「InstagramのDMに届いた投資を信じて送金してしまったが、詐欺かも。」
「X(旧:Twitter)のフォロワーからチケットを買ったけど届かない!」
SNSを経由した詐欺は増加しており、警察庁も注意喚起を行っています。
しかし、手口は巧妙化しており、信じてしまう方も少なくありません。
恋愛感情を悪用したり、魅力的な投資話を信じて送金してしまう被害も続発しています。
そこで、本記事では「SNS詐欺」について手口の種類や対処法を、詐欺に強い弁護士が詳しく解説します。
【種類別】SNS詐欺が増加中!主な7つの手口を解説

SNS詐欺とは、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を利用した詐欺行為の総称です。
近年、スマホの普及とともにSNS利用者も年齢層問わずに増加しており、詐欺が横行しています。
この章ではその手口を7つご紹介します。
1.フィッシング詐欺
SNS詐欺の代表格である「フィッシング詐欺」は、実在する金融機関や通販サイトなどになりすまし、SNSなどからメッセージを送り、個人情報を盗む行為です。
違法サイトへ誘導し、マルウェアに感染させる悪質な行為も多発しています。
「フィッシング(phishing)」という名前は、諸説ありますが、「釣り(fishing)」と「洗練(sophisticated)」の合成語ともいわれています。
景品の当選や発生していない未払いの請求を行うことで、クレジットカード情報や金融機関口座の情報などを釣り上げる巧妙な手口です。
被害に遭ってしまうと、身に覚えのない決済が行われてしまうことがあります。

近年、フィッシング詐欺の被害が急増しています。 特に、銀行や通販サイト、宅配業者を装った手口が巧妙化しており、気づかぬうちに個人情報を盗まれてしまうケースが後を絶ちません。 本記事では、フィッシング詐欺の実例や最新の手口5選を詳[…]
2.投資詐欺
「今なら未公開株情報を公開!このDMが届いた方に優先してご案内します。」
「絶対もうかる仮想通貨情報があります。」
SNS詐欺の1つには「投資詐欺」も挙げられます。
「SNS型投資詐欺」と呼ばれるもので、X(旧:Twitter)やInstagramなどのDMに投資話が届き、信じて送金してしまうケースです。
この他にも、SNSに流れてくる有名人を騙る投資広告を信じてしまうケースもあります。
当初は送金したお金を出金できたり、利益が振り込まれたりすることで、さらに送金してしまう被害も後を絶ちません。

近年、SNSやマッチングアプリを利用した投資詐欺が急増しています。 特に高齢者を狙った手口が巧妙化し、被害額も高額になっているため注意が必要です。 本記事では、投資詐欺の定義から最新の手口と、被害を防ぐための具体的な5つの対策を[…]
3.ロマンス詐欺
海外からDMなどで届くこともある「ロマンス詐欺」も、SNS詐欺の手口の1つです。
結婚や恋愛感情を利用し、連絡を重ねることで信用させ、お金を送金させます。
ロマンス詐欺はマッチングアプリを経由する被害も多く、男女ともに被害に遭っている詐欺です。
「あなたに会うためお金が足りない」と送金させるケースもあれば、投資詐欺に誘導することもあります。
ロマンス詐欺についてより詳しく知りたい方はこちら▼
「将来結婚したいから、口座にお金を送金してほしい。」 「大切なあなたにだけ、投資の紹介をしたい。」 SNSやマッチングアプリの利用増加にともない、面識がない人との交流は敷居が低くなっています。 交流を続けていくうちに恋愛感[…]
4.チケット詐欺
有名アーティストやスポーツ観戦などのチケットを売買する、という名目で送金させる「チケット詐欺」もSNSで横行しています。
入手困難なチケットを譲る「行けなくなったので買ってほしい」などのセリフとともに購入者を募ります。
送金したにも関わらず、チケットが送られてこなかったり、偽物のチケットが届いたりする詐欺です。

「好きなアーティストのチケットをSNSで買ったのに送られてこない!」 「サッカーの観戦チケットをネットで買ったら偽物だった」 アーティストのライブや音楽フェス、人気のスポーツ観戦チケットをSNSなどを経由して購入しても、チケット[…]
5.副業詐欺
「短時間で高額収入を得ませんか?」
「簡単な情報登録で、すぐに儲かる副業をご案内します!」
SNSでこのような副業情報を見かけたことはありませんか。
副業情報をDMで送ったり、SNS上に広告を出したりして、興味を抱いた人を詐欺へ誘導するケースが増えています。
事前に登録料を送金させたり、資格取得代金を名目にお金を支払わせたりし、その後連絡が不通となったら詐欺の可能性が高いでしょう。

