「投資話をLINEでやり取りしていた人からブロックされた!これって詐欺かも」
「LINEを経由して購入した洋服が届かない!開示請求で返金を求めたい」
年齢や性別問わず、日常的な連絡ツールとして普及しているLINEですが、匿名性が高く詐欺被害の温床になっています。
詐欺行為の種類も多く、いつ・誰が被害に遭ってもおかしくありません。
では、LINE詐欺後に加害者のアカウントを「開示請求」するためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。
本記事では、LINEの開示請求について手続きの流れやポイントを詳しく解説します。
LINE詐欺の手口や被害に遭ったときの対応方法については、以下の記事もぜひご一読ください。
【関連記事】LINEを使った詐欺の手口と被害に遭ったときの対応方法を弁護士が解説!
LINEの開示請求とは


詐欺師の情報をつかむなら、LINEの開示請求をやればいいのでは?

開示請求のルールが厳格に定められており、とても難しいのです。
LINEは、韓国生まれのトークアプリです。
年齢制限や性別を問わず利用できるコミュニケーションができ、利用者は自由に写真や名前を設定できます。
匿名性が高く、無料で個人間・グループによるメッセージのやり取りや音声・ビデオ通話ができることが大きな特徴です。
日本国内のLINEの利用率は90%を超え、国民的なトークアプリといえるほど普及していますが、匿名性の高さから詐欺に利用されることが多く、開示請求が必要となる場合があります。
参考:総務省情報政策研究所「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要> 令和5年6月発表」
そこで、この章ではLINEの開示請求の概要や、手続きの内容について詳しく解説します。
LINEのユーザーを特定する方法のこと
LINEの開示請求とは、LINE上で詐欺などの違法行為を行ったユーザーの情報を特定するための「法的な手続き」を意味します。
具体的には、LINE社に対し、加害者のIPアドレスや登録情報(電話番号・メールアドレスなど)の開示を請求し、必要に応じて通信事業者やプロバイダに対して氏名や住所の開示を求めるものです。
こうした情報が特定できれば、加害者への損害賠償請求や刑事告訴を進めることが可能になります。
LINEの開示請求は他のSNSより難しい傾向がある
LINE上のトーク履歴に関する開示請求は、他のSNSと比較して難しい傾向があると言われています。
これは、LINEがプライバシー保護を重視していることに加え、違法性があると認められない場合は応じないためです。
例として、個人間の悪口などの誹謗中傷は開示されないことがあります。
しかし、詐欺の場合は違法性があるため適切な手続きを踏むことで、情報の開示が認められる可能性が高いでしょう。
LINEの開示請求方法とは?必要なポイントを解説

詐欺に遭ったらどのように開示を求めるとよいのか具体的に教えて欲しいです。
LINEの開示請求を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
詳しくみていきましょう。
事件性があると判断される必要がある
LINE側が開示請求の可否を判断する際に基準となるのが「事件性」です。
単なる個人的なトラブルでは開示は困難であり、以下のような状況が求められます。
- 令状がある
警察などの捜査機関が犯罪捜査のために裁判所から令状を取得した場合、LINEはこれに基づいて情報開示に応じることがあります。
- 違法性がある
詐欺行為が刑法上の詐欺罪に該当するなど、明確な違法性が認められる場合に開示の可能性が高まります。
例えば、LINEのトークから誘導され金銭を騙し取られた、業者のトークルームから購入した商品が届かないなど、具体的な被害が発生していることが重要です。
参考:LINEヤフー株式会社「捜査機関への対応」
裁判所を経由する手続きを行う
詐欺に気付き、ご自身で開示請求を求めたい場合はLINEを提供しているLINEヤフー社に対して直接求めるのではなく、裁判所を経由する法的な手続きが必要です。
具体的には、以下のいずれかの手続きを行うことになります。
- 発信者情報開示請求
特定の通信によって自己の権利が侵害された場合に、その発信者の情報を開示するようプロバイダなどに求める手続きです。(プロバイダ責任制現法第5条)
LINEの場合、まずLINEヤフー社に対して加害者の発信者情報(IPアドレスや登録情報など)の開示を求めます。
その後、開示されたIPアドレスから特定したプロバイダに対して加害者の氏名や住所などの情報開示を求める、という二段階の請求が必要になり時間を要します。
ただし、LINEの登録情報に電話番号やメールアドレスが含まれており、それで加害者を特定できる場合は、プロバイダへの請求を省略できる可能性もあります。
- 発信者情報開示命令
2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限法により新設された手続きです。
裁判所が直接、LINE社やプロバイダに対して発信者情報開示命令を発し、発信者の情報を開示させることができるようになりました。
上記の発信者情報開示請求よりも1回の裁判手続きで済むためよりスピーディーに対応できます。
ただし、利用には一定の条件があり、すべてのケースでこの手続きが使えるわけではありません。
上記の発信者情報開示請求よりも1回の裁判手続きで済むためスピーディーです。
個人からの請求は原則認められない
LINEはプライバシー保護の観点から、原則として個人からの直接的な情報開示請求には応じません。
上記で述べたように、開示請求は裁判所を通じた法的な手続きが必要となります。
そのため、個人で対応するのは非常に困難であり、弁護士に依頼することが不可欠です。
LINEの開示請求から詐欺加害者への対応までの流れ

