貸したお金が返ってこなくて、どう催促すればいいか悩んでいませんか。
返済の約束を守ってもらえず、どう対応すべきか迷っている方は少なくありません。
警察に相談しても「民事だから」と断られるケースも多く、泣き寝入りするしかないのかと考えてしまう方も多いでしょう。
実は、状況次第で法的に解決する手段があります。
本記事では、貸したお金が返ってこないときには警察や弁護士に相談するのがおすすめな理由を詳しく解説します。
貸したお金が返ってこないのは詐欺?

実は「貸したお金が返ってこない=詐欺」とは限らないんです。
詐欺になるかどうかは、相手が最初から返す気があったかどうかにかかっています。
まずはその違いから整理しましょう。
以下では、警察が動けるケースとそうでないケースの違いを整理してお伝えします。
お金の貸し借りは民事トラブルのため基本的に警察は動かない
お金の貸し借りに関するトラブルは、原則として民事問題として扱われます。
つまり、返済されないからといってすぐに警察が動くわけではありません。
まずは、当事者同士の話し合いや法的手続きが基本となります。

警察より前に、自分でできることを考えてみましょう。
最初から返す気がなかった場合は詐欺罪の可能性もある
相手が最初から返す気がなかったことを証明できる場合は、詐欺罪(刑法246条)として刑事事件となる可能性もあります。
例えば、以下のようなことが証明できる場合です。
- 繰り返し同様の被害を出している
- 返済の意思がないことを示す発言が記録されている
これらの状況証拠がそろっている場合、最初から返すつもりがなかったと警察に判断されやすくなり、詐欺として立件される可能性が高まります。
できるだけ多くの証拠を整理して、冷静に相談することが重要です。
ただし、警察が動かない場合は、民事での回収手段を早めに考えることも大切です。
お金が返ってこないときの対処法【弁護士相談前に】

自分でできることって、何かあるのでしょうか?
まずは落ち着いて段階的に行動することが大切です。
貸したお金が返ってこないときは、すぐに弁護士に相談するのも1つの手ですが、その前に自分でできる対応をとってみることも大切です。
感情的にならず、段階的に対応していくことで解決につながる可能性があります。
以下では、お金が返ってこないときの対処法の具体的なステップを紹介します。
LINEやメールで冷静に返済の意思を確認する
文章で冷静に返済の意思を確認しましょう。
記録が残るLINEやメールを使い、いつまでに返済できるのか丁寧に尋ねるのがポイントです。
口頭での催促だけでは「言った・言わない」の水掛け論になります。
記録が残るやりとりを残しておくことが大切です。
感情的な表現は避けて、事実ベースで伝えるのが基本です。
電話や家が分かっていれば訪問して返金を求める
電話がつながるなら、冷静に話し、録音して記録するのも1つの方法です。
ただし相手が会話を拒否しているのに何度も電話を繰り返すなどの行為は、逆にトラブルを深刻化させることがあります。
また、録音は事前に相手の了承を得ないと有効な証拠として機能しない、不利になる可能性があるため注意が必要です。
住所が分かっている場合は訪問して話し合うことも可能ですが、強引な要求はトラブルのもとになるので注意しましょう。
しつこい訪問や脅迫的な態度は「不法行為」や「迷惑防止条例違反」などに発展するおそれがあります。

無理に詰め寄ると、こちらが不利になる可能性もあります。
返済期限や金額を書いた内容証明を自分で送って催促する
返済の意思が感じられない場合は、内容証明郵便で正式に催促する方法もあります。
日本郵便のサービスで、郵便局窓口で提出すれば誰でも送付可能です。
作成もフォーマットに従えば、弁護士を介さずに自力で行えます。
また、内容証明は少額訴訟や支払督促を起こす際に証拠としても有効に使えます。
それでも返ってこなければ法的措置を検討する
何度催促しても返済されない場合は、支払督促や少額訴訟などの法的手続きを検討しましょう。
この段階では、弁護士への相談を視野に入れるのが現実的です。
少額訴訟は60万円以下の金銭トラブルに対応します。
ためらわず次のステップへ進みましょう。
貸したお金を取り返すための具体的な4ステップ

