皆さんこんにちは。
弁護士法人大地総合法律事務所、代表弁護士の佐久間です。
不倫の慰謝料を突然請求され、「とても払える金額ではない」と途方に暮れている方から、弊所にも多くのご相談が寄せられます。
そのまま何も対処しないでいると、相手が裁判を起こし、最終的には給料や預貯金が差し押さえられる可能性があります。
また、差し押さえが実行されると、勤務先にその事実が通知されるため、職場に不倫の事実が知られてしまうリスクも生じてくるでしょう。
ただ、焦る必要はありません。
適切な対処を取れば、減額や分割払いに応じてもらえるケースは少なくありませんし、場合によっては支払い義務自体がないと判断されることもあります。
本記事では、慰謝料が払えない状況に置かれた方が取るべき行動を、請求・交渉の段階から示談・判決後の段階まで、順番に解説します。
まずは状況を整理して、あなたに合った対処法を一緒に確認していきましょう。
\不倫がバレてしまった.../
まず本当に払う必要がある不倫慰謝料なのかを確認

慰謝料を請求されると、「請求されたのだから払わなければならない」と思い込みがちです。
しかし実際には、請求を受けたからといって、必ずしもその全額を支払わなければならないとは限りません。
まずは、請求内容が法的に根拠のあるものかどうかを冷静に確認していきましょう。
慰謝料を払わなくていいケースがある
不倫慰謝料の支払い義務が発生するためには、一定の法的要件を満たす必要があります。
以下のようなケースでは、そもそも支払い義務がない、あるいは大幅に争える可能性があります。
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 不貞行為の事実がない | 肉体関係がなく、相手に証拠がない場合 |
| 相手が既婚者と知らなかった | 独身と偽られていた場合など、無過失であれば免責される可能性がある |
| 時効が成立している | 不倫の事実と相手方を知った日から3年、または不倫行為から20年が経過している場合 |
| 婚姻関係がすでに破綻していた | 不倫時点で夫婦関係が実質的に終わっていた場合、慰謝料請求が認められないことがある |
請求された状況と照らし合わせて、上記に該当する事情がないかを確認してみましょう。
請求額が相場より高すぎる場合は減額できる可能性がある
不倫慰謝料の相場は、一般的に50〜300万円程度とされています。
ただし、この金額はあくまで目安であり、実際には以下のような事情によって増減します。
慰謝料が低くなりやすい事情
- 不倫期間が短い
- 肉体関係が一度きりである
- 婚姻期間が短い
- 相手方夫婦の関係がもともと良好ではなかった
- 自分が既婚者と知らなかった(または知らなかったことに過失がない)
- 自分から積極的に関係を迫ったわけではない
慰謝料が高くなりやすい事情
- 不倫期間が長期にわたる
- 子どもがいる家庭を壊した
- 妊娠・中絶があった
- 不倫が原因で離婚に至った
請求された金額が300万円を大きく超えるような場合、あるいは状況から見て相場よりも明らかに高いと感じる場合は、減額交渉の余地がある可能性が高いです。
最初の請求額に流されず、まずは法的な相場を把握することが重要です。
払えないからといって無視・放置してはいけない理由

