「スマホだけで月30万円稼げる、と言われて登録したけど不安だ」
「最近副業詐欺が急増していると聞いたけど、どのような手法か知りたい」
SNSなどをきっかけに副業に誘導され、始めたものの実際には一円も稼げず大金を失う「副業詐欺」が多発しています。
近年は遠隔操作アプリ(AnyDesk)を悪用した副業詐欺が急増しており、巧妙な手法を用いているため、被害者は返金を受けることが極めて困難です。
そこで、本記事では実際の遠隔操作アプリを用いた事例を交えながら、詐欺の手口と返金が難しい理由、被害に遭わないための対策を弁護士が徹底解説します。

被害に遭わないためにも本記事をご一読ください。
\もしかしたら詐欺に遭ったかもしれない.../
遠隔操作アプリ(AnyDesk)を用いた副業詐欺とは?

遠隔操作アプリ(AnyDesk)を利用した副業詐欺とは、「副業で儲かる!」などと広告して集客し、最終的には被害者のスマホを遠隔操作して不正な操作を行う非常に悪質なものです。
このような詐欺は、消費者金融で借金をさせて金銭をだまし取ることも多く、深刻な被害となっています。
そこで、本章では遠隔操作アプリ(AnyDesk)を使った副業詐欺の手法ついて詳しく解説します。
ぜひご一読くださいね。
遠隔操作アプリ(AnyDesk)とは
遠隔操作アプリとは、スマホやパソコンなどのデバイスを、離れた場所からでもアプリを通じて操作できる便利なソフトです。
本来は、デバイスと周辺機器の接続をサポートしたり、紛失したデバイスの捜索などに利用されてきました。
世界中でリモートワークの導入が進んでいる今、会社にあるパソコンを自宅から遠隔操作したり、離れた場所にいる相手に操作方法を教えたりする場面でも重宝されています。
このように非常に便利なソフトである一方で、遠隔操作が簡単に行えることから詐欺に悪用されるケースも急増しています。

遠隔操作アプリ(AnyDesk)を使った副業詐欺の手法とは
詐欺グループは被害者を巧妙に誘導し、まずは遠隔操作アプリ(AnyDesk)をダウンロードさせ、主に以下の手口でお金を送金させます。
- 暗号資産(仮想通貨)で送金させる
口座開設や取引所への入金方法、その後の送金方法などについて説明するなどを理由に、遠隔操作ソフトの導入を迫ってきます。
送金先が海外法人というパターンが多く、特定されづらい暗号資産で送金させます。
ブロックチェーンの取引は技術的な特性上、一度承認されたあとの取り消しができないため、送金したお金の回収が非常に難しいです。
さらに、送金後は瞬時に資金移動されてしまうため、さまざまな条件が揃わない限り追跡も困難なのです。
【回収見込みがある条件】
- 相手が国内の口座で換金していた
- 銀行振込経由での送金だった(口座凍結が間に合う可能性)
- 取引所が協力・連携している
- 加害者の資産差押えが可能(調査で特定後、司法手続きで強制回収)
世界的な規模で活動する詐欺組織に対して、捜査機関やブロックチェーンの解析会社などが連携し返金を成功させた例があります。
しかし、加害者が非協力国におり法的な執行が効かないなど、さまざまな逃げ道が存在しているため、被害に遭わないことを最優先に考えましょう。
- 消費者金融から借入れをさせる
被害者にお金がないという場合には、消費者金融からの借入れに誘導されるケースも少なくありません。
被害者に借金をさせ、そのお金を詐欺グループに送金させる流れです。
遠隔操作アプリを悪用し、画面共有をさせられたまま借入れなどを行わせるので、「見張られている」と怖くなり作業を中断できない被害者が大変多くなっています。
後から遠隔操作で借入れさせられたと証明しようと思っても、自身のデバイスから行っているため、第三者の関与を証明することが難しいです。
- 海外法人を悪用する
実態のない海外法人を悪用するケースも多いです。
お金を受け取る法人が海外法人の場合、日本国内の訴訟手続きを通しての返金請求が極めて難しいです。

