「将来結婚したいから、口座にお金を送金してほしい。」
「大切なあなたにだけ、投資の紹介をしたい。」
SNSやマッチングアプリの利用増加にともない、面識がない人との交流は敷居が低くなっています。
交流を続けていくうちに恋愛感情を抱き、お金を振り込んでしまったり、架空の投資を信じてしまうケースが後を絶ちません。
そこで、本記事ではロマンス詐欺について、手口の特徴や見抜く方法、被害時の相談先を詳しく解説します。
ロマンス詐欺とは?被害はどこで起きている?

Instagramなど、自身のアカウントに見ず知らずの人からDMが届いたことをきっかけに交流が深まり、詐欺に遭ってしまうケースが多くなっています。
ロマンス詐欺はSNSやマッチングアプリのアカウントへ「素敵ですね」など、親近感を抱かせるメッセージが届くことで始まります。
ロマンス、という名称にあるように、恋愛感情を利用する手口です。
InstagramやFacebookなどのSNS
DMの機能があるInstagramやFacebookは、非公開アカウントやメッセージ機能を制限していない場合、国内外からDMを受信できるため、ロマンス詐欺の温床となっています。
警視庁が2025年2月14日に公開した統計によると、2024年はDMから始まる詐欺が急増しており、1月時点で約200件の報告でしたが、12月時点では約1,300件へ拡大しています。
多くの人が見知らぬ人とDMを通して交流を深めてしまう傾向があるとわかっています。
また、LINEのオープンチャットやTikTokを経由したケースもあり、身近なアプリにもロマンス詐欺が潜んでいます。

マッチングアプリ
マッチングアプリは恋愛・婚活を目的としているものが多く、恋愛感情を用いるロマンス詐欺師が多く潜んでいる傾向があります。
先に触れた警視庁発表の統計でも、実際に被害に遭われた方が最初に接触されたツールの1位には、男女ともにマッチングアプリと答えています。
将来の結婚を約束されてお金を送金してしまった、投資への勧誘を信じてしまったというケースが後を絶ちません。
ネットの広告から誘引されるケースもある
SNSやマッチングアプリに限らず、ネットの広告に関心を持ち、アクセスしたことをきっかけにロマンス詐欺に誘導されるケースもあります。
誰でも気軽にスマホ1つでネットにアクセスできるからこそ、ロマンス詐欺は身近なものになっています。
ロマンス詐欺を見抜くために|手口の特徴と見抜く方法

では、詐欺を見抜くためにはどうすればいいんでしょうか。
ロマンス詐欺には手口の特徴がありますから、知っておくことで詐欺を見抜くことができますよ。
ロマンス詐欺の最大の特徴は「恋愛・結婚」への感情を悪用することです。
そこで、この章では手口の特徴と見抜く方法について、順を追って解説します。
1.恋愛感情を利用する
SNSやマッチングアプリを悪用しているロマンス詐欺は、まず「恋愛感情」を利用するところから始まります。
「可愛いですね、とても素敵です。」
「魅力的な写真なので、親しくなりたいです。」
見知らぬ人からこのような連絡が届いたことをきっかけに、会話を重ねてしまった被害者が多くなっています。

見知らぬ人からの突然の接触は詐欺と思ってよいでしょう。
2.投資を勧誘する
「将来の結婚資金のために、一緒に投資をしよう」
「あなたに会いに行きたいから送金してほしい」
信頼が深まっていくと、次に結婚を匂わせたり、儲け話を教えてくれるようになります。このように言葉巧みに、お金を振り込ませる方向へ誘導します。
最初は少額を送金させ、徐々に高額の送金を促すケースも多くなっています。

ロマンス詐欺は手口が巧妙化しており、投資を促す詐欺の中には当初被害者側口座に「リターン」が振り込まれるケースもあります。
リターンによって「本物の投資」だと信じてしまうのです。振り込まれても、違和感を感じたら送金を止めましょう。
3.海外の人になりすます
「ビジネスを成功させ、日本に行きたい」
「結婚資金を送ってくれたらすぐに国を出る」
ロマンス詐欺が流行り出した頃は、「海外からアプローチ」してくるケースも多かったことをご存じでしょうか。
外国の軍人やビジネスマン、貴族関係者などになりすましてDMを送ってくるのです。
日本に行きたい、あなたと暮らしたいとロマンチックな言葉を使ってDMを繰り返し、心を開かせようとします。
国際結婚を匂わせる言葉を使って送金させるのです。

