弁護士法人大地総合法律事務所、代表弁護士の佐久間です。
ある日突然、「残額を一括でお支払いください」という通知が届いたら、誰でも頭が真っ白になるものです。
ですが、一括請求が届いた時点でも取れる選択肢は複数残されています。
本記事では、通知が届いてから差し押さえに至るまでの流れと、今の段階でできる対処法を順番に整理していきます。
まずは深呼吸をして、一緒に状況を確認していきましょう。
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一括請求が届いても、今すぐ全額を払う必要はありません

一括請求の通知が届いても、その場で全額を用意できなくても大丈夫です。
通知は「今日中に払わなければ即座に財産を取られる」という意味ではなく、ここから交渉や法的な手続きで解決していく余地が残されています。
実際、一括請求の段階でご相談に来られて、分割での解決や債務整理につなげられた方は少なくありません。
大切なのは、通知を見なかったことにしないことです。この段階で動き始めれば選択肢は十分にあります。
なぜ突然「一括で返して」と言われるのか(期限の利益喪失)
延滞などをきっかけに「分割で支払える権利(期限の利益)」を失うことで、残りの借金全額を一括請求されます。
貸金業者やカード会社との契約には「期限の利益喪失条項」という取り決めがあり、一定期間の延滞などが起きると、債務者は分割払いの権利を失う仕組みになっているのです。
ただし、何をどれだけ延滞したかで条件が変わります。実際のカード会員規約では、次のように書き分けられています。
| 利用の種類 | 期限の利益を失う条件 |
| 1回払いのショッピング/キャッシング | 1回でも遅滞したとき |
| ショッピングの分割・ボーナス・リボ払い | 遅滞したうえで、20日以上の期間を定めた書面での催告を受け、それでも支払わなかったとき |
| キャッシングの分割・リボ払い | 1回でも遅滞したとき |
| 債務整理を弁護士等に依頼 | カード会社が受任通知を受け取ったとき |
とくに知っておいていただきたいのが、ショッピングの分割・リボ払いには法律上の保護があることです。
割賦販売法では、20日以上の相当な期間を定めて書面で催告し、その期間内に支払われないときでなければ、期限前の残額を請求できないと定められています。しかもこれに反する特約は無効です(割賦販売法第30条の2の4)。
つまり「1回遅れただけで、いきなりショッピングの残額を全部請求される」ということは、法律上ありません。届いた通知が催告書なのか一括請求なのか、20日以上の期間が定められているかを、まず確認してください。
一方で、キャッシングや1回払いにはこの保護がありません。同じカードでも、利用の種類によって扱いが違います。
参考:e-Gov 法令検索「割賦販売法 第三十条の二の四(契約の解除等の制限)」
一括請求書は、元の借入先ではなく「〇〇債権回収株式会社(サービサー)」や「〇〇法律事務所」という名前で届くことがよくあります。
これは債権が譲渡されたり、回収が専門機関に委託されたりしたためです。
聞いたことがない会社だから架空請求だと決めつけて放置すると、そのまま裁判・差し押さえに進んでしまうおそれがあります。
本物かどうか判別がつかない場合も、書類を捨てずに専門家へご確認ください。
見慣れない社名の債権回収会社から電話や通知が来ていて、それが本物なのか判断できずに困っている方も多くいらっしゃいます。
【関連記事】0570047047は日本債権回収(JCS)|本物か詐欺かの見分け方と対処法
【初動対応チェックリスト】通知が届いてからの時系列早見表

