弁護士法人大地総合法律事務所、代表弁護士の佐久間です。
不倫が相手に知られ、「職場にバラす」「今すぐ金を払え」と脅されて、生きた心地がしない思いをされている方もいるでしょう。
ですが、たとえ不倫をしてしまったとしても、相手の脅しに黙って従う必要はありません。
不倫をしたことと、相手から脅されることは、まったく別の問題だからです。
脅迫や恐喝は、それ自体が犯罪にあたる可能性があり、あなたにも取れる手段があります。
実際、「慰謝料を払わないとバラす」と脅して金銭を支払わせる行為は恐喝罪に、職場や家族にバラす・SNSで拡散する行為は名誉毀損罪にあたる可能性があります。
本記事では、想定される脅し・嫌がらせのパターンから逆に慰謝料を請求できる可能性まで、客観的な法的事実を踏まえ、順を追って解説します。
1人で抱え込まず、まずは落ち着いて状況を整理していきましょう。
\不倫がバレてしまった.../
不倫相手の配偶者から想定される脅し・嫌がらせのパターン

不倫が相手の配偶者に知られたとき、慰謝料請求とあわせて、さまざまな脅しや嫌がらせを受けることがあります。
まずは、どのようなパターンがあるのかを知っておきましょう。
「次に何をされるのか」が見えるだけでも、恐怖は和らぎます。
「職場・家族にバラすぞ」と脅される
最も多いのが、「慰謝料を払わなければ職場にバラす」「家族に伝える」といった脅しです。
あなたが最も知られたくない場所を狙って、心理的に追い詰めてくるパターンです。
恐怖から「バラされるくらいなら言われた金額を払おう」と考えてしまいがちですが、ここで応じてしまうのは危険です。
「SNSで拡散する」と脅される
近年では、「実名と顔写真をSNSに晒す」「不倫の証拠をネットに上げる」といった脅しもあります。
拡散されれば取り返しがつかないという恐怖を利用した手口です。
実際に拡散されてしまうと回復は簡単ではありませんが、こうした行為は名誉毀損などにあたる可能性があり、脅した相手側が法的責任を問われる立場になります。
脅されている段階で慌てて応じるのではなく、証拠を残しておくことが大切です。
執拗な連絡・押しかけなどの嫌がらせ
金銭要求とは別に、一日に何十件もの電話やメッセージを送りつける、自宅や職場に押しかける、といった嫌がらせを受けるケースもあります。
そう思い込んでしまう方は多いのですが、その必要はありません。
不倫の責任と、平穏な生活を脅かされることは別の問題です。
執拗な連絡や押しかけは、嫌がらせの程度によっては違法と評価され、相手の行為をやめさせる手段もあります。
感情的な怒鳴り込み・直接接触
相手の配偶者が感情的になり、直接会いに来て怒鳴る、面会を強要する、といった直接接触のパターンもあります。
怒りが強いほど、何をされるか分からないという身の危険を感じやすい状況です。
このような場合は、自分1人で対応しようとせず、第三者を介することが重要です。
弁護士が間に入れば、相手との連絡や接触を弁護士経由に一本化でき、直接対峙する恐怖から解放されます。
身の危険を感じるほどの接触があるなら、警察への相談も選択肢になるでしょう。
不倫相手本人から脅迫・嫌がらせを受けるケースもある
脅迫してくるのは、相手の配偶者だけとは限りません。
不倫相手本人から脅されたり、嫌がらせを受けたりするケースもあります。
特に、関係を解消しようとしたタイミングで起こりやすいパターンです。
「別れるならバラす・金を払え」と脅される
不倫相手に別れを切り出したところ、「別れたいなら金を払え」「払わないなら奥さん(旦那)にバラす」と、金銭を迫られるケースです。
まず押さえておきたいのは、別れること自体に、お金を払う義務はないということです。
交際の解消は本来自由であり、それを金銭で買い取らなければならない理由はありません。
