自己破産の手続き中はしてはいけないことが多いと聞いて、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
ルールを知らずに自己判断で動くと、免責が認められなくなるおそれもあります。
本記事では、自己破産手続き中にしてはいけないこと10選をはじめ、制限内容や違反行為のリスク、行動に迷ったときの対処法まで分かりやすく解説します。
自己破産手続き中の不安を少しでも取り除くためにも、ぜひ最後までご覧ください。
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自己破産手続き中の制限内容と生活への影響


先生、自己破産の手続きを進めると、生活にどのような影響がありますか?
制限される内容も知りたいです。
自己破産手続き中は、財産の管理や住居の移動、就ける職業などに一定の制限がかかる場合があります。
ただし、すべての行動が制限されるわけではないですよ。
自己破産手続き中にどのような制限があるのか、生活への影響とあわせて確認していきましょう。
【関連記事】自己破産で受けるペナルティとは?最小限に抑える4つの方法と体験談
財産や収入の管理に関するルール
自己破産の手続き中は、財産や収入の管理に一定のルールがあります。
基本的には、自己破産の手続き時に持っていた財産は自由に使えません。
生活費は、手続き開始後に得た給料の範囲内でやりくりするのが基本です。
申立て前から持っていた預貯金や不動産などの財産を自分の判断で使ったり処分したりすると、手続きに悪影響が及ぶおそれがあります。
財産や収入の扱いに迷ったときは、些細なことでも弁護士や破産管財人に確認しましょう。
住居や移動に関する制限
自己破産手続き中は、住居や移動に関する制限もあります。
特に管財事件の場合、無断で引越したり、長期間旅行したりすることができません。
居住地を離れる場合は、裁判所の許可を得る必要があります。
職業や資格に関する制限
自己破産の手続き中は、特定の職業や資格に関する制限が生じます。
免責決定が下りるまでは、一部の資格を使う業務に就けません。
例えば、次のような職業が該当します。
- 弁護士
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
- 宅地建物取引士
- 公認会計士
- 警備員
- 旅行業務取扱管理者
- 生命保険募集人
- 公証人
- 会社の取締役・監査役
資格制限は、自己破産手続きが完了するまでの一時的なものです。
手続きが終われば、再び業務を行えるので過度に不安になる必要はありません。
自己破産の手続き中でもできること(選挙・転職活動など)
自己破産手続き中でも、すべての行動が制限されるわけではありません。
例えば、次のようなことは制限されずに行えます。
- 今住んでいる居住地に住み続ける
- スマートフォンを使い続ける
- 手続き開始後に得た収入を生活費として使う
- 生活に最低限必要な財産を保持する
- 資格制限のない職業で就業・転職する
- 選挙で投票する

