借金問題に苦しむ方にとって、住宅ローンの残債がある住まいを手放さずに大幅な債務の圧縮ができる個人再生は、検討すべき債務整理の方法です。
しかし、個人再生は裁判所を介する厳格な手続きであり、申立て時には費用もかかるため、誰もが必ず利用できるわけではありません。
要件を満たさなかったり、手続き中に不備があったりすると、再生計画が認められないケースもあります。
そこで本記事では、個人再生ができない具体的なケースや失敗を防ぐためのポイント、万が一認められなかった際の対処法について、弁護士が解説します。
\毎月の返済が苦しい.../
個人再生ができない11のケースとは?

個人再生の手続きを検討する際、知っておきたいのは「法律が定める要件をクリアしているか」という点です。
個人再生には法律で定められた要件があり、満たしていない場合には利用できません。
そこで、本記事では個人再生ができない11のケースを解説します。
1.安定した収入が見込めない
個人再生は自己破産とは異なり、借金をゼロにするのではなく、減額された債務を原則として3年(最長5年)かけて分割返済していく手続きです。
そのため、申立人には再生計画認可後に返済できるだけの、継続的かつ安定した収入が欠かせません。
ただし、正社員である必要はなく、個人事業主やパート・アルバイトであっても個人再生は可能です。
毎月の返済原資を確実に確保できる見込みが必要となり、無職の方や収入が極端に不安定で返済計画の遂行が困難と判断される場合は、手続きの開始自体が認められません。
2.債務総額が5,000万円を超えている
個人再生を利用できる債務の金額には、上限が設けられています。
具体的には、住宅ローンの残債を除いた借金の総額が5,000万円以下でなければなりません。
借金の総額には、消費者金融からの借入やカードローンだけではなく、知人への借金なども含まれます。
借金総額が5,000万円を超えてしまっている場合は、個人再生は利用できません。
3.返済総額が最低弁済額100万円を下回る
個人再生には「最低弁済額」というルールがあります。
借金総額に応じて、最低限これだけは支払わなければならないという基準が法律で決まっており、借金が100万円から500万円以下の場合は、一律で100万円が最低弁済額となります。
したがって、もともとの借金総額が100万円に満たない場合、個人再生は利用できません。
このようなケースでは、個人再生ではなく任意整理などによって解決を目指します。
4.意図的に財産を隠していた
個人再生には、保有している財産の価値によって返済額が変動する「清算価値保障原則」というルールがあります。
これは財産が多ければ、返済額も多くなる仕組みです。
そのため、少しでも返済額を減らそうと現金や不動産、預貯金などを隠して申告した場合は不正行為とみなされます。
悪質な財産隠しが発覚すると、再生計画が不認可になるだけでなく、詐欺再生罪という刑事罰の対象になるおそれもあるため注意が必要です。
5.申立ての書類を用意できない
個人再生の申立てには、膨大な量の書類を裁判所に提出する必要があります。
主に以下の書類です。
- 住民票の写し
- 債権者一覧表
- 清算価値チェックシート
- 陳述書
- 収入や保有財産を証明するもの
- 給与証明書
- 源泉徴収票 など
源泉徴収票や給与明細など収入を証明するものから、通帳の写しなど財産の保有状況を証明するものまで、多岐にわたる資料を正確に揃えなければなりません。
これらの書類を申立前に準備できない、あるいは期限内に提出できないと裁判所は手続きを進められず、結果として棄却されてしまうことになります。
6.裁判所への予納金などを用意できない
手続きを進めるためには、裁判所に納める予納金などの費用が必要になります。
また、事案によっては裁判所が選任する「個人再生委員」へ、報酬を支払わなければならないケースもあります。(※)
これらの費用は原則として分割払いが認められないため、申立ての段階で用意しておく必要があります。
資金が準備できていない場合、手続きを開始することができません。
(※)東京地方裁判所では個人再生委員が全件で選任されています。
7.過半数の債権者が反対した
個人再生の中でも、一般的に利用される「小規模個人再生」の場合、再生計画案に対して債権者の消極的同意が必要となります。
- 債権者数の半分以上が反対した場合、あるいは、反対した債権者の債権額の合計が、全債権額の2分の1を超えた場合、その時点で再生計画は法律上否決されます。
たとえ反対する債権者がたった1社であったとしても、その1社が総債権額の半分以上を占めている場合は否決となるため注意が必要です。
8.再生計画を履行できなかった
無事に裁判所から再生計画が認可されたとしても、そこで終わりではありません。
決まったスケジュール通りに返済を継続できなければ、再生計画は取り消されてしまいます。
一度取り消されると、減額されていた借金は元の金額に戻り、一括返済を求められるおそれがあるため注意が必要です。
病気や失業などで支払いが困難になった場合は、速やかに再生計画の変更を行うなどの対策を講じる必要があります。
9.特定の債権者だけに返済する
複数の借入がある際に、特定の債権者にだけ返済することを「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼びます。
友人や親族にだけは迷惑をかけたくないという思いから、裁判所に内緒で一部の債権者にだけ返済を続ける行為は厳禁です。
すべての債権者を平等に扱う「債権者平等の原則」に反するため、偏頗弁済が発覚すると手続きが不認可になるおそれがあります。
10.再生計画中に新たに借入れした
個人再生の手続き中や返済期間中に、消費者金融などから新たな借入れを行うことも、個人再生ができなくなるおそれがあります。
新たな借入は返済能力の欠如とみなされ、再生計画の履行が不可能であると判断される要因となるためです。
11.財産が多すぎて弁済額が上がるケース
個人再生は借金を大きく減額できる手続きですが、前述の「清算価値保障原則」により、「自分の財産の総額」が「法律上の最低弁済額」を上回る場合、財産価値の合計額まで返済額が引き上げられます。
もしお持ちの財産が多い場合は借金の減額があまりできず、個人再生をするメリットが少ないおそれがあります。
個人再生を失敗させない!知っておきたい3つのポイント

