近年、巧妙化する詐欺の手口は多岐にわたり、誰もが被害に遭う可能性があります。
本記事では、代表的な詐欺の種類や手口、その特徴を詳しく解説します。
また、万が一被害に遭ってしまった場合の相談窓口も紹介しているので、ひとりで抱え込まず、相談して解決を目指しましょう。
代表的な詐欺の種類12選

佐久間先生、実際のところ詐欺の種類はどのくらいありますか?
ここでは、代表的な詐欺の種類と手口を紹介します。
よく聞く手口から近年増えている手口まで幅広くピックアップしているので、自分を守る対策として目を通しておきましょう。
オレオレ詐欺(振り込め詐欺)
オレオレ詐欺(振り込め詐欺)とは、親族・警察官・弁護士・銀行職員などを装い、金銭を騙し取る詐欺の手口です。
犯人が電話口で親族を装って「オレだよオレ」と名乗ることから、「オレオレ詐欺」という名称になりました。
現在は手口が多様化しているため「振り込め詐欺」と呼ばれるようになっています。
「会社のお金を使い込んでしまった」「交通事故を起こして示談金が必要になった」など、緊急でお金が必要なトラブルを相談されることが多いです。

預貯金詐欺
預貯金詐欺とは、警察官や銀行職員などを装い、言葉巧みに預貯金を騙し取る詐欺の手口です。
切迫した口調で「あなたの口座が犯罪に利用されている」「キャッシュカードが不正に利用されている」と伝えられるなど、冷静な判断力を奪う手口が採用されています。
暗証番号を聞き出そうとしたり、キャッシュカードを封筒に入れさせ、隙を見て別のカードとすり替える手口も存在するので注意しましょう。

キャッシュカード詐欺盗
キャッシュカード詐欺盗とは、警察官や銀行員などを装い、言葉巧みにキャッシュカードを騙し取る詐欺の手口です。
預貯金詐欺と似ていますが、キャッシュカードそのものを盗み取る点で異なります。
「あなたのキャッシュカードが不正に利用されている」「キャッシュカードを交換する必要がある」と言われてキャッシュカードや暗証番号を渡してしまう事例が多いです。

警察がいきなりこのようなことを聞いてくることは、絶対にありえません。
架空請求詐欺
架空請求詐欺とは、身に覚えのない料金を請求する詐欺の手口です。
はがきや封書、電子メール、SMS(ショートメッセージサービス)など、さまざまな方法で請求してきます。
最近では、スマートフォンに「有料動画サイトの料金が未払い」などといったSMSを送り付け、本文中のURLへ誘導する手口が増えています。

還付金詐欺
還付金詐欺とは、税金や医療費などの還付金を装い、言葉巧みに現金を騙し取る詐欺の手口です。
役所・税務署・年金事務所の職員を名乗り「還付金があります」「払いすぎたお金があります」などと電話をかけてきます。
実在する機関名や職員名を名乗ることも多く、「今日中に手続きしないと還付金が受け取れなくなる」などと時間的な切迫感を強調されるケースもあるので注意しましょう。

相手の言う通りに受け取り作業をするのは危険です。
融資保証金詐欺
融資保証金詐欺とは、融資を申し込んできた人に対し、融資する前の保証金や手数料などの名目で金銭を騙し取る詐欺の手口です。
はがきやダイレクトメール、インターネット広告などで「低金利で融資します」「審査なしで融資します」などと勧誘してきます。
多重債務者や事業資金に困っている人など、お金に困っている人をターゲットにすることが多いです。
金融商品詐欺
金融商品詐欺とは、存在しない、または価値のない金融商品への投資を持ちかけ、金銭を騙し取る詐欺の手口です。
「必ず儲かる」「元本保証」「高配当」など甘い言葉で誘惑されることが多く、未公開株・社債・ファンド・仮想通貨(暗号資産)・FXなど対象も増えています。
過去の運用実績などを偽造し、あたかも高収益が期待できるかのように見せかけてくるため、詐欺と見抜きにくいことも懸念されます。

「必ず儲かる」ものなんてありません。
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ギャンブル詐欺
ギャンブル詐欺とは、ギャンブルで確実に儲かる方法があるなどと嘘をつき、情報料や登録料などの名目で金銭を騙し取る詐欺の手口です。
「必勝法がある」「確実に儲かる情報がある」などと勧誘してきて、ソフトウェア・情報商材(マニュアルや資料)を売りつけます。
その他、手数料や代行費を請求されることも多いですが、やがて担当者と連絡が取れなくなって費用を持ち逃げされてしまいます。

投資も同じですが、リスクやデメリットを正しく認識しましょう。
交際あっせん詐欺
交際あっせん詐欺とは、異性の紹介を口実に、登録料や保証金などの名目で金銭を騙し取る詐欺の手口です。
本物の結婚相談所と見分けがつかないまま登録し、「特別なパーティー」「会員限定イベント」などの参加費も請求されることがあるので注意しましょう。
魅力的な異性の写真やプロフィールに惹かれても、安易に信用しないことが大切です。
結婚詐欺
結婚詐欺は、結婚する意思がないにもかかわらず、結婚を口実に相手に近づき、金銭を騙し取る詐欺の手口です。
結婚願望が強く、経済的に余裕のある人がターゲットにされることが多いですが、近年は経済的に余裕がない人もターゲットにされており、消費者金融などでお金を借りさせる手口も増えています。
「事業資金が必要」「借金を返済したい」「家族の医療費が必要」など、さまざまな理由をつけて金銭を要求されたときは警戒してよいでしょう。

