「借金があって税金が払えない…。納税しないとどうなるんだろう」「滞納してしまった場合に取るべき行動ってなんだろう」と悩んでいる方もいるでしょう。
納税は教育・勤労と並ぶ国民の三大義務のうちの1つですが、借金や生活苦が原因で払えないという方も多いです。
ただし、いかなる理由であれ税金が払えないと国税庁から督促状が届き、高額な加算税や財産の差し押さえなど、厳しい処罰が課せられてしまうのが現実です。
本記事では、税金が払えない場合に起こることや滞納してしまった場合の対策、弁護士に相談する3つのメリットをご紹介します。
未払いの税金や滞納について気になる方はチェックしてみてください。
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税金の差し押さえを回避する方法|期限内に猶予制度を申請することが基本です
税金の差し押さえを回避する現実的な方法は、督促を放置せず、法律が定めた猶予制度を期限内に申請することです。
税金は一切待ってもらえないと思われがちですが、国税にも地方税にも、納付を待ってもらったり分割で納めたりするための手続きが法律上用意されています。
まずは、差し押さえを回避するために取れる行動を整理しておきましょう。
| 取れる行動 | 申請できる期間 | 根拠となる条文 |
| 申請による換価の猶予を申請する(国税) | 納期限から6か月以内 | 国税徴収法151条の2第1項 |
| 納税の猶予を申請する(国税) | 条文が定める事実に該当するとき | 国税通則法46条2項 |
| 徴収猶予・換価の猶予を申請する(地方税) | 自治体の条例が定める期間内 | 地方税法15条・15条の6 |
| 督促状を持参して税務署・納税課で相談する | 督促状が届いたらすぐ | 実務上の対応 |
差し押さえを避けられるかどうかは、滞納に気づいた時点でどれだけ早く申請と相談に動けるかで大きく変わります。


法律が定めた要件を満たしているかどうかを税務署長や自治体の長が判断します。
まずは要件と期限を正確に押さえるところから始めましょう。
申請による換価の猶予は納期限から6か月以内に申請する
国税を一時に納めることで事業の継続または生活の維持が困難になるおそれがあり、納税について誠実な意思があると認められる場合には、換価の猶予を申請できます。
国税徴収法151条の2第1項が定める申請期間は、その国税の納期限から6か月以内です。
申請の際は、申請書に財産目録や担保の提供に関する書類などを添付し、税務署長に提出します(同条3項)。
猶予が認められた場合に起きることは、次のとおりです。
- 猶予期間は1年以内で、その期間内の各月に分割して納付する(国税徴収法152条1項)
- 必要と認められれば、事業の継続や生活の維持を困難にするおそれのある財産の差押えが猶予され、または解除されることがある(同条2項)
参考:国税庁「G-9 換価の猶予の申請手続」
なお、申請する国税以外に滞納があるときは、原則としてこの制度を利用できません(国税徴収法151条の2第2項)。
複数の滞納を抱えている方は、どこから手を付けるべきかを窓口で相談してみてください。
納税の猶予は災害・病気・廃業などの事情があるときの制度
納税の猶予は、国税通則法46条2項が挙げる次の事実があり、国税を一時に納付できないと認められるときに申請できる制度です。
- 財産について災害を受け、または盗難にかかったこと
- 本人または生計を一にする親族が病気にかかり、または負傷したこと
- 事業を廃止し、または休止したこと
- 事業について著しい損失を受けたこと
- これらのいずれかに類する事実があったこと
猶予される期間は1年以内で、分割納付も認められます(同条4項)。
やむを得ない理由があれば期間の延長を申請できますが、すでに猶予を受けた期間と合わせて2年を超えることはできません(同条7項)。
担保は原則として必要になるものの、猶予に係る税額が100万円以下のときや猶予期間が3か月以内のときなどは不要とされています(同条5項)。
参考:e-Gov法令検索「国税通則法」