もし独身であると偽って関係を持っていた場合は、相手から貞操権侵害として正当な慰謝料を請求される可能性がありますが、相手があなたを既婚者だと知ったうえで交際していた場合、相手からあなたへ金銭を請求できる法的な根拠は、基本的にありません。
「別れ話のもつれ」を口実にした金銭要求の多くは、感情的な脅しであって、正当な請求ではないのです。
そうですね。
ですが、脅しに応じて支払ってしまうと、相手の要求がさらにエスカレートすることもあり、「払えば収まる」とは限りません。
別れを告げた後の執拗な連絡・ストーカー行為
別れを告げた後に、相手が納得せず、執拗な連絡を続けたり、待ち伏せ・つきまといといった行為に及んだりすることもあります。
こうした行為は、内容や程度によってはストーカー規制法の規制対象となる可能性があり、警察への相談が有効です。
恐怖を感じるほどの行為が続いているなら、我慢せず、証拠を残したうえで早めに専門機関へ相談してください。
脅し・嫌がらせ・高額請求は脅迫罪・恐喝罪に該当する可能性がある

ここまで見てきた脅しや嫌がらせは、たとえあなたに不倫の非があったとしても、相手側が罪に問われる可能性のある行為です。
脅しの内容によって、次のような犯罪にあたり得ます。
| 相手の行為 | 該当し得る犯罪 |
|---|---|
| 「危害を加える」「家族に何かする」など害を加えると告げて怖がらせる | 脅迫罪 |
| 「バラされたくなければ金を払え」と脅して金銭を支払わせる | 恐喝罪(支払い前でも恐喝未遂) |
| 「別れたいなら〜しろ」と義務のないことを無理やりさせる | 強要罪 |
| 職場・家族にバラす、SNSで実名や事実を拡散する | 名誉毀損罪 |
良い疑問です。
ここは多くの方が混乱されるところですが、あなたの不倫の責任と、相手の脅しの違法性は、まったく別々に判断されます。
あなたが不倫について慰謝料を支払う義務を負うことと、相手が脅迫・恐喝の責任を問われることは、両立するのです。
ただし、注意したい点もあります。
慰謝料を請求すること自体は、相手の正当な権利です。
相手が冷静に「慰謝料を支払ってほしい」と求めてくるのは、脅迫でも恐喝でもありません。
この線引きの判断は難しいため、自分のケースが該当するか迷うときは、やり取りの記録を残したうえで弁護士に確認するのが確実です。
脅迫されていても不倫慰謝料の支払い義務は原則発生する

相手の脅しが犯罪にあたり得るからといって、不倫の慰謝料を一切払わなくてよくなるわけではありません。
前述のとおり、脅迫の違法性と、不倫の慰謝料を支払う義務は、別々に判断されるからです。
はい、そこは切り分けて理解する必要があります。
相手の脅しが行き過ぎていれば、それは相手の責任問題になります。
一方で、あなたが不貞行為をしたこと自体に対する慰謝料の支払い義務は、それとは関係なく残ります。
脅された金額をそのまま払う必要はない
支払い義務が残るとしても、相手が脅して提示してきた金額が適正とは限りません。
むしろ、恐怖につけ込んで相場を大きく超える金額を要求してくるケースは少なくありません。
不倫慰謝料の相場は、相手夫婦が離婚しない場合で数十万〜100万円程度、離婚に至った場合でも100万〜300万円程度が一般的な目安です。
これを大きく超える請求であれば、相場との差額が交渉の余地になります。
慰謝料の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】不倫の慰謝料相場はいくら?請求された側が知るべき金額の目安と下げ方
脅しに動揺して即座に応じるのではなく、提示された金額が適正かを冷静に確認することが、過大な支払いを避ける第一歩です。
脅されてサインした示談書は取り消せる可能性がある
すでに脅されて示談書にサインしてしまった、その場で「払います」と約束してしまった、という方もいるかもしれません。
そうした場合でも、諦める必要はありません。
法律では、脅されて無理やりさせられた約束は、後から取り消せる可能性があると定められています(民法では「強迫による意思表示の取消し」といいます(※))。
