フィッシング詐欺や副業詐欺など、詐欺にはさまざまな手口があります。
なかには「契約書の取り交わし」をさせることで、簡単に解約できないように迫り、詐欺から逃げられなくするケースも少なくありません。
しかし、契約者にとって不利な契約内容の場合、詐欺グループ側が強く迫ったとしても、契約を無効にできる可能性があります。
そこで本記事では、詐欺が疑われる契約書にサインしてしまった場合でも、無効にできるケースや注意点を弁護士が徹底解説します。
まずは本記事をご一読ください。
\もしかしたら詐欺に遭ったかもしれない.../
詐欺の契約書には要注意!よくある4つの事例とは

詐欺的な契約は多岐にわたっており、インターネットを介した副業詐欺はもちろん、リフォームや屋根修理などの点検商法も多発しています。
警察庁によると、令和元年以降は詐欺の被害が増加の一途をたどっており、特に令和6年度は前年の約1,626億円を大きく上回る約3,075億円の詐欺被害額が報告されています。
参考:令和7年2月 警察庁長官官房「令和6年の犯罪情勢」
本章では詐欺商法におけるよくある事例を4つ紹介します。

1.副業に誘い契約を求める事例
SNSや動画広告で「スマホ1台で簡単」「在宅で稼げる」などの言葉で勧誘し、副業希望者を詐欺へ誘導する事例が多発しています。
LINEを登録させ、こまめに連絡を取りながら高額な契約を結ばせるケースが多く見られており、性別や年齢問わずだまされているため注意が必要です。
電子書籍やセミナーを入口に少額の支払いから始まり、次第に高額の追加費用を求められるケースも少なくありません。
契約書には成果を保証しない条項や返金を制限する記載があることも多く、被害者は内容を誤解したまま、契約書にサインしてしまう点が特徴です。
2.ビジネスのセミナーに誘い契約させられる事例
「自分を変えたい」「独立したい・副業で稼ぎたい」といった若者の意欲を狙い、セミナーに誘導する事例もあります。
セミナー会場で高額な講座やコンサルティング契約を結ばせる手口です。
会場では勧誘者が複数人で囲い込み、心理的圧力をかけます。
こうした手口は宝石や絵画を買わせるなど、古くから見られるものです。
友人に誘われるケースもあり、断りにくい雰囲気の中で契約書にサインしてしまう被害が後を絶ちません。
参考:豊島区「若者に多い消費者トラブル」
3.リフォーム・屋根修理の契約させる事例
「屋根が傷んでいますよ」「今なら無料点検します」と訪問し、不安をあおって契約させる事例も多発しています。
リフォーム詐欺、屋根修理詐欺などと呼ばれるもので、契約書にサインした後に高額な追加費用を請求されたり、工事の質が著しく悪かったりするなど、悪質なケースが多数報告されています。
単身者や高齢者世帯が狙われやすく、家族や地域ぐるみでの注意喚起が重要です。
参考:独立行政法人 国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」
4.情報商材を契約させる事例
「必ず稼げるノウハウを教える」など、SNSなどの広告を経由して高額な情報商材を販売する事例も見られます。
動画講座やチャットサポート形式など、さまざまな販売方法があるため注意が必要です。以下のような流れで契約を迫ります。
- 不安・限定感をあおる
「将来が不安」「今だけ特別」などの言葉で危機感や特別感を与え、関心を引きます。
- 信用させる
専門家やアドバイザーなどを装い、信頼できる人物だと錯覚させます。
- 勧誘する
契約内容を十分に説明せず、メリットだけを強調して強引に勧誘を行います。
- サインさせる
断れないような状況を作り、冷静な判断を奪った上でサインさせます。
副業に関心がある若年層が狙われるケースも多く、大学でも学生向けに注意喚起が行われています。
特に「初期費用は数万円」と見せかけ、後から追加費用を請求するマニュアル詐欺には注意が必要です。
参考:東京経済大学「詐欺・悪質商法にご注意を!」
契約書にサインしてしまった後でも無効・取消しにできるケースとは