個人再生を成功させて借金問題を解決するためには、単に手続きを進めるだけでなく、入念な準備が必要です。
そこで、本章では個人再生の失敗のリスクを最小限に抑えるための3つのポイントを解説します。
1.債務整理の方法を慎重に検討する
そもそも個人再生が自分にとって最適解なのか、専門家とともに冷静に見極める必要があります。
例として、住宅ローン特則を利用したい場合、自己破産には同条項はないため個人再生を目指すことになります。
しかし、住宅ローン特則を利用しないのであれば、自己破産によって借金を全額免除してもらうほうが、早期の再出発につながることもあります。
負債額が比較的少なく、将来利息さえカットできれば完済可能な家計状況であれば、裁判所を介さない任意整理のほうが、周囲に知られず迅速に解決できます。
2.しっかりと個人再生申立ての準備を行う
個人再生は、必要書類のチェックが厳格です。
裁判官や再生委員は、提出された書類の整合性を厳格に確認しており、特に家計収支表については、申立て前の数ヶ月間にわたって、詳細に記録する必要があります。
使途不明金が多かったり、浪費の疑いがあると、返済に対する誠実さや能力を疑われ個人再生が認められないおそれがあります。
家計を徹底的に「透明化」し、何にお金を使ったのか説明できる状態を作っておくことが、認可を得るために欠かせません。
3.返済できる再生計画を立てる
個人再生は、返済金額に基づいた「再生計画案」を提出する必要があります。
この際に無理をして返済額を多めに設定したり、生活費を極限まで切り詰めたりする計画は、認可後原則3年(最長5年)という長い返済期間の間に、破綻してしまう可能性を招きます。
急な病気や家族の進学など、人生で避けられない支出も織り込んだ上で、余裕を持って完遂できる計画を立てることが重要です。
一部の裁判所では、手続き中に「履行テスト」として、実際の返済予定額を数ヶ月間積み立てる試験が行われます。
この期間中に遅滞なく積み立てができることを証明することが重要です。
個人再生ができなかったらどうする?借金問題の対処法とは

