「どうせ返すから闇金(ヤミ金)から借りても大丈夫」と、安易な気持ちで考えていませんか?
あるいは、すでに借りてしまった後も「きちんと返済すれば、すぐに縁が切れるはずだ」と希望的に考えているかもしれません。
その「返せば終わり」という一見当たり前の考えこそが、あなたを借金地獄に引きずり込む最も危険な罠なのです。
本記事では、なぜその「返せば大丈夫」という考えが危険なのか、完済後に待ち受ける本当の地獄を弁護士が徹底解説します。
そして、闇金に返済せずに、より安全に関係を断ち切るための解決策も分かります。
取り返しのつかない事態になる前に、この記事で正しい知識を身につけてください。
なお、ソフト闇金を完済した方や、完済したのに連絡や入金が続いている方が今からできることも、あわせて解説します。
\毎月の返済が苦しい.../
闇金(ヤミ金)に借りても返せば大丈夫が危険な理由

あなたが信じたい「返せば大丈夫」という希望的観測は、残念ながら闇金には通用しません。
仮に完済したとしても、闇金業者にとって「もっと搾り取れる優良な顧客」というサインを送っているのと同じことです。
ここでは、完済したあとにあなたを待ち受ける、3つの巧妙な罠について解説します。

なぜこんなことが起きるのでしょうか?

完済は、彼らにとっては次の手口を仕掛ける合図に過ぎません。
完済後に口座に新たな入金をされる押し貸し
あなたが指定された口座にお金を振り込み、安堵したのも束の間、数日後にあなたの銀行口座に見知らぬ入金があるかもしれません。
これが「押し貸し」と呼ばれる、極めて悪質な手口です。
闇金業者は「返済実績のある優良顧客だから、また貸してあげた」などと一方的に主張し、新たな借金をでっち上げます。
もちろん、あなたが頼んだわけでも、契約したわけでもありません。
しかし、一度口座に入金されてしまった事実を盾に、法外な利息を上乗せして新たな取り立てが始まります。
完済したはずが、以前よりも悪質な借金地獄に引きずり込まれてしまうのです。
【関連記事】押し貸し詐欺とは?ヤミ金業者の手口や被害事例・適切な対処法を弁護士が解説
ちゃんと完済したのに手数料や延滞金を請求されることがある
「完済したはずでは?」と抗議しても、闇金業者は聞く耳を持ちません。
「手数料が未納だった」「延滞金が発生している」「保証料を払え」など、あの手この手で理由をつけて追加の支払いを要求してきます。
彼らの目的は、あなたを混乱させ、恐怖心から思考停止に陥らせることです。
一度でも支払いに応じてしまうと、その要求はエスカレートし、返済総額は雪だるま式に増え続けます。
完済した後に追加の請求が来たら、払わずに請求のメッセージや着信の記録を残し、その日のうちに弁護士にご相談ください。
個人情報が優良カモリストとして他の闇金に売買される
あなたが闇金に伝えた氏名や住所・電話番号・勤務先・銀行口座といった個人情報は、非常に高い価値を持つ「商品」として扱われます。
特に、「言われた金額を素直に支払った」というあなたの完済実績は、「脅せば金を払う優良なカモ」というお墨付きになります。
あなたの個人情報は、闇金ネットワークのなかで高値で売買され、リスト化されてしまうのです。
その結果、今まで関係のなかった全く別の闇金業者から、次々と融資の勧誘や脅迫の電話がかかってくるようになります。
一度返済してしまうと、あなたの個人情報は犯罪者たちの間で共有され続けるおそれがあります。
【関連記事】闇金(ヤミ金)とは?違法な取り立ての実態と返済義務・対処法を解説
ソフト闇金も完済後の3つの罠は同じ
ソフト闇金で借りて完済した場合も、ここまで解説した3つの罠に注意が必要です。
ソフト闇金とは、丁寧な対応や穏やかな取り立てをうたって近づいてくる闇金のことです。
東京都も、「ソフト闇金」を名乗る業者とのトラブルが起きているとして注意を促しています。
対応がどれだけ穏やかでも、登録を受けずにお金を貸している業者であれば、違法な闇金であることに変わりはありません。
SNSの個人間融資でも、借りる条件として送った運転免許証の画像などが、返済した後にネットでさらされるケースがあると、国が注意を呼びかけています。
相手が登録を受けた業者かどうかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で調べられます。
闇金に借りても大丈夫と思ってしまうのはなぜ?