ただ、換価の猶予は生活の維持が困難になるおそれで判断されます。
家計の実情を資料できちんと示す意味は小さくないでしょう。
猶予が認められると延滞税の一部が免除されることがある
猶予制度には、延滞税の負担を軽くする効果もあります。
国税通則法63条1項は、換価の猶予や事業の廃止などによる納税の猶予をした場合、猶予をした期間(納期限の翌日から2か月を経過する日より後の期間に限ります)に対応する延滞税の2分の1に相当する金額を免除すると定めています。
災害等による納税の猶予であれば、その期間に対応する部分が免除の対象です。
滞納を放置している間はこうした軽減が一切働きませんので、早く動くほど最終的な負担は小さくなりやすいといえます。
また、税金を払えない原因が借金の返済にあるなら、借金の側を整理して納税の原資をつくるという順序も考えられるでしょう。
【関連記事】債務整理とは何か|借金がどう変わるかを弁護士が解説
日本国民の税金負担率は50%近い

現在、私たちの生活を圧迫しているのは物価高だけではありません。
財務省の発表によると、所得に対する税金と社会保険料の負担割合を示す「国民負担率」は、近年45%〜50%前後で高止まりしています。
直近3年間の国民負担率は以下のとおりです。
| 年度 | 国民負担率 |
| 令和7年(見通し) | 46.2% |
| 令和6年(実績見込み) | 45.8% |
| 令和5年(実績) | 46.1% |
参考:財務省「令和7年度の国民負担率を公表します」

税金が払えない…放置するとどうなる?

「役所なら税金の支払いを猶予してくれるだろう」という考えは危険です。
むしろ、税金の滞納は民間の借金よりもスピーディーかつ強制的に手続きが進みます。


それに加えて自己破産などの債務整理では対応できません。
どのような手順で行政が税金滞納者から資産を差し押さえるのかを確認しましょう。
延滞税や高額な加算税が発生する!
税金を滞納すると、利息にあたる「延滞税」が発生します。
【令和8年分 延滞税の特例税率】
- 納付期限から2ヶ月以内:年2.8%
- 2ヶ月経過後:9.1%
参考:財務省「延滞税・利⼦税・還付加算⾦について」
このように、消費者金融の利息に匹敵する、あるいはそれを上回るほどの高金利が課されるため、放置すればするほど支払うべき総額は増大していきます。
国税庁から督促状が届く
借金を放置していると、納付期限を過ぎてから50日以内に督促状が届きます。
督促状が発付されてから10日以内に完納できないと、行政は財産の差し押さえに踏み切ることが可能です。
なお、督促状には税目・納付期限・納付金額が明記されています。
参考:国税庁「国税徴収法 令和7年度版」
放置すると財産を差押えられる
税金の滞納は民間の債務不履行とは異なります。
裁判所の判決を経ずに「自力執行権」によって財産を差押えられる点に注意しなければなりません。
- 給与の差押え:勤務先に通知が行き、手取り額の一部が強制徴収
- 預貯金の差押え:銀行口座が凍結され、残高が強制徴収
参考:国税庁「国税徴収法 令和7年度版」
勤務先に滞納が知られることは、社会的信用の失墜につながりかねません。
【重要】自己破産をしても税金は免除されない
「借金が返せなくなったら自己破産すればいい」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、税金は「非免責債権」に分類されます。
たとえ裁判所で自己破産が認められ、借金がゼロになったとしても、税金の支払い義務だけは一生残ります。
つまるところ、税金からは自己破産しても逃げることはできないのです。
水道など公共料金の滞納は税金と何が違う?
税金と同じように、水道料金などの公共料金も滞納が続けば生活に支障が出ます。
ただし扱いは異なり、水道料金は滞納しても信用情報に登録されない一方で、督促を放置すると給水を止められることがあります。
税金は自己破産をしても免除されませんが、公共料金の未払いは債務整理の対象にできる場合があるという違いもあります。
水道料金を滞納すると何がいつ起きるのか、その流れと解決策は以下の記事で解説しています。
【関連記事】水道料金を滞納するとどうなる?停止の流れや信用情報への影響・解決策
税金の差し押さえは借金の差し押さえと手続きが違う
督促状が届いただけの段階でも、税金の滞納は油断できません。
民間の借金と税金とでは、差し押さえに至るまでの手続きの仕組みそのものが違うからです。
ここを誤解していると、まだ裁判も起こされていないから大丈夫だろう、という判断につながりかねません。


