「破産宣告を受けたらどうなるのか」「自己破産との違いは何か」など、借金について調べていると専門用語や手続きの多さに戸惑うことがあります。
「破産宣告」という言葉は、実は現行法上の正式用語ではありません。 この言葉が何を指すのか、正しく理解することが、自分の状況を判断するためにも大切です。
そこで本記事では「破産宣告」の概要や自己破産との違い、条件、手続きのながれについてわかりやすく解説します。
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破産宣告とは何か

「破産宣告(はさんせんこく)」とは、裁判所が債務者について「これ以上借金を返すことができない状態(支払不能)」であると公式に認める宣言のことです。 ただし、この言葉には注意点もあります。そこで、本章では破産宣告について詳細を解説します。
破産宣告=「破産手続開始決定」の意味
破産について調べると「破産宣告」という言葉を耳にする機会があります。
これは現在裁判所で利用されている正式な用語ではなく、かつて利用されていた古い呼び方です。
2005年に破産法が改正された時点で、法律の正式な用語は「破産手続開始決定」に統一されました。
つまり、「破産宣告」=「破産手続開始決定」であり、両者は全く同じ意味です。
自己破産との違い
「破産宣告」と「自己破産」は別々の手続きだと混同されがちですが、実際には別の手続きが存在するわけではありません。
「破産宣告」はかつて使われていた古い法律用語(現在の破産手続開始決定)であり、制度そのものを指す「自己破産」とは言葉の持つ意味が異なります。
自己破産とは「借金を返済ができなくなった人が、裁判所に借金を免除してもらう手続き全体」を指します。
一方の破産宣告(以下、破産手続開始決定)は、自己破産という手続きの中の「1つのステップ」です。具体的には「裁判所が破産手続を開始することを決定する」という局面を指します。
つまり、裁判所における自己破産手続きのスタートを意味します。
自己破産(破産宣告)にかかる費用の目安
自己破産を検討する際には「裁判所や弁護士にどのぐらいの費用を用意する必要があるのか」という不安を抱える方も多いでしょう。
自己破産に必要となる費用の内訳は、主に以下のとおりです。
1.弁護士費用
| 手続きの種類 | 費用の目安(相場) | 対象となるケース・特徴 |
|---|---|---|
| 同時廃止事件 | 30万~50万円程度 | 手元に残すべき財産がほぼなく、免責不許可事由(ギャンブル等)などの問題もないケース |
| 管財事件 | 30万~80万円程度 | 一定以上の財産(現金や不動産など)があるケース、または破産原因の調査が必要なケース |
2.裁判所への費用
| 手続きの種類 | 裁判所費用の目安 | 費用の内訳・用途 |
|---|---|---|
| 同時廃止事件 | 1,000円~1,500円程度 | 主に収入印紙代や予納郵券代(連絡用の切手代)のみで収まるケース |
| 管財事件 | 20万~50万円程度 | 裁判所から選出される「破産管財人」への報酬(引継予納金)に充てられる費用 |
弁護士費用と裁判所への予納金は別々に用意する必要があります。
破産手続開始決定を受けるための3つの条件

破産手続開始決定を裁判所から受けるためには、ただ必要書類を提出し予納金を納めるだけでは足りません。
あらかじめ定められている、一定の条件を満たす必要があります。
本章では破産手続開始決定に欠かせない3つの条件を解説します。
借金を返済できない状態にあること
破産法では「債務者が、その債務につき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態にある」ことが、破産手続開始の要件とされています。つまり、継続的な返済ができない状況です。
具体的には以下の状況におられる方は返済不能と判断できる可能性があります。
- 月々の返済額が多すぎて生活できない
- 失業や減給で今後の返済が見込めない
- 病気や怪我で働けない
- すでに長期にわたって金利しか返せていない
例えば現在は返済はできていても、一向に元本返済にまで至れそうにない場合、債務整理を検討することも大切です。
必要書類や予納金など申立ての要件を満たしていること
破産手続開始決定を裁判所から受けるためには、あらかじめ指定されている書類や資料を裁判所へ提出しておくことが必要です。
【主な必要書類】
- 破産申立書
- 債権者一覧表
- 給与明細書
- 所得証明書(直近3ヶ月分程度)
- 銀行口座の通帳(直近1年分程度)など
同居家族がいる場合はさらに追加資料が必要であり、財産の内容を証明する資料(例・登記事項証明書など)も必要です。
これらは申立人の財産状況と借金の実態を、裁判所が破産手続きを始めてよいか判断するために必要となるため、事前に揃えておき、さらに予納金も納める必要があります。
破産手続を開始できない事情がないこと
裁判所が自己破産の申立てを受理しても、機械的に破産手続開始決定(を出すわけではありません。
- 非免責債権ではないか
- 申立てが詐欺的ではないか
- 予納金が支払われているか など
裁判所内で「破産手続を開始できない事情」がないか主に上記のポイントで厳しくチェックされます。
破産手続開始決定を受けるとどうなるか