外国からのDMも、詐欺を疑うようにしてください。
ロマンス詐欺に遭ってしまったら|主な相談先4選
ひょっとしてロマンス詐欺に遭ってしまったかも、と思ったら、まずは速やかに相談をすることが大切です。
この章では誰でも気軽に利用できる、ロマンス詐欺に関する主な相談先を4つご紹介します。
1.警察相談専用窓口
ロマンス詐欺の相談先には「警察相談専用窓口」が挙げられます。
警察相談専用窓口は、一般的に広く知られる「110番」とは異なり、犯罪や事故などに遭った際に、まずは気軽に相談したい方向けに開設されています。
通話料は利用者負担、相談は無料です。
警察の緊急対応を要するケースは、従来どおり110番をご利用ください。
警察相談専用窓口の連絡先 | 受付時間 |
#9110
(全国どこからかけても、電話をかけた地域を管轄する警察へつながります) |
平日・午前8時30分から午後5時15分まで
(※各都道府県警によって対応が異なる可能性あり) |
2.消費者ホットライン
「消費者ホットライン」とは、消費者庁が運用している相談サービスです。
ロマンス詐欺などの詐欺や、悪徳商法などの被害を相談できます。
通話料は利用者負担、相談は無料です。
年末年始を除き、毎日相談できる体制が整っています。
消費者ホットラインの連絡先 | 受付時間 |
188
(全国どこからかけても、電話をかけた地域を管轄する消費生活センター、消費生活相談窓口へつながります) |
平日・午前8時30分から午後5時まで
土日祝・午前10時から午後4時まで (※対応窓口によって対応が異なる) |
なお、消費者ホットラインがつながりにくい場合は「平日バックアップ相談」をご利用いただくことも可能です。
東京の国民生活センターにつながり、相談員が相談に応じます。
平日バックアップ相談の連絡先 | 受付時間 |
03-346-1623
(最寄りの相談先につながらない場合に、電話口でアナウンスされています) |
平日・午前10時から正午まで
・午後13時~16時まで |
消費者生活センターなどは窓口相談もOK
消費者庁が管轄する消費生活センターや消費生活相談窓口は全国に設置されており、窓口での相談も可能です。
原則として窓口で相談できるのは、センターなどが設置されている自治体に在住されている方です。
最寄りのセンターなどをお知りになりたい場合は、以下リンクよりご確認ください。
参考: 独立行政法人国民生活センター「全国の消費生活センター等」

ロマンス詐欺や悪徳商法の専門相談員が相談に応じてくれます。
3.未公開株通報専用コールセンター
ロマンス詐欺では未公開株を使った投資へ誘導されることがあります。
もしも未公開株に関する詐欺に遭ったり、疑問を感じたら「未公開株通報専用窓口」へ連絡してみることもおすすめです。
未公開株通報専用窓口は、日本証券業協会(JSDA)が運営するもので、未公開株・社債などの投資詐欺について相談できます。
未公開株通報専用コールセンターの連絡先 | 受付時間 |
0120-344-999 | 平日・午前9時から午前11時30分まで
・午後12時30分から17時まで |
4.弁護士・司法書士
ロマンス詐欺に遭ってしまったら弁護士や司法書士に相談することも検討しましょう。
弁護士は法律の専門家であり、ロマンス詐欺に関する法的知識と豊富な経験を持っています。
被害状況を詳しく分析し、適切な法的手段や解決策を提案してくれます。
司法書士は内容証明郵便の作成など、被害回復に必要な書類作成をサポートしてくれます。
簡易裁判所での代理業務を行うことも可能です。
ただし、司法書士は、簡易裁判所における訴訟代理権が認められていますが、その金額には140万円という制限があります。
つまり、1つの請求金額が140万円を超える事件については、司法書士は訴訟代理人となることができません。
ロマンス詐欺の被害額が140万円を超える可能性がある場合は、弁護士へ相談しましょう。
詐欺事件は被害額が大きいことが多く、弁護士へのご相談がおすすめです。
ロマンス詐欺の被害回復が難しい3つの理由
ロマンス詐欺は海外の詐欺集団が関わっていることも多いそうですね。

