暗号資産やNFTなど、新たな金融資産の取引が活発化している今、デジタル金融資産を保管する「ウォレット」を狙った詐欺も急増しています。
そこで、本記事ではイーサリアム系のウォレットとして多くの方々に利用されている「MetaMask(メタマスク)」に関する詐欺の手口や、利用時に知っておきたい注意点を弁護士が解説します。
本記事を参考にしながら、詐欺の被害に遭わないように対策を講じてください。
\もしかしたら詐欺に遭ったかもしれない.../
MetaMask(メタマスク)詐欺とは?よくある手口を解説

MetaMask(メタマスク)とは2016年9月より開始されているイーサリアム系の暗号資産のウォレット(財布)、つまり保管場所です。
メタマスクは暗号資産をスワップできる便利な機能があり、利用も無料でブラウザの拡張機能として利用できることから多数あるウォレットの中でも高い人気を誇ります。
では、なぜメタマスクは詐欺の温床となっているのでしょうか。
本章ではメタマスク詐欺の手口や実際の被害事例を解説します。
1.公式からの通知だと騙されてクリックしてしまう
メタマスクの公式運営を装った偽メールや、偽サイトによるフィッシング詐欺が多発しています。
「アカウントが凍結されました」「セキュリティアップデートが必要です」といった緊急性を煽る内容のメールやDMが届きます。
メールに添付されているURLをクリックしてしまうと、本物そっくりの偽サイトへ誘導される仕組みです。
「シークレットリカバリーフレーズ(12〜24個の英単語)」と呼ばれるウォレットを守るためのマスターキーの入力を求められます。
入力した瞬間に、ウォレット内の資産はすべて犯人のアドレスへ送金されてしまいます。
フィッシング詐欺については、以下の記事もご一読ください。
関連記事:詐欺サイトでクレジットカードが被害に遭ってしまった!手口や返金請求の方法とは
2.投資や無料のNFT配布などに騙される
SNSなどを通した勧誘で見られる、ユーザーの欲に付け込んだ手口です。
「今だけ無料でNFTを配布(エアドロップ)中」「先行販売のIDOに参加できる」といった甘い言葉で、悪意のあるプログラムが仕込まれたサイトにメタマスクを接続させます。
「承認(Approve)」ボタンを押すことで、犯人に自分の資産を自由に引き出す権限を与えてしまい、気付かないうちに中身を空にされる被害が続出しています。
投資詐欺については以下の記事もご一読ください。
関連記事:仮想通貨詐欺被害は泣き寝入りするしかない?被害回復の方法を弁護士が解説
3.秘密鍵などログイン情報を聞き出されてしまう
メタマスクにおける「秘密鍵」や「シークレットリカバリーフレーズ」は、大切な資産を守るために重要なロックのような役割を果たしています。
しかしカスタマーサポートなどを名乗る人物が、「トラブル解決のためにフレーズを教えてください」と近付いてくることがあります。
うっかり信じてしまい、情報を伝えてしまうとすぐに資産を抜き取られてしまうのです。

聞かれたら詐欺と断定してよいでしょう。
4.ロマンス詐欺から誘導されてしまう
マッチングアプリやSNSで親しくなった相手から、資産運用を勧められる「ロマンス詐欺」の魔の手がメタマスクにも及んでいます。
マッチングアプリやDMなどを通してやり取りを繰り返し、信頼関係を築いた後で「2人の将来のために投資をしよう」とメタマスクの作成を促されます。
相手が指定する「偽の運用サイト」にメタマスクを接続させ、入金させた直後に相手と連絡が取れなくなります。
MetaMask(メタマスク)詐欺の被害事例とは?3つのケースを解説

暗号資産など、新しい金融資産の運用は真新しい技術であり、利用者側も知識不足のまま運用していることが少なくありません。
さらに、生成AIの悪用やSNSなども用いた詐欺の手口は日々進化しておりMetaMask(メタマスク)の知識があっても騙される事例もあります。
そこで、本章ではメタマスク詐欺の被害事例を紹介します。

