弁護士法人大地総合法律事務所、代表弁護士の佐久間です。
「まだ毎月払えているから、債務整理をするほどではない」
「債務整理をしたら、もう普通の生活には戻れない」
このように考える方もいますが、どちらもそのままでは正しくありません。
毎月払えていても、その返済のために別のところから借りていたり、利息ばかりで元金が減っていなかったりするなら、返し終える見通しは立っていません。
また、債務整理をしても戸籍や住民票に載ることはなく、どの手続きにも共通する影響は、数年間ローンやクレジットカードの審査に通りにくくなることです。
本記事では、債務整理をするべきか迷っている方に向けて、判断の目安、債務整理をしない方がいい人、手続きの選び方、債務整理をするとどうなるかを解説します。
\毎月の返済が苦しい.../
債務整理をするべきかは完済の見通しで判断する

債務整理をするべきかどうかは、借金の額だけでなく、今の収入から生活費を削りすぎずに、新たに借りないで返し終えられる見通しがあるかどうかで判断します。
次のどれかに当てはまる場合は、その見通しが立っていない可能性があります。
- 返済のために、別のカードローンやキャッシングで借りている
- 毎月の返済のほとんどが利息に消え、残高がなかなか減らない
- 返済が遅れ始めた、または督促や一括請求の通知が届いている
- 収入が減り、返済を優先すると生活費が足りない
借金の総額と毎月返せる額から返済にかかる期間を確かめる
返し終える見通しを数字で確かめるには、借金の総額を、毎月無理なく返せる額で割ってみてください。
金融庁が自治体の相談窓口向けに作った多重債務者相談マニュアルは、この数字が36を超えないかどうか、つまり借金を3年で返せるかどうかを、手続きを選ぶ1つの判断基準に挙げています。
ここでいう毎月無理なく返せる額は、毎月の収入から家賃や食費、最低限のお小遣いなどの生活費を除いた額で、飲まず食わずで切り詰めた額ではありません。
例えば、借金が120万円で毎月無理なく返せる額が4万円なら、120万円÷4万円=30で、3年以内に収まります。
これは利息を付けない計算で、今の契約のまま利息を払い続けると、返し終えるまでの期間はもっと長くなります。
3年以内なら任意整理などで将来の利息を止めて返していく方法、超えるなら個人再生や自己破産を考えるのが、このマニュアルの考え方です。
返済の遅れや一括請求の通知が始まっている場合
返済日から61日以上または3か月以上支払いが遅れると、信用情報機関のCICには「異動」と登録されます。
さらに延滞が続くと、多くの契約では分割で払う権利(期限の利益)を失い、残債の一括返済を求められることになります。
一括請求に応じられないままでいると、裁判所から訴状や支払督促が届き、給与や預金の差押えに進むことがあります。
こうした通知が届いた後でも、債務整理を始めることは可能です。
給与の差押えは、個人再生や自己破産の手続きで止められる場合があります。
債務整理を「しない方がいい人」の条件・特徴

返済を続ける見通しが立っていて、債務整理で軽くなる負担が小さい場合は、債務整理をしない方がよいことがあります。
一時的にお金が足りないだけで返済を続けられる人
突発的な医療費や一時的な収入減など、短期間で解消が見込めるお金の不足で、もともとの返済計画を大きく崩さずに立て直せる場合は、無理に債務整理を選ばない方がよいことがあります。
数か月の一時的な赤字のために、数年間ローンやクレジットカードの審査に通りにくくなるのは、割に合わないといえます。
支出の一時抑制や賞与月への重点配分など、家計の再配分で乗り切れるなら、そのまま通常返済を継続するという選択肢が現実的です。
ただし、足りない分を新たな借入れでしのぐと、かえって返済が苦しくなります。
任意整理しても月の返済額があまり下がらない人
任意整理は将来利息のカットや分割回数の延長で月額負担を軽くする手続きですが、借金の元本は原則として減りません。
次のようなケースでは、交渉で得られる軽減幅が限定的になり、毎月の返済額がほとんど下がらないことがあります。
- もともとの金利が低い(銀行カードローンなど)
- 残りの返済期間が短い
- 借金額が小さい
そうすると、弁護士費用や、数年間ローンやクレジットカードの審査に通りにくくなるデメリットの方が大きくなる可能性が高いです。
その場合は、自力で完済するか、個人再生など借金そのものを減らす手続きにするかを、試算してから決めるのが安全です。
住宅・自動車ローンの審査を優先したい人
近い将来(目安として数年以内)に住宅ローンや自動車ローンの審査を受ける計画が明確にあり、現在は延滞なく返済継続が可能な方は、債務整理を避けた方がよい場面があります。
ただし、この判断は返済が持続可能であることが前提です。
すでに返済のために借入れをしている、滞納や一括請求の兆候があるといった場合は、将来のローン計画よりも今の生活を守ることが優先です。
延滞が続けば、債務整理をしなくても信用情報には「異動」が登録されます。
【関連記事】債務整理のデメリットとは?共通・手続き別のポイントや対処法を解説
債務整理をするとどうなる?
債務整理をすると督促が止まる一方で、信用情報に記録が残るなどの影響もあります。

