売にあたり、法定書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。

書面が交付されていない場合や記載に不備がある場合は、8日間の起算が始まらないため、期間が経過していても行使できることがあります。

事務局さん
「もう8日過ぎたから無理だ」とあきらめている方も多そうです。
佐久間先生
そこが落とし穴です。クーリング・オフが使えなくても、消費者契約法の取消しや損害賠償請求という別の道が残っています。1つの制度だけで判断しないでください。

制度そのものの詳細はクーリング・オフの仕組みで解説しています。

支払い方法別|返金請求の進め方

佐久間先生
法的な根拠が整っていても、実際にお金を取り戻せるかは「どうやって払ったか」で大きく変わります。ご自身の支払い方法に当てはめてご確認ください。

銀行振込|振り込め詐欺救済法にもとづく口座凍結を求める

振込で支払った場合、振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)にもとづく手続きが使える可能性があります。

流れは次のとおりです。

  1. 振込先の金融機関と自分の取引銀行に連絡し、被害を申し出る
  2. 金融機関が犯罪利用と判断すれば、対象口座の取引が停止される
  3. 預金保険機構による公告を経て、被害者に被害回復分配金が支払われる

注意点は、口座に残高がなければ分配金は支払われないことです。

振り込まれたお金はすぐに引き出されることが多いため、気づいた時点でできる限り早く金融機関へ連絡することが結果を左右します。

詳しい手続きは振り込め詐欺が再び増加中!救済法まで弁護士が解説で説明しています。

クレジットカード|割賦販売法の「支払停止の抗弁」を使う

クレジットカードで支払った場合、支払方法によって取れる手段が変わります。

分割払い・リボ払いなどの場合は、割賦販売法の「支払停止の抗弁」(同法30条の4、個別クレジットの場合は35条の3の19)により、販売業者に対して生じている事由を理由に、カード会社への支払いを拒めることがあります。

ただし、支払総額が政令で定める金額に満たない場合は適用されません。金額は次のとおりです。

  • 分割払い等(包括信用購入あっせん):4万円(割賦販売法施行令21条1項)
  • リボルビング方式:3万8,000円(同条2項)
  • 個別クレジット(ショッピングクレジット):4万円(同施行令26条)

一方、翌月一括払い(マンスリークリア)は割賦販売法の対象外のため、支払停止の抗弁は使えません。

この場合は、カード会社が任意に設けているチャージバック(不正・不当請求の申立て)の手続きを検討することになります。

いずれの場合も、カードの利用明細に記載された加盟店名を控え、早めにカード会社へ連絡することが重要です。

詳しくは詐欺サイトでクレジットカードが被害に遭った場合の返金請求をご覧ください。

電子マネー・プリペイドカード|番号が残っていれば止められることがある

コンビニでプリペイドカードを購入し、番号を伝えるよう指示された場合は、カード裏面の番号と購入時のレシートを保管したうえで、発行会社へ速やかに連絡してください。

未使用の残高が残っていれば、利用停止の措置が取られることがあります。

プリペイドカード詐欺の返金もあわせてご確認ください。

暗号資産|送金先アドレスと取引所を早期に特定する

暗号資産での送金は、取引履歴自体は公開台帳に残るものの、送金先の本人特定が難しく、回収のハードルは高くなります。

それでも、国内取引所を経由している場合は取引所への申告により凍結される可能性があります。

送金先アドレス・トランザクションID・取引所名を保存しておいてください。仮想通貨詐欺被害の被害回復で詳しく解説しています。

被害に気づいた直後にやるべきこと・やってはいけないこと

事務局さん
怒りのあまり、業者とのLINEを全部消してしまう方もいそうです…。
佐久間先生
それが一番避けたい行動です。やり取りの記録は、うその説明があったことを示す最有力の証拠になります。見たくなくても、消さずに残してください。

