弁護士法人大地総合法律事務所、代表弁護士の佐久間です。
不倫そのものは犯罪ではなく、逮捕や前科の対象にはなりません。
相手から「これは犯罪だ」「警察に言う」と言われ、頭が真っ白になってこのページを開いた方もいらっしゃるでしょう。
なぜ犯罪にならないのか、そして犯罪でなくても残る「民事の責任」にどう向き合えばよいのか。
本記事では、慰謝料を請求された側の目線で順を追って解説します。
まずは深呼吸をして、一緒に状況を整理していきましょう。
\不倫がバレてしまった.../
不倫は犯罪になる?結論からお伝えします

結論から申し上げると、不倫そのものは現行法上の犯罪ではありません。
刑罰を定めた法律の中に「不倫罪」にあたる罪が存在しないからです。
ただし、交際相手の年齢によっては例外があるため、その点も含めて正直にお伝えします。
いいえ、不倫自体を理由に逮捕されることはありません。
逮捕は犯罪の疑いがあるときに行われる手続きですが、不倫は犯罪ではないからです。
不倫そのものは犯罪ではない(現行法上は逮捕・前科の対象外)
現在の日本の法律には、不倫を処罰する規定がありません。
犯罪でない以上、警察に逮捕されることも、前科がつくこともないのです。
相手がどれほど強い言葉で「犯罪だ」と言ったとしても、その言葉によって法律上の扱いが変わるわけではありません。
もっとも、「犯罪ではない」ことと「何の責任もない」ことは別の話です。
かつて存在した「姦通罪」との違い(1947年に廃止)
そのとおりです。かつての刑法には「姦通罪」という罪がありました。ただ、この規定は1947年に廃止されています。今から70年以上前の話ですね。
姦通罪の廃止以降、日本では不倫そのものに刑事責任を問う仕組みはなくなりました。
「不倫は犯罪」というイメージは、こうした歴史の名残や、道徳的な非難と法律上の罪が混同されやすいことから生まれているのでしょう。
しかし、交際相手との年齢が若い場合には、犯罪になる可能性があります。
相手が16歳未満だった場合は不同意性交等罪の対象になりうる
これは交際そのものの適法性に関わる例外です。
交際相手が16歳未満だった場合、不同意性交等罪(同意があっても性行為自体が処罰されうる罪)の対象になる可能性があります。
2023年の刑法改正により、いわゆる性交同意年齢は16歳とされました。
相手が13歳未満であれば年齢差を問わず対象になり、相手が13歳以上16歳未満の場合は、あなたが相手より5歳以上年長であることが要件になります。
この場合、相手の同意があったかどうかは関係ありません。
相手が16〜18歳未満だった場合は都道府県の淫行条例の対象になりうる
相手が16歳以上18歳未満の場合は、都道府県の淫行条例(18歳未満の青少年との性行為などを規制する条例)が問題になることがあります。
ただし、こちらは一律に処罰されるわけではありません。
真摯な交際関係にあったかどうかなど、交際の実態次第で判断が分かれる場合が多いです。
相手の年齢に心当たりがある方は、自己判断で結論を出さず、早めに弁護士へ相談してください。

