「個人再生を考えているけれど、もし失敗したらどうなるんだろう」
返済の負担を減らせる個人再生は、住宅を手元に残しながら借金を大きく圧縮できる心強い手続きです。
ただ、「失敗」という言葉を目にすると、せっかく決断しても無駄になるのではと不安になる方は少なくありません。
実は、司法統計をみると個人再生の失敗率は約8%にとどまり、弁護士が関わったケースではさらに低くなる傾向があります。
とはいえ、失敗にはいくつかの決まったパターンがあり、知らずに進めると思わぬ落とし穴にはまることもあるでしょう。
この記事では、個人再生が失敗する4つの類型と原因、やってはいけないこと、もし失敗した場合の対処法まで、わかりやすく解説します。
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個人再生の失敗率と成功率の実態

決断する前に最悪のケースを知っておきたい、という慎重な方が多い印象です。ただ、
数字をみれば過度に恐れる必要はありません。まずは実際の失敗率から確認しましょう。
司法統計からみる個人再生の認可率
個人再生がどれくらいの確率で認められているのか、まずは公的な統計で確認します。
最高裁判所の司法統計によると、令和6年の個人再生の認可率は約92%でした。
裏を返せば、申立て全体で見た失敗率は約8%にとどまります。
認可率は例年9割を超えて推移しており、決して「失敗しやすい手続き」ではありません。
むしろ、必要な要件を満たして手順どおりに進めれば、大多数が認可までたどり着いているのが実情です。

自力申立てと弁護士介入での失敗率の違い
約8%という失敗率は、自分だけで申立てた人も含めた全体の数字です。
弁護士が代理人として関わったケースに絞ると、失敗はさらに少なくなる傾向があります。
書類の不備や要件の見落としといった「初歩的なつまずき」を、申立て前の段階で防げるためです。
明確な公式統計があるわけではありませんが、実務上は弁護士が関与した場合の不認可・廃止は3%程度にとどまるとみられています。
個人再生は手続きが複雑で、提出書類も多岐にわたります。
弁護士のサポートを受けるかどうかが、成否を分ける大きな要素になっているのです。
ただ、個人再生は再生計画案の作成や履行テストなど、自力では判断に迷う場面が多い手続きです。
途中で書類の期限を逃して廃止になる例もあるため、最初から弁護士に任せたほうが結果的に安全です。
個人再生が失敗する4つのケース


手続きの「どの段階でつまずくか」で分けると整理しやすいですよ。
申立ての入口から認可後まで、順番にみていきましょう。
申立段階で棄却されるケース
1つ目は、申立ての入口で「棄却」されるパターンです。
棄却とは、裁判所が手続きの開始自体を認めないことをいいます。
主な原因は、必要書類の不備や提出遅れ、予納金の未納といった手続き上の問題です。
また、個人再生には債務総額が住宅ローンを除いて5,000万円以下という要件があり、これを超えると利用できません。
継続的な収入の見込みが立たない場合も、返済の前提を欠くため棄却の対象になります。
入口でのつまずきは準備段階で防げるものがほとんどで、弁護士が関われば起こりにくい類型です。
手続き中に廃止されるケース
2つ目は、手続きの途中で「廃止」されるパターンです。
廃止とは、いったん始まった手続きが、最後まで進まずに打ち切られることをいいます。
よくある原因は、再生計画案や報告書の提出期限を過ぎてしまうこと、そして履行テスト中の積立てに失敗することです。
財産を隠していた事実が手続き中に発覚した場合も、廃止につながります。
特に履行テストでの積立て不履行は、「本当に返済を続けられるのか」という裁判所の判断に直結します。
スケジュール管理を怠らないことが、廃止を避ける何よりの対策です。
再生計画が不認可になるケース
3つ目は、再生計画案が「不認可」となるパターンです。
不認可の事由は、小規模個人再生では民事再生法174条2項に定められています。
代表的なものは、次の4つに分けられます。
- 計画が法律の規定に違反している場合
- 再生計画が遂行される見込みがない場合
- 決議が不正な方法で成立した場合
- 債権者の一般の利益に反する場合
なお、債権者の決議を行わない給与所得者等再生(同法241条2項)では、決議に関する事由は当てはまらず、代わりに可処分所得の2年分以上を返済する計画になっているかなどが問われます。
このうち実務で最も多いのが、「再生計画が遂行される見込みがない」と判断されるケースです。
収入に対して返済額が重すぎたり、家計に余裕がなかったりすると、履行可能性を疑われてしまいます。
無理のない返済計画を立てることが、不認可を防ぐ鍵になります。
認可決定後に取消になるケース
4つ目は、いったん認可された後に決定が「取消」されるパターンです。
最も多い原因は、認可された再生計画どおりに返済できず、滞納してしまうことです。
認可後に財産隠しや虚偽の申告が発覚した場合も、取消の対象になります。
取消が確定すると、減額された借金は元の金額に戻ってしまいます。
せっかく認可までたどり着いても、その後の返済を続けられなければ意味がありません。
一方、不認可と取消は「無理のない返済計画かどうか」が分かれ目になります。
最初の計画づくりが、最後まで効いてくるんです。

