自己破産を検討していると、「同時廃止なら費用を抑えられる」「管財事件になると大変」といった情報を目にすることがあります。
ただ、同時廃止という言葉だけを見ても、自分のケースに当てはまるのか、管財事件と何が違うのかまでは分かりにくいものです。
本記事では、同時廃止事件の意味や管財事件との違い、同時廃止になりやすいケース、手続きの流れ、費用の目安を解説します。
自己破産を考えているものの同時廃止で進められるのか不安な方は、自分の状況を整理するための参考にしてください。
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同時廃止事件とは

管財事件と何が違うのか分かりにくいと感じる方も多いと思います。
主に、債権者へ配当できるほどの財産がない場合に選ばれやすいでしょう。
まずは、同時廃止事件の基本的な仕組みと、管財事件との違いを確認していきましょう。
破産管財人が選任されない自己破産の手続き
同時廃止事件は、破産管財人が選任されない自己破産の手続きです。
通常の自己破産では、破産管財人が破産者の財産を処分して債権者に配当したり、借金の理由(ギャンブルや浪費など)に問題がないかを詳しく調査したりします。
しかし、債権者に配当できるほどの財産がなく、さらに破産管財人による詳しい調査(免責不許可事由の確認など)も必要ないと裁判所が判断した場合は、わざわざ破産管財人を選任する必要がありません。
そのため、破産管財人を置かずに、破産手続きの開始と同時に手続きを終了(廃止)させる方法が取られます。
これが同時廃止事件です。
破産管財人が選ばれない分、管財事件よりも費用や期間といった手続きの負担を抑えやすくなります。
管財事件との違い【比較表】
同時廃止事件と管財事件の主な違いを確認していきましょう。
| 同時廃止事件 | 管財事件 | |
|---|---|---|
| 破産管財人 | 選任されない | 選任される |
| 財産の調査・処分 | 破産管財人による調査・処分は原則なし | 破産管財人が行う |
| 対象となるケース | 配当に回せる財産がほとんどない | 一定以上の財産がある・詳しい調査が必要 |
| 費用 | 管財事件より抑えやすい(約30~50万円) | 裁判所に納める予納金(管財費用)が加わるため高くなりやすい(約50~130万円) |
| 期間 | 約3~4ヶ月 | 約6ヶ月~1年 |
同時廃止事件は、破産管財人が選任されない分、管財事件よりも費用や期間の負担を抑えやすい手続きです。
ただし、どちらの手続きになるかは本人が選べるものではありません。
財産の有無や借金の理由、裁判所による調査の必要性などをもとに判断されます。
なお、費用や期間は裁判所や依頼する弁護士事務所、事案の内容によって変わるため、あくまで目安として考えておきましょう。
同時廃止事件になりやすいケース

財産が少ないかどうかだけで決まるわけではありません。
借金の理由や申立てまでの経緯、財産状況なども確認されます。
ここでは、同時廃止事件になりやすいケースを見ていきましょう。
処分すべき一定程度の財産がない
同時廃止事件になりやすいのは、債権者への配当に回せる財産がほとんどないケースです。
自己破産では不動産や価値のある自動車、解約返戻金のある保険などがあると、財産を処分して配当に回す場合があります。
一方で、処分すべき財産がないと判断されれば、破産管財人を選任する必要性は低くなるでしょう。
このようなケースでは、同時廃止事件として進められる可能性があります。
申立て前に財産状況を整理しておくと、同時廃止事件に該当するか判断しやすくなります。
借金の理由や財産状況に大きな問題がない
同時廃止事件になるかどうかは、財産の有無だけでなく、借金を抱えた理由も判断材料になります。
生活費の不足や収入の減少、病気、失業など、借金の理由に大きな問題がない場合は、同時廃止事件として進められることがあります。
一方でギャンブルや浪費、クレジットカード現金化などがある場合は、借金の経緯を慎重に確認されやすくなるでしょう。
心配な事情がある場合は、申立て前に弁護士へ正直に話しておきましょう。
裁判所による詳しい調査が必要ない
裁判所による詳しい調査が必要ない場合も、同時廃止事件として進められることがあります。
例えば、財産の内容や借入れの経緯が明確で、追加で確認すべき点が少ないケースです。
申立て前に状況を整理しておきましょう。
【注意】同時廃止が認められない(管財事件になる)主なケース
同時廃止事件になりやすい条件に当てはまっていても、状況によっては管財事件として扱われることがあります。
例えば、次のようなケースです。
- 一定以上の財産がある
- 不動産や価値のある自動車を所有している
- 保険の解約返戻金や退職金見込額がある
- ギャンブルや浪費が借金の主な原因になっている
- クレジットカードを現金化している
- 財産を隠した疑いがある
- 一部の債権者だけに返済している(偏頗弁済)
管財事件になると破産管財人による調査が行われるため、同時廃止事件より費用や期間の負担が大きくなりやすいです。
同時廃止事件で進められるかは、財産の金額だけでなく、借入れや返済の経緯も含めて判断されます。
同時廃止事件で進められるか不安な場合は、申立て前に弁護士へ確認しておくとよいでしょう。
同時廃止事件の費用と期間