闇バイトに勧誘されるおそれもある
副業詐欺には「闇バイト」の勧誘が潜伏していることもあります。
「1日だけの簡単な調査です」といったよくある単発ワークを語り、実際には強盗や受け子(※)に加担させるものです。
闇バイトの勧誘では免許証などの個人情報を事前に登録させる傾向があり、その後も犯罪に持続的に加担させます。

もしも闇バイトに気付いたら、すぐに警察や弁護士へご相談ください。
(※)受け子とは:詐欺行為で得たお金を直接被害者から受領したり、ATMから引き出したりする役割のこと。
副業詐欺についてより詳しく知りたい方はこちら▼
近年、働き方改革への対応や収入アップ対策として、副業を始める人が増えています。 しかし「情報商材やツールを高額で売りつける」「副業に必要なお金を振り込んだ途端に相手と連絡が取れなくなった」など、悪質な副業詐欺も増加しているので注意しま[…]
6.仮想通貨詐欺
仮想通貨詐欺もSNS上で横行しています。
仮想通貨とは暗号資産とも呼ばれており、SNSで出会った人から投資を勧誘されて、お金を預けてしまうケースが多発しています。
偽物の投資サイトへ誘導されることも多く、フィッシング詐欺に発展するケースも少なくありません。
仮想通貨詐欺は「手数料を振り込めば預けたお金を出金できる」と言われ、送金してしまい被害額が増えてしまうケースもみられます。
7.FX詐欺
FX詐欺とは、FX(外国為替証拠金)の取引を謳いお金を送金させる詐欺です。
手口の特徴として「SNS上の広告やDMを経由した勧誘」がみられます。
言葉巧みにFX取引に誘導し、お金を口座へ送金させるのです。
しかし、お金を送金しても実際にFXの運用がなされることはありません。
FX詐欺は金融庁に登録していない無許可の業者が、FX取引を持ちかけています。
高額な手数料を請求したり、出金を拒否したりするケースも多いため、少しでも違和感を覚えたら取引を止めることが大切です。
投資に勧誘された時点で、違法と気付く事も大切ですね。
SNS詐欺で騙されやすい人とは?特徴を紹介
生活に深く浸透しているSNSには、さまざまな手口の詐欺が潜伏しています。
SNS詐欺には特定のターゲットが存在し、「騙されやすい人」には特徴があります。
この章では、SNS詐欺に騙されやすい人の特徴を詳しく解説します。
SNS投資詐欺では、男性の被害が女性より多い傾向
SNS詐欺の中でも投資詐欺の認知件数は、令和5年3月時点の85件から、翌年の令和6年3月には746件と約8倍に増加しており、特に被害が多いです。
投資を謳う詐欺は、女性よりも男性に被害が多くなっています。
しかし、消費者庁発表の「令和5年度消費者政策の実施の状況」の「図表Ⅰ-1-3-2」を見ると、さまざまな詐欺も含めた消費者相談の統計結果は、男性よりも女性が多くなっています。
参考:警察庁「令和6年1月~3月におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」
消費者庁「令和5年度消費者政策の実施の状況 p.19-20.(図表Ⅰ-1-3-2)」
高齢者層は特に注意
SNS型投資詐欺や、SNS詐欺全般を含めた消費者相談では、いずれも被害者の年齢は50代以降が多くなっています。
SNS型投資詐欺を引用すると、令和6年1月~3月におけるSNS型投資詐欺では、男性は60代の被害が最も多く、次いで50代が続きます。
女性では50代の被害が最も多く、次いで60代が続きます。
しかし、「令和5年度消費者政策の実施の状況」における「若者の消費生活相談の商品・サービス別上位件数(年齢区分別・2023年4-12月)」を見ると、若年層には性別問わず副業・内職の相談が増加しているため、若年層も十分な注意が必要です。
参考: 消費者庁HP
闇バイトは若年層の逮捕者も出ている
副業詐欺の中には悪質な闇バイトも潜伏しており、若年層が逮捕されるケースも発生しています。
ある事件では「投資詐欺」をきっかけにお金が無くなり、闇バイトに応募しており、詐欺や闇バイトが若年層にとって身近な存在となっている現状がうかがえます。
参考: “闇バイト”で詐欺などの罪 被告に有罪判決 東京地裁立川支部 .NHK.2025-3-11
SNS詐欺に気付いたら?主な対処法とは
「噂のチケット詐欺に遭ってしまったかも。」
「仮想通貨の口座からお金が引き出せない!ひょっとして詐欺では?」
SNS詐欺に気付いた方向けに、この章では主な対処法を解説します。
SNS詐欺に遭ったと気付いたら、早急に被害の拡大を防ぐための行動が大切です。

