仮想通貨(暗号資産)は、匿名性や価格変動の大きさから詐欺の標的となることが増えています。
近年、仮想通貨詐欺の手口はますます巧妙化しており、誰もが被害に遭う可能性があるので注意しましょう。
本記事では、仮想通貨(暗号資産)詐欺によくある手口について解説し、返金が難しい理由も紹介します。
仮想通貨(暗号資産)詐欺とは


仮想通貨詐欺とは、仮想通貨に関する嘘の情報や巧妙な手口を用いて金銭や仮想通貨を騙し取る詐欺です。
実在する取引所やウォレットを装った偽サイトやアプリを騙る詐欺も増えていて、本当に詐欺か見分けがつかなくなっています。
SNSやマッチングアプリで親しくなった相手から投資話を持ちかけられるなど、仮想通貨詐欺に遭うきっかけも多様化しているので注意しましょう。
仮想通貨(暗号資産)詐欺でよくある手口9選

ここでは、仮想通貨詐欺でよくある手口を解説します。
以下のような話を持ち掛けられたときは特に警戒し、詐欺の可能性を否定せず冷静に判断しましょう。
ポンジ・スキーム
ポンジ・スキームとは、出資者から集めた資金を運用益と偽って配当金に充て、新たな出資者を募り続ける手法です。
最初のうちは確実に配当金が支払われるため、詐欺と気付けないこともあります。
実際には新たに参加した出資者からのお金がそのまま配当金になっているだけで、実際に仮想通貨を運用しているわけではありません。

フィッシング詐欺
フィッシング詐欺とは、実在する企業やサービスを装った偽の電子メール・SMS(ショートメッセージ)・Webサイトなどを用いて個人情報や金銭を騙し取る詐欺手法です。
仮想通貨(暗号資産)の場合、実在する仮想通貨取引所やウォレットのWebサイトに酷似させて情報を抜き取ります。
アプリ内で個人情報や秘密鍵を入力した場合、実際に自分が保有している仮想通貨を抜き取られてしまうこともあるので注意しましょう。

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クラウドマイニング詐欺
クラウドマイニング詐欺とは、仮想通貨のマイニング(採掘)を行うと謳いつつ、実際にはマイニングを行わずに資金を騙し取る詐欺行為です。
マイニングは暗号資産(仮想通貨)の取引を承認する作業のことで、正しいマイニングができると報酬を受け取れます。
マイニングを仕事にしている人もいますが、その反面詐欺も横行していて、報酬を受け取れない、あるいは抜き取られることがあるため注意しましょう。

偽サイト・アプリへの誘導
偽サイト・アプリへの誘導もフィッシング詐欺の一種であり、仮想通貨や個人情報を盗み取ろうとする詐欺として確立しています。
「アカウントがロックされた」「セキュリティ更新が必要」など、緊急性を煽る内容でユーザーを焦らせ、偽サイトへ誘導されることも多いです。
また、検索エンジンの広告枠に偽の取引所やウォレットの広告を表示し、ユーザーを誘導することもあるので警戒しましょう。

不正な情報操作による詐欺
仮想通貨(暗号資産)の世界では、不正な情報操作による詐欺も横行しています。
たとえば、SNSや掲示板などで「必ず儲かる」「〇倍になる」といった嘘の仮想通貨(暗号資産)情報を流し、特定の仮想通貨(暗号資産)やICOへの投資を勧誘するケースがあります。
他にも、特定の仮想通貨の価格を意図的に吊り上げ、高値で売り抜けるなど、価格操作をして金銭を取得する詐欺も増えました。

景品詐欺
景品詐欺とは、高額な景品やプレゼントを謳い文句にして人を集め、金銭や個人情報を取得する詐欺行為です。
仮想通貨(暗号資産)における景品詐欺の場合、仮想通貨やNFT(非代替性トークン)などのデジタル資産が景品として謳われます。
「ビットコイン1BTCプレゼント」「人気NFT当選」など、「無料でもらえるなら…」というお得感で誘い込まれるケースが多いです。

恐喝詐欺
仮想通貨(暗号資産)における恐喝詐欺では、仮想通貨を脅し取るような要求が確認されています。
例えば、「あなたのパソコンをハッキングし、アダルトサイトの閲覧履歴やわいせつな動画を撮影した。家族や職場にばらまかれたくなければ、〇〇ビットコインを△△のウォレットに送金しろ」などと脅されることがあります。
なかには警察官や弁護士を名乗る悪質な詐欺もあり、権威性を利用して相手を信用させようとするので注意しましょう。