ここでは、同時廃止事件の費用と期間の目安を確認していきましょう。
同時廃止事件は管財事件より費用を抑えやすい
同時廃止事件は、管財事件と比べて裁判所に納める費用を抑えやすい傾向があります。
理由は、破産管財人が選任されないためです。
管財事件では、破産管財人の報酬にあてる予納金が必要になります。
一方、同時廃止事件では破産管財人が選任されないため、管財事件ほど高額な予納金はかかりません。
自己破産にかかる費用をできるだけ抑えたい方にとって、同時廃止事件で進められるかどうかは気になるポイントでしょう。
免責までの期間は3〜4ヶ月程度が目安になる
免責までの期間は、同時廃止事件の場合で3〜4ヶ月程度が目安です。
同時廃止事件は、管財事件のように破産管財人による財産調査や換価の手続きがないため、比較的短い期間で進みやすいです。
ただし、申立て前の書類準備に時間がかかったり、裁判所から追加資料を求められたりすれば、その分だけ免責までの期間も延びます。
必要書類や財産状況を早めに整理しておくと、手続きも進めやすくなりますよ。
弁護士費用は事務所によって異なる
同時廃止事件で自己破産を進める場合でも、弁護士費用は依頼先によって差があります。
費用の内訳は事務所ごとに異なり、着手金や報酬金、実費などをあわせた金額で案内されるのが一般的です。
また、自己破産を検討している方の中には、まとまった費用をすぐに用意するのが難しい方もいるでしょう。
そのため、相談する際は総額だけでなく、分割払いに対応しているかも確認しておくと安心です。
同時廃止事件の流れ

同時廃止事件では破産管財人が選任されないため、管財事件より流れは比較的シンプルです。
では、同時廃止事件で自己破産する場合の基本的な流れを確認していきましょう。
弁護士への相談・受任通知の送付
最初に、弁護士へ借入れ先や残高・収入・財産の状況を相談します。
この段階で確認してもらうのは、同時廃止事件として進められる見込みや、管財事件になる事情がないかという点です。
依頼後は、弁護士から債権者へ受任通知が送付されます。
受任通知が届くと、貸金業者から本人への直接の督促は原則として止まる仕組みです。
その後は、通帳や給与明細、家計の資料などをそろえながら申立てに向けた準備を進めていきます。
必要書類の準備・破産申立て
次に、申立てに必要な書類と作成した申立書を裁判所へ提出します。
申立てで確認されるのは、借入れ先や借金の金額だけではありません。
収入や財産、家計の状況なども確認の対象です。
同時廃止事件で進めるには、配当に回せる財産がないことや、詳しい調査が必要ないことを資料で示せるようにしておかなければなりません。
資料に不足や不明点があれば、裁判所から追加の説明や書類提出を求められることもあります。
破産手続開始決定・同時廃止決定
裁判所が申立書や資料を確認し、同時廃止事件で進められると判断すれば、破産手続開始決定が出ます。
同時廃止事件では、この破産手続開始決定と同じタイミングで、破産手続きを終わらせる決定も出される仕組みです。
「開始」と「廃止」が同時に行われるため、同時廃止と呼ばれます。
ただし、申立て内容によっては、財産調査や借金の経緯を詳しくみる必要があると判断されることもあります。
その場合は、同時廃止事件ではなく、管財事件として進むことになるでしょう。
免責審尋・免責許可決定
破産手続開始決定と同時廃止決定が出ても、その時点で借金の支払義務がなくなるわけではありません。
借金の支払義務が免除されるには、裁判所から免責許可決定を受ける必要があります。
同時廃止決定のあとには、免責審尋が行われ、借金の理由や申立て内容などが確認されます。
特に問題がなければ、後日、免責許可決定が出される流れです。
裁判所から案内があった場合は、期日や提出書類に漏れがないよう対応しましょう。
同時廃止事件で自己破産する際の注意点