LINE詐欺の被害に遭った場合、加害者を特定して責任を追及する必要があります。
開示請求から加害者への請求までの一般的な流れは以下です。
1.裁判所で手続きを行う
まず、加害者の情報を特定するために、裁判所において前述のとおり以下のいずれかの手続きを行います。
- 発信者情報開示請求 を行う
前述のとおり、まずLINEヤフー社に対し、加害者が利用したIPアドレスなどの情報開示の仮処分申立てを求めます。
開示されたIPアドレスからプロバイダを特定し、そのプロバイダに対して「発信者情報開示請求訴訟」を行い、加害者の氏名・住所などの情報開示を求めます。
前述のとおり、LINEの登録情報に電話番号やメールアドレスが含まれている場合はプロバイダへの請求を省略できる可能性もあります。
- 発信者情報開示命令
より迅速な情報開示を期待できる手続きとして、発信者情報開示命令の申立てを行います。
この手続きでは、LINEヤフー社とプロバイダを同時に相手方とすることができ、ワンステップで情報開示を求めることも可能です。
2.損害賠償請求を行う
加害者の情報が特定できたら、次に損害賠償請求を行います。
- 内容証明郵便の発送
まず、特定した加害者に対し被害額の請求や示談交渉を促す内容証明郵便を送付します。
- 訴訟提起
内容証明郵便で解決しない場合や、加害者が交渉に応じない場合は、速やかに裁判所へ損害賠償請求訴訟を提起し、法的手段を通じて被害の回復を目指します。
刑事告訴を行う
詐欺行為が悪質である場合や金銭的な被害が大きい場合は、刑事責任を追及するために警察に刑事告訴を行うことも検討できます。
刑事告訴が受理され、捜査が進展すれば加害者は逮捕・起訴され、刑事罰を受ける可能性があります。
これにより、加害者に対する制裁だけでなく、被害回復への道が開かれることもあります。
LINEの開示請求に必要な準備とは


迅速な手続きも新設されましたが、それでも多少の時間は要しますから開示請求をスムーズに進めるためにも、事前準備が大切です。
詐欺被害の内容がわかるやり取りを保存
LINEを経由して詐欺被害に遭った場合、加害者とのLINEのやり取りは非常に重要な証拠となります。
以下のような情報をスクリーンショットや写真、動画などで漏れなく保存しておきましょう。
- 加害者とのトーク履歴
投資話の内容、購入のやり取り、金銭の要求、送金指示など、詐欺の内容がわかるメッセージなど
- アカウント情報
加害者のLINE ID、プロフィール画像や表示名など
- 送金履歴
銀行振込や電子マネーでの送金履歴、領収書など
- その他関連資料
誘導された詐欺サイトのURL、SNSでのやり取りなど、詐欺に関連する情報全般
これらの情報は弁護士が状況を把握し、開示請求の手続きを進めたり、警察が告訴状を受理する際にも不可欠です。
速やかに警察へ相談する
詐欺被害に遭ったことが判明したら、すぐに最寄りの警察署またはサイバー犯罪相談窓口へ相談しましょう。
サイバー犯罪相談窓口はオンライン相談も可能です。
- 保存した証拠を用意し、詐欺被害の詳細な状況を説明しましょう。
- 相談後に警察を名乗るLINE通話やLINEトークがあったとしても、警察からLINEヘ連絡することはなく、すべて詐欺です。
警察から詐欺から返金できたので送金したい、などと語る電話やメールが入ることもありません。
通報先などは以下のリンクをご確認ください。
参考:警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」
弁護士への相談も不可欠
LINE詐欺の被害回復には、専門的な知識と経験を持つ弁護士のサポートが不可欠です。
裁判所での手続きだけではなく、返金の交渉に向けた相談も行えます。
詐欺の手口は巧妙化しており、1人で対応することは困難です。
弁護士は、被害状況に応じた適切な法的アドバイスを提供し、被害回復に向けた最適な方法を検討してくれます。
詐欺師は一度騙した相手へ警察や公共機関などを名乗り、再度接触してくるケースもあります。
弁護士に相談することで、二次被害を防ぐためのアドバイスも得られます。
LINE詐欺に遭ったあとの対処法とは

