最近、全国各地で訪問詐欺の被害が急増しています。
特に日中、仕事で不在の間に家族が狙われるケースが多く、手口も年々巧妙化しています。
朝早くから夕方まで働く方々にとって、留守中の家族の安全は何よりも心配なものです。
不安を抱えながら仕事に行くのは、気が気でならないでしょう。
しかし、どうすれば家族を守れるのか具体的な方法がわからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、最新の訪問詐欺の手口と、家族を守るための具体的な対策について弁護士の視点から解説します。
あなたの大切な家族を守るための知識を身につけましょう。
訪問詐欺の典型的な手口とは?
どんな手口が多いのでしょうか。
もっとも多い5つの手口を解説しますので、ご家族でもぜひ共有してください。
訪問詐欺は特定のパターンで行われることが多く、手口を知ることが被害を防ぐ第一歩となります。
訪問詐欺の典型的な5つの手口は、以下のとおりです。
- 無料点検と謳って近づく
- 期間限定の割引中と勧誘する
- 訪問先の不安を煽って契約を迫る
- 火災保険などで虚偽内容を説明する
- 契約や支払いを急がせてくる
それぞれについて、1つずつ詳しく解説します。
無料点検と謳って近づく
1つ目は、公的機関や大手企業からの依頼を装って、無料点検を持ちかける手口です。
点検後に「水質が基準値を超えています」「漏電の危険があります」などと不安を煽り、高額な商品やサービスの契約を迫ってきます。
消費者庁によると、点検商法の相談件数は近年増加傾向にあり、特に高齢者をターゲットにした訪問販売の苦情が多数寄せられています。
参考:消費者庁「第1部 第2章 第2節(2)高齢者の消費者トラブル」

水道局や電力会社が突然訪問して点検することは、まずありません。
事前に通知を送りますので、予告なしの訪問は不審に思うべきでしょう。
無料という言葉に惑わされず、きっぱり断ることが大切です。
期間限定の割引中と勧誘する
期間や数量限定を強調して、以下のような即決を迫る手口も頻繁に使われます。
- 今日だけの特別価格です
- モニター価格でご提供します
- 限定3件のキャンペーン中です
実際には何の限定もなく、通常より割高な価格を設定していることがあります。
相場を知らない消費者は判断ができず、焦って契約してしまうケースも出てくるでしょう。

このような言葉が出てきたら、詐欺を疑いましょう。
正規の工事やサービスなら、翌日でも翌週でも同じ条件で契約できるのが一般的です。
即決を求められたら、詐欺を疑ってください。
訪問先の不安を煽って契約を迫る
訪問先の不安を過度に煽って、契約を迫る手口も多く見られます。
特に、住宅関連サービス(屋根や外壁工事、シロアリ駆除など)で顕著です。
実際には問題がなかったり軽微な修繕で済んだりするケースでも、「全面張替えが必要」などと言って高額な契約を結ばせようとします。
例えば「うちの屋根は築何年だから、そんなに問題はないはず」など、具体的な情報を家族と話し合っておくと不安を煽られても冷静に判断できます。
火災保険などで虚偽内容を説明する
近年特に増加しているのが、「火災保険を使えば無料で自宅の修繕ができます」などと謳い、火災保険の不正請求を勧める手口です。
実際には保険適用の対象外であったり、保険金額の大部分が業者の手数料として取られることも少なくありません。
業者が、保険会社への虚偽の申告方法をアドバイスするケースも報告されており、消費者が知らないうちに保険会社から要注意人物に認定されてしまうリスクもあります。

無料という言葉に飛びつかず、火災保険の適用については契約している保険会社に直接確認しましょう。
正規の工事であれば、業者は保険を使わない場合の見積もりも提示してくれるのが一般的です。
保険会社に見積もりを依頼して確認してください。
契約や支払いを急がせてくる
契約や支払いを急がせてくるのも、詐欺の典型的な手口です。
「今日中に契約しないと価格が上がります」などと言って、じっくり考える時間を与えずその場で契約書にサインさせようとします。
また、「クレジットカードでの一括払いが必要です」など、支払いについても急かしてくることが多く、一度支払いが完了すると取り戻すのが難しくなります。

正規の業者であれば、検討する時間を与えてくれるのが一般的です。
家族間で「どんな場合でも、その場での契約や支払いはしない」というルールを徹底しておきましょう。
訪問詐欺とは?なぜ増えているのか?


