「自己破産を考えているけれど、自分は管財事件になりそうだと言われて不安」
このように、財産があったり借金の理由に心当たりがあったりして、管財事件を覚悟している方は少なくありません。
管財事件は破産管財人がつくぶん、予納金が高額で手続きも長引くと聞いて、費用面で二の足を踏んでいる方も多いでしょう。
そこで知っておきたいのが「少額管財事件」という選択肢です。
少額管財は、通常の管財事件よりも予納金を抑え、手続きの期間も短くできる運用で、弁護士に依頼することで利用できます。
うまく使えば、予納金20万円ほど、約3〜4カ月で自己破産を終えられるケースもあります。
本記事では、少額管財事件の仕組みや通常管財との違い、利用できる条件と注意点、手続きの流れまで弁護士がわかりやすく解説します。
管財事件になりそうで費用を抑えたい方は、ぜひ最後までご一読ください。
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少額管財事件とは?

管財事件の中でも手続き・費用負担を軽減した制度
少額管財事件は、破産管財人がつく管財事件の中でも、手続きを簡略にして費用と期間の負担を軽くした取り扱いです。
通常の管財事件では予納金が50万円以上かかることも多いのに対し、少額管財なら20万円ほどで済みます。
法律に「少額管財」という名前の制度があるわけではなく、1999年に東京地方裁判所が始めた運用が各地の裁判所へ広まりました。
そのため、利用できるかどうかや細かい運用は、申立てをする裁判所によって変わります。
同時廃止・通常管財との関係
自己破産の手続きは、財産の状況などに応じて「同時廃止」と「管財事件」に分かれます。
めぼしい財産がなく免責にも問題がない場合は、破産管財人をつけずに進める同時廃止になります。
一方、一定以上の財産がある場合や、借金の理由に免責の調査が必要な事情がある場合は管財事件です。
少額管財は、この管財事件を簡略な運用で進めるもので、いわば通常管財と同時廃止の中間に位置づけられます。

同時廃止と通常管財については、下記記事でも詳しく解説しています。
少額管財事件のメリット

予納金20万円ほどと費用を抑えられる(通常管財は50〜700万円)
少額管財の一番のメリットは、裁判所に納める予納金を大きく抑えられる点です。
通常の管財事件では、予納金は借金や財産の規模に応じて高くなり、個人でも最低50万円ほど、規模の大きな事案では数百万円に上ることもあります。
これに対して少額管財では、引継ぎの予納金が20万円ほどで済むのが一般的です。
弁護士費用とあわせても、トータルの負担を大きく軽くできます。
手続きが簡略化され期間が短い(約3〜4カ月)
少額管財のもう1つのメリットは、手続きにかかる期間が短いことです。
通常の管財事件では、財産の調査や換価に時間がかかり、半年から1年以上に及ぶケースも珍しくありません。
少額管財では管財人の業務が簡略になるため、申立てから免責許可の決定まで、3〜4カ月ほどで終わるのが目安です。
債権者集会も1回で終わることが多く、裁判所に足を運ぶ負担も軽くなります。
少額管財事件となる条件と注意点

弁護士が申立てていること(司法書士・本人申立ては不可)
少額管財を利用できるのは、原則として弁護士が代理人として申立てを行ったケースに限られます。
弁護士があらかじめ申立ての内容を精査していることで、破産管財人の調査を簡略にでき、予納金を低く抑えられるという仕組みだからです。
司法書士は破産の申立てを代理する権限がなく、書類の作成を手伝えるだけのため、手続き上は本人が申立てる扱いになります。
本人だけで申立てた場合は少額管財が認められず、予納金の高い通常管財になるのが一般的です。
財産が一定額以下であること
少額管財になるか同時廃止になるかは、申立てをする人の財産の額で振り分けられます。
裁判所によって基準は異なりますが、東京地方裁判所では、現金が33万円以上ある場合や、預貯金・保険・車などの個別の財産が20万円以上ある場合に管財事件として扱われます。
反対に、これらの基準を下回り、めぼしい財産がない場合は同時廃止です。
財産があっても、その額が大きすぎなければ少額管財で進められることが多いといえます。
参考:東京地方裁判所 民事第20部「破産事件に関するよくある質問」
すべての裁判所で使えるわけではない
少額管財は法律上の制度ではなく裁判所ごとの運用のため、全国どこでも同じように使えるわけではありません。
もともと東京地方裁判所で始まった運用ですが、今では多くの地方裁判所にも同じような取り扱いが広まっています。
ただし、「少額管財」以外の名称で運用していたり、利用できる条件が違ったり、まれに取り扱いのない裁判所があったりします。
そのため、自分の住む地域を管轄する裁判所でどのような運用になっているかは、地元の事情に詳しい弁護士に確認しておくと安心です。
少額管財事件で自己破産を進める流れ


