近年、フィッシング詐欺の被害が急増しています。
特に、銀行や通販サイト、宅配業者を装った手口が巧妙化しており、気づかぬうちに個人情報を盗まれてしまうケースが後を絶ちません。
本記事では、フィッシング詐欺の実例や最新の手口5選を詳しく解説し、絶対に守るべき対策7選もあわせて紹介します。
フィッシング詐欺の手口を知って対策を徹底することで、あなた自身や大切な方を守れます。
ぜひ最後までご覧ください。
フィッシング詐欺とは?

改めて、フィッシング詐欺について教えていただけますか?
まずは、フィッシング詐欺とはどのような詐欺なのかしっかり理解しましょう。
フィッシング詐欺とは、正規の企業や団体を装い、個人情報や金融情報を盗み取る行為です。
「フィッシング(phishing)」という名前は、「釣り(fishing)」と「洗練(sophisticated)」の合成語といわれています。
※語源は諸説あり
最近は手口が巧妙化しているため、誰もが被害者になるリスクが高まっています。
2024年12月にフィッシング対策協議会に寄せられたフィッシング報告件数(海外含む)は、過去最大の232,290件です。
出典:フィッシング対策協議会「2024/12 フィッシング報告状況」
今後も増えていくことが予想されているため、警察や専門家からより一層の警戒が呼びかけられています。
フィッシング詐欺の実例
実際にどのような被害が起きているのか、具体的な事例をご紹介します。

フィッシング詐欺の実例として、「Appleをかたるフィッシング詐欺」を紹介します。
以下のような件名のメール・SMSが送られています。
・Apple IDに関する重要なお知らせ
・Apple ID情報が更新されました ・Apple ID通知 ・Apple IDの認証が必要です ・お支払いに関する問題が発生しています ※ 上記以外の件名も使われている可能性あり |
参考:フィッシング対策協議会「Apple をかたるフィッシング(2025/03/05)」
メールを開くとURLの記載があり、フィッシングサイトにつながります。
フィッシングサイト内では、メールアドレスやアカウントのパスワード、クレジットカード情報等の入力を求められます。
出典:フィッシング対策協議会「Apple をかたるフィッシング (2025/03/05)」
フィッシングサイトは本物のサイトを模して作られており、見分けるのは非常に難しくなっています。
フィッシング詐欺の手口5選

フィッシング詐欺の手口にはどのようなものがあるんですか?
代表的な手口を5つ紹介しますので、フィッシング詐欺に遭わないように覚えておいてください。
・偽メール・SMSでフィッシングサイトへ誘導
・SNSを利用したなりすましと偽装リンク ・宅配業者や公共サービスを騙る手口 ・携帯キャリアを騙ったキャリア決済の不正利用 ・マルウェア感染による情報窃取 |
それぞれについて、1つずつ詳しく解説します。
1.偽メール・SMSでフィッシングサイトへ誘導
偽メールやSMSを送信し、フィッシングサイトへ誘導する手口です。
大手銀行やクレジットカード会社、ECサイトなどの正規企業を装い、貼り付けたURLをクリックさせ、あらかじめ用意したフィッシングサイトに情報を入力させます。
もっともらしい文面や、切迫感を煽った文面で誘導することが多いです。
フィッシングサイトで個人情報等を入力してしまうと、不正利用されてしまうリスクがあります。
もっとも多いフィッシング詐欺の手口のため、注意が必要です。
2.SNSを利用したなりすましと偽装リンク
FacebookやX(旧Twitter)、Instagramなどの人気SNSを利用したなりすまし詐欺も、フィッシング詐欺の手口の1つです。
有名人や人気ブランドになりすましたアカウントが、偽のプロモーションやキャンペーンを装って偽装リンクを拡散します。
偽装リンクをクリックすると、情報を盗み取るフィッシングサイトに誘導されます。
SNSのアルゴリズムを利用して、ターゲットとなる層に効果的に表示されることもあり、注意が必要です。

3.宅配業者や公共サービスを騙る手口
大手の宅配業者または電力会社、税務署などの公共サービスを騙り、荷物の配達に関する通知や未払いの請求通知を装う手口です。
おもにSMSやメールを通じて行われ、重要な情報が含まれていると見せかけてリンクをクリックさせる内容が多くなっています。
「追加料金のお支払いが必要です」「住所不明のため配達ができない」といった、緊急性を感じさせる文言が使用されることが多く、手法が巧妙化しています。
4.携帯キャリアを騙ったキャリア決済の不正利用
携帯キャリアを騙ったメールを送付し、キャリア決済のための情報を盗み出す手口です。
メールに記載されたURLから、偽の携帯電話会社のサイトに誘導されます。
そこでキャリア決済に必要な情報を入力すると、キャリア決済を不正利用されてしまいます。
単純な手口ではあるものの、文面や差出人の情報が少ないため見分けがつきにくくなっています。
そのため、普段から注意している方でも騙されやすいのが特徴です。
また、SMSに記載されているリンクには携帯キャリア名が入っていることもあり、見破るのが難しくなっています。