契約書にサインしてしまったら、詐欺が疑われる内容でも諦めなければならないと思っている人も多いでしょう。
しかし、サインした後であっても消費者契約法により契約が無効にできたり、取消したりできる場合があります。
例として「事実と異なる説明を受けた」「不安をあおられて契約した」などのケースです。
本章では、契約書にサインをしてしまった後でも、無効・取消しできるケースを解説します。

無効・取消しの可能性があります。
参考:政府広報オンライン「契約トラブルから身を守るために、知っておきたい「消費者契約法」②契約を「取消し」できるのはどんなケース?」
契約書に書いてあっても無効になる条項
契約書に記載されていても、消費者の利益を一方的に害している内容な内容であれば消費者契約法により無効とされる場合があります。
代表的な例は以下のとおりです。
- 契約者側からのキャンセルや返品などを一切認めない
受け取った商品などのキャンセル、返品を一切認めないという条項は無効です。
- 法外な損害金やキャンセル料を求める条項
契約のキャンセルなどの際に消費者側に求めるキャンセル料や損害金が、あまりにも高額な条項の場合は無効にできる可能性があります。
- 消費者側が圧倒的に不利な内容の条項
消費者側が損害を被っても契約上の救済手段が一切ないなど、圧倒的に不利な内容の条項は無効です。
- 事業者側に損害賠償責任はないとする条項
商品やサービスに欠陥があっても、事業者は一切責任を負わない、消費者が被った損害はすべて消費者側の自己負担とする条項は無効です。
事業者の説明などで消費者が誤認し取消しできるケース
事業者が適切な説明などを行わず、消費者が誤認した状態で締結した契約は取消しできる可能性があります。
- 重要事項について事実と異なる説明があった場合(不実告知)
サポート内容や料金、虚偽のダメージを伝えてリフォームを促すなど、事実と異なる説明を受けたケースが該当します。
- 不確実な事項について「確実」と説明された場合(断定的判断の提供)
未公開株は必ず儲かる、口座にお金を預ければ投資の利益が必ず出るなど、本来は不確実にもかかわらず断定的な口調で説明を受けた場合が該当します。
- 重要事項について消費者に不利な情報を告げなかった場合(不利益事実の不告知)
解約条件や追加費用など、契約後に消費者に不利となる情報を伝えなかった場合などが該当します。
事業者が強引に契約を迫ったため取消しできるケース
「これは詐欺かもしれない」など、不安を感じているにもかかわらず強引な口調などで契約を迫った場合、取消しできる可能性があります。
具体的には以下のとおりです。
- 事業者側が消費者の自宅や勤務先などで、拒否しても強引に居座った場合(不退去)
一度断ったにもかかわらず、長時間居座り続けるなどして契約を迫った場合は「不退去」に該当し、契約を取り消すことができます。
- 販売店などで消費者が帰ろうとしても、強引に引き留められた場合(退去妨害)
「帰りたい」と申し出ても店舗などの出口を塞いで出られなくしたり、威圧的な態度で引き留めるなど、退去を妨げた場合は取消しの対象になります。
- 勧誘することを告げずに帰れない場所へ誘い、勧誘した場合
「アンケートに答えたらプレゼントがあります」「無料セミナーに参加しよう」などと誘い出し、実際は契約を目的とする勧誘であった場合も取り消せる可能性があります。
- 強引な言動を交えることで、外部への相談を妨害した場合
「今契約しないと損をする」「親や友人などに相談するな」などと脅すような態度を取ることは、消費者の冷静な判断を妨げるため取消しの対象になり得ます。
- セミナー商法など(不安をあおる告知)
「このままでは就職できない」「セミナーを受講しないと損をする」と不安をあおり、強引に契約を迫る手口も取消しの対象です。
- デート商法など(好意の感情の不当な利用)
消費者側の好意や恋愛感情を利用して高額商品を購入させたり、セミナーや情報商材などの契約へ誘導したりした場合、感情を操作した不当な勧誘として契約を取消しできる可能性があります。
- 高齢者などが不安をあおられる(判断力の低下の不当な利用)
高齢者や病気などで判断力が低下した人に対し、「病気が治る」「家族が幸せになる」など根拠のない説明をして契約させることも取消し対象です。
- 霊感などによる告知
「悪い霊がついている」「お祓いをしないと不幸になる」など、霊感を利用した勧誘行為も消費者契約法で取り消すことができます。
明らかに分量や回数が多すぎるため取消しできるケース
多すぎる健康食品を購入させる、エステなどでおどろくほど多い回数を無理矢理契約させるなど、明らかに「多すぎる」契約を結ばせた場合も、取消しできる可能性があります。
- 分量や回数などが多過ぎる場合(過量契約)
購入した商品やサービスの分量・回数が、通常の生活で必要とされる範囲を大きく超えている場合は、「過量契約」に該当し取消しが認められることがあります。
契約書の無効・取消しが拒まれた場合の対処法とは