もし審査が通らなかったり、一部の債権者から反対されたりして個人再生ができない場合、借金問題はどのように解決すればよいでしょうか。
結論から言うと、借金問題の解決には複数の方法があるため、決して絶望する必要はありません。
状況に応じて別のプランに切り替えることで、解決の糸口は必ず見つかります。
本章では個人再生ができなかった場合の対処法をわかりやすく解説します。
任意整理に切り替える
個人再生の法的要件を満たせなかった場合でも、債権者との直接交渉である任意整理であれば、和解の余地があるかもしれません。
利息のカットや支払期間の延長を個別に交渉し、返済可能な形に整え直します。
任意整理は整理する対象を選べるため、住宅ローンを除外して他の借金だけを減額すれば、家を残しながら完済を目指すことが可能です。
ただし、対象にした債務でも元金の減額ができないため、個人再生よりは返済額が多くなります。
自己破産に切り替える
再生計画に耐えられるだけの収入が不足していたり、多額の財産保有により、再生計画の履行が現実的でないと判断された場合には自己破産へ切り替えることも検討します。
自己破産では一定の財産を処分する必要はありますが、非免責債権を除くすべての借金がゼロになるため、経済的な立て直しは個人再生より早まるケースも少なくありません。
再生計画案を立て直す
書類の不備や一時的な家計管理の不足が原因で棄却されたのであれば、問題点を完全に改善した上で、再度申し立てを行うことも可能です。
無駄な支出を排除し、健全な家計を数ヶ月間維持して再挑戦することで、認可を得られるケースもあります。
小規模個人再生から給与所得者等再生に切り替える
小規模個人再生において、債権額の2分の1を超える大口債権者が反対したために否決された場合、もう1つの方法である「給与所得者等再生」へ切り替えることも検討できます。
給与所得者等再生は会社員などの安定した収入がある方を対象とした手続きで、債権者の同意が必要ありません。
可処分所得の計算ルールにより、小規模個人再生よりも返済総額が増えてしまったり、手続きも小規模個人再生より複雑ですが、着実に再生計画を進められます。
個人再生は弁護士に相談すべき3つの理由

個人再生は個人で行うことも可能ですが、複雑な書類作成や申立て、再生委員とのやり取りなど多大な労力を考えると、弁護士のサポートが不可欠です。
そこで、本章では個人再生について弁護士に相談すべき理由を3つに分けて解説します。
1.個人再生の要件をわかりやすく説明できる
個人再生には普段耳にしない法律用語が多く飛び交います。
「清算価値」「最低弁済額」「可処分所得」といった難解な法律用語が多いほか、再生計画を立てる際には複雑な計算式を理解しなければなりません。
弁護士は申立人の家計状況に当てはめて再生計画をシミュレーションし、わかりやすく説明するため不安なく手続きを進められます。
2.弁護士は申立ての代理人になれる
司法書士は書類作成の代行にとどまりますが、弁護士はあなたの「代理人」として、裁判所や債権者とのやり取りを引き受けられます。
個人再生委員との面談(面接)にも弁護士が同席できるため、法的な質問にもその場でフォローを受けられます。
自分だけで抱える不安や、実務的な負担を大幅に軽減できるのが大きなメリットです。
3.再生委員への対応や返済中の相談にも対応できる
手続きが始まると、第三者的な視点で調査を行う個人再生委員との面談が重要です。
弁護士は面談に同席し、不適切な指摘に対しては即座に反論を行い、適切なアドバイスをします。
また、手続き中だけでなく、認可後の返済期間中に生じたトラブル(例・返済計画の変更希望など)についても、継続して相談が可能です。
個人再生や借金のお悩みは大地総合法律事務所へ!

借金問題は1人で抱え込んで悩んでいる間にも、利息と遅延損害金によって事態が悪化し続けてしまいます。
「自分は個人再生ができるのか?」「財産を守りながら解決できるのか?」といった不安をお持ちの方は、まずは大地総合法律事務所へご相談ください。
弊所では、依頼者様の生活再建を第一に考えて全力でサポートしています。弁護士が介入することで、最短即日で厳しい取り立てや督促を止めることも可能です。
周囲に知られないよう秘密厳守で対応しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
\毎月の返済が苦しい.../