Instagram(インスタグラム)から誘導されて被害に遭ったケース
SNSでの出会いをきっかけにした「ロマンス詐欺」の事例です。
2024年11月に青森県内で60歳の男性がロマンス詐欺に遭いました。
偽物の投資話を勧誘され、約150万円でイーサリアムを購入、その後メタマスクに誘導され送金したところ、偽物のサイトであると発覚したのです。
「私たち2人の将来のために暗号資産で稼ごう」と誘われるロマンス詐欺は、暗号資産による送金を促すケースが多い傾向にあります。
参考:RAB青森放送「60歳男性がInstagram…知り合った女性から暗号資産投資話…約150万円被害」(2024年11月12日)
偽のメールや広告でユーザーを騙し秘密鍵を入力させるケース
2026年1月にブロックチェーンセキュリティ企業SlowMist(スローミスト)のCSOである23pds氏は、メタマスクユーザーを標榜した極めて巧妙な詐欺手口について警告をしています。
海外で実際に発生している事例には、「セキュリティを強化しましょう」という善意のアドバイスを装って接近してくるケースがあるのです。
「制限時間内に2FA(二要素認証)を設定しなければ、アカウントを凍結する」というメッセージと共にカウントダウンタイマーが表示され、ユーザーに冷静な判断をさせないように追い込みます。
しかし、現時点で、メタマスクに二要素認証(2FA)の機能は存在しません。
設定を求める案内が来た時点で100%詐欺です。
参考:Yahoo!ファイナンス「メタマスクユーザー狙う新型フィッシング詐欺、スローミストのCSOが警告」(2026年1月5日)
アドレス・ポイズニング(送金先偽装)による誤送金を狙うケース
「アドレス・ポイズニング」は、あなたの取引履歴を汚染(ポイズニング)する巧妙な詐欺です。
詐欺の犯人は利用者の過去の送金先と「最初と最後の数文字が同じ」偽アドレスを生成し、少額の送金を送りつけます。
利用者がこの履歴からコピーして再送金しようとする際、うっかりこの偽アドレスを選んでしまうと、資産は犯人の元へ振り込んでしまうという大変巧妙な手口です。
こうした誤送金を促す詐欺は海外を中心に行われており、今後日本でも多発するおそれがあります。
MetaMask(メタマスク)詐欺の被害に気付いたらどうする?主な相談先一覧

暗号資産を悪用した詐欺は現金を送金させる詐欺よりも痕跡が残りにくく、被害が起きた後は回復が非常に難しいとされます。
そのため少しでも被害金回収の可能性を掴むためにも、迅速に相談を開始することが大切です。
そこで、本章ではMetaMask(メタマスク)詐欺時における相談先を解説します。

金融庁が開設している相談窓口
金融庁は、暗号資産交換業者の登録有無の確認や、トラブルに関する情報提供を受け付けています。
相手の業者が金融庁に登録されているか(無登録業者でないか)の確認や、一般的なアドバイスが可能です。
個別のトラブル仲裁や返金交渉は行いませんが、統計として記録され、行政処分等の判断材料になります。
- 連絡先: 0570-016811(IP電話からは 03-5251-6811)
- 受付時間: 平日 10:00〜17:00
ウェブサイトや郵便での相談受付も実施しています。
詳しくは以下の金融庁のホームページをご参考ください。
参考URL:金融庁「金融サービス利用者相談室 皆様の「声」をお寄せください!」
警察や消費生活センター
詐欺の被害は警察への相談も検討できます。
被害届の提出については最寄りの警察署へ、緊急ではない相談は「#9110」で専門の相談員につながります。
サイバー事案専門の相談窓口も設置されており、メタマスク詐欺の相談も可能です。
また、消費生活センターへはロマンス詐欺や投資詐欺など、消費者・詐欺トラブル全般の相談が可能です。
専門の相談員が解決に向けた助言をくれます。
それぞれの機関に関しての相談方法は、以下ホームページリンクよりご確認ください。
- 警察庁 サイバー事案に関する相談窓口
- 消費者庁 消費者ホットライン
弁護士
返金請求を早急に依頼したい場合は、詐欺に強い弁護士への相談が欠かせません。
金融庁や警察は個人の詐欺被害について、資金の回収を行ってくれる機関ではありません。
犯人との直接的な交渉や返金に向けた口座の凍結は弁護士への相談が必要です。
特にメタマスク詐欺は時間との勝負のため、迷わず弁護士に相談しましょう。
MetaMask(メタマスク)詐欺を防げ!知っておきたい被害防止対策とは