相手の「警察に言う」という言葉はどこまで現実になるのか

相手が「警察に言う」と言っても、不倫そのものを理由に警察が動くことは基本的にありません。
警察が扱うのは刑事事件であり、不倫は民事の問題だからです。
とはいえ、相手の言い方や、あなたを取り巻く状況によっては、別の法律問題を含んでいることがありますので、ここで整理しておきましょう。
感情の高ぶりから口にされることが多い言葉ではあります。ただ、「ただの脅しだから無視していい」と片付けるのも危険です。
相手の伝え方次第では、むしろ相手側の言動が法的な問題を含む場合もあるからです。
恐喝罪・脅迫罪の可能性
請求内容や伝え方が社会通念上相当な範囲を明らかに超えている場合に限り、相手自身が恐喝罪・脅迫罪に問われる可能性があります。
ここで大切なのは、両方の面を知っておくことです。
慰謝料の請求そのものは、相手にとって正当な権利の行使です。
ですから、正当な金額の請求であれば、多少強い言葉が混じっても直ちに犯罪にはなりません。
判例上も、権利の行使が恐喝にあたるかどうかは、その手段や態様が社会通念上許される程度を超えているかどうかで判断するとされています(最高裁昭和30年10月14日判決)。
一方で、「会社にバラされたくなければ百万円払え」というように、暴露と引き換えに法外な金銭を要求するような伝え方は、相当な範囲を超えていると評価される可能性が高いです。
はい、安易に言い返すと事態がこじれるだけです。
まずはメッセージや通話の記録を残し、その判断は弁護士に任せてください。
執拗な連絡・つきまといが続く場合(ストーカー規制法の可能性)
昼夜を問わない大量の電話やメッセージ、自宅や職場での待ち伏せなどが続く場合は、ストーカー規制法(つきまといや連続した連絡の強要などを規制する法律)の対象になる可能性があります。
慰謝料の話し合いと、身の安全の問題は分けて考えるべきです。
身の危険を感じるレベルの行為が続くのであれば、警察への相談も選択肢になります。
我慢を重ねる必要はありません。
警察が実際に動くのは「付随行為」が事件化したときだけ
ここまでの内容を整理すると、警察が動くのは、脅迫・恐喝・つきまといといった「不倫に付随する行為」が刑事事件になったときだけです。
不倫そのものを理由に、警察が捜査に乗り出すことは基本的にありません。
犯罪にならなくても「民事の責任」は別問題として残る
不倫は犯罪ではありませんが、民法上の不法行為として、相手から慰謝料を請求される可能性は別に残ります。
「犯罪じゃないなら一安心」で終わらせてしまうと、その後の対応を誤りかねません。
刑事と民事は別の仕組みだという点を、ここで押さえておきましょう。
そこが混同しやすいところです。刑罰を科すかどうかという話と、当事者の間で損害を賠償するかどうかという話は、まったく別のルールで動いています。
民法上の不法行為(慰謝料請求の対象)にあたる
不倫は、民法709条の不法行為にあたるとされています。
あなたは配偶者に対して貞操義務(配偶者以外と性的関係を持たない義務)を負っており、不倫はこの義務に違反して、婚姻関係(婚姻共同生活の平和)を侵害する行為とされるためです。
そのため、配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。
ただし、不倫の時点ですでに婚姻関係が破綻していたと認められる場合には、原則として慰謝料の対象にならないとされています(最高裁平成8年3月26日判決)。
別居期間の長さなど、婚姻関係の実態次第で結論が変わることがあるため、心当たりがある場合は自己判断せず弁護士に確認してください。
金額は婚姻期間や離婚に至ったかどうかなど、事情によって幅があり、一概にいくらとは言えません。
「犯罪」と「不法行為」は別の話だと理解しておく
両者の違いを表で整理します。
| 犯罪(刑事責任) | 不法行為(民事責任) | |
|---|---|---|
| 対応する機関・手続き | 警察・検察(捜査・起訴の対象になりうる) | 相手(民事上の請求手続き) |
| 不倫の場合 | 問われない | 慰謝料請求の対象になりうる |
| 結果 | 逮捕・前科(不倫では生じない) | 金銭の支払い・示談・裁判 |
それが一番危ない誤解です。民事の請求を無視し続けると、相手が裁判を起こし、あなたの言い分を伝える機会がないまま手続きが進んでしまうおそれがあります。
「不倫 犯罪」によくある質問
不倫そのものであなたが刑事責任を問われることはありません。
そのうえで、特によくいただく質問にお答えします。
Q1. 不倫がバレたら逮捕されますか?
逮捕されることはありません。
逮捕は犯罪の疑いがある場合の手続きであり、不倫は現行法上の犯罪ではないからです。
ただし、脅迫や暴露といった付随行為があれば話は別ですから、発覚後の行動には注意してください。
Q2. 相手に「刑事告訴する」と言われました。本当に起訴されますか?
不倫そのものについては、起訴されることはありません。
告訴とは犯罪の処罰を求める手続きですが、不倫自体は犯罪でないため、処罰を求める対象がそもそも存在しないからです。
相手の言葉に法的な裏付けがあるかどうかは、弁護士が確認できます。
Q3. 「離婚してもらえないなら会社にバラす」と言われています。これは犯罪になりませんか?
請求内容や伝え方が社会通念上相当な範囲を明らかに超えている場合に限り、相手が恐喝罪・脅迫罪に問われる可能性があります。
一方で、正当な金額の請求であれば、多少強い言葉が混じっても直ちに犯罪にはなりません。
どちらにあたるかの判断は難しいため、やり取りの記録を残したうえで弁護士に相談してください。
Q4. 相手の職場や家族に知られてしまうこと自体は違法ではないのですか?
相手が自分の配偶者や親族など、限られた範囲で事実を打ち明けること自体は、直ちに違法とは言えません。
ただし、不特定多数への暴露や、あなたの職場への執拗な連絡といった行為は、名誉毀損や業務妨害などの問題を含む場合があります。
線引きに迷ったら、状況を記録して専門家に見せるのが確実です。
不倫は犯罪ではなくても対応を誤らないことが大切です
不倫そのものは犯罪ではありませんが、民事の慰謝料請求への対応は必要です。最後に要点を整理します。
- 不倫自体で逮捕されたり、前科がついたりすることはない
- 「警察に言う」と言われても、警察が動くのは脅迫・暴露などの付随行為が事件化したときだけ
- ただし民事の責任は別問題として残り、無視すれば裁判に進むおそれがある
- 脅し返し・SNSでの暴露・証拠隠滅はしない。事実と証拠の整理から始める
大地総合法律事務所では、慰謝料を請求された側の方からのご相談を数多くお受けしています。
まずはお気軽にご相談ください。
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