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SNS型詐欺
SNS型詐欺とは、SNSを利用して行われる詐欺の総称です。
特に、投資を持ちかけられるものは「SNS型投資詐欺」と呼ばれます。
「必ず儲かる投資話」「簡単に稼げる内職」など、副業や仕事の話から詐欺につなげる手口が増えているので注意しましょう。
その他、「プレゼント企画に当選した」「アカウントがロックされた」など、さまざまな理由をつけて個人情報を聞き出そうとする事例まで、詐欺の手口も多種多様です。

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副業詐欺とは、副業を希望する人をターゲットにして、金銭や個人情報を騙し取る詐欺の手口です。
「スマホで簡単に稼げる」「短時間で高収入」など、多様化する働き方に合わせて副業を検討している人をターゲットに接触してきます。
会社員だけでなく、中高生、子育て・介護に忙しい主婦、障害や病気を抱えていてなかなか働けない人なども対象とされます。
副業詐欺についてより詳しく知りたい方はこちら▼
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詐欺では!?と思ったときの相談先

警察や消費生活センターの他、弁護士に相談して解決してもらうのもおすすめです。
ここでは、詐欺が疑われる際の相談先を解説します。
詐欺に遭ってしまったときはもちろん、詐欺が疑われるときや詐欺に遭いそうな知人・家族がいるときにも相談できます。
弁護士
弁護士に相談すると、詐欺に該当する可能性・証拠の有無・法的責任の所在などを判断し、今後の対応方針についてアドバイスしてもらえます。
被害回復のためにどのような法的措置が取れるかなど、実践的かつ解決に向けて具体的な相談ができる点が弁護士の強みといえるでしょう。
場合によっては、内容証明郵便の送付、告訴、損害賠償請求訴訟など、個々人の状況に合わせた法的措置も代行してくれます。
警察
警察は、刑事事件として詐欺事件を捜査し、加害者を逮捕する権限を持っています。
被害届や告訴状を提出したいときや、詐欺の手口や加害者の情報を教えてほしいときには、絶好の相談先となるでしょう。
また「先ほど〇〇署の警官を名乗る人が自宅に来たが本物の警察官か?」などの問い合わせも可能です。
消費生活センター
消費生活センターは、消費生活に関するトラブルや相談を受け付けている専門機関です。
身に覚えのない請求が届いた場合や、非現実的な高収益を謳われた場合に相談するとよいでしょう。
インターネット通販・訪問販売・契約に関するトラブルを相談しやすい場所でもあり、専門的なアドバイスや情報提供を受けられます。
金融庁
未公開株・社債・投資ファンド・仮想通貨(暗号資産)など、金融商品を騙った詐欺については金融庁に相談してもよいでしょう。
その他、金融機関の職員を名乗る詐欺や金融機関のシステムを使った詐欺なども、金融庁に相談して信頼性を確認しておくことをおすすめします。
また、金融庁では直近の詐欺や偽サイトに関する情報も発信しているため、定期的にチェックして事例として学んでおくのもよいでしょう。
銀行・カード会社
既に「キャッシュカードを詐欺師に渡してしまった」「銀行口座を知られてしまった」などの実害が出ている場合、速やかに銀行やカード会社に相談しましょう。
不正利用のリスクがある場合、迅速に口座やカードの利用を停止することで、被害の拡大を防ぎます。
また、口座から身に覚えのない金額が引き落とされたり、クレジットカードで身に覚えのない請求があったりした場合も、すぐに当該金融機関に相談してください。
詐欺被害に対して弁護士ができるサポートの種類

ここでは、詐欺被害に対して弁護士ができるサポートの種類について解説します。
具体的な法的手段を検討しているときや、自分の味方に立って交渉してくれるプロの力がほしいときにご活用ください。
証拠収集・事実確認
詐欺被害に遭った場合、証拠収集と事実確認は、被害回復や加害者への法的措置を講じる上で非常に重要です。
どのような記録が法律上有効なのか、どのような証拠があれば加害者を特定できるのかなど専門的な知見を活かしてアドバイスしてもらえます。
契約書や領収書など、紙媒体の書類は紛失しないように保管しておきましょう。
加害者との交渉
加害者と直接交渉する場合、個人だけで乗り込むのは非常に危険です。
被害状況を裏付ける証拠(契約書、振込明細、メールのやり取りなど)を収集し、弁護士などのプロを味方につけてから交渉しましょう。
法律のプロがいることで、被害金額の返還や慰謝料の請求などもしやすくなります。
弁護士に交渉を依頼し、冷静かつ客観的に交渉を進めましょう。
訴訟の提起・刑事告訴など
詐欺被害に遭われた場合、状況によって訴訟の提起や刑事告訴などの法的措置を検討する必要があります。
まずは弁護士に相談し、訴訟の見通しや費用などを確認しましょう。
場合によっては、裁判所の判決に基づき、強制的に被害回復を図れるケースもあります。
財産保全
詐欺に遭った銀行口座を凍結する、クレジットカードやキャッシュカードの利用を停止する、データをバックアップするなど、詐欺に遭ってからでも可能な限りの財産保全を進めます。
弁護士に相談すると、財産保全に関する専門的なアドバイスやサポートを受けられるので、自分の見落としをなくせるのがメリットです。
弁護士会や法テラスに相談して弁護士の紹介を受けるなど、できるだけ早く行動を起こしましょう。
まとめ|詐欺の種類は年々複雑・多様化している!
詐欺の手口は巧妙化の一途をたどっており、詐欺の種類も多岐にわたります。
オレオレ詐欺(振り込め詐欺)や還付金詐欺といった昔からある典型的な手口に加え、インターネットやSNSを利用した新たな詐欺も増加しているので注意しましょう。
詐欺か疑わしいときや詐欺被害に遭ってしまったときは、速やかに弁護士へご相談ください。
法的措置を検討し、速やかに被害回復を図ることが重要です。