個人再生でやってはいけないこと

良かれと思ってした行動が、かえって失敗を招くこともあります。
やってはいけないことを、具体的に押さえておきましょう。
偏頗弁済・特定債権者への返済
やってはいけないことの代表が、特定の債権者だけに返済する「偏頗弁済(へんぱべんさい)」です。
弁護士に依頼して受任通知を送った後は、すべての返済をいったん止める必要があります。
「お世話になった知人にだけは返したい」「カードだけは使い続けたい」という気持ちはわかりますが、これは禁物です。
一部の債権者だけを優遇すると、その分が清算価値に上乗せされ、結果として返済総額が増えてしまうことがあります。
場合によっては、再生計画そのものが認められない原因にもなります。


手続きが終わってからまとめて精算するのが原則で、手続き中に内緒で返すと偏頗弁済として問題になります。
隠さず弁護士に相談していただくのが一番です。
財産隠し・虚偽申告・新規借入れ
財産を隠したり、借金や収入について嘘の申告をしたりするのも、絶対に避けるべき行為です。
個人再生では、保有する財産を正直に申告し、その清算価値以上の金額を返済する仕組みになっています。
そのため、財産を隠して返済額を少なく見せようとしても、後で発覚すれば廃止や取消につながります。
うっかりの申告漏れも、財産隠しと同じように扱われることがあるため注意が必要です。
さらに、手続き中に新たな借入れをしたり、ギャンブルや浪費を続けたりするのも禁物です。
財産にあたるかどうか迷うものは、申告すべきか必ず弁護士に確認してください。
正直に出していただければ、こちらで適切に処理できます。
履行テストの怠り・家計簿の不備
個人再生では、認可前に「履行テスト」と呼ばれる積立てを求められることがあります。
これは、再生計画どおりに返済を続けられるかを試すための練習期間です。
期間は3〜6か月程度が一般的ですが、運用は裁判所によって異なり、東京地裁では6か月、名古屋地裁では1.5〜3か月程度とされています。
この積立てを怠ると、返済能力を疑われ、廃止や不認可の原因になります。
あわせて家計簿の提出を求められることも多く、収支が不自然だと「家計管理ができていない」とみなされかねません。
毎月コツコツ積み立て、家計簿を正直につけることが、認可への着実な一歩になります。
ですが、ここで積立ての習慣がつくと、認可後の返済がぐっと楽になります。
「テスト」というより「本番のリハーサル」と思って取り組んでいただくといいですよ。
個人再生に失敗するとどうなるか

失敗すると、せっかくの減額がなくなり、いくつかの不利益が生じます。
順にみていきましょう。
減額前の借金額に戻り遅延損害金が加算される
失敗してまず起こるのが、減額されるはずだった借金が元の金額に戻ることです。
個人再生が認可されれば借金は大幅に圧縮されますが、棄却・廃止・不認可・取消のいずれかになれば、その効果は得られません。
それどころか、手続き中に返済を止めていた期間の遅延損害金が上乗せされることもあります。
例えば、借金500万円のケースで比べてみましょう。
| 項目 | 個人再生が成功した場合 | 失敗した場合 |
|---|---|---|
| 返済の対象 | 約100万円(5分の1に圧縮) | 500万円(元のまま) |
| 遅延損害金 | なし | 滞納期間分が加算 |
| 返済の進め方 | 原則3年・最長5年の分割 | 一括請求や債権者との個別協議 |
※上記は借金500万円で最低弁済額が100万円となる場合の一例です。
実際の圧縮率は債務額や財産の状況によって異なるため、失敗と成功では負担がまるで変わってきます。
信用情報のブラックリストが残ったままになる
個人再生を申立てると、信用情報機関に事故情報が登録されます。
いわゆる「ブラックリスト」の状態で、登録期間は5〜10年が目安です。
この期間は、新たな借入れやクレジットカードの作成、ローンの利用が難しくなります。
個人再生が成功すれば、完済から一定期間が過ぎたあとに情報は消えていきます。
ところが失敗した場合、借金問題が解決しないまま、ブラックリストの状態だけが続くことになりかねません。
信用情報が回復しないと、生活の立て直しそのものが遠のいてしまいます。
債権者から一括請求・訴訟・差押えのリスク
失敗すると、受任通知や手続きの開始によって止まっていた督促が再び動き出します。
債権者からの返済請求が再開され、滞納が続けば残額を一括で請求されることもあるでしょう。
それでも支払えなければ、訴訟を起こされ、給与や預金の差押えに発展することもあります。
特に給与の差押えは勤務先に知られるきっかけになり、生活への影響は小さくありません。
だからこそ「失敗しないように進める」ことが何より大切になります。
万一うまくいかなかったとしても、放置せず次の手を打てば、差押えまで至らずに済むケースは多いですよ。
個人再生に失敗した場合の3つの対処法