クレジットカードを使用してしまったらすぐに利用停止
SNS詐欺の中には、クレジットカードの情報を抜き取る行為が見られます。
- クレジットカードの利用者名
- 番号
- 有効期限
- PINコード
このような大切な情報が盗まれたとわかったら、早急にクレジットカード会社に連絡し、利用の停止を依頼しましょう。
紛失・盗難時と同様で、早急に連絡すればカードの不正利用を止められます。

振り込んだ口座の記録は残し金融機関へ相談
ロマンス詐欺や投資詐欺などのケースでは、金融機関へお金を送金させる行為も報告されています。
口座に送金してしまったら、振込先金融機関名や口座番号、送金履歴などの証拠を持って、金融機関側に相談することも大切です。
金融機関側が被害の申し出を受けることで、怪しい口座を凍結してくれることがあります。
口座凍結は警察や弁護士との連携が大切
本来金融機関側は口座凍結に慎重です。被害者からの直接の情報提供には慎重な傾向があります。
しかし、警察や弁護士、消費生活センターなどの「捜査機関等」からの情報提供の際には、振り込め詐欺救済法第4条1項に沿って、口座凍結を急ぎます。
金融機関は、当該金融機関の預金口座等について、次に掲げる事由その他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等であると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、速やかに、当該預金口座等について現に取引の停止等の措置が講じられていない場合においては当該措置を講ずるとともに、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、当該預金口座等に係る預金等に係る債権について、主務省令で定める書類を添えて、当該債権の消滅手続の開始に係る公告をすることを求めなければならない。
第1項 捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があったこと。 |
このような点からも、まずは警察や弁護士に相談することがおすすめです。
警察へ被害届を提出する
詐欺に遭ったら、警察へ被害届を提出することも大切です。ただし、被害届は必ずしも受理されるとは限りません。
できる限り詐欺の事実がわかる証拠を提出することが大切です。
- SNS上のやり取りの印刷やスクリーンショット
- 口座取引の履歴
- Pay払いなどの送金履歴
- 詐欺師と見られる人の情報(名前・住所・電話番号・SNSアカウント名など)
- 違法サイトのURL
上記のような情報を集めておくと、スムーズに被害届を提出できるでしょう。
弁護士に相談する
SNS詐欺に遭ってしまったら、早急に詐欺に強い弁護士へ相談することも重要です。
口座凍結や被害届の提出についても相談でき、詐欺に遭ったストレスを軽減できます。
SNS詐欺に遭ったらすぐに弁護士に相談すべき理由
SNS詐欺に遭ったら、すぐに弁護士へ相談することがおすすめです。
弁護士は刑事事件・民事事件のいずれにも精通しており、詐欺に関するお悩みに広く対応できます。
そこで、この章では弁護士に相談すべき理由を紹介します。
被害届やカード停止などを適切にアドバイスできる
SNS詐欺は1回の送金被害だけではなく、継続してクレジットが不正利用されたり、高額の送金を請求してくることがあります。
しかし、警察に被害届を提出したり、クレジットカードを急いで停止させることで被害を最小限に留めることも可能です。
弁護士は警察への対応だけではなく、詐欺被害後にすべき対処にも精通しています。
不安の渦中にいる被害者が、今何をするべきか丁寧にアドバイスできるため、まずは法律相談を受けましょう。
被害回復(返金)可能性が高まる
SNS詐欺は早急に弁護士が詐欺の相手側に内容証明郵便を発送したり、連絡を行うことで、被害金が返金される場合もあります。
特に詐欺直後にご相談いただけると、被害回復の可能性がより高まります。
警察は被害金に関する返金請求や交渉は行っていないため、弁護士へご相談ください。
まとめ:SNS詐欺の手口は多様化中!気づいたらすぐに弁護士へ
本記事ではSNS詐欺について、手口の特徴や被害後の対処法について弁護士が詳しく解説しました。
SNS詐欺は手口が多様化し、詐欺だと気付きにくくなっています。高額被害も多発しているためご注意ください。
SNS詐欺に関する疑問やお困りごとは、詐欺に強い弁護士への相談がおすすめです。まずはお気軽にご相談ください。