交通事故の“加害者が自動車保険に加入していなかった”らどうなるの!?
2021.02.20 | 大地総合法律事務所
どうも、交通事故に強い弁護士 佐久間大地です!!
もし、あなたが交通事故の被害に遭った際に、加害者が自動車保険に加入していなかった場合に、どうなるのか、疑問に思いますよね!?
一般的に、用語として、用いられる、自動車保険とは、各保険会社で取り扱っている、任意保険のことをいいます。任意保険とは、文字のごとく、加入が任意、自己の判断に委ねられる保険です。一方で、知っている方も多いかと思いますが、自賠責保険(共済)というものがあります。これは、強制保険と呼ばれる保険であり、自動車を運行するものは必ず、加入が義務付けられている保険から、“強制保険”と呼ばれています。
自賠責保険(共済)に未加入で運行すると、どうなるでしょうか、ご存じでしょうか。この場合、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。また、「自賠責保険(共済)の証明書を所持していなかっただけでも30万円以下の罰金」が科せられます。このような強制保険があるにもかかわらず、何故、任意保険に加入するのか、これは、端的に言いますと、強制保険である自賠責保険(共済)だけでは、一般的に被害者に対する賠償金の支払義務をカバーできないからです。
自賠責保険(共済)の支払限度額は、被害者1名につき、治療費、休業損害、傷害慰謝料等の傷害部分について、120万円、死亡について、3000万円、後遺障害について、4000万円まで、と決まっており、これらを上回る賠償金の負担は、加害者本人が負うことになります。これらの金額で、被害者への賠償金について、自賠責保険(共済)の支払限度額内で収まるか、と言いますと、答えは、私の経験上、答えは、NOです。
そのため、不運にも事故に遭ってしまった被害者のためにも、任意保険には加入しておくことを強く勧めます。
前置きが長くなってしまいましたが、事故の加害者が自動車保険に加入していなかった場合については、以下の事案に分けて、考えていきます。
① 加害者が任意保険には加入しておらず、自賠責保険(共済)には加入していたケース
まず、ご自身が、任意保険のうち、人身傷害保険等、人身傷害に対応する特約に加入している場合には、ご自身の保険会社に、当該事故に適用してもらえるように連絡を行ってみましょう。不幸にも事故に遭ってしまった被害者が、まず直面するのが、この治療費用という問題があり、当該保険でこれらを補填してくれます。一方で、被害者ご自身も自賠責保険(共済)のみの加入であった場合には、一旦、被害者の方で、治療費を含め、損害の立て替え払いを行い、加害者が加入している自賠責保険(共済)に対して、請求(求償)をすることになります。
② 加害者が任意保険にも自賠責保険(共済)にも加入していなかったケース
この場合には、政府が行っている、保障事業という制度を利用していくことになります。これは、被害者が受けた損害を国が加害者に代わって填補(立替)する制度となります。
基本的な大枠は、上記記載の自賠責保険(共済)に対する請求と変わらないのですが、利用できる要件が次の通り、限られています。
・請求できるのは、加害者とのみとなり、仮に加害者も怪我を負っていたとしても請求することは出来ません。国は、被害者に支払いをした後に、加害者に対し、立替ている被害者の損害を支払うように請求します。
・健康保険、事故が通勤途中等、労災事故に該当する場合等の労災保険等、他の社会保険による給付額(健康保険であれば、傷病手当金、労災保険における休業補償給付等)があれば、その金額は、控除して被害者に支払いを行います。
・事故後、警察に通報し、人身事故としての届け出がなされていること。
上記の通り、要件がありますが、轢き逃げに遭ったしまったケースでも利用できますので、積極的に活用していく制度といえます。これらの手続きは、損害保険会社が請求の窓口となり、損害料率算出機構というところで、被害者の自動車事故による、損害についての算定が行われます。
このように、事故に遭ってしまった際に、加害者が、自賠責保険(共済)にさえ加入していないケースについても、政府の保障事業を通じて、被害の回復を受けることは出来ます。
しかし、支払基準、限度額は、自賠責保険(共済)と同様であり、支払われる金額は、到底、納得できない金額であるケースがほとんどと言えます。さらに、その手続きも被害者自ら行わなければならず、事故後に心身ともに疲弊している、被害者の方が行うのは、とても大変なことであると言えます。
賠償金については、加害者本人に対し、本来受けるべき適正な賠償金の算定を行い、既に支払いを受けた賠償金を控除し、その差額を加害者本人に請求し、交渉を行い、支払の合意をした上で、公正証書を作成する等、我々弁護士において、被害者の適正な被害回復、負担軽減等、行うことが出来ます。 轢き逃げに遭ってしまった、加害者が保険に加入していなかった、等にて、お困りでしたら、是非一度、弊所にご相談ください。一緒に適正な被害回復を行うために、話しましょう!