ロマンス詐欺とは、SNSやマッチングアプリなどで恋愛感情や信頼関係を利用し、金銭をだまし取る詐欺の手口です。
近年では、海外在住や海外勤務を名乗って送金を促す「国際ロマンス詐欺」も増えており、お金を返してもらえるのか不安を抱える方が少なくありません。
詐欺グループは、資金をすぐに移動させたり暗号資産や海外送金を利用したりするため、被害に気づいた時点で回収が難しくなっているケースも多いのが実情です。
本記事では、ロマンス詐欺に遭った場合の返金が難しい理由を整理したうえで、送金手段別の返金の成功確率の目安や泣き寝入りしないための対策をわかりやすく解説します。
\もしかしたら詐欺に遭ったかもしれない.../
ロマンス詐欺に遭った場合の返金が難しいのはなぜ?



とくに「国際ロマンス詐欺」の場合は返金の難易度がさらに高くなります。
ただ、理由を知っておくことで取るべき対応も見えてきます。
ここでは、ロマンス詐欺の返金が難しくなる主な理由について解説します。
連絡手段がSNSのみで相手方の特定ができない
連絡手段がSNSやマッチングアプリのメッセージ機能だけに限られているケースが多く、相手方の氏名や住所などの身元情報が分からないまま被害が発生します。
相手を特定できない場合は直接返金を請求することが難しく、銀行振込やカード決済など送金手段を通じた対応に頼らざるを得ません。
さらに振込先口座が名義貸しなど第三者名義になっていることも多く、追跡や回収が困難になる要因となります。
口座を凍結できても資金が移されて追跡・回収が間に合わない
被害者が送金したお金が振り込まれた直後に、詐欺グループによって別口座へ移されたり、ATMで現金として引き出されたりすることが少なくありません。
そのため、金融機関に連絡して口座凍結を依頼できたとしても凍結時点で口座の残高が残っていなければ返金の原資がなく、回収につながらないケースが多くなっています。
特に送金から時間が経ってしまうほど資金移動が進み、追跡や回収が難しくなります。
海外送金や暗号資産が絡むと取り消しや凍結が難しくなる
国際ロマンス詐欺では送金先が海外口座であったり、暗号資産(仮想通貨)での送金を求められたりするケースも多く見られます。
海外送金の場合は国内の銀行振込と異なり送金の取り消しが難しく、資金が海外に移ってしまうと追跡や回収のハードルが一気に上がります。
また、暗号資産は取引の匿名性が高く、送金後に別のウォレットへ移されると凍結や差し止めが困難になることが少なくありません。
このように海外送金や暗号資産がともなうケースでは、返金の成功確率が低くなる傾向があります。
なお、遠隔操作アプリ(AnyDeskなど)を悪用した詐欺の手口については、こちらも併せてご覧ください。
【関連記事】遠隔操作アプリ(AnyDesk)×海外法人×暗号資産送金の副業詐欺事例
送金手段によって返金ルートが異なり初動を間違えると機会を逃す
ロマンス詐欺の返金対応は、被害に遭ったときの送金手段によって大きく異なります。
例えば、銀行振込の場合は金融機関への連絡や振り込め詐欺救済法の適用が検討されますが、クレジットカードであればカード会社への申立てが必要になることもあります。
一方で送金アプリや電子マネー、暗号資産などの場合は取り消しや補償が難しいケースも少なくありません。
【送金手段別】ロマンス詐欺に遭った場合の返金の成功確率は?一般的な目安を紹介


