弁護士法人大地総合法律事務所、代表弁護士の佐久間です。
不倫慰謝料の訴状が届き、「答弁書に何を書けばいいのかわからない」「認めると不利になりそうで怖い」「否認してよいのか判断できない」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
不倫における答弁書は、相手方の請求や主張に対して、認めるのか、争うのか、自分の言い分は何かを裁判所に伝える大切な書類です。
答弁書は「すべて自分に不利なことを書かなければならない書類」ではありません。
慰謝料の金額、不貞行為の有無、婚姻関係の状態、既婚者と知っていたかどうか、時効など、事案によって争点は変わります。
本記事では、不倫慰謝料請求で訴えられた場合の答弁書の書き方や記載すべき項目、答弁書で主張できる争点、提出しない場合のリスクについて解説します。
訴状が届いて答弁書の書き方に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
\不倫がバレてしまった.../
不倫における答弁書とは:「争うか・認めるか」を裁判所に伝える書類

不倫慰謝料請求で訴えられた場合、裁判所から訴状や呼出状と一緒に、答弁書の書式が届くことがあります。
答弁書とは、原告の請求や主張に対して、被告である自分がどのように考えているのかを裁判所に伝えるための書類です。
「請求を認めるのか」「争うのか」「どの部分に反論するのか」を示す書類と考えるとわかりやすいでしょう。
はい、その理解で大きく外れていません。
不倫慰謝料の裁判では、相手方が訴状の中で「不貞行為があった」「夫婦関係が壊れた」「慰謝料として〇〇万円を支払うべき」といった主張をします。
これに対して、答弁書では、それぞれの主張について認めるのか、否定するのか、わからないのかを整理して記載します。
答弁書で特に重要なのは、何を認めて、何を争うのかを慎重に整理することです。
事実と異なる内容を書くべきではありませんが、十分に確認しないまま相手方の主張を認めてしまうと、その後の裁判で不利になる場合があります。
また、答弁書を提出しないまま放置すると、相手方の主張を争わないものとして扱われ、相手方の請求に沿った判決が出る可能性があります。
訴状が届いた場合は、内容を放置せず、まずは提出期限や第1回口頭弁論期日を確認することが大切です。
感情的に反論するのではなく、訴状の内容、証拠、事実関係を整理したうえで、どのように対応するかを検討しましょう。
不倫答弁書の書き方:記載すべき項目と手順

不倫慰謝料請求の答弁書では、訴状に書かれた相手方の主張に対して、自分がどの部分を認め、どの部分を争うのかを記載します。
答弁書は、単に空欄を埋めればよい書類ではありません。
何を認めるか、どこを否認するかによって、その後の裁判の進み方に影響する場合があります。
主に書く内容は、事件番号や当事者名などの基本情報、訴状に対する認否、自分の反論理由です。
裁判所のHPで答弁書の書き方が詳しく解説されていますので、こちらに一度目を通してから読み進めていただくとより理解度が深まると思います。

出典:裁判所
ここでは、答弁書に記載する主な項目と書き方の流れを整理します。
①事件番号・当事者名・提出先などの書き方
まずは、答弁書に事件を特定するための基本情報を記載します。
主に確認する項目は、次のとおりです。
- 事件番号
- 裁判所名
- 原告名
- 被告名
- 提出日
- 住所・氏名・連絡先
事件番号や裁判所名は、訴状や呼出状など、裁判所から届いた書類に記載されています。
自分で判断して書くものではないため、届いた書類を見ながら正確に転記しましょう。
原告とは訴えを起こした側、被告とは訴えられた側を指します。
不倫慰謝料請求では、相手方の配偶者が原告、自分が被告となっているケースが多いです。
また、住所や連絡先は、裁判所からの連絡や書類送付に関わる重要な情報です。
記載方法に迷う場合は、同封された書式や裁判所の案内を確認しましょう。
②認否(認める・否認する・不知)の書き方
次に、訴状に書かれた相手方の主張について、認否を記載します。
認否とは、相手方の主張に対して、認めるのか、否定するのか、わからないのかを示すものです。
不倫の答弁書では、主に次の3つの表現を使います。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| 認める | 相手方の主張を事実として認める |
| 否認する | 相手方の主張は事実と違うとして争う |
| 不知 | 自分にはわからない、知らないという意味 |
答弁書は裁判所に提出する正式な書面です。
そのため、日常的な表現ではなく、裁判手続きで意味が伝わりやすい表現を使うことが望ましいでしょう。
例えば、単に「知りません」と書くと、「その事実を否定しているのか」「本当に自分ではわからないという意味なのか」が曖昧になる場合があります。
一方で、「不知」と書けば、その事実について自分では確認できない、知らないという趣旨が明確になります。
また、相手方夫婦の婚姻関係が当時どのような状態だったかなど、自分では確認できない事情については、不知とする場合もあります。