LINEを悪用した詐欺被害に遭ってしまった場合、迅速な対処が非常に重要です。
被害を最小限に抑え、加害者の特定や返金交渉を進めるためにも、以下の手順で対応しましょう。
迅速な対処が被害回復につながる可能性を高めます。
疑問を感じた時点で弁護士へ相談する
「もしかして詐欺かも?」と少しでも疑問を感じたら、すぐに弁護士へご相談ください。
詐欺師はあの手この手で心理を操り、冷静な判断を鈍らせようとします。
早めに専門家へ相談することで、被害が拡大するのを防ぎ適切な対応策を講じることが可能です。
家族やご友人に知られたくない、と思っている方もご安心ください。
弁護士は守秘義務を徹底したうえでご相談に対応しています。
LINEアカウントの乗っ取りを防止する
詐欺師があなたのLINEアカウントを乗っ取ろうとするケースもあります。
アカウントが乗っ取られると、知人や友人にまで被害が広がる可能性があるため、詐欺に気付いたら速やかに以下の対策を講じましょう。
- パスワードの強化
推測されにくい複雑なパスワードを設定します。
連続した数字(例・1111)やご自身の誕生日などは避け、定期的に変更しましょう。
- 二段階認証の設定
LINEアプリで二段階認証を設定することで、不正ログインのリスクを大幅に減らせます。
IDやパスワードだけではなく、デバイスでの認証が必要となるため、第三者によるログインができなくなります。
- 不審なURLはクリックしない
詐欺後にも別のアカウントから詐欺師が接触してくる可能性があります。
メッセージで送られてきた不審なURLは絶対にクリックしないでください。
URLを開くことが乗っ取りのきっかけとなることもあります。
振込を請求されても決して応じない
詐欺師はさまざまな理由をつけて金銭の振込を要求してきます。
「すぐに送金しないと逮捕される」「投資で利益を出すには追加の資金が必要だ」などと焦らせ送金を促すような言葉には耳を貸さないでください。
また、返金手数料を確認次第送金する、という誘い文句で追加の送金を促す行為も見られます。
不安を感じたら送金ではなく、弁護士や警察に相談することが重要です。
LINEの開示請求についてよくある質問


では、LINE詐欺にあるよくある疑問についてもご説明しますから、ぜひご一読ください。
ここからはLINE詐欺に関して費用などのよくあるご質問へお答えします。
LINEの開示請求にかかる費用はいくら?
LINEの開示請求にかかる費用は、ご自身で開示請求を行う場合と弁護士が行う場合で異なります。
・ご自身で仮処分申立てから請求を行う場合:30~40万円(訴訟に必要な担保金や印紙代など)
・弁護士へ依頼する場合:事務所によって異なりますが、一般的には着手金として30~40万円、成功報酬として開示できた場合に別途費用が発生することが多くなっています。
裁判所に納める担保金や印紙代、郵券代などの実費も必要です。
開示請求できるトーク履歴の保存期間は?
LINEのトーク履歴は、原則としてユーザーの端末に保存されており、LINEヤフーがすべてのトーク内容を無期限に保存しているわけではありません。
しかし、一定の期間であれば、LINEヤフー社のシステム上に一部の情報がログとして保存されており、開示に応じる可能性があります。
ただし、具体的な保存期間については公開しておらず不明です。
捜査機関からの請求の場合は対象期間の特定を求めており、7日分を超えるテキストチャットの開示要請は原則対応していません。
削除されたLINEアカウントでも開示請求できる?
削除されたLINEアカウントでも、開示請求できる可能性があります。
アカウントが削除されたとしても、LINEヤフー社のサーバーには、削除前のアカウントに関する情報(LINE ID、登録時の電話番号、IPアドレスなど)が一定期間保存されていることがあるためです。
ただし、削除からの経過期間が長ければ長いほど、情報の保持期間が過ぎてしまい、開示が難しくなる傾向にあります。
まとめ:LINE詐欺に遭ったら迅速に弁護士へご相談ください

LINE詐欺の被害に遭ってしまったら、一人で抱え込まず迅速に弁護士へ相談することが大切です。
近年は詐欺の手口が巧妙化し、何度も騙されるケースも後を絶ちません。
被害の拡大を防ぎ、被害回復を目指すためには専門的な知識と経験が不可欠です。
少しでも不審な点があれば、迷わず弊所へご相談ください。