弁護士法人大地総合法律事務所、代表弁護士の佐久間です。
多重債務とは、複数の会社からの借入があり、返済が苦しくなっている状態を指す言葉です。
「自分は多重債務者なのだろうか」と不安になって検索された方も多いのではないでしょうか。
まずお伝えしたいのは、この言葉に法律上の厳密な定義はなく、件数だけであなたの状況が決めつけられるものではないということです。
そして、返済が苦しい状態に対しては、法律が解決のための複数の選択肢を用意しています。
本記事では、多重債務の意味と目安、注意したい状態のチェックポイント、そして今すぐできる相談先まで、順を追ってわかりやすく解説していきます。
\毎月の返済が苦しい.../
多重債務とは|法律上の明確な定義はない
「多重債務」という言葉に、法律上の明確な定義はありません。
一般的には、複数の消費者金融やクレジットカード会社などから借入があり、返済が難しくなっている状態を指して使われる言葉です。
つまり「何件借りたら多重債務」という線引きが法律で決まっているわけではなく、あくまで状態を表す言葉にすぎません。
何社からが多重債務の目安?
目安としては、2〜3社以上からの借入があり返済が苦しくなっている状態を指すことが多いです。
ただ、これはあくまで一般的な目安にすぎません。
実際、国民生活センターでは、借入の件数や金額にかかわらず「返済が困難」という相談を多重債務相談として受け付けています。
つまり公的な相談窓口ですら、件数で線引きをしていないのです。
「自分は2社だからまだ大丈夫」「4社だからもう手遅れ」という考え方は、どちらも正確ではありません。
件数より「返済が苦しいかどうか」が本質
借入が1社でも、返済が苦しければ相談していただく意味は十分にあります。
逆に、複数社から借りていても収入の範囲で無理なく返せているなら、直ちに深刻というわけではありません。
大切なのは件数ではなく、毎月の返済があなたの生活を圧迫していないかどうかです。
こんな債務の返し方をしていたら要注意
返済のために新たに借りる、いわゆる「自転車操業」の状態になっていたら、注意が必要なサインです。
ご自身では「なんとか回っている」と感じていても、実際には借金の総額が少しずつ増えていることが多いからです。
ここでは、立ち止まって状況を確認していただきたいポイントを整理します。
返済のために新たな借入をしている(自転車操業)
今月の返済のために別の会社から借りる状態は、状況が進行している代表的なサインです。
一時的には返済が間に合うため問題が見えにくいのですが、借りたお金にも利息がつくので、総額は静かに膨らんでいきます。
債務の借入先・残高を正確に把握できていない
どこからいくら借りているかをすぐに答えられない状態も、注意したいサインの1つです。
借入先が増えると、それぞれの返済日・金額・金利の管理が難しくなり、全体像が見えなくなっていきます。
全体像が見えないと「あとどれくらい頑張れば終わるのか」もわからず、不安だけが大きくなってしまうでしょう。
まずは手元の明細やアプリで、借入先・残高・毎月の返済額を一覧にしてみてください。
借入先や残高を一覧にする際は、信用情報の開示請求を使うと契約中の全社を漏れなく確認できます。
【関連記事】自分がブラックリストか調べる方法は?信用情報機関への開示請求の手順や確認項目を解説
多重債務をそのままにするとどうなるか
返済を先延ばしにするほど利息が膨らみ、選べる解決方法の幅が狭くなっていきます。
延滞が続けば、余分な利息(遅延損害金)がついたり、まとめて返済を求められたり、最終的には給与の差押えに進んだりする可能性もあります。
しかし、早い段階で動ければ、選べる方法は複数残されています。
督促を放置した場合に、どの段階で給与の差押えまで進むのかは以下の記事で解説しています。
【関連記事】会社に給料差し押さえ通知が届いた!クビのリスクや差し押さえの流れ・止める方法
総量規制で借りられなくなった後の危険な選択
新たな借入が難しくなったとき、いわゆる闇金など違法な貸付に頼ってしまうケースには特に注意してください。
貸金業法の総量規制により、消費者金融などからの借入は原則として年収の3分の1までに制限されています。
ただし、銀行カードローンやクレジットカードのショッピング枠(リボ払いなど)は総量規制の対象外です。
そのため、総量規制の枠を超えて銀行等から借り重ねてしまい、気づいた時には自力返済が不可能な状態に陥っているケースも少なくありません。
そうしてどこの正規の業者からも借りられなくなった方に、「ブラックOK」「審査なし」といった言葉で違法業者が近づいてくることがあるのです。
違法な貸付は法外な利息と厳しい取り立てを伴い、状況を一気に悪化させます。
どこからも借りられなくなったのは「あなたがダメだから」ではなく、これ以上の借入からあなたを守るための危険信号です。
その段階で必要なのは新しい借入先ではなく、返済計画の見直し(債務整理)だとお考えください。
また、最近では闇金と名乗らず、SNS上の「個人間融資」や、「先払い買取」「後払いアプリの現金化」といった形で近づいてくる違法業者が増えています。
これらも実質的には違法な高利貸しであり、個人情報の悪用や過剰な取り立てに発展するため、絶対に使ってはいけません。
さらに、融資を装ってお金を騙し取る詐欺の被害や、犯罪トラブルに巻き込まれる危険性も高いため注意が必要です。
違法業者の手口や、実際にどのような取り立てが行われるのかは以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】闇金(ヤミ金)とは?強烈な6つの取り立てと対処法・見分け方を解説
多重債務に陥りやすい原因