5.マルウェア感染による情報窃取
マルウェアとは、悪意のあるソフトウェアやコードのことです。
マルウェアに感染すると、ソフトウェアやブラウザに保存されている機密情報などが窃取されてしまう可能性があります。
窃取された情報は個人のみならず、被害に遭った企業にとっても深刻な影響を受ける可能性があり問題となっています。
被害が大きくなりかねない点で、現代のサイバーセキュリティの脅威の1つといってよいでしょう。
フィッシング詐欺に遭わないための対策7選

被害に遭わないための対策にはどのようなものがありますか?

その中でも特に重要な7つのポイントをお伝えしましょう。
フィッシング詐欺に遭わないための特に重要な対策は、以下の7つです。
・不審なリンクはクリックしない・URLを確認する
・IDとパスワードの適切な管理 ・多要素認証やワンタイムパスワードの活用 ・公式アプリや公式サイトのブックマーク利用 ・セキュリティソフトの導入とアップデート ・やってはいけないNG行動を理解しておく ・AI技術を悪用した詐欺から身を守る |
それぞれについて、1つずつ詳しく解説します。
1.不審なリンクはクリックしない・URLを確認する
メールやSMSに記載されたリンクは安易にクリックせず、URLを確認しましょう。
シンプルな方法ではありますが、フィッシング詐欺から身を守るもっとも効果的な方法といえます。
不安や緊急性を煽るような文言に惑わされ、焦ってすぐにクリックしないことが重要です。
URLを確認する際は、公式のドメインになっているか確認しましょう。
例:「amazon.co.jp」「rakuten.co.jp」
また、URLが「https://」で始まっていて、ブラウザに鍵マークが表示されているかも確認ポイントです。
少しでも怪しいと感じたら「一呼吸置いて公式サイトを確認する」という習慣をつけましょう。
2.IDとパスワードの適切な管理
IDやパスワードの使い回しはやめましょう。
複数のサービスで同じパスワードを使っていると、もし1つのサイトで情報が漏洩したとき、ほかのサービスも危険にさらされる可能性があります。
強固なパスワードは、大文字・小文字・数字・記号を組み合わせた12文字以上のものが理想的です。
生年月日や単純なパスワード(例:Password123)は避けましょう。
「p@S5w0rD&2fG9!」のように、複雑なパスワードにしておくと安心です。
パスワード管理が大変な方は、パスワード管理アプリの利用も検討してください。

3.多要素認証やワンタイムパスワードの活用
万が一パスワードが漏洩したときに備え、多要素認証を設定しておくことをおすすめします。
多要素認証とは、認証の3要素である「知識情報」「所持情報」「生体情報」のうち、2つ以上を組み合わせた認証です。
たとえば、パスワードとスマートフォンの認証を組み合わせると、セキュリティが格段に向上します。
「Google Authenticator」や「Microsoft Authenticator」などの認証アプリを活用し、重要なサービスには他要素認証を設定しておきましょう。
また、ワンタイムパスワードを採用しているサービスを積極的に利用することもおすすめです。
ワンタイムパスワードとは、該当する取引に有効な一定期間かつ一度限り使えるパスワードで、第三者によるアクセスを防ぐ有効手段といえます。
特に、資産を管理するサービスでは必須の設定と考えたほうがよいでしょう。
4.公式アプリや公式サイトのブックマーク利用
「怪しい」と感じたら、リンクからではなく公式アプリを起動するか、ブラウザのブックマークやお気に入りから公式サイトにアクセスしましょう。
検索エンジンからアクセスすると、検索結果の上位に表示される広告がフィッシングサイトの可能性があり危険です。
アプリをインストールする際は、公式アプリストア(App Store、Google Playなど)から行い、開発元や評価、ダウンロード数を確認しましょう。
メールやSMS内のリンクからアプリをインストールすることは避けてください。