やるべきこと1|LINE・メール・広告を削除せず保存する

「絶対に当たる」「JRA公認」といった文言が残っているやり取りは、消費者契約法の不実告知・断定的判断の提供を示す直接の証拠になります。

LINEはトーク履歴をテキストとして保存し、あわせてスクリーンショットも撮っておいてください。

アカウントをブロックすると履歴が見られなくなる場合があるため、保存を終えるまではブロックを急がないことをおすすめします。

きっかけとなった広告やLPも、URLとスクリーンショットを残しておきます。

サイトは短期間で閉鎖されることが多いためです。

やるべきこと2|振込明細と特定商取引法に基づく表記を保存する

支払いの事実を示す資料として、次のものを揃えておいてください。

  • 振込明細・通帳の記帳・ネットバンキングの取引履歴(振込先の口座名義がわかるもの)
  • クレジットカードの利用明細(加盟店名がわかるもの)
  • 契約時の申込画面・会員ページ・料金プランの表示
  • サイトの「特定商取引法に基づく表記」ページ(事業者名・所在地・電話番号・責任者名)

特に特定商取引法に基づく表記は、請求先の相手方を特定するための出発点になります。

閉鎖前に必ず保存してください。

やってはいけないこと1|「取り戻すために追加入金」に応じる

「損失を取り返すための特別レースがある」「返金には保証金が必要」といった追加の要求は、被害を拡大させるだけの可能性が高いものです。

JRAの公表事例でも、外れるたびに金額が上がっていき、最終的に100万円以上を支払うことになったケースが紹介されています。

追加の支払いを求められた時点で、いったん支払いを止めてください。

支払いのために借入れを勧められている場合は特に注意が必要です。

消費者金融から借入れさせる手口で解説しているパターンに該当します。

やってはいけないこと2|「被害金を取り返す」と近づく業者に依頼する

被害後、SNSやメールで「あなたの被害金を取り戻します」と連絡してくる相手には注意してください。

着手金や調査費を支払わせたまま連絡が取れなくなる、いわゆる二次被害のケースが報告されています。

被害者情報が名簿として出回り、繰り返し狙われることもあります。

返金交渉を依頼する場合は、弁護士登録の有無を日本弁護士連合会のサイトなどで確認するようにしてください。

競馬詐欺の時効|いつまでに動けばよいか

「もう何年も前のことだから」とあきらめる前に、期間を確認してください。

手段によって期間の区切り方が異なります。

手段 期間 根拠
不法行為にもとづく損害賠償請求 損害および加害者を知った時から3年/不法行為の時から20年 民法724条
消費者契約法にもとづく取消し 追認できる時から1年/契約締結時から5年 消費者契約法7条1項
詐欺罪の公訴時効(刑事) 7年 刑事訴訟法250条2項4号

注意したいのは、消費者契約法の取消権が「追認できる時から1年」と短いことです。

だまされたと気づいてから1年が経過すると、この手段は使えなくなります。

一方、不法行為にもとづく損害賠償請求は「知った時から3年」であり、より長く残ります。

どの構成を選ぶかによって、間に合うかどうかが変わるということです。

佐久間先生
「1年過ぎたからもうダメだ」と自己判断してしまうのは、非常にもったいないことです。使える構成が本当に残っていないかは、専門家に確認してから判断してください。

