「住宅ローンで詐欺に遭ってしまうことがあるって本当?」
「住宅ローンを組みたいけど、詐欺に巻き込まれないようにするには?」
住まいを購入する際に多くの人が利用している「住宅ローン」ですが、実は詐欺行為が蔓延していることをご存じでしょうか。
フラット35を悪用した投資詐欺や、詐欺工事業者による費用の着服など、さまざまなケースの詐欺事件が発生しているのです。
本記事では、住宅ローン詐欺の実態について手法を詳しく紹介します。
また、身を守るための方法もあわせて紹介するのでぜひご一読ください。
住宅ローン詐欺とは?6つの手法を詳しく解説


投資には利用できないのに投資物件を購入させたり、リフォーム詐欺に使われたりするケースも発覚しています。
長期間の返済・低金利が特徴の住宅ローンを悪用した詐欺行為が多数発生しています。
この章では、住宅ローン詐欺の手法を6つに分けてわかりやすく紹介します。
1.投資物件詐欺
住宅ローン詐欺の多くは「投資物件詐欺」です。
住宅ローンの一種である「フラット35」を悪用した投資物件詐欺が横行しています。
原則として住宅ローンは「自ら居住するための住宅の新築・購入・建替え」時に借りられるものであり、投資物件の購入は対象外です。
しかし、購入者に「居住用でも使えます」と偽り、投資物件を住宅ローンで買わせるのです。

フラット35を悪用した詐欺についての具体的な事例についてはこちらから▼ 「フラット35が悪用される詐欺があるとニュースで見たけど、どのようなもの?」
「不動産投資でフラット35が使えると聞いたけど、罠では?」
住宅ローンの代表的な商品の1つである「フラット35」は、住まいを購入する際に長期固定金利で[…]
2.リフォーム費用詐欺
リフォーム費用詐欺とは、住宅のリフォーム工事において、悪徳業者が不当に高額な費用を請求したり、粗悪な工事を行ったりする詐欺です。
本来なら必要がない工事を施工させるために、点検と称して屋根などを無料で確認する行為も見られます。
点検中にこっそりと屋根や外壁などを破壊し、修理が必要と伝えて工事を依頼させます。
リフォーム詐欺の場合、これまでの住宅ローンとは別に本来必要がないリフォームローンを組まされているケースも多発しており、多重債務に陥るリスクもあります。

参考:独立行政法人 国民生活センター 訪問販売によるリフォーム工事・点検商法
3.不正融資詐欺
不正融資詐欺とは、金融機関から住宅ローンの融資を受ける際に虚偽の申請を行ったり、書類を偽造したりして、不正に資金を騙し取る詐欺です。
住宅ローンの場合、以下に挙げる不正行為が見られます。
- 自分名義ではローン審査が通過できないと判明した際に親族の名義で通す
- 収入や勤務先を偽って審査を通す
- 不動産業者に言われるまま審査に臨み、後日不正融資だと発覚する
4.サブリース詐欺
サブリース詐欺とは、賃貸物件のオーナーに対して、サブリース(転貸)契約を持ちかけ、実際には約束された賃料を支払わなかったり、不当な理由で契約を解除したりする詐欺行為です。
サブリース契約とは、賃貸物件のオーナーが不動産業者(サブリース会社)に物件を一括で賃貸し、その業者が入居者に転貸する仕組みです。
住宅ローンを悪用したサブリース契約は、本来自己居住用の住宅ローンを、投資用物件の購入に不正に利用し、その物件をサブリースに出すことで収益を得ようとする行為です。
悪質なケースでは詐欺罪に問われる可能性もあります。
5.地面師詐欺
ドラマでも話題となった地面師詐欺は、住宅ローンの現場でも発生しています。
本来なら支払い能力がない人に職業などを偽装して住宅ローンを不正に組ませ、不正に金融機関から融資を引き出す詐欺です。
なりすまし行為には暴力団が関与していたケースもあり、過去には逮捕されています。
地面師詐欺はグループで犯罪を繰り返していることが多く、知り合いではない不動産業者からの紹介や、相場からかけ離れた物件の購入を勧められたら警戒することがおすすめです。
6.フィッシング詐欺
フィッシング詐欺は住宅ローンを悪用しているケースもあります。
住宅ローンの残高確認メールや、滞納の通知などでメールを開かせ、個人情報を取得する手法です。
このようなケースではすでに住宅ローンを組んでいる方も詐欺に引っかかってしまうため、怪しいメールには注意する必要があります。
フィッシング詐欺については、以下の関連記事もご一読ください。
近年、フィッシング詐欺の被害が急増しています。 特に、銀行や通販サイト、宅配業者を装った手口が巧妙化しており、気づかぬうちに個人情報を盗まれてしまうケースが後を絶ちません。 本記事では、フィッシング詐欺の実例や最新の手口5選を詳[…]
なぜ住宅ローン詐欺に引っかかる?被害が多い理由とは
住宅ローンは多くの人にとって、人生で最も高額な買い物時に契約するものです。
しかし、住宅ローンの契約には日頃あまり耳にしない専門用語も多く利用されるため、よくわからないまま契約してしまうケースもあるようです。
そこで、なぜ住宅ローン詐欺に引っかかってしまうのか、その背景にある理由を掘り下げて解説します。

