「偽物が届いたのに返金されない」「ゴミが送られてきた」「メルカリに問い合わせても動いてくれない」など、フリマアプリ「メルカリ」での詐欺被害が急増しています。
なかでも、購入者が泣き寝入りしてしまうケースは後を絶ちません。
しかし、正しい知識と対処法を知れば、泣き寝入りする必要はありません。
本記事では、弁護士の視点から、メルカリでよく見られる7つの詐欺手口と、被害に遭った際の具体的な対処法、返金を受けるための証拠収集のポイントまで徹底解説します。
なぜ、メルカリ詐欺が後を絶たないのか?

どうしてこんなに増えてるんでしょう?

特に最近は、詐欺の手口がどんどん巧妙になっていて、気付いたときには被害に遭っていることも少なくありません。
メルカリの詐欺が後を絶たない理由は「サポート体制の限界」です。
メルカリ詐欺の現状とともに、なぜ被害が増え続けているのかみていきましょう。
急増する詐欺被害報告
SNSを中心に、メルカリでの詐欺被害を訴える声が目立つようになってきています。
- 届いた商品が偽物だった
- まったく別のものが送られてきた
- そもそも商品が届かない
など、購入者側の被害に加え、近年では売り手側(出品者)の被害報告も急増しています。
特に話題となったのが、ある出品者が「新品未開封のプラモデルを発送したところ、返品されてきた中身がゴミだった」という事件です。
参考:NHK NEWS「メルカリ出品のプラモデル 返品で別物が届いた女性が被害届」
出品者はメルカリ事務局に問い合わせたものの、購入者の言い分が優先され、泣き寝入りになりかけたこの事例は、大きな炎上を引き起こしました。
誰にでも起こり得るトラブルとして、詐欺への警戒感が急速に高まっています。

表に出ていない被害は、さらに多いと考えてもよいでしょう。
メルカリ運営のサポート体制に問題があるのか
被害報告の多くに共通しているのが、「メルカリに相談したのにまともに対応してもらえなかった」という声です。
- テンプレートのような返答しか来ない
- 相手の言い分だけが優先される
- 内容が正確でない(AIが回答している可能性もある)
などといったフラストレーションが積み重なり、信頼を失ってしまうケースも後を絶ちません。
前述のプラモデル返品トラブルでは、出品者が被害の証拠写真を添えて問い合わせたにも関わらず、「購入者が正しい商品を返送したと言っているので取引をキャンセルする」のような内容の通知が一方的に届いています。
その後、SNSでの炎上を受けてようやく補償対応が行われましたが、「声を上げなければ泣き寝入りだった」という事実が、不信感をさらに煽る結果となっています。
迅速で透明性のある対応が、今後ますます求められるでしょう。
メルカリ詐欺の手口7選
詐欺は「買う側だけのリスク」ではありません。
最近は、売り手側が悪意ある購入者に狙われるケースも増えています。
購入者・出品者のどちらにも関係のある内容ですので、しっかり確認しておきましょう。
メルカリ詐欺の主な手口は、以下の7つです。
- 偽物商品が届く(ブランド・コスメ)
- 箱だけ・一部だけが届く(空箱詐欺)
- 商品未着&発送通知だけ
- 商品画像が捏造されている
- 商品到着前に受取評価を要求される
- Paidy(ペイディ:後払いアプリ)で二重の請求がおこなわれる
- 商品の到着後に偽物とすり替えられる
それぞれについて1つずつ詳しく解説します。
偽物商品が届く(ブランド・コスメ)
「正規品」と記載されていたのに、届いたのは明らかに偽物だったというケースで、特にブランド品や人気コスメで多く報告される手口です。
安さに惹かれて購入してしまうと、「本物だと思ったのに…」と後悔することになります。
<注意すべきポイント>
- 市場価格より極端に安い
- 出品者の評価が少ない新規アカウント
- 商品画像が少ない・ぼやけている
- 商品説明が曖昧
- ブランド名の表記が微妙に違う