「お金がないのだから、無視していても仕方がない」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、慰謝料請求を無視・放置することは、状況をさらに悪化させるリスクが高く、絶対に避けるべき対応です。
無視を続けると相手が法的手段に踏み切ることになり、そうなると解決が一層難しくなってしまいます。
無視すると裁判・強制執行に発展するリスクがある
慰謝料の請求を放置した場合、相手方は次のような手順で法的手続きを進める可能性があります。
- 内容証明郵便の送付:法的手続きの予告として送られてくる
- 民事訴訟の提起:裁判所が支払い命令を判断する
- 強制執行の申立て:判決確定後、財産の差し押さえが実行される
強制執行が実行されると、給料・預貯金・不動産・自動車などが差し押さえの対象になります。
特に給料が差し押さえられた場合、勤務先に裁判所から通知が届くため、会社に何らかの法的トラブルを抱えていることが知られてしまいます。
直接「不倫慰謝料」と伝わるとは限りませんが、「何か問題を起こしたのではないか」と疑われるリスクはあるでしょう。
給料が差し押さえられた場合、手取り額の原則4分の1が強制的に回収されます(民事執行法第152条)。
また、裁判で敗訴した場合、元々の慰謝料に加えて遅延損害金(年3%程度)が加算されるため、放置期間が長くなるほど支払い総額が増える点も理解しておきましょう。
職場・家族への暴露など相手が過激な行動に出る可能性がある
法的手続きとは別に、感情的になった相手が直接的な行動に出るケースも実際にあります。
- 自宅に内容証明郵便が届き、家族に不倫が発覚する
- 勤務先に乗り込まれたり、電話をかけられたりする
- SNSや周囲への暴露
誠実な対応をせずに無視し続けることで、相手の感情がさらに高まり、こうした行動を誘発してしまうリスクがあります。
先延ばしても意味がなく誠実な対応が早期解決への近道
内容証明郵便の段階で支払えなくても、直ちに強制執行されるわけではありません。
先延ばしにしても状況が好転する可能性はほぼありませんので、この段階で誠実に連絡を取り、減額や分割払いの交渉を始めることをおすすめします。
放置すれば選択肢は狭まっていくため、早めに動き出しましょう。
【請求・交渉段階】払えないときの対処法

不倫で慰謝料を請求されたものの、示談や判決によって金額がまだ確定していない段階であれば、取れる選択肢が最も多い状態です。
この段階での対応が、最終的な負担額を大きく左右するでしょう。
減額・分割払いの交渉を試みる
慰謝料の請求額はあくまでも相手の希望額であるため、減額や分割払いに応じてもらえるケースは実務上でも少なくありません。
減額交渉のポイント
- 相場(50〜300万円)と照らして請求額が過大であることを示す
- 婚姻期間・不倫期間・内容など、慰謝料が低くなる事情を整理して提示する
- 反省と謝罪の姿勢を明確に示す(感情的な対立を避ける)
分割払い交渉のポイント
- 現在の収入・生活状況を率直に説明し、月々いくらなら支払えるかを具体的に提示する
- 分割払いの計画(回数・金額)と、支払いが遅れた場合の対応も合わせて示す
- 請求額より少し上乗せした総額で提案する
状況によって、どのような交渉が有効かが異なるため、自分で判断せず弁護士に相談することをおすすめします。
求償権を使って不倫相手に負担を分担させる
不倫(不貞行為)は、配偶者と不倫相手の2人が共同で行った不法行為とみなされます。
そのため、慰謝料を全額支払った場合、不倫相手に対して「自分が負担した分のうち、相手が本来負担すべき割合」を請求できます。これを求償権といいます。
例えば、100万円の慰謝料を支払った場合、不倫相手に対して50万円(負担割合は事情によって異なります)の求償を求めることができる可能性があるのです。

はい、法的に認められた権利です。
ただし、求償権の行使は不倫相手との間で新たなトラブルに発展するリスクもあるため、行使するタイミングや方法は慎重に検討する必要があります。
親族に立て替えてもらう
どうしても自己資金が用意できない場合は、両親や親族に立て替えを依頼する方法もあります。
ただし、親族には一切の支払い義務がないため、あくまでも個人的なお願いとして、誠実に状況を説明したうえで相談する形になるでしょう。
なお、親族から借りた場合は、将来的に返済する前提で進めることが、人間関係を守るうえでも大切です。
弁護士に相談する
減額・分割払いの交渉を自分で行うことも不可能ではありませんが、相手が弁護士を立てている場合や感情的な対立が深まっている場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士が交渉窓口になることで、相手との直接接触を避けられるほか、法的な根拠に基づいた減額の主張ができます。
請求額が相場を大幅に超えている場合には、弁護士が介入することで大きく減額できた事例も多くあるため、一度相談を検討してみてください。
示談・判決で金額が確定した後に払えなくなった場合

