家族に借金があるとわかったとき、「自分が代わりに返済しなければならないのか」「何か方法はないのか」と不安や焦りを感じる方は少なくありません。
しかし、何も確認せずに勝手に肩代わりしてしまうと、思わぬ法的責任や税金の問題が生じるおそれがあります。
本記事では、家族の借金に返済義務が生じるケースに加え、借金を調べる方法や滞納時の影響、具体的な対処法までわかりやすく解説します。
家族の借金問題への向き合い方に悩んでいる方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。
\毎月の返済が苦しい.../
家族に借金があっても原則として返済義務はない


先生、もし家族の借金が発覚したら、代わりに返済しなければならないのでしょうか?
親の借金を子どもが支払うケースもよく聞くのですが…。
借金は、あくまで借りた本人が負うものです。
そのため、家族が返済できなくなったとしても、原則として家族に返済義務が移ることはありません。
配偶者や親・兄弟姉妹であっても、「家族だから」という理由だけで、借金を肩代わりする必要はありません。
借金の責任と家族関係は、法律上切り分けて考えられています。
ただし、一定の条件に当てはまる場合には、例外的に返済義務が生じる場合があります。
家族の借金が発覚したら、まずは自分に返済義務がある立場なのかどうかを確認しておきましょう。
家族の借金に返済義務が生じてしまう3つのケース


家族の借金を負わなければならないケースについて教えてください。
どのような場合に、家族にも返済義務が及ぶのでしょうか?
名義人は誰か、保証人になっていないか、相続をしているかどうかがポイントになります。
名義・保証人・相続のいずれかに関わっている場合、家族であっても返済義務が生じる可能性があります。
自分で借りていなくても、状況によっては責任が問われるケースがあるため、早めに確認しておくことが大切です。
家族が自分の名義で借金をしている
金融機関の契約上は、名義人が借主として扱われます。
そのため、借金の名義が自分になっている場合、実際に借金を作ったのが家族であっても返済義務は避けられません。
身に覚えがないからといって放置すると延滞扱いとなり、信用情報に影響が及ぶおそれがあります。
借金の連帯保証人になっている
借金の連帯保証人になっている場合、名義人が返済できなくなると連帯保証人に直接請求がおよびます。
通常の保証人であれば、まず債務者本人への請求を求めることが可能です。
しかし、連帯保証人の場合はそのような主張ができず、返済請求に対してただちに支払う義務を負います。
連帯保証人になっているかどうかは、契約書などで必ず確認しておきましょう。
借金を相続している
亡くなった家族の相続人になった場合、借金も相続の対象です。
配偶者は、原則として必ず相続人になりますが、子どもがいるかどうかによって他の相続人が変わります。
相続人の組み合わせは、次のとおりです。
- 子どもがいる場合:配偶者と子ども
- 子どもがいない場合:配偶者と父母
- 父母がいない場合:配偶者と兄弟姉妹など
相続人に当たる場合、何も手続きをしなければ借金も含めて相続する可能性があります。
一方、内縁関係の相手や離婚した元配偶者には、原則として相続権はありません。
家族構成を確認し、自分が相続人に該当するかどうかを把握しておきましょう。
家族の借金を調べる・確認する方法


本人が存命かどうかによって確認方法は変わります。
借金の情報は個人情報に当たるため、家族であっても自由に調べられるものではありません。
そのため、確認できる範囲や手続きは状況によって異なります。
以下では、家族の借金を調べる具体的な方法について、本人が存命の場合と亡くなっている場合に分けて解説します。
本人が存命の場合に確認する方法
家族の生前に借金を調べる場合は、本人の同意が必須です。
借金は個人情報に当たるため、本人の同意がなければ、家族であっても確認できません。
本人は、CIC・JICC・KSCなどの信用情報機関へ情報開示請求でき、借入れ先や残高の一覧を確認できます。
また、口座銀行の引き落とし履歴や、契約書・請求書・督促状などの書類から借入れ先を把握できる場合もあります。
参考:CIC公式ページ「情報開示とは」
家族が死亡している場合の借金の調べ方
家族が亡くなっている場合は、相続人に限り借金の有無を確認できます。
相続人には一定の情報開示請求権が認められており、金融機関や信用情報機関に対して開示請求が可能です。
相続人であることを証明する書類(戸籍謄本など)を提出して手続きを行えば、亡くなった家族の借入れ先や借金残高を確認できます。
一方、相続人でない場合は、原則として家族の借金を調べられません。
そのため、まずは戸籍などで自分が相続人に当たるかどうかを確認しておきましょう。
家族が借金を滞納した場合に起こり得る影響