はい。自己破産は生活を立て直すための手続きです。
生活に必要な行動まで制限されるわけではありません。
自己破産手続き中にしてはいけないこと10選


ありますよ。
知らないまま動いてしまうと、免責に影響するおそれがあります。
自己破産の手続き中は、一時的に借金の返済が止まりますが、自由に行動できるわけではありません。
破産法では、免責を認めるにあたって問題となる行為が定められています。
以下では、破産法をもとに、自己破産手続き中にしてはいけない行動を10パターン紹介します。
新たに借入れをする
自己破産手続き中に新たな借入れをすると、状況によっては免責の判断に影響するおそれがあります。
特に、返済が難しい状態であるにもかかわらず、返済できるように見せかけて借りる行為には十分注意しましょう。
破産法252条1項5号では、免責許可の決定ができない場合の要件について以下のように定められています。
「破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。」
引用:e-Gov「破産法252条1項5号」
消費者金融からの借入れだけでなく、クレジットカードやカードローンの利用も、状況によっては信用取引にあたります。
お金に困っていても自己判断で借りるのは危険です。
手続きに不安のある場合は、まず弁護士に相談しましょう。
財産を隠す・処分する
自己破産手続き中に財産を隠したり、勝手に処分したり、他人に贈与したりする行為も避けなければなりません。
預貯金だけでなく、換金できる高額品や保険の解約返戻金、車なども申告の対象になります。
申告せずに処分すると、以下の破産法252条1項1号により免責不許可事由にあたるおそれがあります。
「債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。」
引用:e-Gov「破産法252条1項1号」
処分したい財産がある場合は、自分で判断せず、あらかじめ弁護士に相談しておきましょう。
一部の借金を優先的に支払う
一部の借金を優先して支払う行為は、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」に該当します。
自己破産では、特定の債権者だけを優先せず、債権者を公平に扱うことが原則です。
そのため、家族や友人、勤務先への返済を優先した場合も、問題視されることがあります。
破産法252条1項3号では、以下のように定められています。
「特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。」
引用:e-Gov「破産法252条1項3号」
よかれと思って返済しても、裁判所から選任された破産管財人から返還を求められる可能性も否定できません。
クレジットカードを現金化する
クレジットカードのショッピング枠を利用して購入した商品を換金する行為は、カード会社の規約違反にあたるうえ、自己破産の手続きでも問題になるおそれがあります。
破産法252条1項2号では、次のような行為が免責不許可事由として挙げられています。
「破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。」
引用:e-Gov「破産法252条1項2号」
一時的に現金を用意できても、現金化は免責不許可事由につながるおそれがある危険な行為です。
なお、手続き前にクレジットカードで購入した商品であっても、手元に残っていれば財産として申告の対象になる場合があるため、事前に弁護士へ確認しておくと安心です。

裁判所や破産管財人の協力を拒否する
裁判所や破産管財人からの連絡を無視したり、調査や質問を拒否したりする行為も、免責不許可事由となる可能性があります。
破産法252条1項8号では、次のように定められています。
「破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。」
引用:e-Gov「破産法252条1項8号」
例えば、面談に無断で欠席したり、必要書類を提出しなかったり、聞かれた内容に正しく答えなかったりすることは、手続きに悪影響を及ぼしかねない行為です。
自己破産手続き中は、財産や借入れの状況について、必要書類を提出したうえで正確に説明する必要があります。
許可なく引越しや海外旅行をする
第37条第1項により、自己破産手続き中は裁判所の許可なく居住地から離れることができません。
「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。」
引用:e-Gov「破産法第37条第1項」
引越しだけでなく、数日間の旅行や長期間の外泊なども裁判所の許可が必要になる場合があります。
勝手に居住地を離れたことが分かった場合は、裁判所や破産管財人から事情の説明を求められたり、旅行費の出所を確認されたりすることがあります。
状況によっては、免責不許可事由にあたるおそれもあるため注意が必要です。
はい、絶対に居住地を離れてはいけないわけではありません。
予定がある場合は、必ず早めに弁護士へ相談しましょう。
浪費・ギャンブルをする
破産手続き中の浪費やギャンブルは、絶対に避けたい行為です。
破産法252条1項4号では、浪費や賭博などの射幸行為によって多額の借金を抱えた場合、免責不許可事由にあたるおそれがあると定められています。
「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。」
引用:e-Gov「破産法252条1項4号」
例えば、パチンコや競馬などのギャンブル、FXや株取引などのハイリスクな取引、アイドルへの高額な投げ銭や高級品の購入などの浪費が挙げられます。
はい。少額の浪費でも、生活を立て直す意思がないと見られるおそれがあります。
手続き中はお金の使い方にも十分気を付けましょう。
メルカリなどで高額商品の売買をする
メルカリや買取ショップなどで高額商品を売買する行為は、自己破産手続きにおいて「財産隠し」や「不当な処分」と判断されるおそれがあります。
「債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。」
引用:e-Gov「破産法252条1項1号」
特にブランド品や貴金属、家電などの高額商品を申告せずに売却した場合は、免責の判断で不利になる可能性があります。
資格制限中の職業に就く
一部の職業では、各業法で「破産者で復権を得ない者」などが欠格事由とされており、自己破産手続き中は仕事が制限されます。
例えば、弁護士や司法書士などの士業、貸金業者、生命保険募集人など、高い信用性や適格性が求められる職業です。
制限を知らずに仕事を続けた場合、資格の取消しや解雇などの不利益を受けるおそれがあります。
また、状況によっては、自己破産手続きへの対応姿勢を厳しく見られる可能性もあります。
自己破産が決定する前に離婚する
自己破産が決まる前に離婚したからといって、それだけで問題になるわけではありません。
ただし、離婚をともなう財産分与の内容やタイミングが不自然だと、「財産を隠すためではないか」と見られる可能性があります。
本来は認められている手続きですが、自己破産の直前に名義変更をしたり、相手に財産を渡したりすると、財産隠しや不当な処分と判断されるおそれがあります。
自己破産手続き中の違反行為が招く2つのリスク