深刻なのは、手口が年々巧妙化していることです。
詐欺師たちはプロですから、まずは敵を知ることから始めましょう。
訪問詐欺とは、販売員や業者が自宅を訪問し、嘘や誇大広告によって消費者を騙して契約を結ばせたり金銭をだまし取ったりする行為です。
近年、訪問詐欺の被害が急増している背景には、高齢化やコロナ禍以降の社会変化、そして詐欺の手口の巧妙化があります。
以下では、さらに深掘りして解説します。
訪問詐欺の現状
訪問詐欺の被害は、年々増加傾向にあります。
訪問販売に関する相談件数は、全国で年間約7万件を超えています。
年代別割合をみると50代以降で7割以上を占め、特に70歳以上が4割を占めているのが特徴です。
参考:国民生活センター「2023年度 全国の消費生活相談の状況 -PIO-NETより-」
「国民生活センター」のホームページでは、PIO-NETに登録された相談件数の推移が載せられています。
年数 | 訪問販売によるリフォーム工事 | 点検商法 |
2021年 | 9,756 | 7,435 |
2022年 | 10,099 | 8,165 |
2023年 | 11,861 | 12,510 |
参考:国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法(各種相談の件数や傾向)」
※ここでのリフォーム工事は、「屋根工事」「壁工事」「増改築工事」「塗装工事」「内装工事」の合計を指します。

実際、弊所に相談に来る方の多くは「まさか自分の家が…」と話されます。
仕事で日中不在になることが多いご家庭は、特に注意が必要です。
特に高齢者が狙われる理由
高齢者が特に狙われる理由としては、以下のような点が挙げられます。
- 判断力の低下
加齢により考える力や判断力が低下している場合がある
- 知識不足
最新の詐欺手口に関する情報を知らない
- 孤独感
話し相手を求めている心理につけ込まれる
- 断りにくい
昔ながらの「人とのつながりを大切にする」の価値観から断ることに抵抗がある
- 在宅中が多い
日中に1人で家にいることが多い
- 金銭的余裕
年金や貯蓄がある場合が多い
特に注目すべきは、詐欺師が高齢者の心理的特性を熟知し、ターゲットに合わせて巧みな話術を駆使している点です。
「お茶でも飲んでいきませんか」という親切心につけ込み、長時間居座って心理的に追い詰めるケースも少なくないでしょう。

高齢者の親切心につけこんで詐欺を働きます。
詐欺から家族を守るには、疑う勇気を持つことが何より大切です。
訪問詐欺に遭わないための対応策

でも実際に訪問されたとき、どう対応すればいいんでしょうか?
家族全員で共有できる具体的な対応策をいくつかご紹介しましょう。
特に「断り方」を事前に練習しておくことが、実際の場面での冷静な対応につながります。
訪問詐欺を防ぐためには、事前の心構えと具体的な対応策を家族で共有しておくことが重要です。
特に、日中家にいることが多い家族には、相手の巧みな話術に惑わされないようにするための明確なルールが必要です。
以下では、訪問詐欺を防ぐための具体的な3つの対応策について詳しく解説します。
訪問対応3原則「会わない・話さない・開けない」を徹底する
訪問詐欺から身を守るもっとも効果的な方法は、「会わない・話さない・開けない」の3原則を徹底することです。
インターホン越しやドアチェーンをかけたままで対応し、できるだけ素早く会話を終わらせましょう。
具体的な実践法としては、以下のようなステップがおすすめです。
- 会わない
インターホンが鳴ったら、必ずモニターやドアスコープで相手を確認する
- 話さない
用件を簡潔に聞き、不要な場合は「結構です」の一言で切り上げる
- 開けない
ドアは絶対に開けず、必要な場合はドアチェーンをかけたままにする
また、玄関に「訪問販売お断り」のステッカーを貼ることも効果的です。
明示的な表示があるだけで、詐欺師の多くは別のターゲットを探す可能性が高くなるといわれています。