どこにつながるか分からない裏口や非常口から入るリスクは、できる限り避けましょう。
5.セキュリティソフトの導入とアップデート
フィッシングサイトやマルウェアの脅威から守るために、信頼できるセキュリティソフトを導入し、最新の状態を保ちましょう。
パソコンでもスマートフォンでも、各社からセキュリティソフト(アプリ)が提供されています。
また、OSやブラウザ、アプリケーションのアップデートも定期的に行いましょう。
アップデートには、セキュリティの脆弱性を修正する重要な更新が含まれていることがあります。
フィッシングサイトへのアクセスをブロックするためにも、ブラウザの安全機能も有効に活用しましょう。
例:Safe Browsing(Google Chrome)、SmartScreen(Microsoft Edge)
6.やってはいけないNG行動を理解しておく
フィッシング詐欺の被害を防ぐためには、リスクが伴う行動を避けることも重要です。
以下の「やってはいけないNG行動」を理解し、日常的に注意しましょう。
- メールやSMSに記載された電話番号に電話をかけない
偽の窓口に電話することで、さらに詐欺の被害に遭うリスクが高まります。
問い合わせるのであれば、公式サイトに記載された連絡先にしましょう。
不安や緊急性を煽るような文言に惑わされず、冷静に判断することが大切です。
焦ると判断力が鈍るため、詐欺の被害に遭いやすくなります。
- SNSでの不審なキャンペーンやダイレクトメッセージに反応しない
もし、友人や有名企業を装ったアカウントから「このキャンペーンに応募して」「このリンクを見てください」などのメッセージが来た場合、別の手段で本人や公式サイトに確認することをおすすめします。

7.AI技術を悪用した詐欺から身を守る
近年、生成AI技術の発展により、より精巧なフィッシング詐欺が増加しています。
AI技術を悪用した詐欺から身を守るために、特別な対策も必要です。
- ディープフェイク技術を使った音声や映像
ディープフェイク技術とは、複数人物の動画や音声などを人工的に合成する最新のAI技術です。
知人や上司の声に聞こえる電話やビデオ通話でも、重要な決済や個人情報の提供を求められた場合は、別の方法で本人確認しましょう。
- AIが作成した偽メール
従来の詐欺メールよりも見分けづらいものが増えています。
文法ミスが少なく、より自然な日本語で書かれているため、送信元アドレスやURLの確認を慎重に行いましょう。
- AIチャットボットを装った詐欺サイト
銀行や公共サービスのサポートを装い、会話の中で個人情報を引き出そうとする手口が見つかっています。
重要な決断や送金を求められた場合は、別の連絡手段で確認することを徹底しましょう。
フィッシング詐欺に遭ったらどうすればいい?


万が一、フィッシング詐欺に遭った場合には、以下のような対応をとりましょう。
・サービス提供企業への速やかな連絡
・パスワードと登録情報の変更 ・クレジットカード会社や銀行への連絡 |
それぞれについて、1つずつ詳しく解説します。
サービス提供企業への速やかな連絡
被害拡大を防ぐためにも、フィッシング詐欺の被害に気づいたらすぐにサービス提供企業へ速やかに連絡しましょう。
適切な対応を速やかに受けられるでしょう。
連絡する際は、公式サイトに記載された正規の問い合わせ窓口に連絡してください。
メールよりも電話で連絡すると、より速やかな対応が期待できます。
担当者には、被害状況をできる限り具体的に説明しましょう。
(例:いつ、どのような形で情報を入力したのか、どのような被害が発生しているのか)
また、後日のトラブル防止のためにも、対応内容と担当者名をメモに残しておくことをおすすめします。
パスワードと登録情報の変更
フィッシングサイトでIDやパスワードを入力してしまった場合、被害拡大を防ぐためにも速やかなパスワード変更が必要です。
もし、同じパスワードを使いまわしていたら、すべてのサービスのパスワードを変更する必要があります。
変更作業は信頼できる別のデバイス(未感染のPC、スマートフォンなど)から行うのがおすすめです。
フィッシング詐欺に遭った端末は、マルウェアに感染している可能性があります。
同じデバイスから操作するとさらに被害を受ける危険があるためです。
もし多要素認証を設定可能なサービスだった場合は一緒に設定しておきましょう。
クレジットカード会社や銀行への連絡
クレジットカード情報や銀行の口座情報を入力してしまった場合は、速やかに該当する金融機関に連絡してカードの一時利用停止や再発行を依頼しましょう。
もし不正利用が発覚した場合には、被害を最小限に抑えられる可能性があります。
多くのカード会社は、24時間体制で対応しています。
カードの裏面に記載されている緊急連絡先に電話するとよいでしょう。
また、今後数ヶ月間は定期的に利用明細を確認することをおすすめします。
不正利用はすぐに行われるとは限りません。
情報を蓄積して後日悪用するケースも考えられます。
まとめ|フィッシング詐欺に遭ったら弁護士に相談しよう
フィッシング詐欺に遭った場合、被害を最小限に抑えるためにも速やかに専門家へ相談しましょう。
特に被害額が高額である場合や、金融機関との交渉が難航している場合は、法律の専門家のサポートを受けることで解決の糸口が見つかる可能性があります。
大地総合法律事務所は、詐欺被害に特化した事務所です。
契約前に弁護士と直接話せるので、ご安心頂けます。
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