自己破産によるルールを破ると、単に手続きが面倒になるだけでは済まない場合があります。
違反内容によっては、免責が認められなくなるほか、刑事責任が問われるおそれもあります。
なんだかこわいですね…。
知らずに違反行為をしてしまわないか不安です。
そうですね。
リスクを知っておくことで、手続きのルールを守る大切さがわかります。
まずは、どのような不利益があるのかを確認しておきましょう。
免責不許可事由により免責が認められなくなる
自己破産手続き中に違反行為をした場合、免責不許可事由にあたる可能性があります。
免責不許可事由とは、裁判所が借金の支払い義務を免除しないと判断する理由のことです。
免責が認められなければ、自己破産しても借金はなくならず、今後も返済を続けなければなりません。
免責が認められなければ、自己破産を申立てた目的を果たせません。
借金問題を解決するためにも、破産法で定められたルールを守る必要があります。
詐欺破産罪に該当する可能性がある
自己破産手続き中の違反行為は、免責に影響するだけでなく、内容によっては詐欺破産罪にあたる可能性もあります。
実際には免責不許可で終わるケースが多いものの、悪質性や計画性がある行為が発覚すると、刑事責任が問われる可能性も否定できません。
詐欺破産罪が成立した場合は、10年以下の拘禁刑、1,000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
参考:e-Gov「破産法265条 詐欺破産罪」
例えば、預金口座を申告せずに隠す、高額な車やブランド品を親族名義に変える、不当に安い金額で財産を処分するといった行為です。

うっかりした申告漏れではなく、明らかな嘘や財産隠しが発覚した場合は詐欺破産罪に問われる可能性があります。
自己破産手続き中の行動に迷った場合の対処法

少しの行動でも問題になる場合があるため、自己判断で動くのは避けたほうが安心です。
以下では、自己破産手続き中の行動に迷った場合の対処法を解説します。
まずは自分で状況を整理する
自己破産手続き中に不安な点がある場合は、まず何に悩んでいるのか、自分で状況を整理しましょう。
例えば、「生活費が足りなくて実家に帰りたい」「どこまで財産を処分していいのかわからない」「この出費は浪費にあたるのか」など、気になっている点をリスト化することが大切です。
悩みを曖昧にしたまま相談しても、確認が漏れたり、状況が正確に伝わらなかったりするおそれがあります。

問題があれば隠さず早めに申告する
もし自己破産手続き中に、財産を処分してしまったり、申告していない口座が見つかったりした場合は、隠さず早めに申告しましょう。
問題を曖昧なままにすると、あとから発覚したときに不誠実な印象を持たれやすくなります。
自己判断せず弁護士に確認する
自己破産手続き中の行動に不安な点がある場合は、自分で判断せず、まずは弁護士に確認しましょう。
一見問題がなさそうに見える行動でも、収入や財産の状況などによっては手続きや免責に影響が出るおそれがあります。
引越しや財産の処分、まとまった出費など、判断に迷うことがあれば行動する前に相談することが大切です。
自己破産以外の借金解決方法