債務整理をすることのメリット
弁護士が債務整理を引き受けると、まず各債権者に「受任通知」を送ります。
受任通知が届いた後は、本人への督促は止まるのが通常です。
特に消費者金融などの貸金業者は、受任通知の後に正当な理由なく電話や訪問で本人に返済を求め続けることが、貸金業法で禁じられています。
また、任意整理で将来の利息をカットする合意ができれば、返した分だけ元金が減っていくようになります。
債務整理をすることのデメリット
事故情報が登録されると、おおむね5〜7年の間は新たなクレジットカードやローンの審査が通りづらくなります。
任意整理の場合、この期間は返し終えた時点から数えるのが一般的なので、返済中も含めるともっと長くなる点に注意が必要です。
また、保証人のついた借金は、個人再生や自己破産をすると保証人に請求がいきます。
自己破産では、99万円までの現金や生活に欠かせない家財などは手元に残りますが、それ以外の価値のある財産は原則として手放すことになります。
自己破産の手続き中は、生命保険の外交員や警備員など一部の仕事に就けない制限もあり、免責許可の決定が確定すると解けます。
債務整理が会社・家族に知られる可能性
任意整理であれば、基本的に会社に通知が行くことはありません。
個人再生や自己破産の場合も、給与差押えなど特殊なケースを除き、勤務先に直接通知が届くことはありません。
ただし、個人再生と自己破産では、手続きが始まったことなどが国の発行する官報に載ります。
また、家族には郵便物や裁判所からの書類をきっかけに知られることがあるため、連絡方法などプライバシーに配慮してくれる弁護士事務所を選ぶと安心です。
【関連記事】債務整理したらどうなる?カード・携帯・仕事への影響と続く期間を解説
任意整理・個人再生・自己破産はどう選ぶ?

どの手続きを選ぶかは、借金を3年ほどで返せるかと、定期的な収入があるかで大きく分かれます。
3年ほどで返せるなら任意整理、返せなくても定期的な収入があれば個人再生、収入がなく返済の見込みが立たなければ自己破産が候補になります。
このほかに、裁判所の特定調停という方法もあります。
3つの手続きの違いを表にまとめましたので、参考にしてください。
| 手続き | 裁判所 | 借金の減り方 | 利用の主な条件 |
| 任意整理 | 通さない | 将来の利息を止め、残った元金を分割で返す | 債権者が話し合いに応じること・分割で返し続けられる収入 |
| 個人再生 | 通す | 借金を法律の基準に沿って減らし、原則3年で分割して返す | 継続的な収入があり、住宅ローンなどを除く借金が5,000万円以下 |
| 自己破産 | 通す | 免責が認められれば、税金などを除き支払義務がなくなる | 借金を払えない状態(支払不能)であること |
表のとおり、借金そのものを減らせるのは個人再生と自己破産で、任意整理は将来の利息を止めて元金を分割で返していく手続きです。
【関連記事】個人再生と自己破産の違いは?特徴や選び方を解説
債務整理についてよくある質問

ここでは、債務整理についてよくいただく質問を3つ紹介します。
Q1.債務整理は何年で終わる?
手続きによって違い、任意整理なら3〜5年ほどで返済が完了するのが一般的です。
個人再生は、相談から再生計画の認可まで1年ほどかかることがあり、その後、原則3年(特別な事情があれば最長5年)かけて返済します。
自己破産は、破産管財人が選ばれない場合で申立てから免責の確定まで少なくとも4か月ほど、破産管財人が選ばれる場合は6か月以上かかるのが通常です。
Q2.債務整理をしたら携帯電話は買える?
端末代の分割払いは審査に通らないことがありますが、一括で購入すれば買えるのが一般的です。
ただし、携帯料金の滞納を債務整理の対象にした場合は、その携帯会社との新しい契約が難しくなることがあります。
Q3.債務整理をするべきか決めていなくても相談できる?
相談できます。
相談しただけで債務整理の手続きが始まることはなく、依頼するかどうかは、どの手続きが合うかや費用の説明を聞いてから決められます。
借入先と残高、毎月の返済額が分かるものがあれば、返済にかかる期間の目安をその場で確かめることも可能です。
債務整理をするべきか迷ったら大地総合法律事務所にご相談ください

債務整理をするべきかは、借金の総額と毎月無理なく返せる額から、返し終える見通しが立つかどうかで判断します。
大地総合法律事務所では、債務整理を含む借金問題のご相談を受け付けております。
ご相談の段階から弁護士が直接対応しますので、自分が債務整理をするべきか判断がつかない方は、まずは一度無料相談をご利用ください。
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参考文献
- 多重債務者相談マニュアル(平成20年3月)|金融庁
- 債務整理の方法についてのQ&A|大分地方裁判所
- 貸金業法のキホン|金融庁
- お借入れは年収の3分の1まで(総量規制について)|日本貸金業協会
- 「信用情報開示報告書」表示項目の説明|CIC
- 支払いが遅れると、ブラックリストとしてCICに登録されるのですか?|CIC
- CICが保有する信用情報|CIC
- 信用情報の内容と登録期間|日本信用情報機構(JICC)
- 個人情報の取扱い|全国銀行個人信用情報センター
- 貸金業法(昭和58年法律第32号)第13条の2・第21条|e-Gov法令検索
- 民事再生法(平成11年法律第225号)第177条・第198条・第221条・第229条・第231条|e-Gov法令検索
- 破産法(平成16年法律第75号)第2条・第15条・第34条・第253条・第255条|e-Gov法令検索
- 民事執行法(昭和54年法律第4号)第131条|e-Gov法令検索
- 民事執行法施行令(昭和55年政令第230号)第1条|e-Gov法令検索