遠隔操作アプリ(AnyDesk)と海外法人を使って送金させる副業詐欺の事例

どのような事例があるんですか?
では、実際の被害事例をわかりやすく解説しながら紹介します。
遠隔詐欺アプリを悪用した副業詐欺は、巧妙な話術と誘導で被害者に借金を背負わせる手法が目立っており、被害者が急増しています。
本章では実際に起きた2つの事例を通して詳しく解説します。
遠隔操作アプリを経由し借金に誘導・FXを勧誘された事例
詐欺グループが海外のFX投資会社を名乗り、被害者に「確実に儲かる副業がある」と持ちかける事例が発生しています。
被害者はスマホで副業を検索し、事業者のSNSに登録しました。
利用方法がわからず業者に電話したところ「AnyDesk」をダウンロードするよう指示され、詐欺グループが被害者のスマートフォンを遠隔操作し、FX投資に誘導したのです。
詐欺グループは、その後被害者を複数の消費者金融から借金するよう誘導し、被害者が借入れたお金は詐欺グループ側に送金されてしまったのです。
参考:朝日新聞 遠隔操作アプリを悪用して借金へと誘導 副業や投資の危険な勧誘
副業業者に誘導され複数の消費者金融から借入れした事例
この事例では、被害者はSNSで「誰でも簡単に高収入を得られる副業」という動画広告を見つけました。
登録したところ、2,000円の情報商材を購入するように誘導され、指示に従ったところさらに高額の情報商材を購入するように指示されました。
被害者はお金がないことを伝えて断ろうとしましたが、「よい方法がある」と詐欺グループは被害者に遠隔操作アプリをダウンロードさせ、複数の消費者金融から借入れさせたのです。
被害者が借入れたお金は、すべて詐欺グループが指定した口座に送金されてしまいました。
被害者は借金だけが残り、高額な副収入は得られませんでした。

参考:独立行政法人 国民生活センター 20歳代が狙われている!?遠隔操作アプリを悪用して借金をさせる副業や投資の勧誘に注意
海外法人や暗号資産・AnyDeskを悪用した副業詐欺はなぜ返金が難しいの?

遠隔操作アプリ(AnyDesk)や暗号資産での送金、海外法人の悪用が組み合わさった副業詐欺は、被害者がお金を取り戻すことが難しい可能性があります。
詐欺グループが被害者からお金を確実に奪い取り、返金を不可能にするために非常に巧妙に組み合わされているためです。
弁護士や警察が尽力しても、詐欺の被害回復が難しい理由は以下のとおりです。

送金先が海外にあるため追跡が困難
副業詐欺の多くは、資金の送金先を国内ではなく海外の法人口座に設定しています。
法人口座の実態は詐欺グループが用意した「実体のないペーパーカンパニー」や、租税回避地(タックスヘイブン)に設立された怪しい法人名義です。
日本の銀行であれば、不正取引の可能性が判明した時点で口座を凍結し、警察の捜査協力が比較的スムーズに進むことがあります。
しかし送金先が海外の場合、日本の警察の権限だけでは対応できず口座の凍結も難しいのです。
こうした理由から、「送金したお金がすでに海外に出てしまった段階で取り戻すのは極めて困難」という現実があります。
暗号資産は匿名性が高く送金後すぐに引き出されてしまう
詐欺グループが資金の受け取りに「暗号資産(仮想通貨)」を利用するケースです。
多くの暗号資産はブロックチェーン上で取引履歴が公開されていますが、外国の暗号資産はその限りではありません。
さらに、口座(ウォレット)には銀行口座のように「本人の名前や住所」が紐づけられていません。
そのため、持ち主を特定できず実質的に匿名です。
本人確認などの措置が義務化されていない国・地域に所在する暗号資産交換業者を通じた取引は詐欺の温床となっており、暗号資産の所有者を特定できません。
詐欺グループは、被害者から送金された暗号資産を数分から数十分のうちに複数のウォレットに分散し、そのあとは海外の取引所を経由して現金化するなど、資金を瞬時に「洗浄」してしまいます。
警察や弁護士が後から追跡しようとしても、「どこに消えたのか」を辿りきれないケースがほとんどです。