悪質で巧妙な手口が横行しているMetaMask(メタマスク)詐欺は、日頃どのような対策を講じておくとよいでしょうか。
そこで、これからメタマスクでの管理を始めたい人にも必見の、詐欺被害防止対策をわかりやすく解説します。

誤送金を防ぐために送金先を必ず確認する
アドレス・ポイズニング(送金先偽装)対策として、履歴からのコピペによる送金は厳禁です。
誤送金が起きないように徹底しましょう。
送金する場合、最初と最後の数文字だけでなく、必ずアドレス全体の文字列が一致しているかを目視で確認します。
イーサリアムなど、送りたいネットワークが正しいか、送るトークンの種類や数量に間違いがないかも二重チェックしましょう。
ガス代(手数料)の金額を必ず確認する
トランザクション承認時に表示される「ガス代」(手数料)が異常に高騰している場合、ウォレットの中身を一括で抜き取る悪意のあるプログラムが作動している可能性があります。
不自然な金額が表示されたら、すぐに承認をキャンセルしてください。
パスワードを使いまわさない
メタマスクのロック解除パスワードが他のサービスと共通だと、リスト型攻撃で突破されるリスクがあります。強力で固有のパスワードを設定しましょう。
メタマスクだけではなく、クレジットカードや預貯金口座の暗証番号など、金融資産に関する暗証番号は使い分けが大切です。

秘密鍵の保管方法をオフラインで管理する
「秘密鍵」や「シークレットリカバリーフレーズ」を、クラウドストレージなどオンラインに接続された環境で保存することは非常に危険です。
不正アクセスやマルウェア感染、端末の盗難・紛失、クラウドアカウントの乗っ取りなどにより、第三者に流出するリスクがあります。
一度流出すると、暗号資産は原則として取り戻すことができません。
物理的な保管としては、リカバリーフレーズを紙に手書きで記録して安全な場所で保管する方法が有効です。
保有資産額が大きい場合は、Ledger (レジャー)や Trezor (トレザー)などのハードウェアウォレット(※)を利用するのもおすすめです。
(※)ハードウェアウォレットとは暗号資産(仮想通貨)の秘密鍵をオフラインの物理デバイスで保管・管理するための安全なウォレットで、秘密鍵をインターネットから切り離した専用端末内で管理できるもの。
MetaMask(メタマスク)詐欺に関するよくある質問

暗号資産やNFTなどの金融資産は資産価値が向上しており、年齢を重ねた方々の関心も多くなっています。
しかし、最新のセキュリティを導入しても、突破してしまう巧妙な手口が多発しており、これまで以上に慎重に資産を守る手立てを検討することが重要です。
そこで、本章ではメタマスク詐欺に関するよくある質問を紹介します。

メタマスク自体は安全なものですか?
メタマスクそのものは、世界中で広く利用されている安全なツールです。
しかし、利用者が不用意に詐欺サイトへウォレットを接続したり、秘密鍵を教えてしまったりすることで被害も多く発生しています。
いわゆる「鍵」の管理責任は常にユーザー側にあるため、セキュリティ対策は常日頃から導入しておく必要があるでしょう。
アプリで出会った人にメタマスクを勧められましたが詐欺ですか?
実際に発生した被害事例でも触れましたが、暗号資産やメタマスクへ誘導するような手口は非常に高い確率で「ロマンス詐欺」や「投資詐欺」です。
親切を装って特定のサイトへ誘導し、資産を盗み取る典型的な詐欺が多く、見知らぬ相手から勧められたサイトには絶対にウォレットを接続しないようにご注意ください。
メタマスクからメールが届いたらどのような点に注意すべき?
メタマスク公式がユーザーにメールを送ることは100%ありません。
公式はユーザーのメールアドレスを保持していないからです。
「アカウント停止」などを謳うメールはすべてフィッシング詐欺ですので、リンクをクリックせずに削除してください。
メタマスク詐欺の被害に気付いたら弁護士へご相談ください

メタマスクを利用した詐欺は手口が巧妙化しており、 「正規サイトだと思って接続してしまった」 「内容が理解できなかった」 といったケースも少なくありません。
大地総合法律事務所では、 メタマスクを含む暗号資産詐欺に関するご相談を受け付けており、 被害者の立場に立った現実的な解決策をご提案しています。
「これは詐欺かもしれない」と感じたら、速やかにご相談ください。