連帯保証人になっている場合や、家族カードを利用している家族には影響が及ぶ可能性があります。
状況によっては訴訟や差押えに発展するおそれがあるため、十分な注意が必要です。
以下では、家族が借金を滞納した場合に起こり得る影響を解説します。
滞納を放置するほど状況が悪化しやすいため、早い段階で現状を把握しておきましょう。
連帯保証人に請求が及ぶ
家族が借金を滞納すると、連帯保証人に対して返済請求が行われます。
連帯保証人は、借りた本人とほぼ同じ責任を負う立場であり、支払いを拒否することができません。
名義人が返済できなくなった場合には、金融機関から一括返済を求められる可能性があります。
また、離婚や相続があった場合でも、原則として連帯保証人の義務は残ります。
滞納が長引くほど訴訟や差押えに発展するおそれがあるため、連帯保証人になっている方は、自分にどの程度の責任が及ぶのかを早めに確認しておきましょう。
滞納者名義の家族カードが利用停止になる
家族カードは、本会員の信用に基づいて発行される仕組みです。
そのため、クレジットカードの本会員が支払いを滞納し続けると、同じ契約に紐づいている家族カードも利用できなくなる可能性があります。
特に公共料金や通信費などを家族カードで支払っていた場合、突然利用できなくなることで生活に影響が出やすくなります。
給与や預貯金が差押えられる可能性がある
家族が借金の返済を放置し続けると、借りた本人は最終的に裁判手続きへ進むおそれがあります。
原則として、差押えの対象は借りた本人の財産であり、家族名義ではない財産まで差押えられることはありません。
ただし、家族名義で借入れをしている場合や、連帯保証人になっている場合は例外です。
この場合、家族の給与や預貯金が差押えの対象となる可能性があります。
家族や兄弟の借金が発覚した場合の5つの対処法

家族の借金が分かった場合、まず何から対応すればよいのでしょうか?
やっぱり、家族が肩代わりするのはリスクがありそうですね。
そうですね。
金銭トラブルを避けるためにも、まずは自分の法的な立場を確認することから始めましょう。
以下では、家族や兄弟姉妹の借金が発覚した場合に取るべき対処法を5つ解説します。
まずは自分に返済義務があるかを確認する
家族の借金が発覚した場合、まず確認すべきなのは、自分に法的な返済義務があるかどうかです。
次のような立場にいる場合は、返済義務が生じる可能性があります。
- 借金の名義が自分になっている
- 保証人・連帯保証人になっている
- 相続人になっている
本人と連絡が取れる場合は、借入れ先との契約書を探してもらい、名義人と連帯保証人が誰になっているかを確認しましょう。
また、督促状などの郵便物が届いていた場合は、差出人や契約内容を確認することで状況を把握できる可能性があります。
慌てて代わりに返済するのではなく、まずは自分の立場を整理することが大切です。
家族の借金を勝手に肩代わりしない
家族が借金に悩んでいるからといって、勝手に肩代わりするのはリスクが伴います。
自分に返済義務があるのか分からないまま返済した場合でも、借金を認めたとみなされる可能性があります。
あとになって「返済義務がなかったから返してほしい」と主張しても、「任意で支払ったもの」と判断されるケースが多く、取り戻すのは安易ではありません。
また、多額の借金を一括で肩代わりすると、状況によっては贈与税とみなされ、税金が発生する可能性もあります。
感情だけで判断せず、まずは法的な責任の有無を確認するのが先決です。
貸付自粛制度を利用する
家族が借金を繰り返してしまう場合は、貸付自粛制度の利用を検討する方法があります。
貸付自粛制度とは、本人の申し出により、銀行や消費者金融に対して、新たなお金を借入れができないよう登録する制度です。
借金癖やギャンブル依存症に悩んでいる家族がいる場合に、これ以上借金を増やさないための対策として活用できます。
ただし、貸付自粛制度を利用しただけで借金がなくなるわけではありません。
借金を増やさないための手段として、検討する価値はあります。
家族が死亡している場合は相続放棄を検討する
亡くなった家族に借金が残っている場合、相続人に当たると借金も引き継ぐ可能性があります。
そのため、借金を返済できない状況にあれば、相続放棄も選択肢の1つです。
相続放棄すると、借金だけではなく、亡くなった家族の預貯金や不動産などの財産も相続できなくなります。
また、相続放棄には期限があり、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てをしなければなりません。
期限を過ぎると、相続を承認したものとみなされるおそれがあります。
早めに借金の有無や金額を確認し、相続放棄すべきか慎重に判断しましょう。
弁護士へ相談して債務整理を検討する
借金返済の目途が立たない場合は、弁護士へ債務整理の相談をしてみるのも1つの方法です。
債務整理には、主に任意整理・個人再生・自己破産などがあり、債務状況によって適した方法が異なります。
弁護士へ相談すれば、名義人や連帯保証人の有無を整理したうえで、適切な対応策を提案してもらえます。
手続きを行うのは、原則として返済義務のある本人です。
家族が代わりに手続きを進めることはできませんが、事務所への予約や相談の同席などサポートできる場面はあります。
本人がすでに亡くなっている場合は、相続人が主体となって相続放棄や債務整理の手続きを検討する流れになります。
家族だけで抱え込むと生活が圧迫されるおそれがあるため、早い段階で弁護士へ相談しておくと安心です。
家族の借金で悩んだときによくある質問