投資勧誘に乗ってしまう
「家賃収入でローンの支払いが楽になる」「将来的に資産価値が上がる」といった魅力的な言葉で、投資目的での住宅ローン利用を勧誘する業者が存在します。
本来、住宅ローンは自己居住を目的とした融資であり、投資目的での利用は規約違反です。
しかし、フラット35をはじめとする住宅ローンは低金利のため、高額の投資物件についつい利用してしまうケースが後を絶ちません。
投資目的での住宅ローン利用は、規約違反による一括返済要求や、詐欺罪に問われるリスクをともないます。
安易な投資勧誘には警戒し、契約内容を慎重に確認することが重要です。
専門用語が多くわからないまま契約してしまう
住宅ローンの契約には金利タイプや返済期間、保証料、手数料など、多くの専門用語が登場します。
ローン商品の種類も豊富で、ペアローンやペア連生団信(夫婦連生団信)などもあるため、専門用語の多さに困惑する人も多いでしょう。
しかし、専門用語を十分に理解しないまま契約してしまうと、詐欺業者の説明を鵜呑みにして罠にかかってしまう可能性があります。
審査に通りたくて嘘をついてしまう
住宅ローンの審査に通るためには、安定した収入や金融トラブルなどが起きていないか確認するために、信用情報が求められます。
しかし審査に不安がある場合、年収を偽ったり、借入状況を隠したりするなどの不正行為に手を染めてしまう人がいます。
嘘が発覚した場合、残りのローンを一括で返済しなければならなくなる可能性があります。
また、将来的に新たな借り入れが困難になるなど、経済的な信用を失ってしまいます。
嘘をつくのではなく、別の方法を考えましょう。
住宅ローン詐欺に引っかからないコツとは
マイホームを購入するための住宅ローンが、悪質な業者の食い物にされるケースが散見されます。
しかし、注意深く行動することで、住宅ローン詐欺の罠から身を守ることはできます。
この章では、「住宅ローン詐欺に引っかからないコツ」を徹底解説します。
個人情報をうかつに提供しない
「住宅ローンを使ったおいしい投資がある」と業者に言われたり、メールなどで接触されたとしても安易に個人情報を提供しないようにしましょう。
氏名や住所、連絡先、家族構成などを知られてしまうと、住宅ローン詐欺だけではなく、フィッシング詐欺など別の詐欺に応用されるおそれもあります。
住宅ローンを使った投資、絶対通過する融資など怪しい広告メールやサイトを見かけたら、絶対に開かないようにしましょう。

