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【よくわかる!弁護士に学ぶ詐欺被害】自分で業者を呼ぶとクーリング・オフはできないの?

この記事で分かること

自分で販売業者を自宅に呼んだ際(特定商取引法上の訪問販売にあたるとき)

  • すでに申し込む内容を決めていて、その内容のまま申し込んだ場合はクーリング・オフができない。
  • 申し込む内容を決めていない、もしくは申し込むつもりだった内容以外の内容で申し込んだ場合はクーリング・オフができる。

クーリング・オフをした際、

  • すでに提供されたものがあったとしても返金される。
  • 販売業者から損害賠償されることはない。
  • 販売業者に原状回復の請求が出来る。

自分で業者を呼んだら、クーリング・オフってできない?

前回に引き続き、ご相談者様からの質問に答えていきましょう。
今回も、「クーリング・オフが出来るか否か」のお話です。

 
 家に害虫が出たので、害虫駆除を頼もうとインターネットで業者を調べたところ、料金が1,100円~と書いてある業者を見つけたので依頼をしました。
 業者に自宅に来てもらい見積もりを取ったところ、40万円かかると言われました。その場で契約をしましたが、やはり高すぎるのではないか?と不安になりました。
 クーリング・オフをしたいと業者に連絡をしましたが、「自分自身で業者を呼んで依頼をしているのだから、訪問販売にはあたらず、クーリング・オフはできない」と言われました。

訪問販売

「自ら業者を呼んだ」場合に、 訪問販売にあたるのかどうか、ということですね。

そうですね。では、そもそも訪問販売とは何か、を見ていきましょう。

『訪問販売』という名前なので、「自宅に来たとき」と思いがちですが、”営業所以外の場所”なので、例えば喫茶店なども該当します。
あとはキャッチセールスとアポイントメントセールスも含みます。これは営業所も含まれます。

キャッチセールスは、路上で呼び止められてついて行って契約!のアレですね。
アポイントメントセールスはどんなものですか?

電話やハガキなどで呼び出して、喫茶店や営業所等で契約をさせる商法ですね。

適用除外

販売形態だけで見ると訪問販売で合っている気がしますが…。
もしかして、訪問販売にも先日教わった適用除外があるんでしょうか?

正解です。
今回、業者から言われているのはまさしくそれですね。条文を該当箇所だけ抜粋して見てみましょう。

つまり、『自分から業者に依頼をして契約している』として『売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者』に該当するよね、と言われている状態です。

今回の場合、「売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者」に該当するかどうかが問題になりますね。

その通りです。

請求した者とは

「請求した者」は特定商取引法ではどのような解釈をされているんですか?

特定商取引法の通達に記載があります。見てみましょう。

えーん!長いよー!わかんないよー!

事務局さんが泣きながら遠くに…。
つまり、『よっしゃ!この内容この金額で申し込むぞ!家に来てくれ!』って家に呼んだ場合は適用除外ですよ、ということです。

なるほど!初めから内容も金額も決めて納得したうえで呼んでたら、たしかに勧誘云々じゃなくなりますものね。

(急に戻ってきた)
そうですね。

ん?『販売業者等が広告等で安価な価格のみを表示しており、これに基づいて消費者が訪問を依頼したところ、』って、ご相談者様の状況がそのまま書いてありませんか?

よく気づきましたね。
ここで書いてあることを簡単に言うと、消費者は広告を見た時点では、あくまで広告上の安い金額だったら契約を締結しようという意思をもっており、実際の請求額くらいの高い金額でも契約を締結しようとは思ってないわけだから、「契約を行いたい旨の明確な意思表示をしていない」として適用除外になりませんよ、ということです。

今回のご相談者様もそうですよね!「安価な1,100円なら契約するか」という意思をもって訪問を依頼していて、その時点で「高額な40万円で契約を締結する意思」は無かったわけですから、請求した者には該当しない!

つまり?

適用除外にはあたらず、訪問販売に該当する!

よく導けました。

やったー!

クーリング・オフ

じゃあ、クーリング・オフできるということで…、む。
物を買ったときのクーリング・オフとは違って、やってもらったものって返せないですよね?
もし既に害虫駆除しちゃったあとだったらどうなんでしょうか?その場合でもクーリング・オフはできますか?

その場合でもクーリング・オフはできます。訪問販売におけるクーリング・オフを見てみましょう。

長い。

9条だけで8項ありますから、本当はもっと長いですよ。

……。
とにかく、すでに役務が提供されていてもクーリング・オフはできる、ということですよね。

でも、駆除したあとなので、業者側は動いてますよね?薬剤も使ってるでしょうし、その分の請求はされないんですか?

それについては、第9条の5項を見てみましょう。

第9条

つまり、「やったことに対して購入者側が利益を得ていたとしても、その分の請求はできませんよ」と決まっているわけです。
購入者側の不当利得になるかならないか、という問題なんですが、クーリング・オフについてはなりません。

業者が動いた後でも代金は返金されるし、不当利得として損害賠償請求はされないんですね!

そうです。また、もし害虫駆除のために家具を動かしたとか、足場を組んだとか、そういう場合は業者負担で原状回復を求めることが出来ます。これは9条7項。

第9条

ちょっと待ってください!
原状回復と言うことは、ゴキ…害虫返しますとか言われたりしませんか?

クーリング・オフではそのようなことは言われません。

よかったです…。

まとめ

このご相談者様、現在どうなってるんですか?

業者に上記を伝えてますが、「クーリング・オフはしない」の一点張りです。

あらら…。法律上クーリング・オフができたとしても、すんなり応じてくる業者は少なかったりしますよね。

弁護士ならそういうときにご相談者に変わって交渉を行えますし、交渉以外の解決のノウハウも持っています。

困ったら相談、ですね!

クーリング・オフでお困りの方は、ぜひ弊所にご相談ください。相談料は無料です。

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【よくわかる!弁護士に学ぶ詐欺被害③】~クーリング・オフって何?後編~

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