詐欺師は親切そうな対応を示す家を狙う傾向があるため、きっぱりと断ることこそが最大の防御となります。
いざという時のための断り文句を知っておく
訪問詐欺師は話術のプロです。
その場で考えて対応しようとすると、巧みな話術に引き込まれてしまう可能性があります。
そのため、事前に効果的な断り文句をいくつか用意し、家族で共有しておくことが大切です。
いざという時に使える効果的な断り文句の例は、以下のとおりです。
- 家族との約束で、一人では決められないことになっています
- うちはすべて〇〇(信頼できる業者名)に頼んでいます
- マンション管理規約で訪問販売お断りになっています
- 録画していますので、用件だけ簡潔にお願いします
- 今日は忙しいので、資料だけポストに入れておいてください
これらの断り文句は、特に日中1人で家にいることが多い家族にとって、強力な盾になります。
定期的に家族間で断り方を練習しておくことで、実際の場面での対応力が大幅に向上します。
家族で役割を決めて、ぜひ練習してみてください。
自分の言葉で言いやすいフレーズをいくつか用意しておくと安心です。
名刺や身分証を求めて相手の反応をチェックする
訪問者が本当に信頼できる業者かどうかを見極めるためには、名刺や身分証明書の提示を求めることが効果的です。
正規の業者や公的機関の職員は、必ず身分証明書を携帯しています。
一方で、詐欺師は身分証の提示を渋ったり、不自然な反応を示したりする傾向があります。
効果的な身分証確認のポイントは、以下のとおりです。
- まず名刺の提示を求め、会社名と住所をメモする
- 身分証明書(社員証など)の提示を求める
- スマートフォンで撮影させてもらう(または、させてもらおうとする)
- 「確認のため会社に電話します」と伝える
- 提示された身分証と会社名で、インターネット検索してみる
以上の確認作業に対し、正規の業者であれば快く応じてくれるでしょう。
ただし、詐欺師は何かと理由をつけて回避しようとします。
快く応じてくれない場合は、詐欺を疑いましょう。
特に、スマートフォンで写真を撮らせてもらおうとする行為は、詐欺師にとって強力な抑止力になります。
しつこい訪問販売・詐欺業者への正しい対処法
「何度断っても帰ってくれなかった」という話もよく耳にします。
そういう場合はどうすればいいんでしょうか?

しつこい業者への対処法も知っておくことで、より確実に身を守れます。
実際の相談事例から効果的だった対応をいくつかご紹介しましょう。
訪問販売・詐欺業者のなかには、一度断られても何度も訪問してくる「しつこいタイプ」も少なくありません。
執拗な勧誘に対しては、より強固な対処法が必要です。
以下では、しつこい業者への効果的な対処法を3つ紹介します。
訪問業者を玄関や敷地内へ勝手に入れさせない
しつこい訪問販売業者への対処の基本は、まず玄関や敷地内にいれないことです。
特に家の中に入れてしまうと、帰ってもらうのが非常に難しくなります。
業者を家に入れないための具体的な方法は、以下のとおりです。
- ドアチェーンを必ず使用する
ドアを開ける必要がある場合でも、チェーンはかけたままにしましょう。「マンションの規則で、チェーンを外せません」「家族に言われていて対応できません」と断ることをおすすめします。
- 敷地内に入れない工夫を施す
門扉にはオートロックや鍵をかける習慣をつけましょう。インターホンで対応し、無料点検と言われても玄関先で断るのがおすすめです、
- 物理的な障壁を設ける
門扉に「訪問販売お断り」の表示を明確にしたり、センサーライトや防犯カメラを設置したりしましょう。敷地内に不審者が入ると音が鳴る防犯アラームを設置するのもおすすめです。
自作の簡易的な防犯カメラやセンサーライトを設置するだけでも、一定の抑止力になるでしょう。