示談書や裁判の判決によって支払い金額が確定した後で、生活が苦しくなり、払えなくなってしまうこともあるでしょう。
この段階では選択肢が限られてきますが、それでも取れる対応はあります。

合意後や判決後に交渉が難しくなるのはたしかですが、完全にゼロではありません。
状況次第では支払い条件の緩和を求める余地がありますし、最終手段として自己破産という選択肢もあります。
支払い条件の緩和交渉を試みる
示談書で一括払いや分割払いの条件が決まっていても、その後に収入が大幅に減少するなど事情が変化した場合は、相手方に対して支払い条件の変更を申し出ることができます。
相手が合意してくれるかどうかは状況次第ですが、支払いが完全に止まって強制執行に発展するよりも、条件を緩和して少額でも払い続けてもらうほうがいいと判断してもらえるケースもあります。
誠実な姿勢で現状を説明し、具体的な代替案(月々の支払い額・期間など)を提示することが交渉のポイントです。
自己破産を検討する
どうしても支払いの見通しが立たない場合は、自己破産という選択肢もあります。
破産法では「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」(破産法253条1項2号)は非免責債権とされていますが、不貞行為は通常「悪意」(積極的な害意)には該当しないと判断されるケースが多く、免責が認められる可能性が高いとされています。
ただし、以下の点には注意が必要です。
- 自己破産すると信用情報に傷がつき、一定期間(5〜10年程度)クレジットカードの利用やローンの借り入れが難しくなる
- 一定以上の財産(自動車・不動産など)は処分の対象になる
- 免責が認められるかどうかは、個別の事情による
不倫慰謝料における自己破産は、あくまで最終手段です。。
まずは減額・分割払いの交渉を尽くしたうえで、それでも解決の見通しが立たない場合に検討するものと考えましょう。
不倫慰謝料が払えない状況で弁護士に相談すべき理由

慰謝料が払えない状況は、精神的にも追い詰められやすく、判断が冷静にできなくなりがちです。
そのような状況だからこそ、早めに弁護士に相談することが大切です。
弁護士に相談すべき理由を3つ紹介します。
払う必要があるか・いくらが適正かを法的に判断してもらえる
前述のとおり、慰謝料請求を受けたからといって必ずしも全額を払う義務があるとは限りません。
弁護士であれば、相手の請求内容・証拠の有無・慰謝料の相場・減額できる事情を総合的に分析し、法的に妥当な金額を判断できます。
感情ではなく、法的根拠に基づいた判断を得られることは、弁護士に相談する大きなメリットです。
減額・分割交渉を有利に進められる
当事者同士の交渉は、感情的な対立に発展しやすく、冷静な話し合いが難しいことがほとんどです。
弁護士が交渉窓口に立つことで、以下のメリットが生まれます。
- 相手との直接的なやり取りを避けられる
- 法的根拠に基づいた減額の主張ができる
- 相手が弁護士を立てていても、対等に交渉できる
- 分割払いの合意書の作成もサポートしてもらえる
弊所にご相談いただいた方の中には、当初300万円以上の請求を受けていたにもかかわらず、弁護士が交渉した結果、大幅に減額で解決したケースもあります。
自己破産を含めた選択肢を一緒に検討できる
弁護士に相談いただければ、慰謝料の交渉・減額・分割払い・求償権の行使・自己破産の検討まで、あなたの状況に応じた選択肢を総合的に整理できます。
「まず何をすべきか」を明確にするだけでも、気持ちが大きく楽になることが多いです。
1人で抱え込まず、早めにご相談ください。
不倫慰謝料が払えない場合によくある質問