一般的に、銀行振込やクレジットカードなどは対応できる余地がありますが、暗号資産や海外送金は難易度が高くなります。
ここでは、送金手段別に返金の成功確率の一般的な目安を紹介します。
銀行振込|条件次第で返金の可能性あり
銀行振込による被害の場合、送金直後であれば金融機関に連絡することで振込の組戻しが検討されることがあります。
また詐欺に利用された口座が凍結され、口座内に残高が残っている場合には「振り込め詐欺救済法」に基づく被害回復分配金の支払いが行われる可能性もあります。
ただし、返金が認められるかどうかは送金からの経過時間や口座残高などの要件によって左右されるため、必ず返金されるとは限りません。
振込明細やスクリーンショット、相手のアカウント情報などを揃えておくと警察や金融機関への説明が通りやすくなるでしょう。
クレジットカード|比較的返金の可能性が高い
クレジットカード決済の場合は、銀行振込と比べると返金の可能性が残ります。
特に商品やサービスの実態がないまま決済させられた場合や騙されて決済した場合は、カード会社への申立てによって返金されることがあります。
ただし申立てには期限が設けられていることも多いため、気付いた時点で早めに動くようにしましょう。
ロマンス詐欺によって決済した経緯を説明して、取消しや補償の可否、必要な手続き(申立書類や提出先)を確認してください。
送金アプリ・電子マネー|ケースによってばらつきがある
送金アプリや電子マネーを利用して送金してしまった場合、返金の可否はサービスの種類や利用状況によって大きく異なります。
銀行振込やクレジットカードのように制度が整っていないケースも多く、送金後の取り消しができない仕組みになっていることも少なくありません。
そのため被害に気付いたらできるだけ早くサービス提供会社へ連絡し、対応可能な措置があるか確認しましょう。
場合によっては相手アカウントの利用停止や調査が行われることもあります。
暗号資産・海外送金|取り消しや凍結が難しく返金は難しい
暗号資産(仮想通貨)や海外送金が絡む場合、ロマンス詐欺のなかでも返金の難易度は特に高くなります。
暗号資産は送金後に別口座へ移されやすく、取引の匿名性も高いため資金の差し止めや回収が困難になることが少なくありません。
また、海外送金の場合は国内の銀行振込と異なり送金の取り消しが難しく、資金が国外に移ってしまうと追跡や返金対応のハードルが一気に上がります。
これ以上の追加送金には絶対に応じず、送金先の取引所や事業者に連絡してアカウント凍結や調査の可否を確認してください。
振り込め詐欺救済法とは?適用されるケースと返金率について解説


ここでは、振り込め詐欺救済法の概要や適用される要件、返金率の考え方について解説します。
銀行振込を利用した詐欺被害が主な適用対象となる
振り込め詐欺救済法は、振り込め詐欺等の被害者に対して「被害回復分配金」の支払手続きなどを定めた法律です。
参考:金融庁「振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ」
この制度は、主に銀行振込を利用して詐欺被害を受けた場合に適用される仕組みであり、詐欺に利用された口座が凍結され口座内に残高が残っている場合に被害者へ分配が行われる可能性があります。
政府広報でも、オレオレ詐欺や架空請求詐欺など、預貯金口座への振込をともなう詐欺被害が対象となることが示されています。
参考:政府広報オンライン『「振り込め詐欺救済法」に基づき、振り込んでしまったお金が返ってくる可能性があります。』
ただし、暗号資産による送金や現金手渡しなど、銀行口座を経由しないケースでは適用されないことも多いため注意が必要です。
被害に気づいたら警察と金融機関に連絡し口座凍結を依頼する
被害に気付いたらまず警察へ相談し、併せて振込先の金融機関にも連絡して口座凍結を依頼しましょう。
振り込め詐欺救済法による被害回復を検討する場合でも、重要なのは被害に気付いた直後の初動です。
詐欺に利用された口座は入金後すぐに資金が移動されることが多く、対応が遅れるほど返金の原資が残らない可能性が高くなります。
早期に申告することで被害拡大を防げる可能性があります。
振込日時・金額・口座情報などを正確に伝えられるよう、送金記録や相手とのやり取りを揃えておきましょう。
インターネット上で表記されている返金率は被害額の何%が戻るという意味ではない
ネット上の情報やSNSには「返金率◯◯%」のように書かれていることがありますが、これは「被害額の何割が戻る」という意味ではありません。
口座に資金が残っていない場合や、複数の被害者がいる場合には分配額が大きく変わります。
また、詐欺の手口や送金方法によっては、そもそも救済法の対象にならないケースもあります。
返金の可能性は送金手段や経過時間、残高の有無など複数の要件に左右されると考えておきましょう。
ロマンス詐欺被害に遭って泣き寝入りしないためには?対処法を解説