家族に「絶対に家の中に入れない」というルールを徹底するだけでも、被害リスクは大幅に下がるでしょう。
庭や外壁の点検が必要な場合でも、予約のある正規の業者だけに限定することをおすすめします。
「家族や知人に確認します」と伝え時間を稼ぐ・帰ってもらう
しつこい業者に対しては、すぐに決められない姿勢を明確に示すことが重要です。
「家族や知人に確認します」と伝え、時間を稼ぐか帰ってもらいましょう。
第三者の目が入ることを詐欺師は嫌がるため、諦める可能性が高くなります。
この時の効果的な伝え方は、以下のとおりです。
- 具体的な人物を出す
「主人と相談します」「息子に確認します」など、実在する家族を具体的に挙げましょう。「建築会社に勤めている夫に相談しないと決められません」などと専門知識をアピールするのもおすすめです。
- 時間を稼ぐ表現を使う
「今は電話で確認できないので、後日改めてお願いします」「家族会議で決めることになっているので、資料だけ置いていってください」などと伝えましょう。
- 強い口調で断る
相手が食い下がる場合は「それでは警察に確認します」と伝えましょう。しつこい勧誘は迷惑行為だと明確に伝えることが大事です。

相手が食い下がる場合は、毅然とした態度で「警察に連絡します」と伝えてください。
本物の詐欺師はその一言でほぼ引き下がります。
信頼できる業者に見積もりを依頼する
しつこい訪問販売業者に対して特に効果的なのが、すでに別の業者に依頼していると伝えることです。
実際に信頼できる業者を見つけておき、何かあったときにはその信頼できる業者に見積もりを依頼する習慣をつけておくと安心です。
信頼できる業者を見つけるポイントは、以下のとおりです。
- 複数の見積もりを取る習慣をつける
1社だけでなく3社程度見積もりを取ることで相場を知り、不当に高額な請求を見抜けるようになりましょう。
- 地元で実績のある業者を選ぶ
近隣地域で長年営業している実績のある会社を選びましょう。また、口コミやレビューが確認できる業者がおすすめです。
- 正規の資格や許認可を持つ業者かを確認する
建設業許可番号や住宅リフォーム事業者団体に登録していることや、地元の商工会議所に加盟しているかなどを確認しましょう。
信頼できる業者をあらかじめリストアップしておき、家族全員で共有しておくことは、不要な訪問販売を寄せ付けないための盾となります。
実際に修理や工事が必要な場合も、信頼できる業者に複数見積もりを取ることで、適正価格で安心して依頼できます。
普段から「何かあったらここに頼む」という業者を家族で共有しておくことが大切です。
家族や高齢者を訪問詐欺から守るためにできること

どうやって家族みんなを守ればいいのでしょうか?
特に子どもや高齢者など、詐欺師に狙われやすい家族を守るための具体的な方法をご紹介します。
家族全員が訪問詐欺から身を守るためには、具体的なルール作りと環境整備が重要です。
以下では、家族を守るための3つの具体的な方法について詳しく解説します。
家族間で「防犯ルール」を作る
訪問詐欺から家族を守るための効果的な方法は、家族全員で「防犯ルール」を作り、共有することです。
特に子どもや主婦など、日中家にいることが多い家族に対して、具体的なルールを作ることが重要です。
効果的な家族の防犯ルール例は、以下のとおりです。
玄関対応の基本ルール | ・インターホンが鳴ったら必ず誰かを確認する
・知らない人には絶対にドアを開けない ・子どもだけの時は「親が寝ている」と言う |
判断に迷った時のルール | ・すぐに家族に電話やLINEで連絡する
・「家族に確認します」と言って時間を稼ぐ ・判断できない時は必ず「NO」と言う |
具体的な状況別対応 | ・無料点検と言われたら「結構です」と断る
・荷物の配達と言われたら「置いておいてください」と伝える ・アンケートと言われたら「興味ありません」と断る |
これらのルールは家族会議などで話し合って決め、玄関付近に貼り出しておくと効果的です。