これほど危険であるにもかかわらず、なぜ多くの人が「返せば大丈夫」と信じてしまうのでしょうか。
ここでは、あなたがそう考えてしまう3つの心理的な理由を解説します。

しかし、その真面目さこそが、闇金にとっては都合のいい考え方なのです。
「完済すれば終わりだろう」という相手への甘い期待と希望的観測
「いくら違法な相手でも、さすがにお金を全額返せば、もう関わってこないだろう」と相手の行動を一般常識の範囲で予測し、甘い期待を抱いてしまうことがあります。
しかし、何度もいうように、闇金の目的はあなたとの関係を続けることです。
彼らの世界では、「完済=終了」ではなく、「完済=次のビジネスチャンス」でしかありません。
「借りたものは返すのがあたり前」というまじめさと責任感
「借りたものは、きちんと返す」、これは、私たちが社会で生きていくうえで、あたり前の道徳観であり、誠実さの証です。
あなたも、この強い責任感を持っているからこそ、「闇金相手でも約束は守らなければ」と考えてしまうのでしょう。
しかし、その常識が全く通用しないのが闇金です。
彼らは、あなたの真面目さや責任感を逆手にとって、犯罪行為である貸付を正当化し、あなたからお金を搾り取ろうとします。
あなたの誠実さは、闇金に対してではなく、あなた自身の人生を守るために使うべきです。
誰にもバレずに穏便に済ませたいという気持ち
闇金からお金を借りてしまったことを、家族や職場に知られたくないと考えるのは当然のことです。
「事を荒立てず、自分がお金を払うだけで静かに終わるなら、それが1番いい」という気持ちから、返済という選択肢を選んでしまいがちです。
しかし、闇金はその心理を完全に見抜いています。
「この相手は外部に助けを求めない」と判断すると、より強気な要求を突き付けてきます。
穏便に済ませようとするあなたの気持ちが、かえって問題を長期化させ、被害を拡大させる原因になってしまうのです。
闇金への返済は原則不要!返さなくていい法的根拠

「返さないのは、人として許されないのでは…」と、罪悪感を抱く必要は一切ありません。
なぜなら、あなたの「返さない」という選択は、法律で定められている正当な権利だからです。
ここでは、原則として闇金にお金を1円も返す必要がない、3つの強力な法的根拠を解説します。

闇金の貸付は、法律上「無効」な契約です。
ですから、利息はもちろん、元金さえも返す義務は一切ありません。
法律があなたの味方です。
不法原因給付で闇金は貸したお金の返還を請求できない
民法には「不法原因給付」というルールがあります。
これは、「悪いこと(違法な目的)のためにお金を渡した人は、後からそのお金を返せと主張することはできません」という意味です。
闇金が行う法外な利息での貸付は、まさにこの「悪いこと」に該当します。
そのため、闇金業者は、法律上あなたに「貸した金を返せ」と請求する権利を持たないのです。
あなたが受け取ったお金は、返済義務のないお金ということになります。
民法90条「公序良俗違反」|暴利行為による契約は無効
民法にはもう1つ、「公序良俗に反する法律行為は無効とする」という大原則があります。
公序良俗とは、簡単にいえば「社会の常識や道徳」のことです。
闇金が行うような、常識を逸脱した高金利での貸付(暴利行為)は、まさにこの公序良俗に反する行為です。
そのため、あなたと闇金の間で交わされたつもりの貸付契約そのものが、最初から「無効」となります。
無効な契約ですから、あなたは契約に従う必要、つまりお金を返す必要が一切ないのです。
出資法違反|年109.5%を超える金利は刑事罰の対象
出資法という法律では、貸金業者が取っていい金利の上限が厳しく定められています。
個人間の貸し借りであっても、年109.5%を超える金利でお金を貸した場合、それは犯罪(刑事罰の対象)となります。
お金を貸すことを商売にしている業者であれば、年20%を超える金利で契約しただけでも刑事罰の対象です。
年109.5%を超えれば、刑罰はさらに重くなります。
闇金が要求する「1週間で2割」「10日で5割」といった金利は、すべてこの法律に違反する犯罪行為です。
このように年109.5%を超える金利で業者が貸し付ける契約は、貸金業法で契約そのものが無効とされています。
闇金の言う「返済」に、あなたが応じる義務はありません。
完済までに闇金に払ったお金は取り戻せる?
ここまでの法的根拠は、すでに完済した方にも関係します。
闇金に払ったお金を、完済した後でも取り戻せる可能性があるためです。
最高裁判所は、著しく高い金利で貸し付けていた闇金業者の側に、借りた人が払ったお金の賠償を求めた裁判で、業者が貸したお金の分を差し引くことは許されないと判断しています。
そのため、返済として払ったお金に当たる額を、損害として請求できる余地があるのです。
また、振込先の口座が凍結されていれば、口座に残っているお金の範囲で分配を受けられる制度(振り込め詐欺救済法)があり、闇金への振込も対象です。
口座に残ったお金の分配は申請できる期間が決まっていて、過ぎると受け取れないため、早めの確認が大切です。
振込先の金融機関と警察には、その日のうちに振込の事実を伝えておきましょう。
振込の明細やメッセージの記録は、払ったお金を示す手がかりになるため、完済した後も消さずに残しておいてください。
記録をお手元にご用意の上、弁護士にご相談ください。
返済せずに闇金と関係を断つなら弁護士に依頼する

