「アカウントがアクセスされた、というメールが届いたけど本当だろうか」
「警察から突然出頭を求めるメールが送られてきて不安だ」
詐欺メールの手口は年々巧妙化しており、有名通販サイト名で届くメールや、警察・自治体などを名乗るケースも増加しています。
生成AIの進化により、海外からでも日本語の違和感がないメールが届きやすくなっているため注意が必要です。
そこで本記事では、詐欺メールの手口や対策について、弁護士がわかりやすく解説します。詐欺メールを開いてしまった時の対処法も紹介するので、ぜひご一読ください。
詐欺メールの手口とは?代表的な5つのケースを解説

実際にはどのような手口が多いんですか?
どのメールも見かけたことがある人は多いと思いますね。
詐欺メールにはさまざまな手口があり、巧妙に個人情報を盗み取ったり、金銭を騙し取ったりしようとする悪質なタイプもあります。
この章では、特に注意すべき代表的なメール詐欺の手口を5つ紹介します。
1.フィッシング詐欺メール
フィッシング詐欺メールとは、実在する企業やサービスを装うなどの方法で、会員情報やパスワード、クレジットカード情報などを騙し取ろうとするメールです。
「アカウントが凍結された」「セキュリティ上の問題が発生した」などと不安を煽り、偽のログインページや情報入力フォームへ誘導します。
メールアドレス内に実在する企業ロゴが貼ってあることも多く、文面も巧妙に作られているため注意が必要です。

フィッシング詐欺について詳しくはこちらから▼
近年、フィッシング詐欺の被害が急増しています。 特に、銀行や通販サイト、宅配業者を装った手口が巧妙化しており、気づかぬうちに個人情報を盗まれてしまうケースが後を絶ちません。 本記事では、フィッシング詐欺の実例や最新の手口5選を詳[…]
2.投資メール詐欺
投資メール詐欺とは、「必ず儲かる」「高利回り」といった甘い言葉で投資を勧誘する詐欺メールです。
未公開株や仮想通貨など、実体のない投資話を持ちかけ、最終的には金銭を騙し取ります。
著名人に成りすましているケースもあり、口座にお金を振り込ませようとしたり、クレジットカードなどの個人情報を聞き出そうとする手口も見受けられます。

3.懸賞当選メール詐欺
懸賞当選メール詐欺とは、あたかも懸賞に当選したかのように錯覚させ、賞金や商品を受け取るために金銭を要求する詐欺です。
「おめでとうございます!〇〇が当選しました」といった内容が記載されていますが、実際にはサクラサイトへの誘導や、「手数料」などと称し金銭を騙し取るためのメールです。
リンクを開いたり個人情報を送らないようにしましょう。
4.警察・公的機関からのメール詐欺
警察庁や税務署、自治体などの公的機関を装い「逮捕状が出ている」「未払い料金がある」などと脅迫的な内容で金銭を要求するメール詐欺もあります。
実在する公的機関名を名乗るメールは信じてしまう人も多く、お金を送金してしまったり個人情報を入力してしまうケースが後を絶ちません。

5.架空請求メール詐欺
架空請求メール詐欺とは、身に覚えのない請求をメールで送りつけて料金を支払うよう求める詐欺です。
有料サイトの利用料金やアダルトサイトの登録料などを求める内容が多く、〇日以内に送金しなければ訴訟する、といった脅迫的な内容が掲載されています。
電力会社を名乗る、税務署から滞納税の支払いを求めるケースもあり、不審に思っても「もしかしたら本物かも」と騙されてしまうケースも後を絶ちません。
なぜ詐欺メールに騙されてしまう?事例を紹介
常に用心深くメールを確認する必要がありますね。
実際に発生している事例を知っておくと、詐欺メールの見分けがつくようになりますよ。
詐欺メールの手口は巧妙化しており、メールに慣れている若年層でも騙されてしまうケースが後を絶ちません。
そこで、この章では実際に多発している詐欺メールの事例を紹介します。
企業ロゴやサイトデザインが酷似している
詐欺メールの手口の大きな特徴として、実在する企業やサービスのロゴ、サイトデザインをそっくりに真似ている点が挙げられます。
大手通販サイトなど、普段から頻繁に利用している企業からのメールと見分けがつかないほど精巧に作られているため、警戒心が薄れてしまいがちです。

違和感があったら別のブラウザで本物のサイトを開き、比較してみましょう。
キャンペーンを謳い魅力的に見える
懸賞当選や投資によって気を引いてくるメール詐欺では、「期間限定」や「無料プレゼント」といった魅力的な言葉で、詐欺へと誘い込みます。
今すぐクリックしなければチャンスがなくなる、というアピールをしてくることも詐欺メールの常套手段です。
お得な情報に目がくらみ、冷静な判断力を失ってしまうことがあります。
自分を知っている人からのメールだと勘違いしてしまう
詐欺メールのなかには何らかの手段で入手した個人情報を、詐欺メールの文面に悪用するケースも見受けられます。
自分の名前や生年月日などが記載されていると、「本当にこの企業からの連絡かもしれない」と錯覚してしまい、警戒心を解いてしまうのです。
緊急性が高い内容で恐怖心を煽られる
警察などを名乗る者からのメールは、緊急性が高く恐怖心を煽る内容が記載されています。
「本日中の対応が必要です」や「法的措置を開始します」といった緊急性の高い内容で心理的圧力をかけ、冷静な判断力を奪う手法です。
特に、警察や公的機関を装った詐欺メールはこの手口を多用しています。
実際に国税庁のサービスである「e-Tax」を装うメールも発生しており、届いたメール内のリンクをクリックするとフィッシングサイトへ誘導されることが判明しています。
参考:e-Tax 国税税務申告・納税システム 「e-Taxを装った不審なメール等にご注意ください」
詐欺メールを開いてしまったらどうする?