民間の債権者が給与や預貯金を差し押さえるには、確定判決などの債務名義を得たうえで、執行文の付いたその正本に基づいて強制執行を申し立てなければなりません(民事執行法22条、25条)。
行政は裁判所の判断を経ずに差し押さえができる(自力執行力)
税金の滞納には、この裁判所の手続きが挟まりません。
国税徴収法47条1項1号は、滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、徴収職員が財産を差し押さえなければならないと定めています。
条文が「できる」ではなく「しなければならない」という書き方になっている点にご注意ください。
市町村民税などの地方税も構造は同じで、地方税法331条1項1号が督促状を発した日から起算して10日を経過した日という同じ基準を置いています。
行政が自ら執行できるこの仕組みは、一般に自力執行力と呼ばれます。
参考:e-Gov法令検索「国税徴収法」
督促状が届いてから差し押さえが可能になるまでの期間
督促状が発せられる時期も、法律で定められています。
| 税目 | 督促状が発せられる時期 | 差し押さえが可能になる時期 |
| 国税 | 納期限から50日以内(国税通則法37条2項) | 督促状を発した日から起算して10日を経過した日(国税徴収法47条1項1号) |
| 市町村民税 | 納期限後20日以内(地方税法329条1項)※特別の事情がある市町村は条例で異なる期間を定められます | 督促状を発した日から起算して10日を経過した日(地方税法331条1項1号) |
つまり、督促状を受け取った時点で残された時間は決して長くありません。
裁判の呼出しを待っているうちに、預貯金や給与へ手が及ぶ可能性があります。


給与の差押えは生活への影響が大きく、止め方や生活費との関係に固有の論点があります。
詳しい流れは別の記事にまとめていますので、そちらもご覧ください。
【関連記事】給料差し押さえで会社をクビになる?解雇が認められにくい理由と止める方法
税金は債務整理で減らせるのか
結論から申し上げると、税金は債務整理では減らせません。
自己破産で免責許可の決定が確定しても、税金の支払義務は残ります。
ただ、だから打つ手がないという話ではありません。
法律上どう扱われるのかを正確に押さえたうえで、現実的な道筋を確認していきましょう。


免責許可の決定が確定すると破産債権について責任を免れるのが原則ですが、同項ただし書が例外を列挙しています。
その1号が租税等の請求権です。
自己破産をしても免責されない(破産法253条1項1号)
破産法253条1項は、免責許可の決定が確定したときは、破産手続による配当を除き、破産者が破産債権について責任を免れると定めています。
もっとも、同項ただし書に列挙された請求権はその例外で、1号に挙げられているのが租税等の請求権です。
これがいわゆる非免責債権にあたります。
租税等の請求権とは、国税徴収法または国税徴収の例によって徴収することのできる請求権を指し(破産法97条4号)、税金のほか社会保険料などが含まれます。
参考:e-Gov法令検索「破産法」
任意整理・個人再生でも税金は対象外
任意整理は債権者と個別に交渉して和解する手続きですので、そもそも税金は交渉の対象になりません。
個人再生でも扱いは変わらないとお考えください。
国税は納税者の総財産についてすべての公課その他の債権に先立って徴収するものとされており(国税徴収法8条)、再生手続では一般優先債権として扱われます。
一般優先債権は再生手続によらないで随時弁済するものとされているため(民事再生法122条2項)、再生計画で減額されることはありません。
| 手続き | 他の借金の扱い | 税金の扱い |
| 任意整理 | 債権者との合意で将来利息の免除や分割払いを目指す | 交渉の対象にならない |
| 個人再生 | 再生計画で借金が圧縮される場合がある | 一般優先債権として随時弁済(民事再生法122条2項) |
| 自己破産 | 免責許可の決定が確定すれば責任を免れる | 非免責債権として支払義務が残る(破産法253条1項1号) |