法的根拠があるからといって、あなたが1人で「返しません」と伝えても、闇金業者が素直に聞き入れるとは限りません。
返済という危険な選択を避け、あなたの主張を法的に通して関係を断ち切るための有効な方法が、弁護士への相談です。
受任通知が届くと本人への取り立ては法律で規制される
弁護士は、依頼を受けるとただちに「受任通知」を闇金業者に送付します。
これは、弁護士があなたの代理人になったことを法的に宣言する通知です。
この通知を受け取った業者が、正当な理由なく電話や訪問であなた本人に返済を求め続けることは、法律で禁止されています。
この決まりは、登録を受けていない闇金業者にも及びます。
ただし、闇金は法律を守らない相手のため、通知の後も連絡が来ることがあり、その場合はご自身で対応せず、弁護士にお伝えください。
法的知識と交渉力:すべて弁護士が代理で行ってくれる
闇金との交渉には、高度な法的知識と、相手の脅しに屈しない強い交渉力が不可欠です。
弁護士は、法的根拠をもとに、あなたに返済義務がないことを毅然と主張します。
危険で精神的負担の大きい交渉は、すべてプロである弁護士が代理で行います。
あなたが業者と直接話す必要はありません。
弁護士なら警察では扱えないお金の問題まで解決を目指せる
警察は暴力や脅迫といった刑事事件には対応してくれますが、「民事不介入」の原則から、借金問題そのものをゼロにすることはできません。
弁護士であれば、契約が無効であることを根拠に業者と交渉し、お金の問題まで含めて解決を目指せます。
もちろん、業者が暴力的であれば警察と連携し、あなたの安全を第一に考えて手続きを進めます。
返済するはずだったお金が新しい人生のスタート資金になる
あなたが闇金に返済しようと用意していたお金は、生活を立て直す貴重な資金になります。
闇金を喜ばせるためではなく、あなた自身の未来のために、そのお金を有効に使いましょう。
【関連記事】闇金(ヤミ金)対応は弁護士に相談!無料相談から始める解決までの流れ
闇金(ヤミ金)問題をスムーズに解決するために避けたい3つの行動

弁護士に相談する決心がついた後、解決をよりスムーズに進めるために、あなたが避けるべき行動があります。
良かれと思って取った行動が、かえって事態を複雑にしてしまうこともあるのです。
ここでは、問題解決の成功のために、避けるべき3つの行動を解説します。

弁護士が介入する前に業者を刺激すると、嫌がらせがエスカレートする可能性があります。
相談を決めたら、払う約束などはせず、できるだけ早く弁護士に任せてください。
闇金の連絡先をブロックしたまま相談せずに放置する
恐怖心から、闇金からの電話を着信拒否したり、LINEをブロックしたりしたくなる気持ちはよくわかります。
しかし、ブロックしただけで相談せずにいると、業者を刺激することがあります。
あなた本人と連絡が取れなくなった業者は、次にどこへ連絡するでしょうか。
多くの場合、あなたの職場や家族、緊急連絡先へと嫌がらせの電話をかけ始め、被害が一気に拡大してしまいます。
弁護士に依頼するまでは、電話に出る必要はありませんが、着信履歴は残しておくようにしましょう。
ブロックする場合も、その前にメッセージの画面を残し、そのまま放置せずに弁護士にご相談ください。
「後で払う」と闇金に答えて時間を稼ぐ
「もう払えないから」と、返済日を無断で無視したり、その場しのぎに「後で払う」「もう少し待ってほしい」と答えたりするのも避けるべきです。
これは業者に攻撃の口実を与えることになり、厳しい取り立てが始まるきっかけになります。
警察も、こうしたその場しのぎの対応は、かえってしつこい取り立てを招くと注意を呼びかけています。
弁護士に依頼すれば、支払わないことを業者に伝えるのは、受任通知を送る弁護士の役目です。
1人で解決しようと闇金と直接交渉する
「元金だけなら返すから、それで終わりにできないか」など、1人で闇金と交渉しようとすることは、絶対にやめてください。
相手は、あなたの弱みにつけ込んで交渉を有利に進めるプロです。
言いくるめられて不利な念書を書かされたり、さらなる金銭を要求されたりするだけで、よい結果になることはありません。
交渉は、必ず法律のプロである弁護士に任せるようにしてください。
闇金(ヤミ金)を返せば大丈夫と思っている方が抱くよくある質問