①破産申立て・破産管財人候補との面接
最初のステップは、弁護士が裁判所へ破産の申立てを行うことです。
申立ての後、裁判官と担当弁護士が面接を行い、同時廃止か管財事件か、少額管財で進められるかが判断されます。
少額管財になる場合は、この段階で破産管財人の候補者が決まる流れです。
その後、破産管財人の候補者と申立人、弁護士の三者で打ち合わせを行い、財産の状況や今後の方針を確認します。
②破産手続開始決定・予納金の支払い
面接や打ち合わせの内容に問題がなければ、裁判所が破産手続開始の決定を出します。
この開始決定によって、候補者が正式な破産管財人となります。
申立人は、このタイミングで引継ぎの予納金20万円ほどを、破産管財人が管理する口座へ納めます。
納めた予納金は、破産管財人が財産を調査・整理するための費用や報酬に充てられるお金です。
③債権者集会・免責許可の決定
破産管財人による財産の調査と整理が済むと、債権者集会が開かれます。
債権者集会では、破産管財人が財産や免責に関する調査の結果を裁判所へ報告します。
少額管財では、この債権者集会が1回で終わることが多く、出席する債権者もほとんどいません。
集会の後、免責を認めてよいと判断されれば、裁判所から免責許可の決定が出され、借金の返済義務がなくなります。
少額管財事件についてよくある質問

少額管財事件について、相談者からよく寄せられる質問をまとめました。
Q1. 司法書士に依頼すると少額管財は使えませんか?
司法書士には破産を申立てる代理権がないため、司法書士に依頼しても少額管財は使いにくいのが実情です。
司法書士ができるのは申立書などの書類を作る手伝いまでで、手続き上は本人が申立てる扱いになります。
本人申立てでは少額管財が認められず、予納金の高い通常管財になるのが一般的です。
費用を抑えたいのであれば、弁護士に依頼して少額管財を利用する方が、結果的に総額を抑えられることが多いといえます。
Q2. 少額管財と同時廃止はどちらが有利ですか?
費用や手間の面だけを比べれば、破産管財人がつかない同時廃止の方が負担は軽くなります。
同時廃止なら破産管財人への引継ぎの予納金20万円ほどが不要で、財産の調査もないぶん手続きもスムーズに進みやすいためです。
ただし、どちらになるかは自分で選べるものではなく、財産の額や借金の理由によって裁判所が振り分けます。
一定以上の財産がある場合や免責の調査が必要な事情がある場合は同時廃止にできないため、その中で負担を抑えられる少額管財が有力な選択肢になります。
Q3. ギャンブルが原因でも少額管財になれますか?
ギャンブルや浪費が原因の借金でも、少額管財を利用して自己破産できます。
ギャンブルなどによる借金は「免責不許可事由」にあたる場合があり(破産法第252条1項4号)、免責してよいかを管財人が調べる必要があるため、同時廃止ではなく管財事件になりやすい傾向があります。
ただし、その大半は少額管財として進められるのが実情です。
免責不許可事由があっても、破産に至った事情を総合的にみて裁判所の判断で免責を認める「裁量免責」という仕組みがあり(破産法第252条2項)、実際にはほとんどのケースで免責が認められています。
少額管財事件について相談するなら大地総合法律事務所へ

少額管財事件は、通常の管財事件よりも予納金や期間の負担を抑えられる、自己破産の心強い選択肢です。
予納金は20万円ほど、期間も3〜4カ月ほどが目安で、費用面で自己破産をためらっていた方にも利用しやすい運用といえます。
ただし、少額管財を使うには弁護士に依頼していることが前提で、財産の額や管轄の裁判所によって利用できるかが変わります。
自分が少額管財を使えるかどうかは、財産や借金の状況を踏まえて個別に判断する必要があるため、早めに弁護士に相談しておくと安心です。
大地総合法律事務所では、借金に関するご相談を無料で承っています。
管財事件になりそうで費用が心配な方も、まずは状況をお聞かせください。
予納金を抑えられる見込みや、最適な手続きの進め方をご提案します。
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