詐欺グループと疑われる相手に契約の無効や取消しを主張しても、「契約は有効です」「返金できません」などと一方的に言われることがあります。
しかし、契約書にサインをしてしまった場合でも諦める必要はありません。
消費者契約法や民法に基づき、第三者機関や専門家に相談することで解決できるケースは多くあります。
そこで、本章では契約書の無効・取消しが拒まれた場合の対処法をわかりやすく解説します。
消費者ホットライン「188」に相談する
「契約を取り消したい」「高額請求に困っている」などの消費者トラブルは、最寄りの消費生活センターにつながる「消費者ホットライン188(いやや)」へ電話しましょう。
消費者トラブル専門の相談員が対応し、適切なアドバイスや解決のための手続きを案内してくれます。
早めの相談が被害拡大を防ぐポイントです。

参考:消費者庁「消費者ホットライン」
弁護士に相談する
契約書の内容や詐欺グループの手口などは法的な知識を持つ弁護士への相談も大切です。
特に契約後、詐欺グループ側へお金を送金してしまった場合、内容証明郵便の送付や交渉などが必要になることが一般的です。
弁護士に相談すると、契約の無効・取消しを主張するための証拠整理や、内容証明郵便の送付、損害賠償請求などの具体的な対応を丸ごと依頼できます。
詐欺の契約書などでよくある質問

詐欺グループは契約書や誓約書を用いるなど、詐欺の被害者が簡単に逃れられないように周到に用意をしています。
「契約書」と「誓約書」は似ているようで性質が異なります。
契約書は、双方が合意して義務や権利を定める書面であり、法的な拘束力が強いのが特徴です。
一方の誓約書は、一方的に「〜します」「〜しません」と約束する意思を示した書面で、必ずしも契約としての効力を持つとは限りません。
ただし、誓約書の内容によっては、実質的に契約とみなされる場合や、法的責任が問われるケースもあるため、署名前に内容を十分に確認することが大切です。

誓約書を書きましたが守らなかった場合はどうなりますか
誓約書の内容によっては、守らなかった場合に損害賠償請求や契約解除による法的責任を問われることがあります。
ただし、誓約書が一方的に不当な内容であったり、強要によって署名させられたりしたものであれば無効または取消しの対象となる可能性があります。
誓約書にはどのような効力がありますか
誓約書は本人の意思で署名した場合、一定の効力があります。
例として、「今後同じ行為をしない」といった誓約を破った場合、その事実を立証する証拠資料として利用されることがあります。
ただし、誓約書が社会的に著しく不当な内容を含む場合や、事業者側だけに有利な条項である場合は、法的に効力を認められないこともあります。
脅されて書かされた契約は無効にできますか
はい、無効となる可能性があります。
脅迫によって締結された契約や誓約書は無効または取消しが可能です。(民法第96条)
「契約しないと訴える」「会社に言う」などと脅されて署名した場合は、自由な意思に基づく契約ではありません。
できるだけ早く弁護士や消費生活センターに相談し、証拠となるメッセージや録音を保全しておくことが重要です。
まとめ:詐欺の契約書にサインしてしまったら早急に弁護士へご相談ください

詐欺的な契約書や誓約書は正式に見えたとしても法律的に無効・取消しできるケースが多くあります。
しかし、不安を感じたまま放置すると、請求やトラブルが長期化し、精神的にも経済的にも大きな負担になりかねません。
少しでも「おかしい」と思ったら、早急に弁護士へ相談することが大切です。
大地総合法律事務所はさまざまな詐欺被害の相談に対応しており、豊富な解決実績があります。
まずはお気軽にご相談ください。