裁判所から破産手続開始決定が出ると、借金問題の解決に向けて大きく前進する一方で、生活や行動にいくつかの法的効果や制限が発生します。
そこで、本章では破産手続開始決定後に発生する影響について、詳細を解説します。
弁護士に依頼していれば取り立てが止まる
自己破産の手続き全般を弁護士へ依頼しておけば、貸金業者などからの直接的な督促や取立て、給与差し押さえなどの強制執行が法的にストップします。
債権者は個別に財産を回収することが完全に禁止されるため、精神的な平穏を取り戻して生活再建に集中できます。
ブラックリストに登録される
破産開始決定後は、信用情報機関に事故情報が登録されます。
ただし、実際には多くの自己破産のケースで、すでに自己破産よりも前に返済を滞納しているため、ブラックリストに登録されています。
登録期間中(5〜7年程度)は、新規のローンやクレジットカードの作成、スマホ端末の分割購入などの審査に通りにくくなります。
ただし、期間が経過すれば情報は抹消されます。
官報に掲載される
破産手続開始決定後は、国の機関紙である「官報」に、手続きが始まった事実と氏名・住所が掲載されます。
しかし、一般の人が官報を日常的にチェックすることはほぼないため、ここから周囲に破産が発覚するリスクは極めて低く、必要以上に怯える必要はありません。
職業・資格が制限される(手続期間中)
開始決定から免責(借金の免除)が確定するまでの数ヶ月間、特定の職業や資格(弁護士・税理士などの士業、警備員、生命保険の外交員など)を使って仕事をすることが制限されます。
ただし、一般の会社員や公務員などの職業では資格制限はありません。
保証人・連帯保証人に請求がいく
主債務者が破産すると、債権者は保証人や連帯保証人に対して残債の一括請求を行います。
自己破産では特定の借金だけを除外できないため、保証人や連帯保証人にも影響があり注意が必要です。
申立人の債務に保証人や連帯保証人がいる場合は、自己破産手続きに入る前に事情を説明し、対策を話し合っておきましょう。
管財事件では転居・長期旅行に制限がかかる
個人事業主や一定以上の財産がある場合などは「管財事件」となる可能性が高いでしょう。
管財事件の場合、手続き期間中は裁判所の許可なく長期の海外旅行や出張、引っ越しをすることが制限されます。
管財事件では財産・郵便物が管財人に管理される
管財事件では、自分宛ての郵便物が「破産管財人(弁護士)」の元へ転送され、財産隠しがないか開封調査されます(調査後、手元に返却されます)。
また、20万円を超える価値のある財産(家や車など)は処分され、配当に充てられます。
破産手続開始決定から免責までの流れ

自己破産の裁判所に申立てを行う前の段階から準備を進める必要があります。
さらに、申立て後は破産開始決定を経て、さらに手続きを進める必要があり、時間を要するものです。
そこで、本章では自己破産のプロセスについて、破産手続開始決定から免責までの流れを解説します。
弁護士への相談・申立て準備
まずは弁護士に相談し、債務整理の方法でどのような選択肢を選ぶべきかアドバイスをもらいましょう。
方針決定後、弁護士が事件を受任すると債権者へ受任通知を送付し、貸金業者などからの督促を止めます。
その後、自己破産をする場合は速やかに破産申立てに必要な書類を準備します。
必要書類はご自身で取得するものが多いため、弁護士からアドバイスを受けながら進めましょう。
裁判所への申立て・破産手続開始決定
弁護士が代理人として裁判所に自己破産を申立てを行います。申立てには、先ほど準備した書類一式だけでなく予納金も必要です。
裁判所は申立て内容を審査し、「破産手続開始決定」を出します。この決定は、申立てから1〜2週間程度で下りることが一般的です。
同時廃止・管財事件の手続き後に免責許可決定を受ける
破産手続開始決定の後、裁判所によって「同時廃止」か「管財事件」かに振り分けられます。
同時廃止で申立てを行っても、管財事件となるケースもあります。
同時廃止の場合、財産がほぼない事案のため破産管財人も選任されず、開始決定と同時に破産手続が廃止され、通常は破産手続開始決定から3〜4ヶ月程度で免責許可となります。
一方の管財事件の場合、債権者へ配当すべき財産があるため、管財人が財産を調査・処分する必要があります。
さらに債権者集会が開かれ、配当方針が決定されたうえで配当を行い、最終的に破産手続開始決定から6〜12ヶ月程度で免責許可となります。
破産宣告だけでは借金は免除されない