通知が届いた直後は、以下の順番で状況を整理してください。
難しい言葉が並びますが、順番に説明しますので安心して読み進めてください。
ご自身が今どの段階にいるかが分かれば、いつまでに何をすべきかが見えてきます。
| 段階 | 何が起きるか | 今すべきこと |
|---|---|---|
| 1. 一括請求の通知が届く | 期限の利益を失い、全額の支払いを求められる | 通知の差出人・金額・期限を確認。捨てずに保管する |
| 2. 督促が続く | 電話・書面での支払い催促が続く | 放置しない。支払えない事情を整理し、相談先を検討する |
| 3-A. 「支払督促」が届いた場合 | 支払督促(=裁判所を通じた簡易な請求手続き)が特別送達で届く | 受け取った日から2週間以内に異議申立てをしないと、仮執行宣言(=強制執行を可能にするお墨付き)が付いてしまう |
| 3-B. 「訴状」が届いた場合 | 訴状(=裁判所からの呼び出し状のようなもの)が届き、通常の裁判が始まる | 指定された期日までに答弁書提出などの対応をしないと、原告(債権者)の言い分どおりの判決が出てしまい、そのまま確定して差し押さえに進むおそれがある |
| 4. 強制執行(差し押さえ) | 判決や仮執行宣言付支払督促にもとづき、財産の差し押さえが可能になる | この段階でも弁護士に相談を。債務整理で解決できる場合がある |
なお、弁護士に依頼すると受任通知の送付によって業者からの直接の督促が止まるなど、状況が大きく変わる場合があります。
また、裁判所から支払督促や訴状が届いた際、ご自身で「一括は無理だから分割にしてほしい」と書面(異議申立書や答弁書)を出したり、業者へ電話したりすることは避けてください。
借金の存在を認めた(債務の承認)とみなされ、本来なら時効で借金をゼロにできたはずのケースでも、時効が使えなくなってしまう大きなリスクがあります。
書類が届いたら、ご自身で回答を書く前に、弁護士への相談をご検討ください。
すでに裁判所から訴状が届いている方は、答弁書の提出期限が決まっているため、何をいつまでにすべきかを先に確認しておきましょう。
【関連記事】借金の訴状が裁判所から届いたらどうなる?無視するリスクと3つのすべきことを解説
一括請求を放置するとどうなるか

一括請求を無視し続けると、裁判所を通じた手続きに進み、最終的に財産が差し押さえられる可能性があります。
これは脅しではなく、先ほどの時系列表のとおり、法律で定められた手続きが順番に進んでいくという事実です。
ただし、この段階でご相談いただければ、差し押さえに至る前に止められることがほとんどです。
差し押さえの対象になりやすい財産
借金が払えない場合、給与・預金口座・不動産などが差し押さえの対象になり得ます。
ただし、これは判決や仮執行宣言付支払督促が出た後、最終手段まで進んだ場合の話であり、一括請求が届いた今すぐそうなるわけではありません。
特に注意したいのは給与の差し押さえです。
勤務先に裁判所から通知が行くため、借金の存在が職場に知られるきっかけになってしまいます。
また預金口座が差し押さえられると、生活費の引き出しにも影響が出かねません。
だからこそ、その手前の段階で行動することに大きな意味があるのです。
実際に給与の差し押さえまで進んでしまうと、勤務先での立場がどうなるのかも気になるところでしょう。
【関連記事】給料差し押さえで会社をクビになる?解雇が認められにくい理由と止める方法
一括請求への対処法