いいえ、そうとは限りません。
ただし、裁判で自由な意思決定ができないほどの強迫があったと認めさせるハードルは非常に高く、単に強い口調で要求された程度では取り消しが認められないケースも多くあります。
後で取り消せばいいと考えて安易にサインすることは避け、その場での署名・捺印は拒否してください。
すでにサインしてしまった場合も、自己判断で諦めず、まずは弁護士に状況を確認してもらってください。
示談の進め方と注意点は、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】不倫の示談はどう進める?被請求者が知っておくべき交渉の流れと注意点
※刑法では「脅迫」、民法では「強迫」と表記します。
不倫が原因の脅迫への対処法

ここからは、実際に脅迫を受けたときに取るべき具体的な行動を解説します。
恐怖のなかでも、この順番で動けば、状況を立て直すことができます。
脅迫・嫌がらせの証拠を残す
何よりもまず、脅迫や嫌がらせの証拠を残してください。
証拠は、相手の行為の違法性を示すうえでも、脅されてした約束を取り消すうえでも、あなたを守る土台になります。
具体的には、次のようなものが証拠になります。
- 脅し文句が書かれたメール・LINE・SNSのメッセージ(スクリーンショットで保存)
- 電話の着信履歴、留守番電話の音声、通話の録音
- 押しかけられた日時の記録、防犯カメラやインターホンの映像
- 脅された日時・内容・状況を書き留めたメモ
注意点として、自分が不利になりそうなやり取りでも、削除しないでください。
相手の脅迫を示す証拠の中に、こちらに有利な事実が含まれていることもあります。
判断は後で弁護士に委ね、まずは消さずに残すことを徹底しましょう。
弁護士に依頼して脅迫・慰謝料請求に対応してもらう
証拠を確保したら、弁護士への依頼が最も有効な対処法になります。
脅迫と慰謝料請求の両方を、まとめて任せられるからです。
弁護士が代理人として間に入ると、相手には「今後の連絡はすべて弁護士へ」と伝わり、あなたへの直接の脅しや連絡を止められます。
さらに、慰謝料についても、脅された金額ではなく適正な金額での交渉を進められます。
弁護士に依頼するメリットや費用は、以下の記事で解説しています。
【関連記事】不倫慰謝料を請求された方へ|弁護士費用・減額事例・依頼の流れを解説
そうです。直接対峙する恐怖から解放されること自体が、依頼する大きな価値です。
脅迫という違法行為が絡んでいる以上、1人で抱え込まず、専門家に対応を一任するのが安全です。
エスカレートしたら警察に相談する
脅迫がエスカレートし、身の危険を感じる場合や、押しかけ・つきまといが続く場合は、警察への相談も選択肢になります。
脅迫罪・恐喝罪・ストーカー規制法違反などにあたる可能性があるためです。
相手にとっても、刑事罰の可能性を認識させることは強い抑止力になります。
身の危険が差し迫っているときは、迷わず110番してください。
脅迫・嫌がらせ行為には逆に慰謝料を請求できる可能性がある

ここまで「脅されている側」としての対処を解説してきましたが、視点を変えると、あなたのほうから相手に慰謝料を請求できる可能性もあります。
脅迫や嫌がらせによって精神的苦痛を受けたのであれば、それは相手の責任を問える問題だからです。
脅迫・嫌がらせを不法行為として慰謝料請求が認められる条件
度を越えた脅迫や嫌がらせは、法律上の「不法行為(他人に違法に損害を与える行為)」にあたり、慰謝料請求の対象になり得ます。
認められやすいのは、おおむね次のような場合です。
- 害を加えると告げて怖がらせるなど、脅迫の程度が悪質である
- 執拗な連絡やつきまといが繰り返され、平穏な生活が害された
- 職場や家族に言いふらす、SNSで拡散するなどして名誉が傷つけられた
- それによって、精神的苦痛(不眠・体調不良など)や実害が生じている