多重債務のきっかけは、収入の減少や急な出費など、誰にでも起こりうるものです。
「意志が弱いから」「浪費したから」と自分を責めている方が本当に多いのですが、実際のご相談では、転職や病気による収入減、家族の医療費、物価上昇による生活費の補填といった、避けようのない事情が発端になっているケースが目立ちます。
多重債務から抜け出す方法

多重債務の解決方法には、主に次の3つの債務整理があり、状況に応じて選ぶことができます。
どの手続きが向いているかは、借金の総額や収入、財産の状況によって一人ひとり異なります。
- 任意整理:貸金業者と交渉し、将来の利息をカットして無理のない分割返済を目指す手続き
- 個人再生:裁判所の手続きで借金を大幅に減額し、財産を残しながら再スタートを目指す手続き
- 自己破産:裁判所の手続きを経て、原則として借金の返済義務そのものをなくす手続き
それぞれの手続きの内容や選び方については、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
【関連記事】任意整理とは?費用・デメリット・手続きの流れまでわかりやすく解説
【関連記事】個人再生とは?制度の特徴や利用時の注意点を解説
【関連記事】自己破産とは?借金から解放?仕組みやデメリット・手続き方法を解説
おまとめローンの仕組みと、一本化が向かないケースは以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】借金を一本化(おまとめローン)するメリット・デメリットとは?手続きや審査・注意点を解説
多重債務の相談窓口の選び方

多重債務の相談先には公的な窓口もありますが、具体的な手続きまで見据えるなら、弁護士への相談が近道です。
どこに相談しても「責められる」ことはありませんので、ご自身が話しやすいところから一歩を踏み出していただければと思います。
ここでは代表的な窓口の役割の違いを整理します。
国民生活センター・法テラス
国民生活センター(消費生活センター)や法テラスでは、無料で借金問題の相談を受け付け、適切な相談先を案内してもらえます。
国民生活センターは借金問題の入口として広く相談を受け付けており、法テラスは収入等の条件を満たす方に無料法律相談や弁護士費用の立替制度を案内しています。
「いきなり弁護士はハードルが高い」と感じる方の最初の窓口として心強い存在でしょう。
弁護士への相談
弁護士に相談すると、あなたの状況でどの解決方法が向いているのか、その場合に生活がどう変わるのかを具体的に確認できます。
さらに、弁護士が受任通知を送ると、貸金業法上、貸金業者からの直接の督促は禁止されます。
返済と督促に追われる状態から一度離れて、落ち着いて生活を立て直す時間を作れるのは大きな意味があるでしょう。
受任通知を送ったあと、督促の停止から解決までに何が起きるのかは以下の記事で時系列に沿って解説しています。
【関連記事】受任通知(介入通知)とは?届いた後に起きることを時系列で解説
多重債務とはに関するよくある質問

同じ不安を抱えている方は多いので、特によくいただくご質問を3つ選んでお答えします。
ぜひ参考にしてください。
Q1. 多重債務は何社から数えますか?
法律上の明確な基準はありませんが、2〜3社以上からの借入で返済が苦しくなっている状態を指すことが多いです。
ただし件数はあくまで目安であり、1社でも返済が苦しければ相談の対象になります。
件数を数えて悩むより、毎月の返済が生活を圧迫していないかで判断してください。
Q2. 多重債務になると信用情報に記録されますか?
「多重債務者」という直接的な名前で登録されるわけではありません。
ただし、信用情報機関にはどこから・いくら借りていて、何社と契約しているかという事実が正確に登録されており、延滞があればその事実も記録されます。
延滞が続く前に対処するほうが、生活再建の選択肢が広がります。
また、延滞していなくても借入件数や残高が多いというだけで、住宅ローン等の審査に通りにくくなるのが実情です。
Q3. 家族に知られずに相談できますか?
弁護士には守秘義務があり、ご本人の同意なくご家族に知らせることはありません。
弊所でも、連絡方法や書類の送付先などはご希望に合わせて配慮しています。
手続きの種類によってはご家族の協力が望ましい場合もありますが、その点も含めて相談の中でご説明しますので、まずは安心してお問い合わせください。
多重債務にとらわれずまず今の状況を整理しましょう
多重債務かどうかの線引きに、法律上の決まりはありません。
大切なのは「何社か」ではなく、今の返済があなたの生活を苦しめていないかどうかです。
返済のために借りる状態になっていたら、それは責められるべき失敗ではなく、仕組みを変えるタイミングのサインだと受け止めてください。
任意整理・個人再生・自己破産という法律の仕組みは、返済に苦しむ方の生活を立て直すために用意されています。
弊所では、状況の整理から手続きの選び方まで、あなたのペースに合わせてご案内しますので、お気軽にご相談ください。
\毎月の返済が苦しい.../