
借金問題の解決策である個人再生は、残念なことに申立てが不認可となるケースがあります。
不認可になってしまうと個人再生の手続きは進められなくなるため、あらかじめ不認可要件や、万が一のときの対処法を知っておくべきです。
では、個人再生の不認可要件とはどのようなもので、不認可時の対処法にはどのような方法があるでしょうか。
本記事では、弁護士が個人再生の不認可について詳細を解説します。
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個人再生が不認可となる4つの理由

個人再生は裁判所に申立てを行う手続きですが、最終的な「認可」が下りなければ借金は減額されません。
民事再生法は、小規模個人再生および給与所得者等再生のいずれにおいても、以下の4つの事由のいずれかに該当する場合には裁判所が再生計画を不認可にしなければならないと定めています。
1. 再生手続き又は再生計画に重大な法律違反がある
手続きの過程や、提出した再生計画案そのものが法律に違反しているケースです。
「必要書類にミスがあった」などの不備だけでなく、意図的に特定の財産を隠したり、一部の債権者をリストから除外したりする行為は「重大な法律違反」とみなされます。
軽微なミスであれば補正(修正)が可能ですが、悪質な隠蔽などが発覚し、もはや修正が不可能な状態であれば、その時点で手続きは打ち切られます。
2. 再生計画遂行の見込みがない
個人再生は、減額された借金を原則3年間(最長5年間)で完済する手続きです。
そのため返済能力が裁判所で厳しく審査されます。
例えば返済額が大きすぎる場合や、ギャンブル癖が継続している疑いがある場合は「遂行の見込み(履行可能性)がない」と判断されるため注意が必要です。
また、「履行テスト(実際の返済額を数ヶ月積み立てる試験)」で一度でも遅延があると、この項目に抵触するリスクが非常に高くなります。
3. 再生計画の決議が不正によって成立した
主に小規模個人再生において、債権者による書面決議が行われる際のルール違反を指します。
反対しそうな債権者に対して、賛成票を投じるよう裏で金銭を渡して買収したり、虚偽の情報を伝えて強引に同意を取り付けたりする行為がこれにあたります。
民主的で公平な決議を妨げる不正があった場合、たとえ形式上で同意が得られていても、裁判所は認可しません。
4. 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反する
再生計画による返済額が、自己破産時に予想される債権者への配当見込みよりも低いことが予想される場合、再生計画そのものが認められません。
自己破産で債務者が持つ資産を配当してもらったほうが、債権者にとって有利になるためです。
個人再生には「清算価値保障原則」という考え方があるため、本当に個人再生が債権者にとって不利にならないか厳密に審査されています。
小規模個人再生が不認可となるケース

個人再生の方法の1つである「小規模個人再生」には3つの注意点があります。
小規模個人再生は「債権者の意向」と「財産の評価」についてルールがあるためです。
まず1つ目は、作成した再生計画案に対しての債権者の意向です。
具体的には、以下のいずれかに該当すると再生計画が否決されるため注意しましょう。
- 債権者数の半数以上が反対した場合
- 反対した債権者の債権額の合計が、総債権額の2分の1を超えた場合
たとえ他の条件をすべて満たしていても、大口の債権者(債権額の半分以上を持つ1社など)が反対すれば、その時点で不認可となります。
2つ目に清算価値保障原則を満たさないケースです。
個人再生では、債権者の利益を守るため「持っている財産をすべて処分して配当に回した場合の金額(清算価値)」を下回る返済額は認められません。
生命保険や車両などの財産がある場合、それらの価値を合算した「清算価値」が最低弁済額を上回ることがあります。
この清算価値を反映させずに、低い弁済額を提示した計画案は認められません。
3つ目に偏頗弁済・財産隠しがあるケースです。
特定の債権者(例・親族や友人など)にだけ優先的に返済する行為がある場合、その返済額を「財産」とみなして弁済額を上乗せするよう指導されます。
これに応じられなければ不認可となるため注意が必要です。
また、返済額を抑制するために財産を隠して申告した場合、裁判所に対する不誠実な行為として手続きそのものが廃止されるおそれがあります。
給与所得者等再生が不認可となるケース