失敗の原因に応じて、次の選択肢がいくつもあります。
あきらめる前に、3つの対処法を知っておいてください。
再申立てを検討する
失敗の原因が書類の不備や履行テストの失敗など、立て直しが利くものであれば、再申立てを検討できます。
不足していた書類をそろえ、無理のない返済計画に練り直したうえで、改めて申立てる流れです。
ただし、1つ注意点があります。
給与所得者等再生は、前回の認可決定の確定から7年が経過しないと再び利用できません。
一方、小規模個人再生にはこうした年数の制限はないため、要件を整えれば再チャレンジしやすい手続きです。
どの方法で再申立てするかは、失敗の原因によって変わってきます。
給与所得者等再生・ハードシップ免責への切り替え
手続きの種類を切り替えることで、認可にたどり着ける場合もあります。
小規模個人再生で債権者の同意が得られず否決されたなら、同意を必要としない給与所得者等再生への変更が選択肢になります。
また、認可後に病気や失業で返済が難しくなった場合は、「ハードシップ免責」という制度があります。
これは、計画弁済額の4分の3以上をすでに返済しているなど一定の条件を満たせば、残りの返済を免除してもらえる仕組みです。
どの選択肢が向いているかは、収入の回復見込みや返済の進み具合によって変わります。
ただし要件は厳しく、誰でも使えるわけではありません。
返済が苦しくなったら、滞納して取消になる前に、早めに弁護士へ相談していただくのが肝心です。
自己破産・任意整理への切り替え
返済の原資そのものが確保できない場合は、自己破産への切り替えが現実的です。
自己破産なら原則としてすべての借金の支払い義務が免除され、生活を立て直しやすくなります。
持ち家を手放したくないという理由だけで個人再生にこだわると、かえって解決が遠のくこともあります。
逆に借金が比較的少なく、将来利息のカットで十分なケースなら、任意整理への切り替えという手もあります。
大切なのは、収入の回復見込み・住宅を残す必要性・債権者の対応という3つの視点から、自分に合った手続きを選ぶことです。

一人で抱え込まず、早めに相談していただくのが何よりの近道なんです。
個人再生の失敗についてよくある質問

個人再生の失敗について、相談者からよく寄せられる質問をまとめました。
個人再生の失敗率は本当に8%程度ですか?
司法統計上の認可率から計算すると、申立て全体の失敗率はおよそ8%です。
令和6年の認可率は約92%で、近年も9割を超えて推移しています。
ただし、この数字は自分だけで申立てた人も含めた全体の割合です。
弁護士が代理人として関わったケースに絞れば、失敗はさらに少ない傾向があります。
個人再生に失敗したら自己破産になりますか?
必ず自己破産になるわけではありません。
失敗の原因が書類の不備などであれば、整え直して再申立てができます。
債権者の同意が得られなかった場合は、給与所得者等再生への切り替えという道もあります。
自己破産は、あくまで返済の原資が確保できないときの選択肢の1つです。
自己破産ありきで考える必要はありませんので、まずは原因を一緒に整理しましょう。
個人再生は何度でも再申立てできますか?
小規模個人再生については、再申立ての回数に法律上の制限はありません。
要件を満たし直せば、改めて申立てること自体はできます。
ただし、給与所得者等再生は前回の認可確定から7年が経過しないと利用できない制限があります。
何度も失敗を繰り返すと裁判所の心証にも影響するため、再申立ては原因をしっかり改善してから臨むことが大切です。
次こそ確実に通すために、なぜ失敗したのかを徹底的に分析してから動きましょう。
個人再生の失敗が不安な方は大地総合法律事務所にご相談ください

個人再生の失敗率は司法統計上およそ8%にとどまり、弁護士が関わればさらに低くなる傾向があります。
失敗には棄却・廃止・不認可・取消という4つの類型がありますが、その多くは事前の準備とスケジュール管理、そして無理のない返済計画で防げるものです。
偏頗弁済や財産隠し、履行テストの怠りといった「やってはいけないこと」を避け、正しく進めれば、個人再生はほとんどの方が認可までたどり着ける手続きです。
万一うまくいかなかったとしても、次の道は再申立てや手続きの切り替えなど必ず残されています。
大地総合法律事務所では、個人再生をはじめとする債務整理のご相談を無料で承っています。
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