参考:国家公安委員会 令和6年11月 犯罪収益移転危険度調査書 p.148-149.
捜査・摘発には他国との連携が必要
海外法人や暗号資産を悪用した犯罪を摘発するためには、国際的な捜査協力が必要です。
これは、通常の国内事件よりも複雑です。
日本の警察は「国際刑事警察機構(ICPO)」や各国の司法当局に協力を要請しなければなりません。
捜査には非協力的な国もあります。
さらに、詐欺グループは複数の国を経由して資金を移動させるため、捜査ルートは複雑化しています。
その結果、捜査の過程で詐欺グループが資金をすべて引き出して逃亡してしまうケースが非常に多く、実際に返金に至る例は極めて稀です。
AnyDeskは本人が操作をしているように見えてしまう
近年の副業詐欺で新たに問題視されているのが、遠隔操作アプリ(AnyDesk)の悪用です。
こうしたサービスは本来、正規の業務サポートやリモートワークに使われてきました。
詐欺グループは被害者に遠隔操作アプリをインストールさせ、画面共有で監視しながら作業をさせたり、銀行口座や暗号資産ウォレットを「被害者の代わりに」操作してしまうのです。
しかし、遠隔操作であってもログ上は被害者自身が操作したように記録されます。
銀行や取引所のシステムには「IPアドレス」や「ログイン端末」が残りますが、遠隔操作を介している場合、それは被害者のパソコンやスマホからのアクセスとして残るのです。
結果として、被害者が「自分の意思で振り込んだ」と見なされ、詐欺であることを立証するのが非常に難しくなります。
そのため、被害者側でできることは、可能な限り多くの証拠を保存することが大切です。
詐欺グループとのやり取り(LINEやメールなどの履歴)や実際の操作画面を録画したデータは詐欺の証拠となり得ます。
IPA(情報処理推進機構)などの公的機関も、遠隔操作アプリの悪用について繰り返し注意喚起を行っており、証拠保存の重要性を強調しています。
参考:独立行政法人情報処理推進機構 遠隔操作ソフト(アプリ)を悪用される手口に気をつけて!
副業詐欺の返金についてよくある質問

副業詐欺はたしかに多くの人が被害を受けています。
しかし、日頃から備えておけば被害に遭うリスクを確実に減らせますよ。
知っておくべき詐欺の見分け方や手続きもありますから、ご家族にも伝えてあげてくださいね。
本章では、副業詐欺の返金にまつわる「よくある質問」について、Q&A形式でわかりやすくお答えします。
1.副業詐欺はすべて泣き寝入りになってしまいますか
副業詐欺に遭ってしまうと、残念ながら泣き寝入りとなる可能性はありますが、被害を回復できる可能性もあります。
しかし、まずはできるだけ早く警察や消費者センターへ相談してください。
同時に、やり取りの履歴・送金明細・通話録音・画面キャプチャなど、後から証拠になるものを必ず保存しておくことが重要です。
また、弁護士へもご相談ください。
特に消費者金融から借入れをしてしまい、返済に困っている際には、借金のトラブルにも対応できる弁護士にご相談いただくことがおすすめです。
2.副業詐欺の見分け方を教えてください
副業詐欺を見分けるためには、詐欺の典型的な特徴を把握しておくことが重要です。
例えば、以下のようなポイントを押さえておくことがおすすめです。
- 「必ず稼げる」「未経験でも月収100万円」などの過剰な宣伝文句
現実離れした高収入を保証するような表現は注意が必要です。
実際の副業は数千円から数万程度で収まることが多く、短期間で誰でも成功できるという話は極めて不自然です。
- 初期費用や教材費の高額請求
「最初に少し投資すればすぐに回収できる」といった説明で数十万円単位の契約を迫られるケースがあります。
必要以上に高額な費用を請求する行為も典型的な詐欺パターンです。
- 広告やホームページでは事業の実態や仕組みが不透明
「やることは簡単」「秘密の方法だから説明できない」といった言葉で具体的な業務内容を広告やホームページでは明かさない副業案件は特に危険です。
- 口コミや評判が不自然に良すぎる
インターネット上のレビューやSNSの体験談で「すぐ稼げた」「最高の副業」など同じような内容であふれている場合、嘘の可能性があります。
このような特徴を冷静にチェックすることで、怪しい副業を見抜ける確率が高まります。
3.副業詐欺はクーリング・オフで解決できますか
副業詐欺が疑われるサービスを契約してしまった場合、クーリング・オフ制度を利用できる可能性があります。
ただし、通信販売で契約した場合など対象外となるケースも多く、クーリング・オフができない場合もあります。
クーリング・オフができなくても、民法の詐欺・錯誤や消費者契約法に基づいて契約を取消・解除できる可能性はあるため、お金を送金してしまう前に弁護士へ相談してください。
関連記事:クーリング・オフの仕組み|よくわかる!弁護士に学ぶ詐欺被害
まとめ:副業詐欺に遭ってしまったら速やかに弁護士へご相談ください
副業詐欺は「楽して稼げる」という甘い誘いに引き寄せられることで、誰でも被害者になり得るリスクがあります。
特に現在被害が拡大する海外法人と暗号資産、さらに消費者金融で借金をさせる手口は返金が困難であり、まずは「詐欺に遭わないこと」が重要です。
すでに契約してしまった場合、送金をしていなければ被害を食い止められる可能性があります。
詐欺に強い弁護士へ、まずは早急にご相談ください。