子どもには「知らない人には絶対にドアを開けない」というルールを徹底することが大切です。
一人暮らしの親・高齢者に対して注意喚起する
離れて暮らす親や高齢者は、訪問詐欺の標的になりやすく、特に注意が必要です。
詐欺師は、高齢者の親切心につけこんで詐欺を働こうとします。
特に一人暮らしの高齢者は狙われやすいため、注意が必要です。
効果的な高齢者への注意喚起方法は、以下のとおりです。
日常的なコミュニケーション | ・定期的に電話やビデオ通話で連絡を取る
・最近の詐欺事例を具体的に伝える ・「〇〇さんも騙されそうになった」など身近な例を挙げる |
環境整備の手伝い | ・「訪問販売お断り」ステッカーを玄関に貼る
・留守番電話の設定を手伝う ・定期的に自宅の安全点検を行う |
地域ネットワークの活用 | ・近隣住民や自治会との連携を強化する
・見守りサービスや高齢者見守りネットワークに登録する ・地域の相談員に定期的な訪問を依頼する |
特に重要なのは、「高齢者が詐欺に遭うのは、恥ずかしいことではない」と伝えることです。
恥ずかしさから被害を隠してしまうケースが多いため、どんなことでも相談して欲しいという姿勢を示すことが大切です。
反発される可能性もありますが、子どもが心配している気持ちを伝えれば、多くの親は応えようとしてくれるでしょう。
家庭用の防犯グッズ・セキュリティを導入する
物理的な防犯対策として、家庭用の防犯グッズやセキュリティシステムの導入も効果的です。
おすすめの防犯グッズ・セキュリティは、以下のとおりです。
基本的な防犯グッズ | ・ドアスコープカメラ(来訪者を記録できる)
・センサーライト(人感センサーで自動点灯) ・防犯ブザー付きドアストッパー |
自作で設置できる防犯設備 | ・100円ショップの材料で作るドアチェーン補強具
・電池式の人感センサーアラーム ・防犯カメラ(ダミーでも効果あり) |
子どもや高齢者にも使いやすいセキュリティ | ・緊急通報ボタン
・スマートスピーカーを活用した緊急連絡システム ・玄関先の会話を録音できるインターホン |
これらの防犯グッズは5,000〜20,000円程度で購入でき、自作で設置可能なものも多くあります。
特にドアスコープカメラは、スマートフォンと連動させることで外出先からでも来訪者を確認できるため、あなたが不在のときでも安心感が増すでしょう。
コストを抑えたい場合は、まずはセンサーライトやドアスコープカメラなど、費用対効果の高いものから導入することをおすすめします。
工夫次第で、数万円の予算でも十分な防犯環境が整えられます。
万が一訪問詐欺の被害に遭った場合の対応