小規模個人再生にはない「債権者の同意が不要」という強みを持つ給与所得者等再生ですが、返済額の基準や収入の安定性に対して厳しい条件が課せられています。
不認可となる1つ目は、可処分所得の2年分以上の弁済が困難なケースです。
給与所得者等再生では弁済額の決定に「可処分所得(手取り収入から最低限の生活費を差し引いた残り)」の2年分以上という基準が加わります。
そのため、小規模個人再生よりも弁済額が高くなることが一般的です。
可処分所得が大きく「これでは返済計画を完遂できない(履行可能性がない)」と判断されると不認可になります。
2つ目は、小規模個人再生からの切り替え時の注意点です。
小規模個人再生で債権者の反対が予想される際には、給与所得者等再生へ切り替えることが可能ですが、以下の点に注意しましょう。
- 給与所得者等再生は、年収の変動幅が2割以内であるなど安定した収入が求められます。歩合制が強い職種や自営業者は、この要件を満たせず不認可になるおそれがあります。
- 過去に自己破産で免責を受けていたり、給与所得者等再生をしたりしてから7年が経過していない場合は、この手続きを利用できません。

小規模個人再生が不認可でも個人再生は可能
利用者が多い小規模個人再生が不認可となった場合、借金問題を解決できなくなるのではないか、と不安になる人も多いでしょう。
結論から言うと、小規模個人再生の不認可の可能性がある、あるいは一度不認可になってしまったからといって絶望する必要はありません。
現在の生活状況に応じて「手続きの切り替え」や「再度の申立て」を行うことで、個人再生による解決を目指すことは十分に可能です。
本章では、不認可を乗り越えるための具体的な方法と、不認可を未然に防ぐための回避策について解説します。
給与所得者等再生へ手続きを変える
小規模個人再生で債権者の反対にあったり、要件を満たせなかったりした場合でも別のルートで成功させる道は残されています。
小規模個人再生において、債権額の半分以上を持つ大口債権者が反対しているために否決(不認可)された場合、最も有力な解決策は「給与所得者等再生」への切り替えです。
給与所得者等再生は、債権者による決議の手続き自体がありません。
そのため、どれほど債権者が反対していても、法律上の要件を満たしていれば、裁判所は認可を出すことが可能です。
返済総額が増える可能性はありますが、「何としても個人再生で住宅を残したい」という場合には極めて有効な選択肢です。
再度準備し小規模個人再生を申立てる
書類の不備や家計管理不足、あるいは「履行テスト(積立)」の失敗が原因で不認可になった場合は、原因を解決したうえで再度申し立てることが可能です。
収入を増やしたり浪費を改めて家計を黒字化させるなどの準備を行い、数ヶ月間の安定した家計簿を提示できるようになってから再挑戦すれば、裁判所の判断も変わる可能性があります。
個人再生の不認可を回避する方法はある?

個人再生は自己破産とは異なり、住宅ローン特則があるため住まいを守ることが可能です。
そのため、返済をしてでも自己破産を回避し、個人再生を行いたいという方は少なくありません。
では、個人再生で不認可を回避するための方法はあるのでしょうか。
「せっかく申し立てたのに不認可になる」という事態は、準備段階での戦略によって回避できる可能性が十分にあります。
本章では回避のポイントをわかりやすく解説します。
債権者の不同意意見への対策を行う
小規模個人再生では、債権者による否決(不同意)のリスクを事前に予測することが大切です。
具体的には、債権者一覧の中に「一律に反対する方針」を持つ特定の業者や、債権額の半分以上を占める「大口債権者」がいないか精査します。
申立てる前の段階で、反対される可能性が高いと判断した場合は、最初から債権者の同意が不要な「給与所得者等再生」を選択することも考えられるでしょう。
安定した収入を確保し再生計画の対策を行う
個人再生では「最後まで完済できる」と見込まれなければ裁判所が認可をしません。
裁判所や再生委員に返済能力を疑われるなどの不信感を持たせないことが、認可を得るための絶対条件です。
そのためには、単に一定の収入があることを示すだけではなく、家計の支出を徹底的に見直し、返済のための資金が毎月確実に捻出されていることを、家計収支表で証明しなければなりません。
さらに、一部の裁判所で行われている「履行テスト(積立金)」の成否も重要です。
これは、将来の返済予定額を裁判所の指定口座などに毎月積み立てるもので、「返済のシミュレーション」です。
弁護士に依頼し適切に個人再生手続きを進める
個人再生は法律で定められた書類の提出期限などをクリアしながら進めていく必要があり、事務処理能力が求められる手続きです。
複雑な書類の収集や作成、法律に基づいた適正な財産評価や返済計画、そして裁判官や再生委員との高度なやり取りを、個人で行うには限界があります。
個人再生に精通した弁護士であれば、依頼者の代理人としてこうした細やかなやり取りも一任できるほか、依頼者に適した再生計画案も作成可能です。
個人再生が不認可になったら?知っておきたい対処法