ここまで読むと、自己破産しか方法がないのか不安になりますよね。
自分に合う解決方法はあるのでしょうか。
借金問題の解決方法は自己破産だけではありません。
債務額や生活状況、残したい財産の有無によっては、ほかの手続きが適している場合もあります。
ここでは、自己破産以外に検討できる借金解決方法を確認していきましょう。
【関連記事】国が認めた借金救済制度は怪しい?種類・仕組み・費用・メリットとデメリットを徹底解説
利息カットで返済を続ける任意整理
任意整理とは、裁判所を通さずに債権者と交渉し、将来利息や遅延損害金のカットを目指す解決方法です。
安定した収入があり、元本のみであれば無理なく返済できる見込みがある方は、自己破産ではなく任意整理で解決できる場合があります。
また、任意整理は自己破産や個人再生よりも手続きの負担を抑えやすい傾向があります。

借金額が大きくても、その多くが利息や遅延損害金で膨らんでいる場合は、任意整理によって返済負担を軽くできる可能性があります。
大幅減額が可能な個人再生
個人再生とは、裁判所を通して借金を大幅に減額し、残った借金を原則3年、最長5年で分割返済していく解決方法です。
ケースによっては、借金が最大10分の1程度まで減額されることもあります。
また、一定の条件を満たせば、住宅ローン特則を活用して持ち家を残せる可能性がある点も特徴です。
安定した収入はあるものの、任意整理では返済が見込めない方や、自己破産によって財産が処分されるのは避けたい方は、個人再生が向いている可能性があります。

自己破産手続き中によくある質問

自己破産手続き中にやってはいけないことは多く、生活費や行動の範囲など、判断に迷いやすい場面も少なくありません。
ここでは、自己破産手続き中に関するよくある質問をまとめて解説します。
自己破産手続き中にお金がない場合、どう生活すれば良いですか?
自己破産手続き中にお金がなく、生活に困っている場合は、生活保護の申請や生活福祉資金貸付制度など、公的支援の活用を検討しましょう。
お金が足りないからといって、新しく借りたり、自己判断で財産を使ったりするのは避けてください。
生活費を工面する際は、こうした支援制度の利用も視野に入れながら、手続き開始後に得た収入の範囲内で生活するのが基本です。
生活が厳しいと感じたら、早めに弁護士へ相談し、法テラスを利用できるかどうかもあわせて確認しておくとよいでしょう。
自己破産の申立てから開始決定までの期間はどれくらいですか?
自己破産の申立てから破産手続開始決定が出るまでの期間は、同時廃止か管財事件かによって異なります。
同時廃止事件では、比較的早く進むケースが多く、裁判所の運用によっては申立てから4〜8ヶ月が目安とされています。
一方、管財事件では、破産管財人の選任やその後の手続き、引継ぎ予納金の納付確認などが必要になるため、6ヶ月〜1年ほどが目安です。
ただし、実際の進行は、提出書類の内容や財産状況、裁判所ごとの運用によって変わります。
正確な見通しを知りたい場合は、依頼先の弁護士に確認しておくと安心です。
自己破産手続き中にギャンブルをしたらバレますか?
はい、自己破産手続き中の浪費やギャンブルは、発覚する可能性が高いです。
自己破産の手続きでは、約3ヶ月〜1年分の通帳の写しを提出し、裁判所や破産管財人が不自然な出金がないかを確認します。
そのため、ギャンブルや浪費による支出があれば、通帳の履歴などから把握されることがあります。
自己破産手続き中の不安は大地総合法律事務所へご相談ください

自己破産手続き中の不安や疑問点は、自己判断で行動せず、弁護士へ相談しましょう。
実際に大地総合法律事務所では、破産者の家庭状況や支出を詳しく確認したうえで、適切な方針を提案しています。
自己破産手続き中は、財産の扱いや生活費、引越し、仕事など、判断に迷う場面も少なくありません。
些細な不安にも丁寧に対応しているため、自己破産手続き中のやってはいけないことや生活上の不安がある方は、早めの相談をおすすめします。
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