法的手段を含めて、できるだけスムーズに進められる方法を順を追って検討することが大切です。
貸したお金が返ってこない状況が続く場合、話し合いや催促だけでは限界があります。
以下では、返金を目指して進めるための具体的な4つのステップをご紹介します。
1.内容証明郵便を送って正式に返済を請求する
返済を求める場合、まずは内容証明郵便で正式に請求の意思を伝えましょう。
内容証明郵便は裁判において、請求の意思表示をした証拠として有効に使われます。
内容や送付日が証拠として残るため、後のトラブルに備えて有効な手段です。

2.返済がなければ支払督促を裁判所に申し立てる
内容証明を送っても返済がない場合は、簡易裁判所に支払督促を申し立てましょう。
支払督促は相手が異議を出さなければ、確定判決と同じ効力を持ちます。
参考: e-Gov 法令検索「民事訴訟法(第396条)」
3.異議が出た場合は少額訴訟や通常訴訟へ移行する
相手から異議申し立てがあると、支払督促の手続きは訴訟に移行します。
請求金額が60万円以下の場合は、簡易で迅速な少額訴訟が利用可能です。
ただし相手が通常訴訟を希望すれば、通常の民事訴訟手続きに移行します。
準備や期間がより本格的になるため、時間やコストもかかってきます。
ただし、相手の対応によっては通常訴訟になる可能性もあるので、柔軟に対応できるよう準備しておくことが大切です。
4.支払い義務確定後も返済がなければ財産を差し押さえる
訴訟で勝訴しても支払われない場合は、確定判決・支払督促・和解調書などの「債務名義」があれば強制執行の申し立てが可能です。
参考:e-Gov 法令検索「民事執行法(第22条)」
預貯金や給与などが対象となりますが、相手の資産情報が必要です。
なお、相手の財産がわからない場合は「財産開示手続き」を申し立てることも可能です。
参考:e-Gov 法令検索「民事執行法(第196条〜)」
財産開示手続きとは、裁判所を通じて相手に財産状況を明らかにさせる制度です。
正当な理由なく拒否すると、罰則が科されることもあります。