価格が相場よりも極端に安い場合は、まず疑ってかかりましょう。
箱だけ・一部だけが届く(空箱詐欺)
「箱のみ」「付属品のみ」などと商品説明に小さく記載されているにも関わらず、商品タイトルや画像では本体が含まれるかのように装う詐欺です。
説明欄の読み落としを狙って出品しているケースもあります。
<注意すべきポイント>
- 説明文の最後に小さく「箱のみです」と書かれている
- 商品状態が「やや傷や汚れあり」になっている
- 複数枚の画像で本体が写っていない
誰でも被害に遭う可能性があると意識し、慎重になることが大切です。
商品未着&発送通知だけ
「発送通知は来たけれど、商品が届かない」という詐欺も増えています。
購入者は「発送された」と安心して待ちますが、いつまで経っても商品が届かず、問い合わせると出品者と連絡が取れなくなるというパターンです。
追跡番号を付けずに普通郵便で送るような場合、発送したかどうかの確認ができません。
<注意すべきポイント>
- 追跡番号が実際の配送状況と一致しない
- 発送から異常に日数が経っている
- 出品者が「配送業者の問題」と責任転嫁する
- 新規アカウントや評価の少ない出品者
高額商品や重要な品物は、匿名配送・追跡ありを選ぶのがおすすめです。
商品画像が捏造されている
インターネットから拾った画像や、他人の投稿写真を流用して本物のように見せかける詐欺もあります。
特に「公式サイトから画像を使用」などと称して新品同様の画像を掲載しながら、実際には使用感の強い中古品や偽物を送るケースもあるといわれています。
<注意すべきポイント>
- プロが撮影したような不自然にきれいな写真を使っている
- 同じ商品画像が複数の出品者で使われている
- 「画像はイメージです」などの注釈がある
- さまざまな角度からの写真が少ない
誠実な出品者なら応じてくれます。
商品到着前に受取評価を要求される
「早く評価してくれたらおまけを付けます」などと、到着前に評価を促してくる出品者には要注意です。
評価後に商品が届かなかったり、明らかに説明と異なる商品が送られてくるケースも存在します。
<注意すべきポイント>
- 商品発送直後に「至急評価してほしい」と連絡がくる
- 感情に訴える理由(家族の病気、急な出費など)を持ち出す
- 先に評価することへの見返り(値引きなど)を提案してくる
- 評価を急かす理由が不自然である

いかなる理由であれ、商品未着の状態での評価は避けてください。
Paidy(ペイディ:後払いアプリ)で二重の請求がおこなわれる
Paidyを悪用した詐欺では、購入者が注文していない商品で請求が発生したり、同じ取引で二重請求されるといった被害が生じています。
<注意すべきポイント>
- メルカリの公式チャット以外の連絡手段(LINE、メールなど)を求めてくる
- 銀行口座情報を直接教えてくるか、詳細な振込先を提示する
- 「急いでいるので今日中に」などと焦らせる言葉を使う

また、メルカリの正規の決済はアプリ内で完結するため、アプリ外での支払いや連絡を求められた場合は、詐欺と考えてよいでしょう。
商品の到着後に偽物とすり替えられる
出品者側が被害に遭う代表的なパターンです。
本物の商品を発送したにも関わらず購入者が「偽物だった」「壊れていた」と主張し、返品された商品が別物だったというケースが該当します。
証拠がなければ、返品対応させられた上に商品も戻ってこないという泣き寝入りの構図になってしまいます。
<注意すべきポイント>
- 購入者のプロフィールや評価履歴に不審な点がある
- 高額商品の取引で購入者の過去の取引実績が少ない
- 出品を急かしてくる
- 商品の細かい状態についてあまり質問がない