被害をこれ以上広げないようにするためにも、適切な対処法を覚えておきましょう。
ここでは、ロマンス詐欺被害に遭ったときに泣き寝入りしないための具体的な対処法を解説します。
詐欺業者との連絡を遮断し証拠となり得るものは消さずにすべて保存する
ロマンス詐欺に気付いたら、詐欺業者との連絡を直ちに遮断しましょう。
相手とやり取りを続けてしまうと、追加送金を求められたり心理的に揺さぶられて被害が拡大したりするおそれがあります。
併せて、今後の相談や手続きに備えて以下のように証拠となり得るものは消さずにすべて保存しておきましょう。
- SNSやメールのやり取り
- 送金履歴
- 振込明細
- 指示された内容
- 相手のアカウント情報
これらが揃っているほど警察や金融機関・弁護士への説明がスムーズになります。
削除してしまうと後から立証が難しくなるため、まずは証拠の保存を徹底してください。
消費生活センターなどの公的窓口に相談する
消費生活センターでは詐欺被害に関する相談を受け付けており、状況に応じて取るべき対応や連絡先についてサポートを受けられます。
特に、送金手段が複数にわたる場合や返金の手続きが複雑で判断が難しい場合には、早い段階で相談することで次の行動を整理しやすくなります。
また、公的窓口を通じて適切な機関につながることで、二次被害を防ぐことにもつながります。
迷ったときは早めに相談してみてください。
弁護士に相談し法的手段で対応してもらう
被害額が大きい場合や送金先が特定できている場合には、弁護士に相談して法的手段によって対応してもらうことも検討しましょう。
弁護士に依頼することで、送金記録や証拠を整理したうえで返金請求の可能性を判断してもらえたり、金融機関や関係機関とのやり取りを代理で進めてもらえたりします。
また、詐欺被害では「返金できます」と持ちかけられる二次被害も多いため、弁護士に相談することで法律の専門家に対応してもらえることもメリットです。
被害額が大きい場合は、早めに弁護士へご相談ください。
ロマンス詐欺被害による返金に関するよくある質問


教えてもらってもいいでしょうか?
ロマンス詐欺の返金はケースによって異なるため、よくある質問を通して整理しておきましょう。
ここでは、ロマンス詐欺被害による返金に関して、多く寄せられる質問にお答えします。
振り込め詐欺救済法が適用されれば被害額は全額返金されますか?
振り込め詐欺救済法が適用された場合でも、被害額が全額返金されるとは限りません。
この制度は、詐欺に利用された口座に残っている資金を「被害回復分配金」として被害者に分配する仕組みです。
そのため、口座に残高がほとんど残っていない場合や複数の被害者がいる場合には、分配される金額が被害額の一部にとどまることもあります。
また、暗号資産送金など銀行口座を経由しないケースでは、そもそも制度の対象外となる場合もあります。
返金の可能性を高めるには、早期対応が欠かせません。
>ロマンス詐欺に遭って返金されないのはどのようなケースが考えられますか?
ロマンス詐欺に遭って返金されないのは、以下のようなケースが考えられます。
- 送金後すぐに資金が引き出され、口座に残高が残っていない
- 暗号資産や海外送金など、取り消しや凍結が難しい手段で送金している
- 相手方の身元が特定できず、返金請求の相手がわからない
- 被害に気付くまで時間が経ってしまい、初動対応が遅れてしまった
- 送金手段ごとの補償制度や救済法の適用要件を満たしていない
このように返金の可否は送金方法や経過時間、証拠の有無など複数の要件に左右されます。
早めに消費生活センターや弁護士へ相談してください。
特殊詐欺や投資詐欺の返金率はどのくらいですか?
特殊詐欺や投資詐欺の返金率は、一律に数字で示せません。
返金の可否や回収できる金額は送金手段や経過時間、口座残高の有無などによって大きく異なります。
インターネット上で見かける返金率の数字は参考程度にとどめ、個別の状況に応じて対応を検討していきましょう。
まずは状況を整理して、困ったことがあれば消費生活センターや弁護士に相談しましょう。
投資詐欺は返金が難しいといわれているのは本当ですか?
一般的に難しい傾向があります。
特に近年は暗号資産や海外送金を利用した投資詐欺が増えており、送金後の取り消しや資金の差し止めが困難なケースが多いのが実情です。
また、投資詐欺では「必ず儲かる」「出金できる」と信用させたうえで追加送金を求める手口も多く、被害が拡大しやすくなっています。
ロマンス詐欺でも投資話を持ちかけるケース(SNS型投資・ロマンス詐欺)があり、返金が難しくなる傾向があります。
ロマンス詐欺に遭って返金を受けられず困っている方は大地総合法律事務所へ

ロマンス詐欺の被害に遭った場合、返金の可否は送金手段や経過時間、証拠の有無などによって大きく左右されます。
特に国際ロマンス詐欺や暗号資産がともなうケースでは、対応が遅れるほど回収が難しくなる傾向があります。
返金を受けられずお困りの方は、1人で抱え込まず早めに弁護士へご相談ください。
大地総合法律事務所では、ロマンス詐欺被害に関するご相談を受け付けています。
初回相談は無料で行いますので、お気軽にお問い合わせください。
[記事末CTA]