弁護士法人大地総合法律事務所、代表弁護士の佐久間です。
「借金が100万円ほどでは、自己破産はできないはず」
「毎月の収入があるから、自分は自己破産の条件に当てはまらない」
このように考える方もいますが、どちらもそのままでは正しくありません。
自己破産できるかどうかは、借金の額や収入があるかどうかではなく、今の収入や財産で借金を返し続けられるかどうかで判断されます。
また、自己破産の手続きを始められることと、借金の返済義務が免除されること(免責)は、別々に判断されます。
本記事では、自己破産を考えている方に向けて、自己破産の条件と、手続きができないケースや免責されないケース、条件に当てはまらないときの対処法を解説します。
\毎月の返済が苦しい.../
自己破産の条件で最も重要なのは「支払い不能」であること

自己破産の条件として最も重要なのは、借金を返し続けられない「支払い不能」の状態にあることです。
破産法は、債務者が支払い不能にあるときに、裁判所が申立てにより破産手続きを始めると定めています。
ここでいう支払い不能とは、支払能力がないために、支払期限が来ている借金を全体として継続的に返せない状態のことです。

借金額だけでは自己破産できるか決まらない
破産法には、借金がいくら以上あれば自己破産できるという金額の定めはありません。
裁判所も、破産手続きを始めるかどうかは、収入や財産で借金を返済できるかどうかで判断すると案内しています。
借金額がそれほど大きくなくても、収入や生活状況から見て返済を続けるのが難しければ、自己破産できることがあります。
反対に、借金額が大きくても、安定した収入で今後も返済を続けられる状況であれば、自己破産は認められにくくなります。
収入があっても自己破産できるケースがある
自己破産は、収入のない人だけが利用できる手続きではありません。
大切なのは、収入があるかどうかではなく、その収入で生活を維持しながら借金の返済を続けられるかどうかです。
毎月の収入があっても、生活費を支払うだけで精一杯なら、借金を返し続けるのが難しいと判断されることがあります。
そもそも自己破産の手続きができないケース

自己破産を申し立てても、次のような場合には、裁判所は原則として破産手続きを始めません。
- 収入や財産の状況から見て、支払い不能の状態にあるとはいえない
- 裁判所に納める手続きの費用(予納金)を納められない
- 不当な目的で申し立てたなど、申立てが誠実とはいえない
このうち予納金は、財産が少なく破産管財人(裁判所が選ぶ弁護士で、財産を管理してお金に換える人)を選ばずに手続きを終える「同時廃止」なら比較的少なく済みますが、破産管財人が選ばれる「管財事件」では破産管財人の費用が加わるため多くなります。
どちらになるかは裁判所が判断し、財産が少なくても、借金の経緯などを詳しく調べる必要があるときは管財事件になることがあります。

【関連記事】同時廃止とは?自己破産の管財事件との違いや流れ・費用を解説
自己破産できても借金が免除されないケース

自己破産の手続きが始まっても、事情によっては免責が認められない場合があります。
自己破産には、裁判所で進める破産手続きと、借金の返済義務を免除する免責の手続きがあります。
個人が自己破産を申し立てると、原則として免責の申立てもしたものとみなされ、裁判所が免責を許可するかどうかを判断します。
自己破産で免責が認められないおそれがある主な行為
破産法が定める免責不許可事由をもとに、免責が認められないおそれがある主な行為を表にまとめましたので、参考にしてください。
| 免責が認められないおそれがある行為 | 具体的な例 |
| 浪費やギャンブルで財産を大きく減らしたり過大な借金をしたりした | 収入に見合わないブランド品の購入や遊興費、パチンコや競馬への多額の支出 |
| 債権者に渡らないように財産を隠したり不当に安く処分したりした | 車や保険を家族名義に変える、価値のある財産を家族や知人に安く売る |
| 特定の債権者だけを有利にしようと、期限前に返したり、約束にない担保を差し出したりした | 身内や勤務先からの借金だけを返済日より前にまとめて返す |
| クレジットカードで買った商品をすぐに安く売ってお金に換えた | いわゆるカードの現金化 |
| 返せない状態だと分かっていながら、うそをついてお金を借りた | 申立ての1年前から、収入や借金の額を偽ってローンを組む |
| うその債権者の一覧を出したり裁判所にうその説明をしたりした | 身内や友人からの借金をわざと一覧に書かない、借金の理由や財産を偽る |
| 裁判所や破産管財人の調査に協力しなかった | 求められた資料を出さない、説明を拒む |
期限が来た借金でも、家族や知人など一部の相手にだけ偏って返したり、申立ての前に財産を家族の名義に移したりすると、免責の手続きで問題とされることがあります。
免責不許可事由があっても裁量免責が認められるケースがある
免責不許可事由がある場合でも、「裁量免責」によって借金の免除が認められる場合があります。
破産法は、免責不許可事由に当たる場合でも、裁判所が破産に至った経緯などあらゆる事情を考えて、免責を許可するのがふさわしいと判断したときは、免責を許可できると定めています。

