弁護士法人大地総合法律事務所、代表弁護士の佐久間です。
不倫の慰謝料で裁判を起こされ、「できれば裁判所には行きたくない」「いっそ無視してしまいたい」とお考えの方は少なくありません。
結論からお伝えすると、裁判の欠席自体は可能です。
ただし、答弁書も出さずに無視し続けると、あなたが言い分や事情を伝える機会のないまま、相手の主張がそのまま認められた判決が出てしまう可能性が高くなります。
逆に、答弁書を提出しておけば第1回目の期日は欠席が認められ、弁護士に依頼すればその後の出廷もすべて任せることが可能です。
本記事では、裁判を欠席したい方に向けて、無視し続けた場合のリスクと、状況別の正しい対処法を弁護士目線で解説します。
\不倫がバレてしまった.../
訴状を無視して裁判を欠席し続けると弁明の機会を失ってしまう
裁判を起こされたとき、最もやってはいけないのが「訴状を受け取ったまま何もせず放置する」ことです。
答弁書も出さず、期日にも出ない状態を続けると、あなたが自分の言い分を一切伝えられないまま裁判が進んでしまいます。
残念ながら、訴状を無視しても裁判が消えてなくなることはありません。
裁判というのは、本来あなたと相手の双方が言い分を出し合い、それを裁判所が見て判断する手続きです。
ところが、あなたが答弁書も出さず欠席し続けると、裁判所は「相手の主張を争うつもりがない」「相手が主張する事実を認めた」とみなします。(擬制自白)
その結果、相手の言い分をそのまま認める形で、欠席のまま判決が出てしまうのです。(欠席判決)
ここで一番の問題は、慰謝料の金額や事実関係について、あなたに反論の余地があったとしても、それを示す機会そのものを失ってしまう点です。
そのとおりです。だからこそ、「裁判所に行きたくない」という気持ちと、「何も対応しない」ことは切り離して考える必要があります。
まずは訴状を放置しないことが、何より大切です。
訴状が届いた後の対処法は、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】不倫で訴えられたらどうする?訴状が届いた後の対処法
不倫裁判は答弁書を出しておけば初回だけは欠席できる

「裁判所に行きたくない」という方に知っておいていただきたいのが、答弁書を出しておけば第1回目の期日は欠席できるという仕組みです。
何も対応せずに欠席するのとは、結果がまったく変わってきます。
そう思われがちですが、欠席できるのは原則として第1回目だけです。
ここを誤解すると後で不利になりますので、仕組みを順番に説明します。
なぜ不倫裁判は初回だけ欠席できる?
第1回目の期日を欠席できるのは、擬制陳述という制度があるからです。
これは、あなたが事前に答弁書を提出しておけば、その期日に出席しなくても「答弁書に書いた内容を法廷で述べたものとして扱ってもらえる」という仕組みです。
第1回目の期日は、相手(訴えた側)の都合で日程が決められるのが通常です。
被告となったあなたの予定は考慮されずに設定されるため、「都合が合わず出られない人」を救済する必要があります。
そこで、答弁書という書面さえ出しておけば、出廷したのと同じ扱いにしてもらえるわけです。
2回目以降は自分で出廷するか弁護士に代理出廷を依頼する必要がある
擬制陳述が使えるのは第1回目だけです。
第2回目以降の期日は、原則として答弁書を出しているだけでは欠席が認められません。
いいえ、自分で行く以外の方法もあります。
弁護士に依頼すれば、その弁護士があなたの代理人として法廷に立ちますので、あなた自身は出廷しなくても手続きを進められます。
なお、第2回目以降は、相手の言い分に対してこちらの主張や証拠を出し合い、和解の話し合いをするなど、裁判の中身が動いていく段階です。
ここで何も対応しないと、せっかく答弁書で反論したのに、その後の展開で不利になってしまうことがあります。
「初回は答弁書、2回目以降は出廷か弁護士への依頼」という流れを知っておきましょう。
裁判全体の流れや費用は、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】不倫裁判の流れや費用・対応方法を被請求者向けに解説
不倫の慰謝料裁判を欠席したい理由別の対処法

「裁判を欠席したい」とひとくちに言っても、その理由はさまざまです。
理由によって取るべき対処法が変わりますので、ここでは代表的な2つのケースに分けて説明します。
精神的につらくて行けない場合:弁護士に代わりに出てもらう
不倫の裁判では、相手や相手の配偶者と顔を合わせること、自分の私生活を法廷で問われることに、精神的負担を感じる方が多いです。
「考えるだけで眠れない」「とても法廷には立てない」という状態であれば、無理に自分で出廷する必要はありません。
そうではありません。
弁護士に依頼すれば、弁護士があなたの代理人として書面のやり取りや通常の期日対応から出廷まで全て任せられるため、あなた自身は一度も法廷に行かずに裁判を進められるケースがほとんどです。(※ただし、和解に至らず、本人尋問が行われることになった場合は、本人も裁判所へ出廷する必要があります。)
冠婚葬祭・事前に決まっていた出張などで出廷できない場合:期日の変更を申し立てる
冠婚葬祭と重なっている場合や、動かすことのできない重要な出張・病気など、やむを得ない事情がある場合は、期日変更の申し立てという方法があります。
これは、裁判所に対して「その日は出られないので別の日にしてほしい」と求める手続きです。
ただし、期日の変更は申し立てれば必ず認められるわけではありません。
正当な理由があると裁判所が判断した場合に限り認められるもので、「仕事が忙しい」「気が進まない」といった理由では通りにくいのが実情です。
なお、期日変更が認められない場合や、遠方を理由に出廷が難しい場合は、弁護士を代理人に立てて代わりに出廷してもらうか、近年はWeb会議の方法で期日に参加できる運用も広がっています。
仕事で都合が悪いという理由だけでは、裁判所に期日を変更してもらうことは原則できませんので注意しましょう。
ご自身の事情が期日変更の正当な理由に当たるかどうか迷う場合は、自己判断で放置せず、弁護士や裁判所に確認してみるとよいでしょう。
欠席し続けて判決が出てしまったときの対処法は?