諦めずに行動することが大切です。特に初期対応のスピードが、被害回復のカギを握ります。
訪問詐欺の被害に遭った場合でも、冷静に対処すれば被害を最小限に抑えたり契約を解除したりできる可能性があります。
特に重要なのは「素早い行動」です。
契約してしまってからの時間経過によって、取れる対策が変わってくるため、被害に気付いたらすぐに行動することが大切です。
以下では、被害に遭った場合の4つの具体的な対応策について詳しく解説します。
クーリング・オフを使う
訪問販売で契約した場合、「クーリング・オフ制度」を利用して契約を解除できる可能性があります。
クーリング・オフとは、一定期間内であれば無条件で申し込みの撤回や契約を解除できる消費者保護のための制度です。
特定商取引法では、訪問販売の場合は契約書面を受け取った日から8日以内であれば、理由を問わず契約を解除できます。(※一部商品・サービスを除きます)
クーリング・オフの通知は、書面(はがきや内容証明郵便)または電子メールなどの電磁的方法で行います。
証拠が残せるため、内容証明郵便での通知がおすすめですが、はがきなどで出す場合は「特定記録郵便」「簡易書留」などで送付し、通知書と郵便の控えは、証拠として必ず保管しておきましょう。
クーリングオフ通知書に記載すべき内容は、以下のとおりです。
- 契約年月日
- 商品・サービス名
- 販売会社名と担当者名
- 「契約を解除します」という明確な意思表示
- 支払い済みの場合は返金を求める旨

休日を挟んでも期間は延長されませんので、被害に気付いたらその日のうちに行動することが大切です。
書面作成に自信がない場合は、消費生活センターに相談すると、無料でサポートしてもらえます。
消費生活センターに相談する
訪問詐欺の被害に遭った場合、まず相談すべき公的機関が「消費生活センター」です。
消費生活センターは無料で相談できる消費者トラブル専門の窓口で、専門の相談員が状況を聞き取り、適切な対応策をアドバイスしてくれます。
また、必要に応じて業者との交渉の仲介を行うこともあります。
<消費生活センターへの相談方法>
- 全国共通の消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターへ自動的につながる
- 相談の際に準備するもの:契約書や領収書などの証拠書類、やり取りのメモや録音など
特にご家族が被害に遭った場合、本人が恥ずかしがって相談を躊躇することもありますが、代理人として相談することも可能です。
警察に相談する
訪問詐欺の被害が明らかな詐欺行為や脅迫、強要などをともなう場合は、警察への相談も検討しましょう。
特に高額な被害や、複数の被害者がいる可能性がある場合は、警察が捜査に乗り出す可能性が高まります。
また、警察に相談記録を残しておくことで、民事的な解決を目指す際にも有利に働くことがあります。
- 警察への相談方法:最寄りの警察署または交番に相談
- 警察相談専用電話「#9110」への相談:緊急性のない相談や質問はこちらが適切
- 相談の際に準備するもの:契約書や領収書などの証拠書類、業者の名刺や会社情報、被害の詳細をまとめたメモなど
警察では、相談内容によって「被害届」または「相談」として記録されます。

単なる「トラブル」ではなく「詐欺」「脅迫」などの言葉を使うと、警察も対応しやすくなります。
弁護士に相談する
被害額が高額な場合やクーリング・オフ期間を過ぎている場合、または業者が悪質で消費生活センターでの解決が難しい場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
弁護士は法的な専門知識を活かして、消費者契約法や民法などに基づく契約の取消しや損害賠償請求などの法的手段を講じられます。
弁護士に相談すると、法的な専門知識で隠れた解決策を見つけてもらえる可能性が出てきます。
特に、消費者問題や詐欺に強い弁護士を選ぶことがポイントです。
訪問詐欺に遭って困ったら弁護士にご相談ください
訪問詐欺は年々巧妙化しており、どんなに注意していても被害に遭ってしまう可能性があります。
特に「もう支払ってしまったから」「契約してしまったから」と諦めてしまう方が多くいますが、適切な法的対応で解決できるケースも少なくありません。消費者問題に強い弁護士であれば、一般の方が知らない法的解決策を提案できることもあります。
必要であれば、外部機関や弁護士の力を借りることをためらわないでください。
大地総合法律事務所は、詐欺被害に特化した事務所です。
契約前に弁護士と直接話せるので、ご安心頂けます。
相談は無料ですので、詐欺被害に遭ってしまってご不安な方は、弊所までご相談ください。