問題になるのは、手段が脅迫・恐喝・名誉毀損といった違法なレベルに達している場合です。
この線引きの判断には専門的な視点が必要になります。
意外に思われるかもしれませんが、相手の行為が違法な水準に達していれば、十分にあり得ます。
ただし、不倫の慰謝料を支払う義務がなくなるわけではないので、「相手への請求」と「自分の支払い」は別々に整理して考える必要があります。
脅迫・嫌がらせに対する逆慰謝料請求の進め方
実際に逆の慰謝料請求を進める場合でも、流れは通常の慰謝料請求と同じです。
まず脅迫・嫌がらせの証拠を整理し、相手に請求の意思を伝え、交渉でまとまらなければ法的手続きを検討する、という順序になります。
ここでも、先に集めておいた証拠が重要で、脅し文句のメッセージや録音、嫌がらせの記録が揃っているほど、請求は通りやすくなります。
慰謝料請求と並行する場合には、複雑な交渉は個人では難しいため、弁護士にご相談ください。
不倫の脅迫についてよくある質問
ここまで、脅迫のパターンや慰謝料の支払い義務との関係、具体的な対処法、逆に慰謝料を請求できる可能性まで解説してきました。
最後に、脅迫を受けている方からよくいただく質問にお答えします。
Q1. 職場に連絡すると言われたが本当にバラされるの?
実際にバラされるかどうかは相手次第で、確実なことは言えません。
ただ、脅し文句の多くは、あなたを動揺させて要求を通すための手段であり、実際に行動に移すとは限りません。
むしろ、相手が法的責任を負う立場になる可能性があるため、相手にとっても安易に実行できる行為ではありません。
家族に知られたくない場合の対策は、以下の記事で解説しています。
【関連記事】不倫の内容証明が届いたら家族にバレる?バレないための対策と解決法
Q2. 一度脅迫的な要求に応じてしまったらどうなる?
すでに脅されてお金を払ってしまった、示談書にサインしてしまったという場合でも、取り返しがつかないとは限りません。
脅されて自由な判断ができない状態でした約束は、後から取り消せる可能性があります。
また、相手の脅しが恐喝などにあたるのであれば、支払ったお金の返還を求められる余地もあります。
応じてしまったこと自体を責める必要はありません。
まずは当時のやり取りを整理し、弁護士に相談してください。
Q3. 脅迫と慰謝料請求が同時に来た場合どちらを優先すべき?
両者は切り分けつつ、まとめて弁護士に対応してもらうのが最善です。
優先順位を自分でつけて個別に動こうとすると、かえって混乱しやすいためです。
請求されたときのNG行動と正しい対処法は、以下の記事で解説しています。
【関連記事】不倫で慰謝料請求された|NG行動や正しい対処法・確認すべきことを解説
身の危険を感じる脅迫があるなら、その点だけは警察への相談を急ぐべきですが、それ以外は弁護士に一任して全体を整理してもらうのが、最も負担の少ない進め方です。
不倫して脅迫されている場合には大地総合法律事務所にご相談ください
不倫が知られて脅されていても、相手の脅しに黙って従う必要はありません。
脅迫や恐喝はそれ自体が犯罪にあたる可能性があり、たとえあなたに不倫の非があっても、その事実は変わらないからです。
大切なのは、相手の脅しの違法性と、不倫の慰謝料を支払う義務を、切り分けて考えることです。
大地総合法律事務所では、慰謝料を請求された側のご相談もあなたの味方となってお受けしています。
脅迫への対応と慰謝料の交渉もまとめてお引き受け可能です。
「自分が不倫したのだから」と1人で抱え込んでいる段階で構いませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。
なお、身の危険が差し迫っている場合は、迷わず警察(110番)に連絡しましょう。
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