時効の考え方は詐欺の時効はいつまで?知っておきたい4種類(民事・刑事)で詳しく整理しています。

「相談しづらい」と感じる2つの理由と弁護士からの回答

競馬詐欺の被害を相談しづらいと感じる理由

競馬詐欺の被害が表に出にくいのは、被害者が「相談しづらい」と感じてしまうためです。

ここでは代表的な2つの理由に、正面からお答えします。

「ノミ行為に加担したのでは」と不安な方へ

前述のとおり、予想情報を購入し、馬券は自分で正規のルートから購入していたのであれば、競馬法違反にはあたりません。

不安を理由に相談をあきらめる必要はありません。

仮に、業者に資金を預けて代わりに購入してもらう形態だった場合でも、まずはご自身の状況を正確に整理することが先決です。

事実関係を伏せたまま放置すると、返金の可能性だけが失われていきます。

「家族に競馬がバレる」のが怖い方へ

弁護士には法律上の守秘義務があります(弁護士法23条)。

ご相談の内容を、ご本人の同意なくご家族を含む第三者に伝えることはありません。

また、連絡方法・連絡時間帯・郵便物の送付の有無についても、ご希望に応じた配慮が可能です。

ご相談の際にお申し付けください。

佐久間先生
だまされた方に落ち度があるわけではありません。後ろめたさを理由に泣き寝入りしてしまうことこそ、業者の狙いどおりです。

競馬詐欺の相談先3つ

競馬詐欺に遭った際の相談先

相談先の選び方全般は詐欺に遭ったらどこに相談する?で整理しています。

ここでは競馬詐欺のケースに絞って説明します。

消費者ホットライン188(消費生活センター)

局番なしの「188」に電話すると、最寄りの消費生活センター等につながります。

消費生活相談員が、事業者との交渉の進め方や必要な手続きについて助言してくれます。

クーリング・オフの通知方法など、自分で対応できる範囲の整理には有効です。

ただし、相談窓口が代理人として交渉や訴訟を行うわけではない点は理解しておく必要があります。

詳しくは消費者センターに相談するとどうなる?をご覧ください。

警察(#9110・被害届)

刑事事件としての対応を求める場合は、警察に相談します。緊急性がない相談は、警察相談専用電話「#9110」も利用できます。

ただし、警察が動くのは犯罪の嫌疑が認められる場合であり、民事上の返金交渉を代行してくれるわけではありません。

証拠を整理したうえで相談すると、受理につながりやすくなります。

被害届の出し方は詐欺の被害届の出し方で解説しています。

弁護士

返金そのものを目的とするなら、弁護士への相談が中心的な選択肢になります。

弁護士であれば次のような対応が可能です。

  • どの法的構成(取消し・損害賠償・クーリング・オフ)が使えるかの検討
  • 業者に対する内容証明郵便の送付と返金交渉の代理
  • 弁護士会照会等による相手方の特定
  • 金融機関・カード会社への対応、訴訟提起

費用が心配な場合は、詐欺返金の弁護士費用相場で費用倒れを避ける考え方を確認できます。

競馬詐欺によくある質問

最後に、競馬詐欺についてよくいただく質問に回答します。

Q1. 数万円の少額でも返金請求はできますか?

金額の大小にかかわらず、法的な請求自体は可能です。ただし、回収見込み額と費用のバランスは検討が必要になります。

同じ業者に対して複数の被害者がいる場合、まとめて対応することで進めやすくなることもあります。

少額詐欺で泣き寝入りする前にもご参照ください。

Q2. 業者と連絡が取れなくなっても取り戻せますか?

連絡が取れない場合でも、振込先の口座情報やサイトの登録情報から相手方を特定できる場合があります。

また、口座に残高が残っていれば振り込め詐欺救済法による手続きが使える可能性もあります。

連絡が途絶えた時点であきらめず、早めにご相談ください。

Q3. 予想情報を買っただけで、自分が罪に問われることはありますか?

予想情報を購入し、馬券は正規のルートで自分が購入していたのであれば、競馬法違反にはあたりません。

競馬法が罰則を定めているのは、正規の発売元を通さない賭け(ノミ行為)や、馬券の購入代行などです。

情報を買うこと自体を処罰する規定はありません。

まとめ|競馬詐欺は後ろめたさを感じず、証拠を持って早めにご相談ください

競馬詐欺は、JRAが7つの被害ケースを公表し、消費者庁・公正取引委員会が実在しない認定団体について注意喚起を行うほど、社会的に認識された問題です。

用意周到な業者を相手に、個人が見抜けなかったこと自体を責める理由はありません。

支払ってしまったお金についても、消費者契約法4条による取消し、民法96条の詐欺取消し、民法709条の損害賠償請求、電話勧誘販売であればクーリング・オフと、複数の道が用意されています。

一方で、振込先口座の残高も、消費者契約法の取消権も、時間とともに失われていきます。

やり取りの記録と振込明細を保存したうえで、できるだけ早く動くことが結果を左右します。

大地総合法律事務所では、詐欺被害の返金に関するご相談を承っています。

ご家族に知られたくないといったご事情にも配慮のうえ対応いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

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