ここで注意したいのは、不貞行為の一部を認める場合でも、請求額までそのまま認める必要があるとは限らない点です。
一方で、事実に反して何でも否認すればよいわけではありません。
後からLINE、写真、ホテルの利用履歴などの証拠が出てきた場合、不自然な否認をしていると、主張の信用性に影響する可能性があります。
認否では、感情的に反論するのではなく、訴状の記載を1つずつ確認し、認める部分、争う部分、自分ではわからない部分を分けて整理することが大切です。
③主張・反論理由の書き方
認否を整理したら、次に自分の主張や反論理由を記載します。
裁判所の書式では、「被告の主張」「私の言い分」などの欄に書くことがあります。
ここでは、単に「納得できない」と書くのではなく、なぜ請求を争うのか、どの点に反論したいのかを整理して書くことが大切です。
不倫慰謝料請求では、たとえば以下のような事情が反論理由になる場合があります。
- 不貞行為がなかった
- 不貞行為の内容や期間が訴状と異なる
- 相手が既婚者だと知らなかった
- 不貞行為の前から夫婦関係が破綻していた
- 請求額が高すぎる
- 時効が成立している可能性がある
法律上は、このような反論理由を「抗弁」と呼ぶことがあります。
ただし、反論理由は思いつくままに書けばよいものではありません。
主張する内容に応じて、LINE、メール、写真、示談書、支払い記録などの資料が必要になる場合があります。
答弁書は、裁判の入口で自分の立場を示す重要な書類です。
記載内容に迷う場合は、弁護士へ相談することをおすすめします。
不倫慰謝料の答弁書で主張できる5つの争点

不倫慰謝料請求の答弁書では、ただ「争います」と書くだけでなく、何を争うのかを整理することが大切です。
不倫慰謝料の裁判で問題になりやすい争点は、主に次の5つです。
- 慰謝料の金額
- 不貞行為の有無
- 婚姻関係がすでに破綻していたか
- 既婚者と知らなかったか
- 時効が成立しているか
そのとおりです。不貞行為自体は認めるものの、慰謝料の金額を争うケースもあります。
ここでは、不倫慰謝料の答弁書で主張できる5つの争点を解説します。
①慰謝料の金額を争う
不貞行為の事実がある場合でも、相手方が請求している慰謝料額をそのまま認める必要があるとは限りません。
不倫慰謝料の金額は、請求された金額だけで決まるものではなく、婚姻期間、不貞期間、回数、夫婦関係への影響、離婚の有無、当事者間の事情などを踏まえて判断されます。
そのため、訴状で300万円や500万円などの高額な慰謝料を請求されていても、金額を争える場合があります。
答弁書では、以下のような事情を整理します。
- 請求額が相場より高い
- 不貞期間が短い
- 不貞行為の回数が少ない
- 相手方夫婦が離婚していない
- 夫婦関係への影響が限定的だった
- すでに一部の支払いがされている
このような事情がある場合は、「不貞行為の事実は一部認めるが、慰謝料額は争う」という方針になることがあります。
ただし、単に「高すぎる」と書くだけでは不十分なため、どの事情をもとに金額が高すぎると考えるのか、訴状の内容と照らし合わせて整理することが重要です。
②不貞行為自体を否定する
相手方が主張する不貞行為そのものに事実と異なる点がある場合は、不貞行為自体を争うことがあります。
不貞行為とは、一般的には配偶者以外の人と性的関係を持つことを指します。
そのため、食事やメッセージのやり取り、2人で会っていた事実があるだけで、直ちに不貞行為が認められるとは限りません。
例えば、以下のような場合は、不貞行為の有無が争点になることがあります。
- 肉体関係がなかった
- ホテルに入った事実がない
- 相手方が主張する時期に会っていない
- LINEの内容だけでは不貞行為を裏付けられない
- 証拠の内容が事実と異なる
ただし、不貞行為を否定する場合は、証拠との整合性が重要です。
相手方がホテルの出入り写真、LINE、探偵の報告書などを提出している場合、単に「不貞行為はありません」と書くだけでは十分ではありません。
否定する場合でも、どの事実を否定するのか、証拠と照らし合わせて慎重に整理しましょう。
③婚姻破綻を主張する
不貞行為があったとしても、その前から相手方夫婦の婚姻関係がすでに破綻していた場合は、慰謝料請求を争えることがあります。
不倫慰謝料は、不貞行為によって夫婦の平穏な婚姻生活が侵害された場合に請求できるとされています。
そのため、不貞行為より前に夫婦関係がすでに修復困難な状態だった場合は、「不貞行為によって夫婦関係が壊れたとはいえない」と主張できる余地があります。
具体的には、以下のような事情がある場合です。
- 不貞行為より前から別居していた
- 離婚協議が進んでいた
- 夫婦間の交流がほとんどなかった
- 長期間、夫婦としての実態がなかった
- 不貞行為の前から離婚の意思が明確だった
ただし、夫婦仲が悪かった、喧嘩が多かったというだけで、直ちに婚姻破綻が認められるとは限りません。
答弁書で婚姻破綻を主張する場合は、どのような事情で、どの程度夫婦関係が失われていたのかを整理することが大切です。
④既婚者と知らなかった(善意無過失)を主張する
不倫慰謝料請求では、「相手が既婚者だと知らなかった」という事情が争点になることがあります。
法律上、不倫慰謝料が認められるには、相手が既婚者であることを知っていた、または注意すれば知ることができたといえる事情が必要です。
そのため、既婚者だと知らず、知らなかったことに落ち度がない(善意無過失)場合は、慰謝料請求を争える可能性があります。
ここでいう善意とは、相手が既婚者であることを知らなかったという意味です。
無過失とは、知らなかったことについて落ち度がないという意味です。
例えば、以下のような事情がある場合は、既婚者と知らなかったことを主張する余地があります。
- 相手が独身だと説明していた
- マッチングアプリなどで独身と表示していた
- 指輪をしていなかった
- 特定の時間・曜日に連絡が取れないなどがなかった
- 自宅に招かれるなど、既婚者だと疑う事情が少なかった
ただし、「知らなかった」と言えば必ず認められるわけではありません。
相手の年齢、生活状況、会える時間帯、会話内容、SNS、周囲の事情などから、既婚者だと気づけたのではないかと判断される場合もあります。
答弁書で善意無過失を主張する場合は、相手がどのように説明していたのか、自分が既婚者だと疑うきっかけがなかった理由を具体的に整理しましょう。
⑤時効を主張する
かなり前の不倫について訴えられた場合は、時効が成立していないかを確認する必要があります。
不倫慰謝料請求は、不法行為に基づく損害賠償請求として扱われることが多く、原則として、請求する側が損害と加害者を知った時から3年で時効にかかる場合があります。
ただし、時効は時間が経てば自動的に裁判所が判断してくれるものではありません。
時効を主張する側が、「時効を援用する」という意思を示す必要があります。
答弁書で時効を主張する場合は、相手方が不貞行為を知った時期や、不貞相手を特定した時期、これまでに請求や交渉があったかなどを整理します。
時効の起算点はケースによって判断が分かれるため、かなり前の不倫について訴状が届いた場合は、時効を主張できるかどうか、早めに弁護士へ相談しましょう。
不倫の答弁書の書き方についてよくある質問(FAQ)
ここまで、不倫慰謝料請求における答弁書の書き方や主な争点について解説してきました。
実際には、「期限に間に合わなかったらどうなるのか」「自分で作成しても問題ないのか」など、手続き面について不安を抱える方も少なくありません。
ここでは、答弁書に関してよく寄せられる質問について解説します。
答弁書を提出しないとどうなる?