確実に回収するまで、気を抜かずに対応を進めましょう。
弁護士に相談すべき理由と費用の目安
「こんなことで相談していいのかな」と遠慮してしまう方も多い気がします。
むしろ対応が難航しているなら、少額でも専門家のサポートを受けることは有効です。
費用や相談の目安についても確認していきましょう。
貸したお金が返ってこない場合、弁護士に依頼することで対応の幅が広がります。
実際に弁護士に相談・依頼したときにはどのようなことをしてくれるのでしょうか。
費用の目安などもあわせて具体的に紹介します。
内容証明の作成や返済請求の交渉を代行できる
弁護士に依頼すれば、内容証明郵便の作成や返済の交渉を代行してもらえます。
内容証明郵便が「弁護士名義」で送られてきた場合、訴訟提起が視野に入っていると受け取られることが多いです。
心理的圧力や信用性が増し、支払いに応じるケースも現実に多いといわれています。
内容証明自体に法的拘束力はありませんが、訴訟提起の前段階として送付されることが多くなっています。
40〜50万円程度の債権でも対応してくれる場合が多い
最近では、少額債権にも対応してくれる法律事務所が増えてきています。
40〜50万円程度の請求であっても、引き受けてくれるケースは十分あります。
まずは「少額でも相談できる」と明記された弁護士事務所を探すことが大切です。
弁護士費用の相場はケースごとに異なる
弁護士費用は一律ではありません。
着手金・報酬金・実費などの内訳や、金額・難易度によって変動します。
まずは無料相談を活用し、費用感や対応範囲を確認するのがおすすめです。
不安な点は遠慮せず弁護士に相談してください。
借用書がなくても貸したお金は取り返せるの?ある場合との比較
「もう諦めるしかないのかな」という方もいそうです。
ただ、他の証拠があれば取り返せる可能性は十分あります。
借用書の有無によって、返金請求の進めやすさには違いがあります。
以下では、借用書がある場合とない場合を比較して、貸したお金は取り返せるのか解説します。
借用書がある場合はスムーズに請求できる
署名または押印された借用書は、特別な事情がない限り本物の証拠として裁判でもそのまま信用されます。
そのため、裁判でも有効に使える証拠です。
e-Gov 法令検索「民事訴訟法(第228条4項」
借用書には金銭を借りた日や金額、返済期限が明記されているのが一般的です。
そのため事実関係が明確になりやすく、交渉や裁判でも有利に働きます。
借用書がなくても証拠があれば回収の可能性はある
以下のような金銭の貸し借りを裏付ける証拠があれば、借用書がなくても回収できる可能性があります。
- LINEやメールでのやりとり
- 振込履歴
- 会話の録音
これらは状況証拠として利用されます。
証拠としての評価は、内容の具体性や一貫性、信頼性によって異なります。
特にLINEやメールの中で「◯月までに返す」「◯円を返す」といった返済の意思表示が含まれていれば、貸金の存在と返済合意の根拠になりえます。
一方で証拠がまったく残っていない場合は、まずは相手とのやり取りの中で返済の意思を再確認しましょう。
可能であれば、記録を残すところから始めてください。
また相手の対応によっては弁護士に相談し、法的に有効なアプローチ(内容証明郵便の送付など)を検討することも重要です。

証拠の整理がカギです。
貸したお金が返ってこない場合についてよくある質問
多くの方がどうしたらいいのか不安に感じているんですね。
対応に迷いやすいポイントなので、代表的な質問についてお答えしていきましょう。
貸したお金が返ってこない場合についてよくある質問は、以下の3つです。
相手と連絡が取れずLINEもブロックされて音信不通の場合はどうすればいいですか?
まずは、他の連絡手段(メール・電話・SNSなど)を試みましょう。
すべてブロックされている場合でも、内容証明郵便を送るための住所がわかれば請求手続きに進めます。
焦らず証拠をまとめ、次の手段を検討しましょう。
何度も催促するとしつこいと思われそうで不安です。何度も催促してよいでしょうか?
冷静かつ丁寧な文面で、内容や目的が明確であれば複数回催促しても問題ありません。
ただし、感情的・威圧的な表現は避けましょう。
相手が拒否反応を示してきた場合は、弁護士を介した対応への切り替えを検討してください。

記録を残しつつ、段階的な対応を心がけてください。
相手の住所がわからない場合でも請求できますか?
基本的に、内容証明郵便や法的請求(訴訟・支払督促など)を行うには相手の住所が必要です。
ただし弁護士に依頼すれば、住民票取得請求や調査会社による追跡などの方法で住所を特定できる可能性があります。
法的手続きのプロは、情報収集のノウハウも持っています。
貸したお金が返ってこなくて困っている場合は弁護士にご相談ください
貸したお金が返ってこないとき、最初は少額だと催促しづらいと二の足を踏んでしまう方も多いかもしれません。
しかしそのままにしておくと、精神的なストレスだけでなく金銭的な被害も取り戻せないままとなってしまいます。
本記事でご紹介したように、お金を取り返すためには段階的な対処法が存在します。
借用書がない場合でも、証拠があれば請求は可能です。
相手の対応に進展がない場合や一人での対応に限界を感じる場合は、弁護士への相談を検討してください。
大地総合法律事務所は、詐欺被害に特化した事務所です。
契約前に弁護士と直接話せるので、ご安心頂けます。
相談は無料ですので、詐欺被害に遭ってしまってご不安な方は、弊所までご相談ください。