一括請求への対処法は、大きく分けて「交渉」「時効の援用」「債務整理」の3つです。
どれを選ぶべきかは状況によって変わります。
| 状況 | 対処法 |
|---|---|
| 収入があり返済を再開できる見込みがある | 分割払いの交渉 |
| 最後の返済からかなりの年数が経っている | 時効の援用の確認 |
| 返済の見通し自体が立たない | 債務整理による根本解決 |
それぞれ見ていきましょう。
分割払いに戻せないか債権者と交渉する
状況によっては、債権者との交渉で分割払いに戻せる場合があります。
債権者にとっても、回収できないまま裁判費用をかけるより、現実的な分割案で回収できるほうが望ましいことがあるからです。
なお、弁護士が入って交渉する任意整理では、将来の利息のカットなどを含めた現実的な返済計画を目指せる場合があります。
ご自身での交渉が難しいと感じたら、無理をせずご相談ください。
時効の援用ができるか確認する(過度な期待は禁物)
最後に返済した日などから5年が経過していれば、消滅時効の援用によって支払い義務が消滅する可能性がありますが、時効が「更新」されている場合は使えません。
なお、業者が裁判を起こして判決が確定した場合は、そこから改めて10年の時効期間が進行します。
時効は「都合よく使える裏技」ではなく、条件がそろった場合に限って使える制度だと理解してください。
時効が完成しているかどうかの判断は、取引履歴や裁判の有無など個別の事情によって変わります。
例えば、電話で「もう少し待ってください」「分割で払います」と一言でも返答してしまうと、借金を認めたこと(債務の承認)になり、時効のカウントがゼロに戻ってしまいます。
うかつに業者へ連絡して支払いの意思を伝えてしまうと、本来使えたはずの時効が使えなくなるおそれがあります。
安易に自己判断して連絡を入れる前に、必ず専門家へ相談してください。
時効の援用は手続き自体は簡単に見えますが、進め方を誤ると取り返しがつかない失敗につながります。
【関連記事】時効の援用とは?失敗例・デメリットと債務整理との違いを解説
債務整理で根本的に解決する
交渉や時効の援用が難しい場合は、債務整理によって支払い方法や金額そのものを見直せます。
債務整理には主に、利息のカットなどを交渉する「任意整理」、借金を大幅に減額して分割返済する「個人再生」、支払い義務の免除を目指す「自己破産」の3つがあり、収入や借金の総額に応じて適した方法が変わります。
一括請求の段階まで来ている方にとって重要なのは、弁護士が受任通知を送ると、業者からの直接の取り立てが止まるという点です。
督促の電話に怯える毎日から、まず抜け出すことができます。
大地総合法律事務所では、債務整理の相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
そもそも債務整理をすると借金や暮らしがどう変わるのか、全体像から知っておきたい方もいらっしゃるでしょう。
【関連記事】債務整理とは何か|借金がどう変わるかを弁護士が解説
借金の一括請求が払えないときによくある質問

ご相談の際によくいただく質問をまとめました。
まずはここで疑問を整理してみてください。
Q1. 一括請求を無視するとすぐに差し押さえられますか?
すぐに差し押さえられるわけではありません。
差し押さえには、支払督促や裁判といった裁判所の手続きを経る必要があります。
ただし放置すればその手続きは着実に進みますので、「まだ大丈夫」と先送りにせず、早めに動くことが大切です。
Q2. 一部だけでも払えば猶予してもらえますか?
一部の支払いだけで自動的に猶予される仕組みはありません。
むしろ注意していただきたいのは、一部返済が時効の更新事由になり得る点です。
時効の可能性が少しでもある場合は、支払いをする前に専門家へご相談ください。
Q3. 家族に知られずに解決できますか?
ご事情に応じて、ご家族に知られにくい形で進められる場合があります。
弁護士に依頼すれば業者からの連絡は事務所宛てになり、ご自宅への督促は基本的に止まります。
ただし、給与の差し押さえまで進むと勤務先に通知が行くなど、放置するほど周囲に知られるリスクは高まります。
その意味でも、早めの行動が秘密を守ることにつながるでしょう。
一括請求は「今から動けば」間に合うことが多いです

一括請求が届いても、今すぐ全額を払う必要はなく、分割の交渉・時効の援用の確認・債務整理という選択肢が残されています。
最も避けたいのは、通知を放置して裁判所の手続きが進んでしまうことです。
今日できることは、届いた書類を確認して、ご自身が時系列表のどの段階にいるかを把握することです。
大地総合法律事務所では、あなたを責めることなく、状況に合った解決方法を一緒に考えます。
1人で抱え込まずに、まずはご相談ください。
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