【関連記事】免責不許可事由とは?該当しても裁量免責されうる理由
自己破産で免責されても残る税金や養育費
免責が認められても、税金や養育費など、法律によって支払いの義務が残る「非免責債権」があります。
主なものは次のとおりです。
- 税金や、国民健康保険料・国民年金保険料
- 子どもの養育費や婚姻費用
- わざと、または重大な不注意で人にけがをさせた場合などの損害賠償金
- 罰金
- 知りながら債権者の一覧に書かなかった借金(貸した人が破産手続きの開始を知っていた場合を除く)
「借金のほとんどが税金の滞納」というケースでは、自己破産をしても負担の多くが残るため、事前に負債の内訳を正確に把握しておくことが重要です。
知りながら書かなかった借金は免責されないことがあるため、借入先は思い出せる限りすべて書き出しておきましょう。
自己破産できない場合の対処法

自己破産の条件に当てはまらない場合は、任意整理や個人再生といったほかの債務整理の手続きを検討します。

任意整理を検討する
自己破産が難しい場合でも、任意整理によって毎月の返済負担を軽減できる場合があります。
任意整理とは、弁護士が裁判所を通さずに債権者と交渉し、将来利息や遅延損害金のカット、返済期間の延長などを目指す手続きです。
自己破産のように借金そのものを免除できるわけではないため、今後も継続して返済できる見込みがあるかどうかが重要です。
実際に大地総合法律事務所でも、複数社への返済で利息負担が重くなっていた方に対し、将来利息をカットして早めの完済を目指す任意整理を提案した事例があります。
個人再生を検討する
自己破産や任意整理では解決が難しい場合は、個人再生を検討する方法があります。
個人再生とは、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3年程度で分割返済していく手続きです。
継続的な収入があることが前提となるため、再生計画に沿って返済を続けられる見込みがあるかどうかが重要です。
自己破産の条件についてよくある質問

ここでは、自己破産の条件についてよくいただく質問を3つ紹介します。
Q1.生活保護を受けていても自己破産できる?
生活保護を受けていても、自己破産を申し立てることは可能です。
生活保護受給者は、借金の返済を続けるだけの余力がないと判断されることも多く、支払い不能と認められる可能性があります。
Q2.住宅ローンがあっても自己破産できる?
住宅ローンが残っている場合でも、自己破産の申立ては可能です。
ただし、住宅ローンのある持ち家は、手続きのなかで処分の対象になることが一般的です。
また、免責が認められれば、住宅ローンの残債についても、ほかの借金と同じように支払い義務が免除される可能性があります。
なお、家族が連帯保証人になっている場合は、免責されても連帯保証人の支払い義務は残り、残ったローンの請求は連帯保証人に向かいます。
自宅を手放したくない場合は、住宅ローンの返済を続けながらほかの借金を減らす個人再生の住宅資金特別条項(一般に住宅ローン特則と呼ばれるもの)を使えるかどうかを検討することになります。
Q3.自己破産が2回目でも免責は認められる?
2回目の自己破産でも、免責が認められる可能性はあります。
ただし、1回目よりも慎重に判断されることがあります。
特に、前回の免責許可の決定が確定した日から7年以内の申立ては免責不許可事由に当たるため、7年が経過しているかどうかは重要なポイントになります。
7年以内であっても、裁量免責が認められる余地はあります。
【関連記事】2回目の自己破産はできる?免責が認められやすくなるための3つのポイント
自己破産の条件に当てはまるか迷ったら大地総合法律事務所にご相談ください

自己破産を進めるには、裁判所から支払い不能の状態にあると判断される必要があり、借金が免除されるかどうかは免責の手続きで別に判断されます。
大地総合法律事務所では、自己破産を含む借金のご相談を受け付けております。
自分が自己破産の条件に当てはまるのか分からない方は、まずは一度無料相談をご利用ください。
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参考文献