ICO不正詐欺
ICO(=Initial Coin Offering)不正詐欺とは、仮想通貨を利用した資金調達であるICOを悪用し、投資家から資金を騙し取る詐欺行為です。
存在しない仮想通貨(暗号資産)やWebサイトを提示して資金を持ち逃げしたり、「大手取引所に上場予定」「上場すれば価格が高騰する」など嘘の情報を流したりします。
ホワイトペーパーやWebサイトの内容をよく確認し、プロジェクトの実現性や信頼性を判断しましょう。

著名人になりすまして誘導
著名人になりすまして仮想通貨(暗号資産)投資などに誘導する詐欺も増えていて、「権威性がある人からの紹介だから」と安心させる事例があります。
実際には、有名人やインフルエンサーのSNSアカウントに酷似した偽アカウントであるケースがあるので注意しましょう。
また、本人の写真や動画を無断で使用し、あたかも本人が発信しているかのように見せかける事例もあります。
仮想通貨(暗号資産)詐欺の返金が難しい理由

ここでは、仮想通貨詐欺の返金が難しい理由を解説します。
なぜ詐欺であると気付いてもリカバリーしづらいのか、理由を探ってみましょう。
仮想通貨(暗号資産)の匿名性が高いから
仮想通貨の取引は匿名性が高く、取引に関わった人物の特定が困難です。
仮想通貨の取引は「ブロックチェーン」と呼ばれる分散型台帳に記録されますが、取引の履歴を記録するのみで、取引に関与した個人の氏名や住所などの情報は記録されません。
個人情報と直接紐付けられず取引の匿名性が保たれるのがメリットである一方、詐欺犯の追跡や特定が難しくなり、返金請求のハードルが高くなるので注意しましょう。

仮想通貨(暗号資産)関連の規制が遅れているから
仮想通貨(暗号資産)は比較的新しい技術であり、仮想通貨の特性やリスクを十分に考慮した法整備がまだ追いついていない状況です。
日本でも資金決済法や金融商品取引法などの改正により、仮想通貨に関する規制が強化されていますが、更なる規制の整備が求められています。
「どこまでグレーゾーンなのか?」「仮想通貨詐欺に遭ったらどうするのか?」などの対処法も見つけづらく、ひとりで抱え込みやすいのが懸念されます。

国境を越えて取引される性質があるから
仮想通貨(暗号資産)取引はインターネットを通じて世界中で行われており、国境を越えて取引される性質があります。
詐欺犯が海外に拠点を置いていたり、各国の捜査機関の協力が必要になったりするケースも多く、言語や法制度の違いが大きなハードルになるので注意しましょう。
日本の法律だけでは対応できずに国際的な法的措置が必要であったり、訴訟手続きに時間と費用がかかったりするケースも多いです。

本物と詐欺の見分けづらいから
仮想通貨(暗号資産)取引は専門性が高く、本物と詐欺の見分けづらいのも難点です。
もともと仮想通貨に詳しい人でなければ、本物そっくりに作り込まれた偽の取引所やウォレットに違和感を覚えないこともあるでしょう。
仮想通貨に関する情報はインターネット上に溢れており、信頼性の低い情報と正しい情報を精査するのが難しいのも現状です。

仮想通貨(暗号資産)詐欺を疑うべき6つのサイン
仮想通貨(暗号資産)詐欺であると見抜くのは非常に難しい一方、詐欺案件には以下のサインが共通していることが多いです。
- 仮想通貨のホワイトペーパーがない
- 運営メンバーの経歴が曖昧
- 完全無料を謳っている
- 投資リターンが約束されている
- 話ができすぎている
- 即断を迫ってくる
つまり、上記のようなサインがあれば、仮想通貨詐欺を疑ってみましょう。
信頼できる筋からの情報であると客観的に証明でき、かつリスクやデメリットも正しく解説してくれているものでない限り、無理に手を出すのは危険です。
「必ず儲かる安心・安全な仮想通貨」「今あなただけにお知らせする仮想通貨の特別情報」といった言葉に騙されないよう、常に警戒心を持っておくことも大切です。
まとめ|仮想通貨(暗号資産)詐欺に遭ったら弁護士に相談しよう!
仮想通貨詐欺は、取引の匿名性の高さや関連法規制の未整備、国境を越える性質などにより、対処が難しいのが現状です。
専門性が必要だからこそ、もし仮想通貨詐欺に遭ってしまったらすぐに弁護士に相談しましょう。
どのような法的手段が取れるのか、返金請求に必要な証拠の収集をしながら検討し、金銭的・精神的な負担を軽減することが大切です。