その通りで、送金したお金を取り戻すことは、難しいケースもあるんです。
「数百万もの大金を送金してしまった、何とか取り返したい」
「海外口座に送金してしまったが、どうすれば取り戻せるのだろう」
ロマンス詐欺は被害が急増しているにもかかわらず、被害回復は「難しい」と言われています。
送金してしまったお金を取り戻すことが難しいのです。
なぜロマンス詐欺の被害回復は難しいのか、3つの理由を解説します。
犯罪集団の多くが海外に潜伏しているため
カンボジアやフィリピンで詐欺に加担したと思われる邦人が拘束されています。
ロマンス詐欺に関係している犯罪集団の多くも、海外に潜伏していると思われます。
日本の行政権は海外に通用しないため、日本の警察の力が及ばないのです。
現地国の警察も手を焼くエリアに潜伏していることも多く、被害回復に難航しています。
参考:JETRO「国際的詐欺事件について(注意喚起)」
被害金の回収に難航しやすいため
ロマンス詐欺をはたらく集団は、口座にお金が着金したらすぐに引き出してしまいます。警察や銀行を経由して口座を凍結しても、被害金の回収ができるとは限りません。
また、口座そのものは他人名義であったり、暗号資産に変えられ追跡ができないケースもあります。
ロマンス詐欺に精通した弁護士が少ないため
ロマンス詐欺はSNSやマッチングアプリに精通している必要があり、被害回復についてもさまざまな方法を熟知しておく必要があります。
しかし、急速に手口が巧妙化している犯罪であり、まだロマンス詐欺に強い弁護士は多くありません。
ロマンス詐欺かも!弁護士に相談するメリットとは

ありますよ。
警察に被害届を出すことも重要ですが、被害をストップさせる方法はほかにもあります。
被害の拡大をストップ
ロマンス詐欺に遭っているかも、と思ったら、以下の点を押さえて被害の拡大を止めましょう。
1.警察への相談・被害届の提出
詐欺被害に遭ったと気付いたら、すぐに最寄りの警察署へ被害届を出しましょう。
相談時には、被害状況を詳細に伝え、証拠となるもの(メール、SNSのやり取り、振込明細など)を提出します。
2.金融機関への連絡・口座凍結
振り込んだ先の口座を特定し、金融機関に連絡して口座凍結を依頼します。
口座凍結により、犯人が被害金を引き出すのを防ぎ、被害拡大を食い止められる可能性があります。
弁護士が被害回復をサポート
なるべく早くから、弁護士へ相談することも大切です。
ロマンス詐欺に精通している弁護士は、被害回復をサポートしてくれます。
被害状況を把握するために必要な証拠収集をサポートしたり、金融機関や通信会社などに加害者の情報を照会するなどの方法で、被害者ご自身では難しい作業を弁護士が行ってくれます。
弁護士選びには注意も必要
弁護士が非弁業者(弁護士資格を持たない者)に名義を貸し、被害回復が難しいにもかかわらず、ロマンス詐欺の相談者から着手金を受け取っていた事件も起きています。
被害者がさらに被害に遭ってしまう事態となっており、弁護士会から注意喚起も行われています。
参考: 第一東京弁護士会「ロマンス投資詐欺案件を取り扱う弁護士に依頼するにあたってのご注意」
まとめ|ロマンス詐欺に気付いたら弁護士にご相談を!
本記事では、ロマンス詐欺について手口の特徴や被害時の相談先について詳しく解説しました。
ロマンス詐欺はSNSやマッチングアプリを経由して急速に拡大しており、まずは見知らぬ人からのDMや勧誘には安易に応じないことが大切です。
もしも被害に遭ってしまったり、疑問を感じるやり取りがあったら、まずはお気軽に弁護士へご相談ください。