税金そのものは減らせなくても、返済に消えている毎月のお金を圧縮できれば、納税に回せる原資が生まれることがあります。
猶予の申請に必要な家計の資料づくりをお手伝いできる点も大きいでしょう。
税金が払えないときに現実的に取りうる3つの道筋
税金そのものを減らす方法はありませんが、支払える状態に近づけるための道筋はいくつか考えられます。
- 猶予制度を申請し、分割納付と延滞税の軽減につなげる
- カードローンなど他の借金を債務整理し、納税に回せる原資をつくる
- 家計の状況を資料で示したうえで、税務署や納税課と分納の相談を進める
なお、差し押さえることができる財産がないときなどには、行政の判断で滞納処分の執行が停止されることがあります(国税徴収法153条1項)。
これは納税者の側から選べる手続きではなく、あくまで行政が要件を判断するものです。
停止を期待して滞納を続けても延滞税が膨らむだけですので、避けるべき対応といえるでしょう。
どの道筋が向いているかは収入・財産・滞納額によって変わりますので、早い段階で一度ご相談ください。
【関連記事】自己破産とは?借金から解放?仕組みやデメリット・手続き方法を解説
税金が払えない!滞納してしまった場合の対策

現在すでに税金を滞納している、あるいは支払える見込みがない場合は、一刻も早いアクションが必要です。
猶予制度や相談窓口について押さえておきましょう。

また、借金問題に精通した弁護士に依頼するのも選択肢の1つでしょう。
1.換価の猶予・納税の猶予を活用する
一定の要件(災害・病気・事業の著しい損失など)を満たす場合、納税を猶予してもらえる制度があります。
- 納税の猶予: 1年以内の期間、分割払いで納税できる
- 換価の猶予: 差し押さえの対象となっている財産の処分を待ってもらう
参考:国税庁「国税の納税の猶予制度 FAQ 」
これらが認められれば、延滞税の一部または全部が免除されることもあります。
2.国や自治体の窓口で相談する
最もやってはいけないのが督促の無視です。
督促状を持って、すぐに所管の税務署や役所の納税課へ足を運びましょう。
誠実な態度で現在の収支状況を説明すれば、分割納付(分納)に応じてもらえるケースもあります。
3.借金に精通した弁護士に相談する
税金が払えない原因が、借金返済にあるという場合は、弁護士に相談するのがベストです。
税金そのものを減額することはできませんが、他の借金を整理することで、税金を支払うための原資を確保できる可能性があります。
また、借金の返済計画について一緒に見直せるのも心強いポイントです。
税金が払えないときに弁護士に相談する3つのメリット

弁護士は単に裁判をサポートするだけでなく、借金によって税金が払えないと困っている方にとっての生活再建のパートナーとなります。
ここでは、税金が払えない方が弁護士を利用するメリットをご紹介します。

1.借金について債務整理の方法を相談できる
税金が払えない方の中には、民間企業からの借金が残っている方も少なくありません。
弁護士に相談すれば、任意整理・個人再生・自己破産といった「債務整理」をスムーズに進めることが可能です。
その結果、カードローンやキャッシングの返済額や金利を大幅に減らしたり、ゼロにしたりできます。
借金の返済負担が軽くなれば、その分を納税に回すことができるでしょう。
2.窓口への相談がスムーズになる
弁護士に依頼すると、家計状況を客観的に示す収支表などを作成してもらえます。
これを役所の窓口に提示することで、「支払う意思はあるが、現実的に支払いが困難である」という主張に説得力が増し、分納や猶予の交渉が進めやすくなります。
3.差押え解除に向けた方法を模索できる
給与や不動産、自動車などが差し押さえられている場合でも、手続き終了まで余裕があります。
弁護士を介して「生活が立ち行かない」という異議申し立てや交渉を行うことで、差押えの解除や猶予に向けた法的なアドバイスを受けられます。
なお、すぐに差押えられてしまう手続きもあるため、借金は放置せずに、早め早めに対応することが重要です。
税金が払えないなら弁護士に相談して返済計画を立てよう!

税金が払えないからと言って放置するのは、あなたの生活を壊しかねない大きなリスクです。
適切な手続きを踏めば、必ず解決の糸口は見つかります。
これからの長い人生を、滞納の不安に怯えながら過ごす必要はありません。
まずは国・各地方自治体の相談窓口に問い合わせるだけでなく、弁護士に相談してみて、無理なく税金を支払える家計を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。
早めの相談が、あなたの財産と未来の生活を守ることにつながります。
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