最後に、「返せば大丈夫」と考えている方が、行動を起こす直前に抱きがちな、より具体的な疑問にお答えします。
あなたの最後の不安を解消するための参考にしてください。
しかし、どのような手口であれ、違法なものは違法です。
心配な点は、ここで解消していきましょう。
闇金を完済したのに連絡や入金があるときはどうする?
追加の請求や借入れの勧誘には応じず、早めに弁護士にご相談ください。
身に覚えのない入金があっても、業者に言われるままに返したり、利息を払ったりせず、そのお金には手を付けずに残しておいてください。
口座や通帳、キャッシュカード、新しい個人情報も渡さないようにしましょう。
預金口座や通帳を人に売ったり貸したりすると、お金を受け取らなくても罪に問われることがあります。
脅しの電話やメッセージが届いたら、その日のうちに警察相談専用電話(#9110)や最寄りの警察署に相談しましょう。
自宅や勤務先に押しかけられたときは、すぐに110番通報してください。
Xの個人間融資や後払い現金化も同じように返さなくて大丈夫ですか?
法外な利息や手数料については、法律上返済義務がありません。
一方で、元本(借りたお金)については、貸す側の違法性や取引の内容によって返済義務が減額されたり、免除されることがありますが、必ずしも全額返さなくてよいとは限りません。
Xなどで見られる「個人間融資」や「後払い・ツケ払い現金化」「先払い買い取り」といった手口は、無登録で貸金業を行う違法な貸付であることが多いです。
後払い・ツケ払い現金化は、商品を後払いで買ってレビューを投稿すると現金が手に入り、後で受け取った額より高い代金を払う手口です。
先払い買い取りでは、買取代金の名目で先にお金を渡され、後から代金の返還と違約金を求められます。
しかし、返済義務の有無は事案ごとに判断されるため、心配な場合は弁護士などの専門家に相談することが安全です。
脅されて送ってしまった免許証の写真や家族の連絡先はどうなりますか?
放置すれば、あなたの個人情報がネット上に晒されたり、家族や職場に送りつけられたりする危険性があります。
しかし、弁護士は業者に対し、「情報の不正利用は重大な犯罪行為であり、実行した場合は即座に刑事告訴する」と強く警告できます。
こうした警告によって、業者が情報の悪用を思いとどまることも期待できるでしょう。
銀行口座の情報を教えてしまいました。犯罪に使われたり凍結されたりしませんか?
リスクはゼロではないため、非常に危険な状態です。
あなたの口座が、別の被害者からのお金の振込先に指定されるなど、意図せず犯罪の片棒を担がされる可能性があります。
そうなると、あなたの口座が凍結されてしまう危険もあります。
そうした二次被害を防ぐためにも、口座の情報を伝えてしまったときは、すぐに弁護士にご相談ください。
闇金の返済中も完済後も大地総合法律事務所にご相談ください
本記事では、なぜ「闇金に返せば大丈夫」が危険なのか、そして、本当に安全な解決策がどこにあるのかを中心に解説しました。
闇金問題は、放置すればするほど、あなたの人生を蝕んでいきます。
あなたが闇金に振り込もうとしているそのお金は、決して闇金を喜ばせるために使ってはいけません。
そのお金は、あなたの人生を再建し、平穏な日常を取り戻すための、大切な資金にするべきです。
大地総合法律事務所では、闇金への返済中や完済後の請求・連絡についてのご相談を受け付けています。
1人で悩まず、ぜひご相談ください。
\毎月の返済が苦しい.../
参考文献
- 新たな手口のヤミ金融に注意!「#個人間融資」「後払い(ツケ払い)現金化」「先払い買取現金化」|政府広報オンライン
- 警察に対する相談は警察相談専用電話「#9110」番へ|政府広報オンライン
- 振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ|金融庁
- 登録貸金業者情報検索サービス ご利用上の注意|金融庁
- 金融トラブルに注意しましょう(令和5年6月時点)|東京都
- ヤミ金被害に遭わないために|宮城県警察
- ヤミ金業者からの取り立て|宮城県警察
- 振り込め詐欺救済法とは|全国銀行協会
- 口座の売買|全国銀行協会
- 民法(明治29年法律第89号)第90条・第708条|e-Gov法令検索
- 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和29年法律第195号)第5条|e-Gov法令検索
- 貸金業法(昭和58年法律第32号)第11条・第21条・第42条|e-Gov法令検索
- 犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(平成19年法律第133号)第2条・第3条|e-Gov法令検索
- 犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)第26条|e-Gov法令検索
- 最高裁判所第三小法廷 平成20年6月10日判決(平成19年(受)第569号)|裁判所