「すり替えられた」と感じたら、すぐに運営・警察へ相談するのが大切です。
メルカリ詐欺に遭った場合の正しい対処法

対応がわからなくて不安です。
焦らず冷静に行動することで、返金や補償を受けられる可能性は十分にあります。
詐欺被害に気付いたときには、何すればよいかを知っているかどうかで、その後の対応に大きな差が出ます。
以下では、メルカリ詐欺に遭った場合の正しい対処法を解説します。
やるべき初動の3ステップ
メルカリで詐欺の被害に気付いたら、以下の3つの初動対応を取りましょう。
最初の行動が、返金・補償の可否を左右するといっても過言ではありません。
- 証拠を集めて保存する
商品画像、商品説明、取引メッセージのやり取り、発送状況など、関係する画面のスクリーンショットを取りましょう。
届いた商品が偽物や空箱だった場合は、開封の様子や中身の写真をすぐに撮影します。
- 受取評価しない
詐欺の疑いがある場合は、受取評価しないでください。
評価してしまうと取引が自動的に完了し、メルカリの補償対応が難しくなります。
- メルカリ事務局に連絡する
アプリ内の「お問い合わせ」から、状況を詳しく説明しましょう。
証拠画像を添付し、冷静に事実を伝えることが大切です。
「証拠を残す」「受取評価はしない」を徹底してください。
返金を受けるために必要な証拠と流れ
メルカリで返金・補償を受けるためには、被害を受けた客観的な証拠が必要です。
返金に役立つ証拠の例は、以下のとおりです。
- 届いた商品の状態がわかる写真(偽物・空箱・破損など)
- 商品説明文と実際の内容が違うことを示すスクリーンショット
- 取引メッセージのやり取り(受取評価の強要なども含む)
- 発送通知と追跡情報の不一致や不備
証拠を集めたら、メルカリ事務局に連絡します。
証拠とともに、冷静かつ具体的に状況を報告してください。
事務局の指示に従い、追加資料を求められた場合は速やかに提出します。

メルカリに問い合わせても運営が動かない場合
「証拠も提出して問い合わせたのに、まるでテンプレートのような返信しかこない」
メルカリ事務局に問い合わせても動いてくれないケースでは、次の一手を講じることで事態が動くことがあります。
対応が鈍い時に取るべきアクションは、以下のとおりです。
- 再度、詳細な証拠をまとめて再調査を依頼する
- メルカリの公式SNSアカウント宛に冷静に相談を投稿する
- 外部の第三者機関に相談する意向を伝える

主張に一貫性を持たせ、冷静に粘り強く対応しましょう。
通報・警察相談・消費者センターの活用
メルカリで解決が難しい場合は、外部の機関への相談も重要です。
以下のような窓口を活用して、被害の声を適切に届けましょう。
- 警察への相談(サイバー犯罪・生活安全課)
被害状況を証拠とともに提出し、「詐欺被害として届け出たい」と明確に伝えることが大切です。
- 消費者ホットライン(188)
全国どこからでも繋がる相談窓口で、トラブル解決に向けたアドバイスや支援を受けられます。
- 国民生活センターや地方自治体の消費生活センター
専門の相談員が、メルカリ事務局とのやり取りの方法などもアドバイスしてくれます。
被害を伝えること自体が、大切な行動です。
弁護士に相談する
高額商品のトラブルや悪質な詐欺行為、メルカリからの補償が受けられない場合などは、弁護士に相談するのが有効です。
以下のタイミングで相談するとよいでしょう。
- 被害金額が大きく、精神的損害も感じているとき
- メルカリ事務局の対応に納得がいかず、法的判断を仰ぎたいとき
- 証拠はあるが、自分では解決が難しいと感じるとき
初回無料相談を実施していたり、詐欺に詳しかったりする弁護士事務所を活用してみましょう。
また、専門家に相談することで、精神的な安心感も得られますよ。
メルカリを装ったフィッシング詐欺にも注意!
公式サイトからの連絡と区別がつかなそうでちょっと怖くなりました。