もしも、本物のメールだと思ってうっかり開いてしまったら、どのように対応すればよいでしょうか。
しかし、メールを開いただけでウイルスに感染し、深刻な被害につながるケースばかりではありません。
落ち着いて対応することが重要です。
詐欺メールをうっかり開いてしまったら、まずは落ち着いてウイルス感染のチェックなどの対応を始めましょう。
この章では詐欺メールを開いた後の対処法を紹介します。
ウイルススキャンで感染の有無を確認
詐欺メールを開いてしまったら、早急にお使いのパソコンやスマートフォンにウイルススキャンを実行しましょう。
パソコンにはウイルス対策のソフトがインストールされていることが多いですが、スマートフォンの場合はセキュリティアプリをダウンロードし、スキャンすればウイルスの感染の有無が判明します。
メールに添付されたファイルを開いたり、本文中の不正なリンクをクリックしてしまった場合は、ウイルスに感染している可能性があります。
速やかにスキャンを行い、もしウイルスが検出された場合はセキュリティソフトの指示にしたがって駆除してください。
不審な動きがあったらすぐにウイルスチェックをしましょう。
個人情報を入力してしまった時の対処法
フィッシング詐欺メールなどにひっかかり、クレジットカードの情報や銀行口座などの個人情報を入力してしまった場合は、以下の手続きを行います。
- クレジットカードの利用をストップ
クレジットカード会社に連絡し、事情を説明してカードの利用を停止してもらいます。
- 金融機関に連絡し、引き落としを止める
銀行や信用金庫などの取引のある金融機関に連絡し、口座情報の不正利用の可能性を伝え、引き落としを停止するなどの対応を相談してください。パスワードの変更も忘れずに行いましょう。
主要都市銀行の不正利用に関する問い合わせ先は以下です。
銀行名 | 連絡窓口名と電話番号 |
三菱UFJ銀行 | インターネットバンキング不正利用ご相談ダイヤル
0120-111-082(無料) 上記がつながらない場合は050-3786-0082(有料) ※24時間365日受付、毎月第2土曜日の21時~翌日6時40分のみ不可 |
みずほ銀行 | お問い合わせ専用ダイヤル
0120-324-878 ※平日の受付時間9時~21時 |
三井住友銀行 | 不正出金ホットライン
0120-322-775(無料、平日9時~17時) 0120-956-999(無料、上記時間帯以外の専用ダイヤル) |

送金してしまったら速やかに弁護士へ相談する
もし詐欺メールで指定された口座にお金を振り込んでしまった場合は、一刻も早く弁護士に相談してください。
時間が経つほど、 被害金を取り戻すことが難しくなる可能性があります。
詐欺被害の解決に詳しい弁護士に状況を説明し、返金請求や今後の対応についてアドバイスを受けましょう。
詐欺メールの被害を防ぐ3つの方法

日頃から対策を講じておくことで、詐欺メールに惑わされなくなります。
Gmailをはじめとする代表的なフリーアドレスへだけではなく、ショートメールや企業アドレスにも詐欺メールが送られています。
被害に遭わないためにも、この章で紹介する3つの対策を日頃から講じておきましょう。
迷惑メールフィルターを入れる
メールソフトやプロバイダなどが提供している迷惑メールフィルター機能を有効にしておきましょう。
多くの詐欺メールは、このフィルターによって自動的に迷惑メールフォルダに振り分けられます。
ただし、詐欺ではないメールも振り分けられてしまうことがあるため、定期的に迷惑メールフォルダを確認しておくことも大切です。

メールアドレスやパスワードは複雑化しておく
使用しているメールアドレスやパスワードは、推測されにくい複雑なものを設定しましょう。
誕生日や電話番号など、予測されやすい文字列は不特定多数に向けてランダムに送信する詐欺集団に特定されやすい傾向があります。
特にわかりやすいパスワードは不正にログインされるリスクを高めます。
英数字や記号を組み合わせて作成し、定期的に変更しましょう。
警察や公的機関からの連絡はすぐに返信しない
警察や公的機関を名乗るメールでも、安易に返信したり、本文中のリンクをクリックしたりしないことです。
緊急性が高そうな内容でも、まずは落ち着いて公式の連絡先に電話やメールを使って真意を確認してみることがおすすめです。

まとめ|詐欺メールは開かないことが大切!被害に遭ったら弁護士へ
本記事では詐欺メールの手口の特徴や、被害を防ぐ方法などを詳しく解説しました。
もしも不審なメールが届いたら、開封したり連絡をしたりせずに削除しましょう。
また、日頃から迷惑メールフィルターの活用や複雑なパスワードの設定も行い、詐欺メール対策をしっかり行うことが大切です。
万が一詐欺被害に遭ってしまった場合は、決して一人で悩まず速やかに弁護士へご相談ください。