万が一、不認可の決定が出てしまい、個人再生ができなかったとしても、生活再建の道が閉ざされたわけではありません。
そこで、本章では不認可決定後の対処法を解説します。
別の債務整理手続きを検討する
個人再生が認められなかったら、早急に他の債務整理を検討しましょう。
- 自己破産
返済できるだけの収入がないなどの理由で、再生計画の遂行が困難な場合の有力な選択肢です。財産を処分する必要はありますが、借金そのものが免責されるため、個人再生のように数年間にわたって返済が続くこともありません。 - 任意整理
債権者の反対で個人再生が失敗したものの、返済能力自体はある程度ある場合、特定の業者と個別に交渉して利息をカットし、返済期間を延ばす方法も考えられます。
任意整理の最大のメリットは、「住宅ローンを除外して手続きできる」点です。住宅ローンを対象に含めると家を手放すことになるため、ローン以外の高利な借金だけを整理することで、家を守りながら家計を立て直せる可能性が高まります。
認可決定後に取消を受けた場合の対処法
再生計画が認可された後でも、財産隠しが発覚したり返済を怠ったりすると「認可の取消」を申し立てられることがあります。
取消が確定すると借金は元の金額に戻ってしまい、債権者から一括返済を求められます。この場合、速やかに自己破産などの手続きを検討し直さなければなりません。
認可決定後に返済できなくなった場合の対処法
返済開始後に病気や失業などの「やむを得ない事情」で支払いが困難になった場合、以下2つの救済措置が可能です。
- 再生計画案の変更
返済期間を最長2年延長してもらうことが可能です。
- ハードシップ免責
すでに返済額の4分の3以上を支払っており、かつやむを得ない事情で返済不能になった場合は残りの借金を免除してもらえる極めて例外的な制度です。
いずれの方法も難易度が高い手続きとなるため、弁護士に再び相談しながら進めることになります。
個人再生を安全に進めるための3つのヒント

個人再生を成功させ、二度と借金に悩まないためには、個人再生を安全に進めるためのポイントを知っておくことがおすすめです。
そこで、本章では個人再生の進め方に役立つヒントを3つに分けて解説します。
1.債務整理の方法を慎重に検討する
「住宅を守りたいから個人再生」という結論を急ぐ前に、自分の家計状況で本当に数年間の返済に耐えられるのかを冷静に判断することが大切です。
家族の協力を得られるなら、任意整理で解決できる可能性もあります。また、返済が難しい場合は自己破産を決断することも可能です。
ご自身やご家族にとって、最も現実的な方法はどれかを弁護士とともに慎重に検討することが重要です。
2.家計管理を行い収入をしっかり確保する
個人再生は「認可されたら終わり」ではなく、むしろ返済が開始されてからも重要です。
きちんと収入を得たうえで無駄な支出を削り、返済を終える必要があります。
申し立てる段階から返済を意識し、将来に備えて貯蓄する習慣を身につけなければ、認可後の返済期間中に再び破綻するリスクがあります。
家計管理をしっかりと行い、収入を確保していくことが重要です。
3.早期に弁護士へ相談する
「住宅の競売の通知が来てしまった」「給与の差し押さえの通知が来た」といった段階になってからでは、債務整理の中でも選べる選択肢が限られてしまいます。
個人再生の認可を目指すためには、準備期間も必要となるため少しでも早く弁護士へ相談することが大切です。
少しでも借金の返済が苦しいと感じたら、早めに弁護士に相談し、余裕を持って手続きに臨みましょう。
個人再生への疑問はお気軽に経験豊富な大地総合法律事務所へ!

借金問題は放置していると解決が遠のいてしまいます。
1人で悩みを抱えている方は、安全に借金問題を解決するためにも、まずは大地総合法律事務所へご連絡ください。
個人再生は時間を要する手続きのため、少しでも早くご相談いただくことが大切です。
ご家族や職場に知られたくないという方も、秘密厳守で対応いたしますのでご安心ください。
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