すでに欠席を続けてしまい、判決が出てしまった、あるいは判決が届きそうだという方もいらっしゃるかもしれません。
その場合でも、打てる手が残っているケースはあります。
諦めずに、次の対処法を確認してください。
判決が届いてから2週間以内に控訴する
判決の内容に納得がいかない場合は、控訴という方法があります。
控訴とは、上級裁判所にもう一度判断をやり直してもらうよう求める手続きです。
ここで絶対に押さえていただきたいのが期限です。
控訴できるのは、判決の書面(判決正本)を受け取った日の翌日から数えて2週間以内に限られます。
そうです。
判決が届いたら、まずは受け取った日付を確認しましょう。
控訴をする場合は、控訴状という書面を、判決を出した裁判所に対して期限内に提出します。
書面の準備には一定の時間がかかりますので、期限ぎりぎりではなくできるだけ早めに動き出すことが大切です。
控訴期限を過ぎた場合は和解交渉を検討する
控訴期間(2週間)を過ぎてしまうと判決が確定し、慰謝料を支払う義務そのものを争うのは難しくなります。
また、判決確定後に支払いに応じない場合、相手方は預金や給与の差し押さえ(強制執行)に踏み切ることができるため、判決で決まった金額そのものを減額してもらう交渉は極めて困難になります。
ただし、現実に一括で回収することが難しい場合、相手方が差し押さえの手間を避けるために分割払いに応じるケースはあります。
まずは弁護士に相談する
判決が出た後の対応は、控訴にせよ和解交渉にせよ、期限や手続きの判断がからむため、自分だけで進めるのは難しい場面が多いです。
特に控訴は2週間という短い期限がありますので、判断に迷っている時間が命取りになりかねません。
判決が届いた、あるいは届きそうだという段階であれば、できるだけ早く弁護士にご相談ください。
不倫の慰謝料裁判を欠席したい方によくある質問
ここまで、裁判を欠席したい場合のリスクと対処法について解説してきました。
最後に、慰謝料の裁判を欠席したい方からよくいただく質問にお答えします。
Q1. 答弁書も出さずに裁判を欠席したらどうなる?
相手の主張をそのまま認めたものとみなされ、相手の言い分どおりの判決が出てしまう可能性が高いです。
答弁書を出さずに第1回目を欠席すると、擬制陳述が使えず、あなたの言い分を一切伝えられないまま手続きが進んでしまいます。
欠席するとしても、答弁書だけは必ず提出しておくことをおすすめします。
答弁書の具体的な書き方は、以下の記事で解説しています。
【関連記事】不倫の答弁書の書き方|訴えられるパターンと記入例を解説
Q2. 弁護士に任せれば自分は欠席していいの?
はい、弁護士が代理人として出廷しますので、あなた自身は法廷に行かずに裁判を進められるケースが多いです。
第1回目だけでなく、本人の出廷が必要となる第2回目以降も弁護士が対応可能です。
精神的につらくて出廷できない方や、仕事で時間を取れない方にとって、有効な選択肢になるでしょう。
Q3. 欠席して判決が出た後でも慰謝料金額を下げることはできる?
判決を受け取ってから2週間以内であれば、控訴によって金額を争える可能性があります。
この期限を過ぎると判決が確定し、金額そのものを争うのは難しくなりますが、その場合でも分割払いや総額の調整について相手と交渉できる可能性はあります。
いずれにしても早い対応ほど選択肢が広がりますので、判決が届いたらできるだけ早く動くことが大切です。
不倫裁判を欠席したいなら、まず弁護士にご相談ください

不倫の慰謝料裁判は欠席自体は可能ですが、答弁書も出さずに無視し続けると、あなたの言い分を伝える機会のないまま、判決まで進んでしまいます。
不利な状況に陥らないよう、「行きたくない」気持ちと「何も対応しない」ことは切り離して考えましょう。
大地総合法律事務所では、訴状が届いた段階からのご相談はもちろん、答弁書の作成や代理出廷まで一貫して対応しております。
すでに判決が出てしまった場合でも、打てる手が残っていることは少なくありません。
1人で抱え込まず、まずは弊所にご相談ください。
弁護士に依頼するメリットや費用は、以下の記事で解説しています。
【関連記事】不倫慰謝料を請求された方へ|弁護士費用・減額事例・依頼の流れを解説
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