弊所には慰謝料を請求された方から、さまざまなご質問が寄せられます。
「逮捕されるのか」「親に請求が来るのか」など、不安を感じるからこそ気になる点も多いかと思います。
よくある疑問をまとめましたので、ご自身の状況と照らし合わせながら確認してみてください。
Q1. 不倫の慰謝料を払えないと逮捕されますか?
慰謝料は民事上の損害賠償であり、刑事事件ではないため、逮捕されることはありません。
支払いを怠った場合に生じるのは、訴訟・強制執行といった民事上のリスクです。
「払えないと犯罪になる」という誤解をお持ちの方もいらっしゃいますが、慰謝料の不払いで逮捕・起訴されることはありませんので、その点はご安心ください。
Q2. 不倫の慰謝料を無視し続けたらどうなりますか?
最終的には強制執行(差し押さえ)に発展する可能性が高いです。
内容証明を無視すると訴訟が提起され、判決が確定すれば給料・預貯金・不動産などが差し押さえの対象になります。
また、放置期間が長くなるほど遅延損害金が加算されるため、支払い総額が増え続けます。
無視・放置は状況を悪化させるだけですので、早めの対応がおすすめです。
Q3.慰謝料を払えない場合、親に請求されますか?
原則として、親に慰謝料の支払い義務はありません。
慰謝料はあなた自身が行った不貞行為に対する損害賠償であり、親族にその責任は及びません。
ただし、相手が感情的になって実家に連絡を取ったり、乗り込んできたりするケースは実際にあります。
Q4. 不倫の慰謝料は借金してでも払うべきですか?
一概には言えませんが、慌てて高利率の借金をして支払うことは避けたほうがよい場合が多いです。
まずは請求額が法的に妥当かどうかを確認し、減額・分割払いの交渉を試みることが先決です。
交渉の余地を残したまま全額を支払ってしまうと、後から取り戻すことは非常に難しくなります。
支払い前に、一度弁護士にご相談ください。
Q5. 弁護士費用が払えない場合はどうすればいいですか?
収入や資産が一定水準以下の方は、法テラス(日本司法支援センター)を利用することで、弁護士費用の立替制度を利用できる場合があります。
また、多くの弁護士事務所では初回相談を無料で受け付けています。
弊所でも相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
Q6. 差押えの対象になる財産・ならない財産は何ですか?
主な差押えの対象と対象外の財産は、以下のとおりです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 差押えの対象になるもの | 給料(手取りの4分の1まで)、預貯金、不動産、自動車、有価証券など |
| 差押えの対象にならないもの | 生活に最低限必要な動産(衣服・寝具・家電など)、給料のうち差押え禁止部分(手取りの4分の3)、生活保護費 |
なお、給料については手取り額が44万円を超える場合、33万円を超える部分の全額が差押えの対象になります。
Q7. 無職で収入がない場合、慰謝料は免除されますか?
無職・無収入であっても、慰謝料の支払い義務自体が免除されることはありません。
慰謝料は不法行為に基づく損害賠償であり、経済状況によって義務がなくなるわけではないためです。
ただし、収入がないことを理由に、減額や分割払い・支払い猶予の交渉を行うことは可能です。
また、他に借金がある場合は自己破産を検討する必要があるでしょう。
いずれにしても、弁護士に相談したうえで判断されることをおすすめします。
Q8. 生活保護を受けていても差押えされますか?
生活保護費そのものは差押えの対象外です。
最低限の生活を保障するために支給される保護費を差し押さえることは、法律上認められていません。
ただし、支払い義務そのものがなくなるわけではありませんし、生活保護費以外に別途収入や資産がある場合はその限りではありません。
状況が複雑な場合は、弁護士に個別に相談されることをおすすめします。
不倫の慰謝料でお困りの場合は大地総合法律事務所へご相談ください
不倫慰謝料の問題は、請求された金額が本当に適正かどうかの確認から始まり、減額交渉・分割払い・求償権の活用・自己破産の検討まで、状況によって取るべき対応が異なります。
払えないからといって放置・無視してしまうと、状況をさらに悪化してしまうため、早めに動き出しましょう。
弁護士法人大地総合法律事務所では、不倫慰謝料の請求を受けた方からのご相談をお受けしています。
相談は無料ですので、「まず状況を整理したい」という段階でも、どうぞお気軽にお問い合わせください。
あなたの状況に合った現実的な選択肢を、一緒に考えさせていただきます。
\不倫がバレてしまった.../