答弁書を提出しないまま第1回口頭弁論期日にも出頭しない場合、相手方の主張を争わないものとして扱われる可能性があります。
訴状が届いたからといって、すぐに不利な判決が出るわけではありません。
しかし、何も対応しなければ自分の主張を裁判所に伝える機会を失ってしまいます。
そのため、訴状が届いた場合は放置せず、まずは提出期限や期日を確認しましょう。
答弁書の提出期限を過ぎてしまった場合は?
答弁書の提出期限を過ぎてしまった場合でも、対応できる余地は残されています。
まずは、できるだけ早く答弁書を提出し、必要に応じて裁判所へ連絡しましょう。
ただし、期限を過ぎた状態で放置すると、裁判が自分に不利な形で進む可能性があります。
特に、第1回口頭弁論期日が近い場合は早急な対応が必要です。
不安がある場合は、弁護士へ相談することをおすすめします。
自分で書いた答弁書でも有効?
はい。答弁書は、必ず弁護士が作成しなければならないものではありません。
実際に、自分で答弁書を作成して提出する方もいます。
ただし、何を認めるか、何を争うかの判断は、その後の裁判に影響する場合があります。
そのため、内容に迷う場合や、高額な慰謝料を請求されている場合は、提出前に弁護士へ相談することも検討するとよいでしょう。
提出後に内容を修正できる?
答弁書を提出した後に、新たな事情や証拠が見つかることもあります。
その場合、後の手続きの中で追加の主張や証拠を提出することはできますが、提出済みの答弁書を書き換えられるわけではありません。
また、一度認めた事実を後から覆そうとすると、主張の信用性に影響する場合があります。
そのため、答弁書は提出前に内容を十分確認することが大切です。
不倫の答弁書の書き方に迷う場合は大地総合法律事務所にご相談ください
不倫慰謝料請求で訴えられた場合、答弁書は裁判の最初の対応として非常に重要な書類です。
しかし、実際には「どこまで認めるべきか」「どの主張で争えるのか」「慰謝料の金額は妥当なのか」など、自分だけで判断するのが難しい場面も少なくありません。
答弁書では、一度認めた内容がその後の裁判に影響する場合があります。
そのため、内容を十分に確認しないまま提出してしまうと、本来主張できたはずの反論が難しくなるケースもあります。
訴状が届いたものの、「どのように答弁書を書けばよいかわからない」「請求額が適正なのか判断できない」とお悩みの方は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士法人大地総合法律事務所では、不倫慰謝料を請求された方からのご相談を数多くお受けしています。
答弁書の作成や今後の対応方針についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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