破産宣告という言葉を耳にすると、まるで破産が完了したように感じますが決してそうではありません。
自己破産の流れの1つにすぎないため、十分に注意して手続きに臨む必要があります。
本章では自己破産で借金が免除される手続きの概要についてわかりやすく解説します。
借金が免除されるには免責許可決定が必要
破産手続開始決定を受けた時点で、破産手続きそのものが完了したと誤解する人がいますが、これは大きな間違いです。
破産手続開始決定はあくまで「破産手続を開始する」という決定に過ぎません。借金が帳消しになるのは、その後に下される「免責許可決定」まで待つ必要があります。
通常、破産手続開始決定を受けた後、免責許可決定が下りる確率は極めて高く、手続きが中断することはありません。
免責不許可事由・裁量免責とは?
自己破産の手続きの中では、免責不許可事由や裁量免責という言葉も出てきます。
まず、「免責不許可事由」とは裁判所があらかじめ定めている「免責許可を出せない事情」を指す言葉です。
【主な免責不許可事由】
- 財産隠し・不当な処分
破産申立ての前に、財産を隠したり、意図的に価値を減少させたりする行為 - 詐欺行為
最初から返すつもりがないのに、破産直前にクレジットカードで買い物をすること(換金行為など) - 浪費やギャンブル
収入に見合わないブランド品の購入や投資、競馬・パチンコなどの借金 - 偏頗弁済(へんぱべんさい)
特定の債権者(親族や友人など)だけに優先して借金を返済する行為
免責不許可事由に該当する行為で借金をした場合は、自己破産できないと思う人も多いですが、実は法律では「裁量免責」という制度があります。
免責不許可事由に該当したとしても、「債務者が誠実に対応し、反省の態度を示している」などの事情がある場合、裁判官の裁量により、免責許可決定を下すことが可能です。
破産手続開始決定に関するよくある質問

破産手続開始決定について、手続きの流れや生活への具体的な影響など、疑問を抱えている方は多いでしょう。
相談者様から特によくいただく質問をピックアップして詳しく解説します。大げさな噂や誤った情報に惑わされず、正しい知識を身につけることが重要です。
Q1. 破産手続開始決定による家族への影響はありますか?
破産手続開始決定そのものが家族に法的な影響を与えるようなことはありません。
家族のクレジットカードも問題なく使用でき、家族名義の財産が没収されるようなことはなく、家族の名前が自己破産によって知られてしまう心配も不要です。
ただし、直接的な影響はなくても、注意しておくべきポイントはあります。
破産申立てを行う人の名義で自宅を所有している場合、売却対象になる可能性があります。
また、申立人の家族が連帯保証人や保証人の場合、請求を受ける可能性が高いため、連動して破産するおそれもあるため注意が必要です。
Q2. 免責不許可事由があっても破産手続開始決定は受けられますか?
免責不許可事由があっても、適切に必要書類を提出し、誠実に事情を説明することで免責許可を得られるケースも少なくありません。
免責不許可事由があっても、破産手続開始決定自体は行われます。浪費やギャンブルが借金の理由の場合、確かに免責不許可事由に該当します。
しかし「裁量免責」により免責許可決定が下りる事例は少なくありません。現在所有している財産を決して隠匿したりせず、必要書類も真摯に作成し提出することが大切です。
Q3. 破産手続開始決定から免責まで何ヶ月かかりますか?
同時破産か管財事件かによって、免責許可までに要する期間は異なります。
管財事件よりも短期間で終わりやすい同時廃止の場合、破産手続開始決定から免責許可決定まで3〜4ヶ月程度が一般的です。
一方破産管財人が選任される管財事件の場合、同時廃止よりも長くなる傾向があります。
債権者集会も行われるため、破産手続開始決定から免責許可決定までは6〜12ヶ月程度かかることも少なくありません。
いずれの手続きも必要となる期間に個人差があるため、あくまでも目安としてご参考ください。
自己破産を検討している方は大地総合法律事務所へご相談ください

本記事では破産手続開始決定について、受けるための条件や自己破産との違いなどを詳しく解説しました。
破産手続開始決定はあくまでも自己破産手続きの1つの通過点であり、その実態を正しく理解することが大切です。
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