あとから困らないように、注意点を事前に確認しておきましょう。
同時廃止事件でも官報掲載や信用情報への登録は避けられない
官報掲載や信用情報への登録は、同時廃止事件でも避けられません。
官報には氏名や住所が掲載され、信用情報にも事故情報として登録されます。
クレジットカードやローンへの影響もあるため、自己破産後の生活まで見据えて検討しましょう。
財産や借入れの経緯を隠すと管財事件や免責不許可になる可能性がある
財産や借入れの経緯を隠すと、同時廃止事件で進めにくくなります。
自己破産では預貯金や保険、自動車などの財産状況だけでなく、借金を抱えた経緯も確認されます。
同時廃止事件で進めたいからといって、不利に見える事情をごまかすのは避けましょう。
あとから財産隠しや説明と異なる事情が分かると、管財事件に切り替わったり、免責の判断に影響したりするおそれがあります。
財産や借金の理由に不安がある場合こそ、申立て前に弁護士へ正直に伝えることが大切です。
同時廃止事件についてよくある質問

ここでは、同時廃止事件についてよくある質問を紹介します。
Q1. ギャンブルや浪費が原因でも同時廃止事件にできますか?
ギャンブルや浪費が原因の借金でも、それだけで同時廃止事件にならないと決まるわけではありません。
申立て前に弁護士へ話しておけば、どのように伝えるべきか整理しやすくなります。
Q2. 少額管財事件との違いは何ですか?
同時廃止事件と少額管財事件との大きな違いは、破産管財人が選任されるかどうかです。
同時廃止事件では、破産管財人は選任されません。
一方で、少額管財事件は管財事件の一種のため、破産管財人が選任されます。
ただし、通常の管財事件より手続きを簡略化し、裁判所に納める予納金を抑えて進められることがあります。
Q3. 同時廃止事件でも家族や会社にバレますか?
自己破産は、家族にまったく知られずに進めるのが難しい手続きです。
同時廃止事件でも、同居家族の収入資料や家計の状況を確認されることがあります。
また、自宅に裁判所や弁護士事務所から書類が届いたり、家計の見直しが必要になったりする中で、家族に知られる可能性もあります。
一方で、会社に自己破産の連絡が入ることは通常ありません。
ただし、退職金見込額の証明書が必要になる場合など、勤務先に書類を依頼する場面では注意が必要です。
会社への影響が気になる方も、相談時に弁護士へ伝えておきましょう。
同時廃止事件に該当するか不安な方は大地総合法律事務所へ

同時廃止事件で進められるかどうかは、財産の有無だけで決まるものではありません。
借金の理由や申立て前のお金の動き、保険の解約返戻金、退職金見込額なども確認の対象です。
「財産はほとんどないから同時廃止になるはず」と思っていても、実際には管財事件として扱われるケースがあります。
反対に、ギャンブルや浪費など気になる事情があっても、状況を整理すれば自己破産を進められる可能性もゼロではありません。
大地総合法律事務所では、自己破産に関する無料相談を受け付けています。
同時廃止事件で進められる見込みや、管財事件になるリスクを知りたい方は、現在の借入れや財産状況を整理したうえでご相談ください。
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