そうですね。
家族の問題だからこそ他人事ではなく、不安や戸惑いが大きくなりやすいものです。
以下では、家族の借金問題で多く寄せられる質問を4つ紹介します。
家族内の借金は法的な責任や税金は発生しますか?
家族内の貸し借りであっても、法的な返済義務や税金が発生する可能性があります。
「家族だから問題ないだろう」と感じやすいものですが、税務上は贈与とみなされるケースも少なくありません。
その場合、年間110万円を超える部分については贈与税が発生する可能性があります。
また、返済の約束があれば、法律上は金銭消費貸借契約が成立します。
口約束でも契約は有効ですが、後にトラブルが生じた場合には貸付であることを証明しなければなりません。
借金を理由として家族と縁を切れますか?
法律上、借金トラブルの有無にかかわらず、家族との縁を完全に切ることはできません。
借金問題が原因であっても、戸籍から血縁関係を抹消することはできない仕組みであるためです。
これ以上問題に巻き込まれたくない、関わりたくないと感じている場合は、まず自分に返済義務があるかどうかを確認しましょう。
相続が発生している場合は、相続放棄を検討する必要があります。
また、弁護士を通じて絶縁状を送るなど、今後の関わり方を整理する方法もあります。
絶縁状を送ったからといって法的効力が生じるわけではありませんが、強い意志を明確に示す手段として検討することが可能です。
借用書がない場合でも返済請求できますか?
借用書がなくても、貸付の事実や返済の約束を証明できる証拠があれば、返済請求が可能です。
法律上、口約束であってもお互いの合意があれば、金銭の貸し借りは成立します。
ただし、借用書がない場合は、返済請求をする側が貸付であることを立証しなければなりません。
例えば、振込履歴、メールやLINEのやり取りが証拠として活用できる場合があります。
証拠が不十分な場合は、請求が認められない可能性があります。
借金依存症の家族にはどう対応すべきですか?
家族が借金依存症の疑いがある場合は、決して感情的にならず、貸付自粛制度や債務整理など、本人への法的な制限を検討することが大切です。
感情的になって責め立てたり、その場しのぎで借金を肩代わりしたりしても、根本的な解決にはつながりません。
それどころか、本人は「またお金を貸してくれるはず」と感じやすく、依存が強まるおそれがあります。
状況を悪化させないためにも、家族だけで抱え込まず、専門家や支援制度に頼りながら対応策を検討することが大切です。
家族の借金問題は1人で抱え込まず弁護士にご相談ください

家族の借金は、名義人かどうか、連帯保証人になっていないか、相続人に該当するかどうかによって、返済義務の有無が決まります。
そのため、まずはご自身がどの立場にあるのか、返済義務が発生する可能性があるのかを確認するのが大切です。
返済が難しく対応に悩む場合は、弁護士へ相談すれば、名義や保証人の有無、相続の状況を整理したうえで、今後どのように対応すべきかを明確にできます。
弊所では、ご本人の希望を踏まえながら、任意整理・個人再生・自己破産など、状況に応じた債務整理の方法についてもわかりやすく説明します。
家族の問題だからこそ、できるだけ早い段階でご相談いただき、今後の対応を整理していきましょう。
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