公式のメールやSMSを装って、ログイン情報や個人情報を盗み取ろうとする手口です。
見た目が本物そっくりな偽サイトに誘導し、IDやパスワード、クレジットカード情報を入力させるのが典型的な流れです。
一度でも情報を入力してしまうと、乗っ取り・不正利用・なりすましなどの被害に発展するおそれがあります。
以下では、実際に出回っているフィッシングの事例や、公式と偽サイトの見分け方を解説します。
メルカリを装ったフィッシングメール・SNS広告の事例
実際に報告されているフィッシング詐欺の文面を紹介します。
- 実際にあったフィッシングメール例
出典:株式会社メルカリ「メルカリを装った不審なメール・ウェブサイトにご注意ください」
メルカリのロゴマークを使って本物のメルカリからのメールのように見せていますが、リンクをクリックすると偽サイトに遷移します。
- 偽のメルカリサイトに遷移する詐欺広告
出典:株式会社メルカリ「メルカリを装った不審なメール・ウェブサイトにご注意ください」
SNSに詐欺広告を掲載し、クリックすると偽サイトへ遷移するという手口も確認されています。
普段使っているSNSの広告でも、広告からの遷移先では個人情報の入力はせず、公式サイトや公式アプリから商品を選ぶようにしましょう。
冷静な対応が被害を防ぎます。
メルカリ公式と偽サイトの違い
フィッシング被害を防ぐためには、偽サイトと公式サイトを見分ける力を身につけることが大切です。
偽サイトは見た目が本物そっくりでも、細かい部分を観察すれば違いがあります。
<公式サイトと偽サイトを見分けるポイント>
- メールアドレスや送信元ドメインが不自然(例:@mercari.info.jpなど)
- 日本語に不自然な言い回しや誤字がある
- 「今すぐ確認」「アカウント停止」など焦らせる文言が目立つ
特にURLの確認は重要といえます。
公式のURL以外からアクセスを促された場合は、フィッシング詐欺の可能性を疑いましょう。
公式アプリ経由でのみ操作を行うクセをつけることで、被害を大きく減らせますよ。
今後メルカリ詐欺に遭わないための予防策

でも、何か予防できる方法ってあるんでしょうか?
不安を抱えながら使うよりも、具体的な判断基準や行動ルールを自分の中に持つことが、被害を避ける最大の予防策になります。
メルカリを安全に利用するための予防策はとても重要です。
以下では、誰でもすぐに実践できるメルカリ詐欺に遭わないための予防策を3つ紹介します。
信頼できる出品者・商品を見分けるポイントを知る
信頼できる出品者には、いくつかの共通点があります。
以下のような点をチェックすることで、詐欺に巻き込まれるリスクを大きく減らせます。
確認ポイント | 内容 |
評価が高く、コメント欄での印象も良好 | 星5に近い評価が多く、丁寧に対応している履歴がある |
商品説明が具体的・丁寧 | サイズ、状態、付属品などを明確に記載している |
写真が複数枚あり、実物を撮影している | 明るく、いろいろな角度から撮った実物画像が載っている |
過去の出品履歴が安定している | 同じようなカテゴリの商品を継続的に出品している出品者は、信頼性が高い |

自然な評価の流れかどうかをみるのも大切です。
安すぎる商品・評価0のユーザーに注意する
新品で未使用の商品や人気ブランドなのに相場の半額以下で出品されている商品は、詐欺の可能性があります。
<主なチェックポイント>
- 相場より明らかに価格設定が安い
- 出品者への評価数が0または1桁で、購入実績がほぼない
- 出品している他の商品も高額ブランド品が多い
- 「訳あり」「早い者勝ち」など急がせるワードが多い

安さに飛びつく前に、なぜ安いのかを冷静になって考えることも必要です。
自分だけの取引ルールを持って取引する
詐欺を完全にシャットアウトすることは難しいですが、自分だけの取引ルールを決めておくことで、被害リスクを大幅に下げられます。
具体例は、以下のとおりです。
- 追跡番号ありの商品以外は買わない
- 評価10件以下の新規アカウントとは取引しない
- 商品説明や写真に不明点があった場合は、必ず質問する
- 高額商品は公式ショップと比較してから判断する
- 「先に評価してくれたら〜」などの依頼はすべて断る
このような基準を持っておくことで、感情や焦りで判断を誤るリスクを減らせます。
迷ったら買わないと決めておくことも立派な防御です。
メルカリ詐欺に遭った場合は、泣き寝入りせず弁護士にご相談ください
本記事で紹介したように、メルカリ詐欺にはさまざまな手口が存在します。
大切なのは「知らなかった」で終わらせないことです。
そして、もし被害にあったとしても、泣き寝入りせず行動することが大切です。
それでも、万が一トラブルに巻き込まれてしまったら、冷静に証拠を集めてメルカリ事務局へ相談し、必要であれば外部機関や弁護士の力を借りることをためらわないでください。
大地総合法律事務所は、詐欺被害に特化した事務所です。
契約前に弁護士と直接話せるので、ご安心頂けます。
相談は無料ですので、詐欺被害に遭ってしまってご不安な方は、弊所までご相談ください。