参考:住宅金融支援機構 よくある質問・お問合せ
金融機関や不動産会社内で面談すること
住宅ローンの相談や契約手続きは、金融機関や信頼できる不動産会社の店舗内で行うようにしましょう。
大手金融機関や不動産会社は、実店舗を構えておりその所在地や連絡先が公開されています。
喫茶店や自宅などでのみ面談する場合は、詐欺師が身元を隠しているおそれがあり、詐欺のおそれがあります。
また、投資詐欺や不正融資に加担しないためにも、実際に住宅ローンを契約する前に、複数の金融機関に相談して比較することもおすすめです。
比較することで詐欺に気付き、トラブルを回避できる可能性が高くなります。
手数料・保証料などの請求内容を確認すること
住宅ローンの契約には、さまざまな手数料などが発生します。
それぞれの名目や金額について、事前にしっかりと説明を受けて納得したうえで契約するようにしましょう。
例として、悪徳業者の場合は不透明な経費や高すぎる手数料を上乗せして見積もりをしていることがあります。
正規の金融機関や不動産会社、リフォーム会社なら、高額の不明な費用を請求することはありません。
投資には住宅ローンを活用できない
改めて強調しますが、住宅ローンは原則として自己居住用の融資であり、投資目的での利用はできません。
甘い言葉で投資目的の住宅ローン利用を勧誘する業者には、毅然とした態度で断ることが重要です。
投資を目的にローンを組む場合は、不動産投資ローンなど投資目的で利用できるローンを利用しましょう。

書類や審査の偽造・虚偽申告に加担しない
不動産業者やリフォーム業者から、住宅ローンの審査を受ける際に収入を偽る書類の作成や、虚偽の申告を勧められたとしても、絶対に加担してはいけません。
虚偽の申告をすることは重大な不正行為であり、法的な責任を問われる可能性があります。
不正な行為とわかっていて審査を受けると、被害者ではなく詐欺の加害者として刑事責任を問われるおそれもあります。

ご自身が加害者にならないためにも、不正行為に加担することは絶対にやめましょう。
ひょっとして詐欺かも?疑問を感じたらすぐに相談しよう
住宅ローンの契約や手続きは、多くの方が少なからず不安を感じるものです。
もし、契約の過程で少しでも「おかしいな?」「何か納得できないな…」といった疑問や不安が生じたなら、それは大切なサインです。
決してご自身だけで悩まず、勇気を出して専門機関に相談してください。
早期の相談が、深刻な被害を防ぐことにつながります。
しかし、慌てずに検討しましょう。
消費生活センター・国民生活センター
「何かおかしい」と感じたら、まずはお近くの消費生活センターに問い合わせてみましょう。
経験豊富な相談員が疑問や不安をヒアリングし、適切なアドバイスや情報を提供してくれます。
全国どこからでも、消費者ホットラインの全国共通ナビダイヤル「188(いやや)」にかけると最寄りの消費生活センターなどにつながります。
参考:消費者庁 消費者ホットライン
金融機関や住宅金融支援機構 お客様コールセンター
現在利用している金融機関、あるいはこれから住宅ローンを組むことを検討している金融機関には相談窓口が設けられています。
手続きの内容や契約条件について疑問点があれば、遠慮なく担当者に質問しましょう。
直接問い合わせることで不安の解消につながります。
また、住宅ローンに関する疑問や不安は、住宅金融支援機構に確認することもおすすめです。

参考:住宅金融支援機構 よくある質問・お問合せ
警察
「今すぐサインしろ」「印鑑を押さないとどうなるかわかっているだろうな」など、明らかな詐欺や脅迫、強要といった犯罪行為に遭遇した場合は、ためらわずに最寄りの警察署へご連絡ください。
迅速な対応が、被害の拡大を防ぎ詐欺師の逮捕にもつながります。
弁護士
契約内容に法的な問題があるのではないかと感じたり、複雑な状況でどのように対応すべきか迷ったりした場合は、弁護士へお早めにご相談ください。
法律の専門家が 状況を丁寧に分析します。
詐欺の疑いがある場合は、契約解除などの交渉も行います。
すでに不正融資を受けてしまっている場合は、金融機関との交渉もおまかせいただけます。
まとめ:住宅ローン詐欺には注意!困ったらまずは弁護士へご相談ください
本記事では住宅ローン詐欺の実態について、身を守るための方法も交えながら詳しく解説しました。
住宅ローンに関する疑問や不安は、詐欺に気付くサインかもしれません。
「こんなことを聞いても大丈夫だろうか?」「自分が間違っているだけかもしれない…」と迷っているうちに、詐欺師に契約を急かされてしまうおそれもあります。
契約内容が複雑で理解しにくい場合や、強引な勧誘を受けていると感じた場合は、ご自身だけで判断しないことが大切です。
どうぞお気軽に法律の専門家である弁護士にご相談ください。